免疫力が未熟な赤ちゃんは、大人よりも感染症にかかるリスクが高い傾向にあります。さらに重症化しやすいため、万が一感染症にかかったら適切な対処が必要です。自宅でも正しい看病をして感染症の重症化を防ぎましょう。そこで今回は、赤ちゃんが感染症にかかったときに注意すべき、自宅でできる看病のポイントを医師が詳しく解説します。

感染症にかかった赤ちゃんにはどんな危険がある?

赤ちゃんは大人より感染症にかかるリスクが高い上、重症化するケースも珍しくありません。赤ちゃんが感染症にかかるとどのような危険があるのか詳しくみていきましょう。

●脱水
感染症には色々な種類がありますが、共通して注意したいのが「脱水」です。赤ちゃんは水分保持量が多く、体重に対して必要な水分量が大人より多いのです。感染症による発熱や哺乳量の減少は水分不足につながります。特に嘔吐や下痢を繰り返すロタウイルスやノロウイルスなどの感染症には注意が必要です。体からどんどん水分が奪われていくため、気付けばあっという間に脱水状態になってしまうことも少なくありません。

●肺炎や髄膜炎
赤ちゃんは免疫力が弱いため、体内に入り込んだウイルスや細菌などの病原体を攻撃する力がまだ未熟です。熱があってもさっきまでケロッとしていたのに、気づけばぐったりしているということも珍しくありません。鼻やのどの感染症が肺炎や髄膜炎などに進行してしまうこともあるので、容態の変化には常に注意を払う必要があります。

●中耳炎
赤ちゃんの耳の構造は未熟なため、鼻やのどの感染症にかかると病原体が耳の中へ感染し、中耳炎を発症することがあります。中耳炎は正しい治療をしてしっかり治さないと聴力の低下などを引き起こし、言葉の発達の遅れに繋がることも少なくありません。

感染症にかかった赤ちゃんのケアで注意することとは?

感染症にかかった赤ちゃんを自宅で看病する時は、どのようなことに注意すべきか詳しくみていきましょう。

こまめな水分補給を忘れずに!
脱水を防ぐためにもこまめな水分補給を徹底しましょう。のどの痛みや口の中の水ぶくれの痛みで水分がしっかり飲めないときは、スプーンやスポイトを使って少しずつ口の中に流し込んであげるのがオススメです。また、下痢や嘔吐を繰り返すときは身体の中の電解質バランスが乱れがちです。電解質が含まれている経口補水液やスポーツドリンクを与えましょう。

適度な温度と湿度をキープ!
赤ちゃんが過ごす部屋は20~23℃の温度を保ち、湿度も60%程度になるよう調節しましょう。汗のかきすぎは脱水の原因になりますし、身体が冷えてしまうと病原体と戦う力も弱くなります。パジャマを着て寝具をかけた状態で快適に過ごせる室温がベストです。

また、空気が乾燥するとのどや鼻の粘膜も乾燥し、新たな病原体が身体の中に入りやすくなってしまいます。加湿器などを利用して赤ちゃんに潤いを与えてあげましょう。

機嫌や様子をチェック!
赤ちゃんの感染症は重症化しやすいため、症状がある時は注意深く様子を観察することが必要です。熱が高くても、機嫌がよく遊んでいれば問題ないことがほとんどです。逆に、呼びかけに反応しない・目が合わない・ぐったりしているといった様子は重症化のサインかも知れません。できるだけ早めに病院へ連れていきましょう。また、頑固に続く咳や耳垂れ、耳を気にして不機嫌になるといった症状も肺炎や中耳炎を併発している危険があるため、治療が必要になります。

感染症の時は入浴してもいいの?
赤ちゃんが感染症にかかっている時も、機嫌がよく水分もしっかり摂れているようであれば入浴させても問題ありません。ただし、温めすぎには要注意。汗をかいて脱水になってしまう可能性があります。程よい温度のお湯に入れて身体の汚れを洗う程度に止めましょう。

また、お風呂のお湯を介して家族に感染してしまう危険もありますので、家族の中でも一番最後に入浴することを忘れてはなりません。特にロタウイルスやノロウイルスなど下痢になる感染症の場合は、入浴後の浴槽は丁寧に洗いましょう。もちろん、親御様の感染対策も忘れずに!


産後頼れる「産後ドゥーラ」


産前産後のママが身体を休め、安心して赤ちゃんのお世話に専念できる環境をつくるお手伝いをしてくれる産後ドゥーラ。主に産褥期(出産後6週から8週)や妊娠中の家事や子育てを支援してくれます。また上の子どもがいる場合はベビーシッターとして子どものお世話を相談することができます。


●どんなことをお願いできるの?
妊娠中のつわりが辛い時期や、お腹が大きくなり身体が辛い時から、食事作りや掃除といった家事サポートをお願いすることができます。また安心して出産、育児に臨めるよう、ママと一緒に産後の生活について相談することもできます。


さらに、産後は赤ちゃんの沐浴、授乳のサポート、オムツ替え、上の子どものお世話などを依頼することができます。産後ドゥーラに赤ちゃんのお世話をお願いして睡眠を取ったり、母乳に良い食事を作り置きしてもらうのも良いですね。

まとめ

赤ちゃんの感染症を重症化させないためには、自宅でできる正しいケアが必要です。感染症にかかってしまった時は、こまめな水分補給を行い、赤ちゃんが過ごす最適な環境を整えてあげましょう。また、注意深く様子を観察し、異変があるときはすぐにかかりつけ医などに相談することも大切です。赤ちゃんを感染症の重症化から守るためにも、今回ご紹介した注意点をぜひ参考にしてみてくださいね!




■監修ライター:成田亜希子
2011年医師免許取得。一般内科医として幅広い疾患の患者様の診療を行う。行政機関に勤務経験もあり母子保健分野も担当。育児に悩むママたちに医師という立場から様々なアドバイスを助言。プライベートでは二児の母。自身の悩みからも育児の情報発信している。