生まれた日から赤ちゃんは心身ともに日々目覚ましい発達を続けていきます。言葉の発達もその一つです。「言葉」を理解できない新生児の頃から赤ちゃんは大人の会話や呼びかけの言葉を耳にし続けることで、次第に「言葉」の意味を理解していきます。そして、単語から始まり、一語文や二語文などを話すようになっていきます。言葉が発達すると意思疎通がしやすくなり育児もグンと楽しくなりますよね。そこで今回は、赤ちゃんの言葉の発達の目安について医師が詳しく解説します。

赤ちゃんは言葉をどのように習得していくの?

言葉は私たちの生活の中で欠かすことができないコミュニケーション手段の一つです。赤ちゃんはある日突然、「パパ」や「ママ」などの単語を発するようになるわけではありません。多くの赤ちゃんは一歳頃に特定の単語を口にするようになります。しかし、それまでの間にも声の抑揚で感情を伝えようとするなど、言葉を発するための準備を行っていると考えられています。では、赤ちゃんがどのように言葉を習得していくのか詳しくみていきましょう。


●クーイング(生後1~3ヶ月頃)
新生児の頃は「お腹が空いた」「おむつが気持ち悪い」「寂しい」などの不快な感情を泣くことで表現する赤ちゃんですが、生後1~2ヶ月頃になると「あー」や「うー」といった発声が見られるようになります。このような発声のことをクーイングと呼びます。クーイングは赤ちゃんの声帯が順調に発達している証拠。クーイングが出る頃になると呼びかけに対して笑顔を見せることも多くなり、かわいい声でご機嫌にクーイングする姿に育児の疲れも吹き飛ぶ!というご両親も多いでしょう。


●喃語(生後6ヶ月頃)
クーイングを続けることで声帯がさらに発達していくと「まんま」や「ぱー」などの喃語(なんご)が出てくるようになります。クーイングよりもはっきりとした発音になり、自分が発する言葉を楽しむように、ご機嫌に「おしゃべり」をする子どもも多いことでしょう。そして、喃語(なんご)を繰り返していくことでさまざまな発声パターンが出来上がっていくと考えられています。


●単語が出るようになる(生後10ヶ月~)
赤ちゃんはクーイングや喃語(なんご)を繰り返しながら発生パターンを覚えていき、脳も発達していきます。物には名前があることを少しずつ理解し始め、発達が早い子どもでは10ヶ月頃になると、身の回りの簡単な単語を口にするように。単語を発しなくても、指差しをして自分の気持ちを伝えようとします。


厚生労働省による「乳幼児身体発達調査(平成22年)」によれば、1歳頃までに約6割の子どもが単語を口にするようになると報告されています(※)。しかし、単語が出始める時期には個人差がありますので、周りの子どもより遅れているからといって過度に心配せずにかかりつけの医師に相談して下さい。


※) 厚生労働省 平成 22 年乳幼児身体発育調査報告書(概要)


●文を話すようになる(1歳6ヶ月~2歳)
一つの単語を「一語文」と呼ぶのに対し、「お花 きれい」など2つの単語から成る意味のある文章を「二語文」と呼びます。赤ちゃんの言葉の発達は目覚ましく、1歳前後で一語文を口にするようになると、早い子どもでは1歳6ヶ月頃から二語文を話すようになります。


この頃になると口にする単語も範囲も広がり、簡単なコミュニケーションであれば問題なくとれるように。
一方で、イヤイヤ期が始まる子どももいるのでコミュニケーションに困難さを感じるママパパも多いはず。うまく気持ちが伝わらないと機嫌が悪くなる子どももいるので、根気強く子どもの声に耳を傾けてあげましょう。

クーイングや喃語(なんご)にどう反応すればいい?



言葉を発する練習段階でもあるクーイングや喃語(なんご)を口にするようになったら、コミュニケーションをとるようにしましょう。具体的にどのような方法が良いのかご紹介します。


●クーイング返し
クーイングは意味のない発声に聞こえるかも知れませんが、赤ちゃんにとっては声帯を発達させていくという重要な意味を持ちます。また、周囲にご機嫌を伝える手段でもあります。
活発にクーイングを発している時は、同じような抑揚で反応してあげましょう。赤ちゃんは自分の「言葉」に反応してくれることを覚え、コミュニケーションの意味を学んでいきます。


●喃語(なんご)や単語で言葉を広げる
喃語(なんご)や単語が出てくるようになったら「まんま、食べたいね」や「ブーブ、早いね」など言葉を広げて話しかけてあげましょう。コミュニケーションが増えるだけでなく、二語文への発達にもつながります。周囲からの話しかけの頻度によって言葉の発達スピードや将来的な学力、語彙力が変わるとの研究データも数多くあります。赤ちゃんが何かを発している時はできるだけ言葉で応えてあげましょう。

育児相談はベビーシッター



赤ちゃんと二人きりの生活になると、我が子のことばかりに目が行ってしまい「成長は順調だろうか?」などと心配になる方もいるでしょう。そんな時は一人で悩まず子育て経験が豊富なベビーシッターに相談してみてはいかがでしょうか?実際に自宅で保育をしてもらうことで、赤ちゃんが家族以外の人に言葉をかけてもらえる機会が増えるだけでなく、遊び方や寝かしつけなど、スムーズな育児方法をアドバイスしてもらうこともできます。赤ちゃんと二人きりの時間が多いママにとって、大人と話す時間はリフレッシュにつながることでしょう。

まとめ

赤ちゃんは生まれた時から言葉を習得するためにさまざまな発達を遂げていきます。生後1ヶ月以降には声帯が発達してクーイングを発するようになり、6ヶ月頃からはさらにはっきりとした音となる喃語(なんご)を発するように。そして、1歳前後で単語を口にするようになります。赤ちゃんは周囲の言葉を聞きながら言葉を覚えていき、コミュニケーションを取ることで信頼関係や愛情を育んでいきます。意味のない「言葉」に聞こえてもクーイングや喃語(なんご)にしっかり反応して言葉で返してあげましょう!




■監修ライター:成田亜希子
2011年医師免許取得。一般内科医として幅広い疾患の患者様の診療を行う。行政機関に勤務経験もあり母子保健分野も担当。育児に悩むママたちに医師という立場から様々なアドバイスを助言。プライベートでは二児の母。自身の悩みからも育児の情報発信している。


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