2026年度から始まる「子ども・子育て支援金」。ニュースやSNSで目にする機会が増えてきましたが、「結局、私たちにどう関係するの?」「負担が増えるの?それとも恩恵があるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
こども家庭庁によると、制度への誤解も広がっているようです。そこでこの記事では、公式情報をもとに、制度の基本的な仕組みから子育て世帯への具体的な影響まで、正確にわかりやすく解説します。
子ども・子育て支援金制度とは何か
少子化対策のための新しい財源確保の仕組み
子ども・子育て支援金制度は、2026年度(令和8年度)から2028年度(令和10年度)にかけて段階的に開始される、少子化対策のための特定財源です。
この
制度の本質は、「子育て支援の財源を集める仕組み」です。医療保険料に上乗せする形で、全世代・全経済主体から支援金を拠出してもらい、その財源で児童手当の拡充や保育サービスの充実など、具体的な子育て支援策を実現します。
なぜ今、この制度が必要なのか
少子化・人口減少は、日本が直面する最大の危機と言われています。特に、
結婚や出産を考える若年人口が2030年代に入ると急激に減少するため、それまでが少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスとされています。
こうした危機的な状況を受けて、政府は令和5年12月に「こども未来戦略」を閣議決定。総額3.6兆円規模の「こども・子育て支援加速化プラン」をとりまとめました。
この3.6兆円の財源のうち、2.6兆円は既定予算の活用と歳出改革による公費節減で確保し、残りの1兆円を子ども・子育て支援金制度で確保します。つまり、約7割は既存予算の見直しで賄い、残りの約3割を新たに支援金として集める設計です。
制度の基本的な流れ
支援金制度の仕組みを、3つのステップで整理すると以下のようになります。
【ステップ1】全世代・全経済主体から医療保険料とあわせて支援金を徴収
会社員は給与天引き、自営業者は納付書で納付
【ステップ2】集めた財源を国が集約(最終的に年間約1兆円)
特別会計で透明に管理
【ステップ3】児童手当の拡充、育休給付の充実など、具体的な支援に使用
使い道は法律で6つの事業に限定
集めた財源の使い道は法律で明確に定められており、透明性を確保しながら子育て支援に充てられる仕組みになっているのです。
社会全体で子育てを支えるという考え方
こども家庭庁のnote記事では、「なぜ、みんなで支払う必要があるのか?」という問いに対して、以下のように説明しています。
少子化対策や子育て支援策は、こどもたちが生まれ、育まれ、健やかに成長していくためのものです。そして、そのこどもたちは将来おとなになり、この社会を支えていきます。社会保障の担い手ともなります。
その恩恵は社会全体にいきわたります。こどもを持ち、子育てをしている方だけでなく、独身の方や、既に子育てを終えられた方も含めた全世代が恩恵を受けることになります。
出典:こども家庭庁「最近話題の『子ども・子育て支援金制度』について
このように、子育て支援は「子育て家庭だけの問題」ではなく、将来の社会保障制度や労働力の維持にもつながる社会全体の課題という位置づけです。
なぜ医療保険料とあわせて徴収するのか
「なぜ新しい税金ではなく、医療保険料とあわせて徴収するの?」と疑問に思う方も多いでしょう。医療保険制度を活用する理由は以下の3つです。
1:賦課対象者が広い:他の社会保険制度と比較して、ほぼ全国民が加入している
2:世代を超えた支え合いの仕組みがある:現行制度でも後期高齢者支援金など、世代間の助け合いが組み込まれている
3:医療保険制度の持続可能性を高める:少子化に歯止めをかけることが、将来の医療保険制度を守ることにもつながる
重要な点は、「医療保険料と支援金は完全に別のお金である」ということです。給与明細では、医療保険料と支援金は別の項目として記載されます。医療保険の「徴収の仕組み」を活用しているだけで、
医療保険料として払ったお金が支援金に回るわけではないのです。
子育て世帯への影響-負担と恩恵
「結局、私たちの家計にはどう影響するの?」という疑問に、以下で具体的にお答えします。
負担面:医療保険加入者は原則全員が対象
支援金は、ご高齢の方や事業主を含む全世代・全経済主体から、医療保険料とあわせて所得に応じて拠出します。つまり、
子育て世帯かどうかにかかわらず、医療保険加入者であれば原則として全員が対象になります。
1:具体的な負担額(2028年度・満額徴収時の想定)
こども家庭庁の試算によると、加入する医療保険制度によって負担額は以下のようになります。
・全医療保険加入者の平均:月額450円程度
・健康保険組合・協会けんぽなど(被用者保険):月額500円程度
・国民健康保険:月額400円程度
・後期高齢者医療制度:月額350円程度
※被用者保険の金額は事業主負担分を除いた本人拠出分
※所得に応じた負担となるため、個人差があります
年間にすると、平均で約5,400円程度(月額450円×12ヶ月)の負担となります。なお、会社員や公務員の場合は、事業主(会社)も同額を負担するため、本人負担は実質半額という形です。
2:軽減措置
支援金にも医療保険料と同様の軽減措置があり、負担能力に応じた配慮がなされています。
・低所得世帯:国民健康保険や後期高齢者医療制度では、医療保険料と同様に支援金も軽減されます。
・子育て世帯:国民健康保険加入者のうち、18歳年度末までの子どもの分の支援金は全額免除されます。
3:徴収方法
支援金は、加入している医療保険料と一緒に自動的に徴収されます。会社員は給与から天引き、自営業者は納付書または口座振替での納付となります。特別な申請や手続きは不要です。(詳しい徴収方法は、後述の「医療保険制度ごとの徴収方法」をご参照ください)
恩恵面:大幅に拡充される子育て支援
支援金を財源として、以下の6つの事業が実施・拡充されます。使い道は「子ども・子育て支援法」という法律で定められており、これら以外の目的で使用されることはありません。
1:児童手当の抜本的拡充(2024年10月から実施済み)
・所得制限を完全撤廃
・支給対象を高校生年代(18歳の年度末)まで延長
・第3子以降は月3万円に増額
2:妊婦のための支援給付(2025年4月から制度化)
・妊娠届出時に5万円
・妊娠後期以降に胎児の数×5万円
・単胎妊娠の場合、合計で10万円の経済支援(双子の場合は15万円
3:こども誰でも通園制度(乳児等のための支援給付)(2026年4月から給付化)
・働いていなくても、時間単位等で柔軟に保育所などを利用できる仕組み
・月一定時間までの枠内で通園が可能
4:出生後休業支援給付(2025年4月から)
・子の出生後の一定期間に男女で育休を取得した場合
・育児休業給付とあわせて最大28日間手取り10割相当となるよう給付
5:育児時短就業給付(2025年4月から)
・2歳未満の子を養育するために時短勤務をしている場合
・時短勤務中に支払われた賃金額の10%を支給
6:国民年金第1号被保険者の育児期間に係る保険料免除措置(2026年10月から)
・自営業やフリーランス等の国民年金第1号被保険者
・子が1歳になるまでの期間の国民年金保険料を免除
負担と恩恵のバランス
こども家庭庁の試算によると、支援金を財源とする6つの事業により、子育て世帯は一人の子どもにつき、18年間で約146万円の給付拡充を受けられます。つまり、
社会全体で月数百円ずつ負担することで、子育て世帯には大きな経済的支援が実現される仕組みです。
制度導入のスケジュールと財源

支援金制度はいつから、どのように始まるのでしょうか。徴収のスケジュールと財源の内訳について、詳しく見ていきましょう。
段階的な導入スケジュール
支援金の徴収は、2026年度から2028年度にかけて段階的に行われます。
・2026年度(令和8年度):約6,000億円
・2027年度(令和9年度):約8,000億円
・2028年度(令和10年度):約1兆円(満額)
一方、給付は徴収よりも先行して始まっています。児童手当の拡充は2024年10月から、妊婦のための支援給付や育休給付の充実は2025年4月から既に実施されています。
つなぎの財源:子ども・子育て支援特例公債
支援金制度が満額になる2028年度までの間、これらの事業の実施に必要な費用については、「子ども・子育て支援特例公債」(2024年度から2028年度までに必要に応じて発行する公債)を発行することで賄います。この公債は、2026年度以降に徴収する支援金で償還していきます。
医療保険制度ごとの徴収方法
支援金は、加入している医療保険の種類によって徴収方法が異なります。
◼︎会社員・公務員など(被用者保険)
・給与から天引き
・事業主も負担を分担
◼︎自営業・フリーランスなど(国民健康保険)
・医療保険料と一緒に納付書または口座振替で納付
◼︎75歳以上(後期高齢者医療制度)
・医療保険料と一緒に納付
・負担額は比較的低め(月額350円程度)
いずれのケースでも医療保険料と一緒に自動的に徴収されるため、支援金のための特別な申請や手続きは必要ありません。
透明性の確保:特別会計での管理
「集めた支援金が本当にちゃんと使われるの?」という不安に応えるため、2025年度に「子ども・子育て支援特別会計」という専用の会計が創設されました。
この特別会計では、支援金がいくら集まって、何にいくら使われたかが明確に記録されます。一般会計とは別に管理することで、お金の流れが一目でわかる仕組みです。
毎年の収入と支出が公開されるため、支援金が法律で定められた6つの事業にきちんと使われているかを、私たちが確認できるようになります。
歳出改革との組み合わせ
支援金制度の導入にあたって、政府は「実質的な負担増にならない」という方針を掲げています。
具体的には、医療・介護分野での歳出改革(無駄の削減や効率化)と賃上げによって社会保険料負担が軽減される効果を生み出し、その範囲内で支援金を設定するとしています。これにより、社会保障負担率(国民所得に占める社会保険料負担の割合)を上昇させないことを目指しています。
ただし、実際にどのような改革が行われ、負担がどう変化するかは、今後の予算編成や政策の実施状況を見守る必要があります。
よくある疑問と誤解

制度がスタートするにあたり、さまざまな疑問や誤解も広がっています。こども家庭庁の公式Q&Aをもとに、よくある質問にお答えします。
Q1:「子育て世帯は払わなくていいのでは?」
A:いいえ、子育て世帯も含めて全員が対象です。支援金は「全世代・全経済主体」から拠出する仕組みです。子育て世帯も負担しますが、その一方で児童手当の拡充などの給付として大きな恩恵を受けられます。
独身の方や子育てを終えた方も負担しますが、こども家庭庁は「少子化は日本全体の課題であり、少子化対策によって経済・社会システムや医療保険制度を維持することは、全ての世代にとって重要な意義がある」としています。
Q2:「児童手当と支援金制度は別物なの?」
A:はい、別の制度です。
・支援金制度…財源を集める仕組み
・児童手当など…その財源を使って給付する制度
であり、支援金制度は、いわば「貯金箱」のようなものです。この貯金箱に集めたお金を使って、児童手当の拡充や育休給付の充実など、具体的な支援策を実施します。
Q3:「負担額がどんどん増えていくのでは?」
A:使い道は法律で限定されており、勝手に増やせない仕組みになっています。
支援金の使い道は「子ども・子育て支援法」という法律で明確に定められており、6つの事業(児童手当、妊婦支援、こども誰でも通園制度、出生後休業支援給付、育児時短就業給付、国民年金保険料免除)以外には使うことができません。使い道を変更するには国会で法律を改正する必要があります。
また、どの事業にいくら使われるかは、子ども・子育て支援特別会計で明らかにし、施策の効果検証もしっかりと行っていきます。
Q4:「自治体によって違いがあるの?」
A:支援金の徴収は全国一律ですが、自治体独自の支援策は地域差があります。
支援金そのものは全国統一の制度ですが、自治体が独自に行っている子育て支援策(医療費助成、保育料助成など)は地域によって異なります。お住まいの自治体のウェブサイトや窓口で、利用できる支援策を確認しておくと良いでしょう。
Q5:「最新情報はどこで確認できる?」
A:こども家庭庁の公式サイトが最も正確です。
制度の詳細や最新情報は、以下の公式サイトで確認できます。
◼︎こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」
◼︎こども家庭庁note記事「最近話題の『子ども・子育て支援金制度』について」
SNSやニュースサイトには誤った情報も混在しています。こども家庭庁も「制度が誤解されているケースもある」と指摘していますので、必ず公式情報を確認することをおすすめします。
子育て支援が拡充される今こそ、家庭のサポート体制を見直そう

公的支援が充実する一方で、日々の育児には公的制度だけではカバーしきれない場面もあります。ここでは、公的支援と民間サービスを組み合わせた新しい子育てのあり方について考えてみましょう。
公的支援だけでは解決できない、日々の育児負担
支援金制度により、児童手当の拡充や育休給付の充実など、社会全体で子育てを支える環境が整いつつあります。経済的な支援が手厚くなることは、子育て世帯にとって大きな前進です。
しかし、日々の育児の大変さは、お金だけでは解決できないこともたくさんあります。
「子どもが急に熱を出したけど、今日は外せない会議がある」
「在宅勤務中、集中したい時間があるのに子どもが構ってほしがる」
「たまには夫婦でゆっくり外食したいけど、預け先がない」
こうした「ちょっとした困りごと」に、公的な保育サービスだけでは対応しきれないのが現実です。
ベビーシッターを探してみる
公的支援×民間サービスで、無理のない子育てを
ここで注目したいのが、公的支援と民間サービス(ベビーシッター)を組み合わせるというアイデアです。
児童手当や育休給付などの公的支援で経済的な基盤を整えつつ、日々の細かなニーズには柔軟性の高いベビーシッターサービスで対応する。この組み合わせが、これからの子育ての新しいスタンダードになっていくかもしれません。
ベビーシッターを依頼してみる
キッズラインなら、必要なときに必要なだけサポート
キッズラインは、スマホで簡単にベビーシッターに依頼できるサービスです。
<キッズラインの5つの特徴>
【特徴1】保育資格保有者または特定研修修了者のみが登録
【特徴2】お子様の年齢やニーズに合わせてベビーシッターを選べる
【特徴3】依頼から決済まで、スマホで完結できて手軽
【特徴4】入会金・年会費・登録料が無料で、1時間1,000円台から利用可能
【特徴5】様々な特技やスキルを持ったシッターが在籍
「毎日ではないけど、週に1〜2回だけサポートがほしい」
「保育園のお迎えだけお願いしたい」
「在宅勤務中、集中したい時間だけ見守ってほしい」
こうした柔軟なニーズに応えられるのが、ベビーシッターの大きな強みです。
ベビーシッターを依頼してみる
まずはお試し利用がおすすめ
なおキッズラインでベビーシッターを依頼するには、事前に顔合わせや面談が必要です。
余裕のあるうちに一度お試しで依頼してみて、信頼できるサポーターとつながっておくと安心です。
今すぐベビーシッターを依頼してみる
まとめ:制度を味方につけて、自分らしい子育てを
2026年度から始まる子ども・子育て支援金制度。医療保険加入者一人当たり月数百円の負担はありますが、子育て世帯には子ども一人当たり累計146万円規模の支援があります。こうした公的支援が充実する今こそ、ご家庭に合ったサポートの形を見つけるチャンスです。制度をしっかり理解して、賢く活用してくださいね。
今すぐベビーシッターを依頼してみる
【参照記事】
◼︎こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」
◼︎こども家庭庁note「最近話題の『子ども・子育て支援金制度』について」
◼︎こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度のQ&A」
※本記事の情報は2025年11月時点のものです。最新情報は公式サイトをご確認ください。
▼あわせて読みたい
看護休暇は無給!? 2025年4月の法改正で対象年齢や取得条件はどう変わる?
【2025年4月・10月改正】育児・介護休業法をやさしく解説!パパ・ママの働き方と支援制度を徹底ガイド
東京都ベビーシッター利用支援事業〈一時預かり〉みんなはどう使ってる?お勧めの利用法
▼記事一覧に戻る
KIDSLINE編集記事一覧
▼TOPページに戻る
KIDSLINE TOPページ