赤ちゃんが生まれて、母乳育児をするようになると、思った以上に疲労感や空腹感を感じる方も多いことでしょう。産後の回復も含め、母乳育児をするママは、ママだけでなく赤ちゃんにとってもママの栄養が不可欠です。そこで今回は「母乳」にスポットを当て、母乳育児をする方がどのように食事を摂れば良いか、管理栄養士が解説します!

母乳の栄養はミルクと違う?

ミルクは一般的に育児用ミルクと言い、正式には『乳児用調整乳』と呼ばれています。ミルクの原料は牛乳です。ミルクは母乳の成分と近いものになるように栄養成分を置き換えたり、強化したり、また成分が過剰な場合は減らすなどをして作られています。

赤ちゃんにとって影響のある母乳の栄養ってどんなもの?



ミルクは牛乳が主原料で栄養成分を調整して作られることが分かりましたが、ミルクと母乳の栄養の違いはなんでしょうか?母乳に多く含まれる成分や、母乳特有の含有成分をあげてみました。


ミルクと比べて母乳に多く含まれるもの


ミルクにも含まれますが、母乳に特に多く含まれているものは炭水化物・ビタミンA・ナイアシン・ビタミンCなどです。炭水化物とはエネルギーのもととなる栄養素で、母乳もミルクもともに乳糖が大部分を占めます。


●母乳特有の成分:免疫グロブリン
血液中に最も多く含まれているものでIgGと呼ばれるものです。ウイルスや細菌などから体を守る働きがあります。この成分は、母乳の中でも、特に産後すぐに分泌される初乳に多く含まれているため、赤ちゃんを病原菌から守ってくれると言われています。


●母乳特有の成分:ラクトフェリン 
たんぱく質の一種で、ラクトフェリンはたんぱく質と鉄が合わさったものです。最近ではラクトフェリン入りのヨーグルトなども市販されていますが、免疫力に関わる重要な成分の1つ。腸内環境を良くすることも期待できる成分です。


●母乳特有の成分:オリゴ糖
炭水化物のうち、乳糖以外の糖としてオリゴ糖が母乳に含まれます。スーパー等でも並んでいるオリゴ糖。ビフィズス菌などの善玉菌と呼ばれる腸内細菌の栄養源となり、善玉菌を増やす働きがあると言われています。特定保健用食品としても認められている成分です。

『母乳』育児のメリットとは?

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母乳育児のメリットをママと赤ちゃん、それぞれでご紹介します。


●赤ちゃんへのメリット 
母乳にはママからもらった免疫物質が含まれるため、感染症にかかるリスクが下がると言われています。またママの肌にしっかりと触れ合って母乳を飲むことで自然と授乳をするときにスキンシップがとれるので、赤ちゃんはより温もりを感じてより安心します。


●ママへのメリット 
母乳育児はママにもいくつかメリットがあります。出産時には出血をしますが、直後から授乳をすることで出血量が減少すると言われています。また、オキシトシンというホルモンが出やすくなり、精神的に安定ややすくなることもママにとってメリットと言えますよね。さらには閉経前の乳がんや子宮がん、卵巣がんなどのリスクを下げるとも報告されています。

この他にも、外出する際に、白湯やボトルなど持ち歩かなくても、授乳ケープを使用したり、授乳室でそのまま母乳を与えることができるので荷物が少なくて済むという物理的なメリットもあります。


※)慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト

良質な母乳を作るために必要な栄養とは? 



栄養の基本には、糖質(炭水化物)、脂質、たんぱく質や、ビタミン類、ミネラル類が必要になります。特に産後は体の回復を優先しつつ赤ちゃんに母乳を与えるので、次のような栄養素を多く摂る必要があります。中でも多く必要なビタミン類は、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、ナイアシン、葉酸、Cです。ミネラル類としては鉄・亜鉛・銅・ヨウ素・セレン・モリブデンです。


※)授乳婦の食事摂取基準

母乳に必要な栄養価の高い食べ物とレシピ



常に必要な炭水化物・たんぱく質はもちろんのこと、授乳中に必要なビタミンA・ビタミンB類・葉酸・ビタミンC・鉄(亜鉛)が摂れる簡単レシピをご紹介します。


【レシピ】ツナと緑黄色野菜のクリームスープ
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▶︎材料
•ツナ 70g
•ミックスベジタブル  50g
(にんじん、グリーンピース、コーン)
•冷凍ほうれん草 50g
•しめじ 50g
•豆乳:植物性たんぱく質 100cc
•牛乳:動物性たんぱく質 100cc
•バター 5g
•水 200cc
•コンソメ 6g(メーカーの規定に合わせて入れてください)


▶︎作り方
① 水200ccを鍋に入れ少し温めたところへミックスベジタブル、冷凍ほうれん草、しめじを入れて5分ほど煮ます。
② ツナ缶の油を切り、①に入れてさらに3分ほど煮ます。
③ コンソメを②に入れて溶かします。
④ 最後に豆乳、牛乳、バターを入れて沸騰しないように弱火で少々煮て完成です。


【アレンジ】
ツナを牡蠣に変更すると亜鉛が摂れます。にんじんのビタミンAやしめじのビタミンDの吸収率を上げるため、また香り付けのためにバターを使用しましたが、気になる方は使用しなくても大丈夫です。


●調理のポイント
今回は基本的に冷凍野菜を使う時短で簡単なレシピです。しめじもカットしめじを使えば包丁を使う場面はありません。温め直して翌日に食べてもおいしく、この1品で野菜やきのこ類に含まれるビタミン類や、たんぱく質が摂れるため手軽に栄養を摂りたい授乳中のママにぴったりなスープです。


●栄養学上のポイント
煮汁も丸ごと使うので通常ならば水に溶け出して捨ててしまう水溶性ビタミン類を余すことなく摂れるレシピです。またバターを入れることで、脂溶性ビタミン類の吸収率を上げることができます。


•ツナ:ビタミンB2・動物性たんぱく質が豊富です。
牡蠣に変更すると亜鉛が摂れるためアレンジしていただくのもオススメです。ただし、牡蠣は食中毒予防のためにしっかり加熱をしたいので、別の鍋であらかじめ茹でておきましょう。


•ミックスベジタブル:にんじん:ビタミンAが豊富です。脂溶性ビタミンですので、バターと一緒に食べることでビタミンAの吸収率が上がり効率よく栄養を摂ることができます。
グリーンピース:葉酸•食物繊維が豊富です。


•ほうれん草:ビタミンC、葉酸、鉄が豊富です。ツナに含まれるたんぱく質と一緒に食べるとほうれん草に含まれる鉄の吸収率が上がります。


•しめじ:なかなか野菜からは摂りづらいビタミンDが含まれており、また食物繊維もたっぷりです。


•豆乳:植物性たんぱく質が豊富です。牛乳と一緒に混ぜることで青臭さを消してくれます。


•牛乳:動物性たんぱく質、カルシウムが豊富です。牛乳だけだと脂質が気になる方は豆乳と半々にするなどするとヘルシーになります。

まとめ

いかがでしたか?母乳育児の場合は、産後ママの体の回復と同時に赤ちゃんにもたくさんの栄養がママから運ばれます。そのため、ママは偏った食生活ではなく、母乳育児に必要な栄養素を摂ることで、ママも赤ちゃんも元気に過ごすことができます。今回は時短で簡単にできるレシピを紹介しましたが、日々の育児や家事で手が回らない時は、管理栄養士の資格をもつ家事サポーターに頼って作り置きをしてもらったり、栄養面から考えられるレシピのアドバイスをしてもらうのもオススメです。




■管理栄養士・高岡 由貴
2011年管理栄養士免許取得。大学卒業後、保育園•病院•食品メーカーに勤務し、献立作成•栄養管理•食育講師などを担当。現在はフリーランスとしてコラム執筆•食事相談•レシピ開発などをしている。プライベートでは一児の母。




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