親が専業主婦・主夫だと、保育園を利用することができないと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は専業主婦・主夫でも保育園などへ子どもを預けられる方法について解説します。

保育園とは?幼稚園との違いは?


保育園
保育園とは、親が働いていたり病気であったりするなどの理由で家庭において十分に保育できない場合に、家庭に代わって子ども(0~5歳の乳児および幼児)を保育するために、こども家庭庁の管轄のもとで運営している「児童福祉施設」を指します。
一言で保育園と言っても「認可保育園」「認可外保育園」といった分類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。

幼稚園も子どもを保育する施設ではありますが、幼稚園は文部科学省の管轄であり、学校教育法に基づいて運営されています。対象となる児童は、小学校に入る前の3〜5歳児で、親の申し込みがあれば就労の有無に関わらず誰でも利用が可能です。一日11時間近く開園していて睡眠やおやつの時間などが確保されている保育園とは異なり、幼稚園は一日4時間の活動を基本としています。

なお、こども家庭庁の管轄で、保育園と幼稚園の機能を併せ持つ「認定こども園」もあります。
認定こども園には、
・幼保連携型(幼稚園と保育所の機能の両方を併せ持つ単一の施設)
・幼稚園型(認可幼稚園が保育所的な機能も備える)
・保育所型(認可保育所が幼稚園的な機能も備える)
・地方裁量型(幼稚園・保育所のいずれの許可もない地域の教育保育施設が必要な機能を果たす)

があり、保育園的な特徴を持った園と幼稚園的な特徴を持った園が存在します。

「認可保育園」とは?


「認可保育園」は各自治体から認可された保育施設で、保育の必要性の認定を受けた家庭が利用できます。保育料は各家庭の所得に応じて決定されるため、金額は家庭ごとにさまざまです。国が定めた基準を満たしているという面で安心感があり、比較的保育料が安い点は大きな魅力と言えるでしょう。
一方、子育て世帯の預け先として人気が高いこともあって定員数が埋まりやすいことや、保育要件を証明する資料の提出など手続きに時間を要するなど、デメリットも存在します。

「認可外保育園」とは?


「認可保育園」に対して、認可を受けずに保育を行っている施設は「認可外保育園」と呼ばれています。
認可を受けていないと聞くと、「先生が少ないのではないか」「安全性に問題があるのではないか」など心配になるかもしれませんが、一概にはそうとは言えません。中には、独自方針のもとでオリジナルの教育プログラムを取り入れている園や、保護者の事情に合わせて夜間まで開所している園などもあります。
子どもの特徴に合わせて選ぶことができたり、空きがあればすぐに預かってもらえるのが利点です。その反面、「認可外保育園」は自治体からの補助金や給付費などがなく保育料で運営しているため、保育料が高額になる場合があります。

専業主婦・主夫が認可保育園を利用できないのは、基準指数が低いため


「認可保育園」を利用したい場合は、家庭状況をポイント化した点数により選考が行われます。この選考に用いられる点数は正式には「指数」と呼ばれ、「基準指数」「調整指数」「優先順位」といった3つの区分に分かれています。それぞれ詳しく見ていきましょう。

●基準指数
「基準指数」とは、親の就労状況(フルタイム勤務かどうかなど)や健康状態(病気や障がいの有無)といった保護者の基本情報をポイント化した点数のことです。
専業主婦・主夫の場合は、この基準指数が働いている人よりも低くなってしまうため、仕事をしている家庭に比べると入園することが難しくなります。

●調整指数
調整指数とは、家庭の状況に合わせて加点、減点の調整をすることを言います。例えば、希望する保育園に先にきょうだいが在園している場合は加点、同居の祖父母がいる場合は減点などといった具合に調整される仕組みです。

●優先順位
優先順位とは、同じ指数の希望者が複数いる場合に、入園できる人を決定するための定義のことを指します。例えば「自治体の居住歴が長い世帯を優先する」といったように細かなルールが定められている自治体もありますが、自治体によっては公表されていないこともあるようです。


専業主婦・主夫でも認可保育園を利用できる場合とは?


主婦
このように見ていくと「やはり専業主婦・主夫の家庭は保育園を利用するのは難しいのではないか」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、ケースによっては仕事をしている方以外でも認可保育園を利用できる場合があります。そこで、ここからは専業主婦・主夫でも認可保育園を利用できる場合の具体例をご紹介していきます。

●親に病気やケガ、障がいがある場合


親の就労状況に関わらずとも、親の病気やケガ、身体障がいや精神障がいが理由で家庭での保育ができないという場合には、認可保育園を利用することができます。

●妊娠出産で上の子の面倒を見られない場合


母親の妊娠・出産で「上の子どもの面倒を見るのが難しい」「母親が入院することになった」といった場合にも認可保育園を利用できます。出産の予定がある方は一度自治体に相談してみるとよいかもしれません。

●親が同居家族の介護や看護にあたっている場合


同居家族の介護や看護で子どもの世話ができない場合も、認可保育園を利用することができます。ただし、認定の優先順位は自治体の判断になるため、該当する方は直接問い合わせてみましょう。

●独立開業して個人事業主・フリーランスになる場合


近年では会社に所属することなくフリーランスとして働く方も少なくありません。独立開業をしている場合には、自宅での保育が難しくなるため入園できる可能性は高くなります。
開業届や確定申告、事業ホームページのコピーなどがあれば、働いている証明として提出できるので、認可保育園の申請前に用意をしておくことをオススメします。自治体の担当者から詳細をヒアリングされる場合もあるため、その際には自分の働き方をきちんと説明できるように準備しておくと良いでしょう。

●扶養の範囲内でパート勤務を始めた場合


扶養の範囲内であっても仕事をしていれば「基準指数」の点数が加算されます。そのため、比較的保育園に空きがある地域であれば、認可保育園を利用できる可能性があります。

●親が仕事を探している場合


実は、親が仕事を探している場合も、保育園を利用することができます。ただし、求職中であるために、「保育の必要性」が認められている状態ですので、自治体や保育園によって決められた猶予期間(2〜3ヶ月以内)までに仕事を決める必要があります。

【参考記事】
求職中だと保育園に入れない?!負のスパイラルから抜け出す対応策【FP監修】

求職中は「求職活動関係役務利用費」も使える
あまり広く知られていないのが「求職活動関係役務利用費」と呼ばれる制度です。この制度を利用すれば(一定の受給資格あり)、教育訓練を受講したり、就職面接の際に子どものための保育サービスを利用したりした場合に、サービス利用のためにかかった費用の一部が支給されます。保育サービスの中には、ベビーシッターの利用料金も含まれるため、保育園ではなくベビーシッターを利用した場合は、「求職活動関係役務利用費」を申請するようにしましょう。
<雇用保険受給者対象>求職活動関係役務利用費 | キッズライン


専業主婦・主夫が子どもを預ける方法①:認可外保育園を利用する


ママと赤ちゃん
専業主婦・主夫が「認可保育園」を利用するには保育の必要性が求められますが、それ以外の保育施設であれば状況に関わらず子どもを預けることができます。その選択肢の一つとして「認可外保育園」があります。
認可外保育園を利用するメリットとしては、条件なく入園の申し込みが可能であったり、延長保育・夜間保育・休日保育に対応している園が多かったりして、柔軟な預け方ができる点があります。定員に空きがあればすぐに預かってもらうことができます。
ただし中には施設が狭かったり、園庭がなかったりして、外遊びの時間が少ないといった園もあります。
また、認可外保育園の保育料は各施設が任意に設定するため、認可保育園よりも保育料が高くなる傾向があります。専業主婦・主夫が認可外保育園を利用する場合は、費用の負担もよく考える必要があります。

専業主婦・主夫が子どもを預ける方法②:保育園の「一時保育」を利用する


保育園に継続的に預ける以外にも、保育園が行っている一時保育を利用するという方法もあります。こちらは、保育園に通っていない子も対象となるため、大人だけで出かける用がある際にも気軽に利用することができます。
一時保育とは、主に認可保育園やこども園が通常の保育と別枠で行っているサービスです。親が子どもの面倒を見ることができないときに1日や数時間などの時間単位で一時的に子どもを預けることができます。1日あたりの費用は2,000円〜3,000円程度とリーズナブルです。
手軽に利用できる便利なサービスですが、利用枠が少ないこともあって、利用したいタイミングで空きがなかったということもあります。また「園のイベント時には一時保育が無い」「感染症のまん延などで、一時保育を停止している」といったケースもあります。そのため、複数の園の一時保育を調べておくとよいでしょう。

専業主婦・主夫が子どもを預ける方法③:幼稚園の「預かり保育」を利用する


子どもの預け先を考える際には、子どもの年齢も重要な判断基準となります。3歳以降になれば、幼稚園や認定こども園(幼稚園型)の「預かり保育」という制度も検討できます。「預かり保育」は、園の通常時間外の早朝や午後〜夕方に、子どもを預かってくれる制度です。保育園と同じように、朝7〜8時から夕方の18〜19時くらいまで子どもを預けることができます。
ただし、預かり保育を行っていない園や、早朝保育は対象外となっている園などもあるため、入園する際に確認しておくとよいですね。
預かり保育については、専業主婦・主夫の場合は費用が発生しますが、仕事をしていると幼保無償化の対象となる場合があります(条件あり)。費用面についても、利用前に確認しておきましょう。

【参考記事】
幼稚園の預かり保育は何時まで?無償化はどんな人が対象?【FP監修】


専業主婦・主夫が子どもを預ける方法④:ベビーシッターを依頼する


ベビーシッター
親の就労状況に関わらず、大人だけの外出や冠婚葬祭など、子どもを見てもらう必要のある場面は少なくありません。そんなときには、保育施設に預けるだけでなく、ベビーシッターに依頼をするのも一つの方法です。
とはいえ、専業主婦・主夫の場合は費用の面でベビーシッターは難しいと考えがちです。そこで、専業主婦・主夫でも利用可能な助成や補助の探し方を紹介します。

【1】パートナーの勤務先に補助制度がないか
近年では、従業員への福利厚生としてベビーシッターの利用を補助対象としている企業も少なくありません。
パートナーが就業中の方は、
・パートナーの勤務先が「企業型ベビーシッター割引券」を導入していないか
・会社で加入している民間の福利厚生サービスはないか
・会社独自の福利厚生制度として補助制度を取り入れていないか
などを確認するところから始めてみましょう。


【2】住んでいる自治体に「助成制度」がないか
最近では、子育て支援の一環として自治体の助成制度が充実しつつあります。例えば東京都の一部市区では、「東京都ベビーシッター利用支援事業」の「一時預かり事業」で、利用目的を問わないベビーシッター補助を行っています。
支援制度については自治体のホームページに載っていますが、市役所や保健福祉センターなどの子育て支援窓口に相談してみてもOKです。
東京の育児・子育て支援、東京都ベビーシッター利用支援事業(一時預かり事業)


【3】民間の「福利厚生サービス」は使えないか
パートナーの勤務先から付与されている民間の福利厚生サービスや、生命保険やクレジットカードなどの付帯サービスもチェックしてみましょう。ベビーシッターの利用に福利厚生サービスが使えることは、意外と多くの方が見落としがちです。
ベビーシッターを依頼するならまず確認!自分が使える割引・助成の調べ方ガイド


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「子育て」と「保育」は違う!子どもを預けるメリット


子どもとママ
ここまで専業主婦・主夫が子どもを預ける方法をいくつか紹介してきましたが、中には「子どもを預けること」に罪悪感を持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
子どもを預けることは、決して「子どもと自分だけで過ごす時間がしんどいから」「子育てが辛いから」といったネガティブな理由だけではありません。子どもを保育士やベビーシッターに見てもらうことで子ども自身の成長につながることもあります。
保育士やベビーシッターは保育の専門家です。子どもを預けることは、理論と経験に基づいた保育で「子どもの発達や成長をサポートしてもらう良い機会」という視点もあります。

【参考記事】
「保育」と「子育て」は大違い!保育士が教える“預ける”メリット

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専業主婦・主夫でも保育サポートを利用して


今回の記事では、専業主婦・主夫が子どもを預ける方法について見ていきました。保育施設に預けるのが難しい方は、自宅で保育してもらえる「ベビーシッターサービス」という方法もあります。
大切な子どもを預けるには「安全面が気になる」「子どもに寂しい思いをさせないか」など、心配事があるかもしれません。しかし子どもと離れる時間をつくることで、心理的・身体的・時間的な余裕が生まれ、親子の関係を良好に保つことにもつながります。
2024年度には、親が働いているか働いていないかを問わず、誰でも時間単位等で柔軟に保育園を利用できる「こども誰でも通園制度」のモデル事業も始まります。
「専業主婦・主夫だから、自分で子どもを育てなければ」と思い込まず、それぞれのご家庭の子育てのスタイルを考えてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。

キッズラインには、家庭保育のプロが在籍


ベビーシッター・家事代行サービスのマッチングプラットフォームであるキッズラインでは、ベビーシッターとして、保育士や看護師など保育の専門資格や研修を完了した家庭保育のプロフェッショナルが多数在籍しています。
初めてのシッターに保育を依頼する際には、顔合わせまたは事前面談が必要なので、まずは気に入った人に連絡を取ってみましょう。顔合わせや事前面談で、子どもとの接し方など育児の悩み事を相談してみるのもおすすめです。

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