ウイルスが活発になる低温かつ乾燥する時期の冬は、一年の中で最も感染症が増える季節です。冬の感染症は大人でも重症化するケースがあり、免疫力が未熟な赤ちゃんにとっては脅威でもあります。そこで今回は、冬に注意したい赤ちゃんの感染症について医師が詳しく解説します。ご家庭でできる感染対策もご紹介しますのでぜひ参考にして下さい。

冬の赤ちゃんはどんな感染症にかかりやすい?

まずは、冬の赤ちゃんに注意したい感染症について詳しく見てみましょう。


●インフルエンザ
大人でもかかるとつらい思いをするインフルエンザは毎年冬に大流行します。もちろん赤ちゃんが感染することもありますので注意が必要です。インフルエンザは、1~3日ほどの潜伏期間を経て、38度以上の発熱・倦怠感・関節痛・頭痛・のどの痛み・鼻水・咳などの「風邪症状」を引き起こしまます。症状を訴えることができない赤ちゃんは、機嫌が悪くなったり、水分摂取や授乳を嫌がったりすることもあります。また、夜泣きがひどくなる赤ちゃんもいるようです。


大抵は一週間程度で自然に回復していきます。しかし、赤ちゃんは重症化して中耳炎や肺炎などを合併することもあるため、感染した場合は、特に注意してお世話をしてあげなくてはなりません。また、乳幼児は1~3割が死に至るとされるインフルエンザ脳症を発症するケースも報告されています。


●ロタウイルス
冬に流行する赤ちゃんの「お腹の風邪」と言えばロタウイルスです。ロタウイルスは、2日ほどの潜伏期間を経て発熱、下痢、嘔吐、腹痛などの症状を引き起こします。発熱の程度は赤ちゃんによって違いますが、3割の子どもは39度以上の高熱を出し、下痢と嘔吐を繰り返すため、脱水になりやすくなります。


ただし、初乳でお母さんからもらった免疫がある新生児が重症化することは少ないとされています。しかし、4ヶ月を過ぎてからは、感染した場合は重症化しやすく、高度な脱水のために入院治療が必要になることも少なくありません。

冬は感染症対策を徹底しよう!

冬は赤ちゃんにとって重症化しやすい感染症が流行します。赤ちゃんを守るためにご家庭でもしっかりと感染症対策をしていきましょう。


●手洗い・消毒
感染症対策の基本は手洗いと手指消毒と言っても過言ではありません。感染症が流行する季節は、様々な場所にウイルスが付着している可能性があります。知らず知らずの内に手についたウイルスが自分や赤ちゃんの体の中に入ってしまうのです。ウイルスは目に見えないため、触れるのを完全に防ぐことはできません。体の中に入り込んでしまう前に、ご家族みんなで小まめな手洗いと消毒をすることで退治しましょう。


●加湿で体のコンディションを整えよう
私たちの鼻やのどの粘膜には線毛と呼ばれる細かい毛が密生しています。この線毛は、鼻や口から入ってきたウイルスなどの異物をキャッチして、外に追い出す働きがあります。つまり、私たちの体のゲートキーパーなのです。


線毛は粘液に覆われており、乾燥すると動きが鈍くなることが分かっています。空気が乾燥する冬は線毛も乾燥しやすくなりがちです。ご家庭でも室内の湿度は60%をキープして鼻とのどのコンディションを整えてあげましょう。


【医師監修】冬の感染症!しっかり対策して親子で乗り切ろう!

冬の急な発熱!自宅の解熱剤を与えても大丈夫?
元気そうに見える赤ちゃんの急な発熱に慌てた経験があるママパパも多いはず。特に冬は軽い風邪をひいて頻繁に熱を出してしまう赤ちゃんも多いでしょう。そんな時、自宅にある解熱剤をご両親の判断で与えていませんか?実は、冬の赤ちゃんの発熱に自己判断で解熱剤を与えるのは要注意です!というのも、解熱剤の成分の一種であるアスピリンをインフルエンザにかかっているときに内服すると、「ライ症候群」という脳症を引き起こすことが指摘されているからです。アスピリンは小児用PL顆粒などにも含まれます。自宅にある解熱剤を安易に自己判断で使用するのは控えましょう。


病児・病後児の保育も依頼可能

感染症に関わらず、子どもの急な発熱などで仕事を休まなくてはならない。そんな時に限って大事な会議やキャンセルできない用事がある場合に、病児や病後児の預け先としてベビーシッターという選択肢があります。


キッズラインでは小児病棟で働いた経験がある看護士の方など、看護師資格を保有しているサポーターも在籍しております。病児または病後児、感染症の保育を対応しているかどうかはサポータープロフィールからご覧になれます。また急な預け先として必要になった場合に、スムーズに依頼できるよう、依頼したいサポーターを数名候補にあげておく、事前面談を済ませておくことをオススメします。

まとめ

冬は、インフルエンザやロタウイルスなど赤ちゃんが重症化しやすい感染症が流行します。怖い合併症や入院しなければならないほどの重度な脱水を引き起こすことも。大切な赤ちゃんを守るためにも、ご家庭での感染対策を見直してみましょう。また、感染症が疑われる症状がある時はかかりつけの小児科へ相談して、早めに対処することも大切です。




■監修ライター:成田亜希子
2011年医師免許取得。一般内科医として幅広い疾患の患者様の診療を行う。行政機関に勤務経験もあり母子保健分野も担当。育児に悩むママたちに医師という立場から様々なアドバイスを助言。プライベートでは二児の母。自身の悩みからも育児の情報発信している。