2025年10月に施行される改正育児介護休業法は、働きながら育児や介護を行う従業員の支援の充実を目的としています。この改正により、企業はその規模に関わらず、育児・介護と仕事を両立するための環境整備の責任が加わりました。本記事では、企業が検討する必要がある選択制措置の5つの要件について詳しく解説します。また、それぞれのメリット・デメリットを比較し、事業形態に沿った選択肢を選ぶヒントをお伝えします。
▼目次(タップすると項目にジャンプします)
◆育児介護休業法:2025年10月改正の内容
◆「柔軟な働き方を実現するための措置等」5つの要件
◆選択制措置:5項目の概要とメリットデメリット
◆選択制措置を選ぶ際に考えたいポイント
◆ベビーシッター補助を選択する事業者の利点
◆キッズラインの福利厚生プランが選ばれる理由
◆キッズライン福利厚生プラン導入の流れ
育児介護休業法:2025年10月改正の内容
まずは2025年に施行される改正育児介護休業法の内容を確認しておきましょう。
施行は4月と10月の2段階で行われます。
4月に施行されるのは、以下の9項目です。
・子の看護休暇の見直し
・所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大
・短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加
・育児のためのテレワーク導入
・育児休業取得状況の公表義務適用拡大
・介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
・介護離職防止のための雇用環境整備
・介護離職防止のための個別の周知・意向確認等
・介護のためのテレワーク導入
上記に加えて2025年10月1日からは以下の2項目が加わります。
・柔軟な働き方を実現するための措置等
・仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮
この内「柔軟な働き方を実現するための措置等」に関しては、法律が提示する5つの選択肢の中から2つをすべての企業が従業員のために講じなければいけないとされています。5つの選択肢について、詳しく見ていきましょう。
育児介護休業法改正のポイント|厚生労働省
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「柔軟な働き方を実現するための措置等」選択制措置の5つの要件
「柔軟な働き方を実現するための措置等」は、「選択制措置」と略して呼ばれることがあります。選択制措置は以下の5つの要件の中から2つを選択して講ずる必要があります。これは大企業のみならず、中小企業でも同様です。
① 始業時刻等の変更
② テレワーク等(10日以上/月)
③ 保育施設の設置運営等(ベビーシッターの手配および費用負担なども含む)
④ 就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇(養育両立支援休暇)の付与(10日以上/年)
⑤ 短時間勤務制度
※②と④は、原則時間単位で取得可とする必要があります
・事業主は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に関して、上記5つの選択して講ずべき措置の中から、2つ以上の措置を選択して講ずる必要があります。
・労働者は、事業主が講じた措置の中から1つを選択して利用することができます。
(各選択肢の詳細)
① 始業時刻等の変更:次のいずれかの措置(一日の所定労働時間を変更しない) ・フレックスタイム制 ・始業または終業の時刻を繰り上げまたは繰り下げる制度(時差出勤の制度)
② テレワーク等:一日の所定労働時間を変更せず、月に10日以上利用できるもの
③ 保育施設の設置運営等:保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与をするもの (ベビーシッターの手配および費用負担など)
④ 養育両立支援休暇の付与:一日の所定労働時間を変更せず、年に10日以上取得できるもの
⑤ 短時間勤務制度:一日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含むもの
すべての企業が5つの措置のうち2つを講じる必要があるため、企業の経営者や労務担当者の方は10月までに対応が必要となります。
自社ではどの選択肢を取り入れるべきか、対応に悩む方もいらっしゃると思います。次からは、自社で取り入れるべき選択肢の選び方、メリットデメリットを見ていきましょう。
選択制措置:5項目の概要とメリットデメリット
改正育児介護休業法で提示されている5項目の選択制措置には、それぞれのメリットデメリットがあります。それらの点を考慮して、自社の事業形態と照らし合わせ、どの措置を選ぶかを決定する必要があります。
1つずつ、概要とメリットデメリットをご紹介します。
概要: 従業員が通常の労働時間より短い時間で勤務できる制度。
メリット: 従業員は育児や介護に時間を割ける。
デメリット: 企業は業務量調整が必要となり、他の従業員の負担が増える可能性がある。
2、フレックスタイム制度(選択制措置①に該当)
概要: 勤務時間帯を柔軟に選べる制度。または、単日で始業時間のみ変更することができる始業時間の変更。
メリット: 従業員は通勤ラッシュを避けたり、子どもの送り迎えに対応しやすい。
デメリット: 企業の業務特性によっては、柔軟性を完全には活かせない場合がある。
3、テレワーク制度(選択制措置②に該当)
概要: 自宅など勤務先以外の場所で仕事を行うことを認める制度。
メリット: 従業員は通勤時間がかからないため、育児や介護と仕事の両立がしやすくなる。
デメリット: 職種や業務内容によっては適用が難しい。社内のICT環境の整備が必要。
4、休暇制度の拡充(選択制措置④に該当)
概要: 育児との両立のための休暇取得を促進する制度。具体的には、子どもの急病によるお迎えなどのため所定労働時間を変更せずに時間単位で取得できる休暇や、出産準備のための休暇、子どもの遠足や参観などを目的とする育児目的休暇も含まれる。
メリット: 長期的で柔軟なサポートにより従業員の離職を防ぐことができる。
デメリット: 従業員の不在が業務に影響を及ぼす可能性がある。
養育両立支援休暇、育児目的休暇、子の看護等休暇の関係性|厚生労働省 9ページ参照
5、ベビーシッターや介護サービスの補助制度(選択制措置③に該当)
概要: 従業員が訪問保育や訪問介護などの民間サービスを利用する際の費用補助。
メリット: 従業員の育児や介護時間の負担軽減につながる。
デメリット: 企業側は補助の財源確保が課題となる。
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選択制措置を選ぶ際に考えたいポイント
選択制措置の5項目はそれぞれ異なる特徴を持っていますが、企業の業種や事業形態、従業員のニーズに応じて適切な選択が必要になってきます。選択する際には、以下の点がポイントになります。
直接的な効果が期待できますが、シフト制や対面でのサービス提供が必要な事業形態の場合、特に業務調整が難しい場合があります。
✔︎テレワーク
従業員にとっては柔軟性が高くなる一方で、対面や出社が必須の事業形態では導入することが困難となります。
✔︎休暇制度の拡充
制度利用の意識が高まるきっかけになりますが、休暇中の代替人材の確保が必要になるなど、長期的な不在リスクに対応する必要性が出てきます。
✔︎ベビーシッターや介護サービスの補助
外部リソースを活用するため、企業にとっては運用負担が軽減されますが、補助金額のコストが発生します。
特に考える必要があるのは、対面や出社が必須な事業者の場合です。
事業運営やサービス提供が対面でなければいけないとなると、従業員の労働時間を確保するためには、③の保育施設の設置・運営等(保育施設の設置・運営やベビーシッターの手配・費用負担など)を選択するしかありません。
例えば、宿泊観光業、テーマパーク、医療施設、介護施設、教育機関、建設業、製造業など、現場で働く従業員を抱える経営者や労務担当者の方は、この点を重視する必要があります。
ベビーシッター補助を選択する事業者の利点
選択肢③「保育施設の設置・運営等」においては、保育施設の設置・運営のほかに、ベビーシッター補助を選択することが可能です。
(要件として、こども家庭庁の企業型ベビーシッター割引券の導入以外の独自補助が必要)
ベビーシッター補助には保育施設の設置・運営と比較して、対面や出社が必須の事業者にとって以下の利点があります。
企業規模、特に中小企業にとっては、保育施設設置は初期投資や固定費の負担が大きく、現実的ではありません。ベビーシッターはそれらの費用が不要で、出社を前提とする従業員の支援が可能です。
✔︎育児支援のコストを抑えられる
ベビーシッターは必要な時に必要な時間だけ利用するため、企業にとっては施設運営に必要な人材を定常的に配置する必要がなく、育児支援のコストを抑えることができます。
✔︎個々の従業員のニーズに合わせた支援ができる
早朝夜間や保育園閉園日などに、出勤や出張を要請する必要がある場合、従業員にベビーシッターを活用してもらうことで労働力の確保が可能になります。
ベビーシッター補助を導入すれば、親の就業中の習い事送迎や保育園お迎えからの自宅保育、病児の際の自宅保育など、個々の従業員の保育ニーズに合わせた柔軟な支援をすることができます。
これらのことから選択制措置の中で③のベビーシッター補助を選択することは、対面や出社が必須である事業者と従業員の双方にとって最も利点があります。

キッズラインの福利厚生プランが選ばれる理由
③のベビーシッター補助の選択肢として相性がよいのが、キッズラインの福利厚生プランです。このプランでは、企業が従業員の育児サポートとしてベビーシッター利用料の一部を補助する仕組みを提供しています。
・初期費用や月会費などのランニングコストがかからない
・従業員が利用した分だけ支払う後払い制のため、利用予測が立てづらい企業でも導入しやすい
・全国47都道府県で対応可能 ※家事代行サポーターも含む
・補助の上限金額や利用ルールなども企業に合わせて柔軟に設計ができる
特に、中小企業や初めて育児介護支援制度を導入する企業にとっては、初期費用をかけずに始められる点が大きな魅力です。
とはいえ、ベビーシッター補助を入れれば育児支援のすべてが解決するわけではないことも考慮しておく必要があります。例えば補助の利用頻度や補助額のバランス調整が必要であったり、特定の地域や時間帯でベビーシッターの利用が集中することもあります。
すでにキッズラインの福利厚生プランを導入している企業からは、従業員の育児支援が実現でき、労働力の確保につながっているとのお声をいただいています。いくつかの例をご紹介します。
【事例1】医療関係のクリニック
30名以下のクリニックでは、女性スタッフの人材確保のために、ベビーシッター補助を導入しています。採用時にも「ベビーシッター補助あり」と打ち出すことにより、集客効果を実感されています。
【事例2】宿泊観光業
従業員規模1000名を超えるホテル。休日のスタッフ不足が課題。ベビーシッター補助を導入したことで、現場スタッフの日祝出勤のサポートが可能になりました。
【事例3】飲食業
約500名の従業員を抱える飲食業の会社では、フロアスタッフや調理場などで活躍する多くの女性スタッフのキャリアを支援するためにベビーシッター補助を導入しています。
この他にも既にお問い合わせいただいている企業としては、工場を運営する化学メーカー、対面での授業が必須の学校法人、労働力不足を補う職種を抱える人材派遣業、休日のスタッフが不可欠な有名テーマパークなどがあります。
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キッズライン福利厚生プラン導入の流れ
キッズラインの福利厚生プランは、複雑な手続きは必要ありません。お急ぎの場合は、最短1営業日で導入することも可能です。
キッズラインの福利厚生プランを検討したい、説明を聞いてみたいという方は以下のページよりお問い合わせいただければ幸いです。
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ベビーシッター補助を導入して育児支援の充実を
育児介護休業法の改正により、すべての企業に選択制措置の実行が求められています。短時間勤務やテレワークといった制度は、対面や出社が必須の事業形態の場合、選択することが難しいのが実情です。その点、キッズラインの福利厚生プランは、簡単な導入手続きと柔軟性の高さから、中小企業や出社が必要な事業形態の会社にお勧めの選択肢です。2025年10月までに、各企業の事業形態に合わせた選択措置を講じて、従業員の育児介護の支援を図りましょう。