最近は幼稚園でも預かり保育(延長保育)といって、保育園のように遅くまで預かってもらえるシステムがあります。この預かり保育を活用すると、保育園に預けなくても仕事を続けられるというのは本当なのでしょうか?そこで今回は幼稚園の預かり保育についてFPが解説します。
幼稚園で行っている「預かり保育」はどんな制度?
幼稚園の預かり保育とは、通常保育の前や後に行われる希望制の保育時間のことをいいます。一方で保育園にも「一時保育」がありますが、これとはどう違うのでしょうか?ここでは預かり保育と一時保育の違いもふまえてご紹介します。
多くの幼稚園で実施している預かり保育
「集団生活の中で教育を受けさせたい」「仕事が終わる時間まで預かってほしい」というニーズから、多くの幼稚園では預かり保育を実施しています。もちろん未実施の幼稚園もあるものの、令和元年度では
公立・私立あわせて87.8%の園で実施しているようです。幼稚園の標準保育時間は4時間程度と短いので、長く預かってもらえる預かり保育があると働くママパパにとっては助かりますよね。
保育園の一時保育との違い
幼稚園の預かり保育は、保育園の一時保育とどう違うのか?といった疑問もあるでしょう。どちらも有料のサービスであることに変わりはありませんが、次のような違いがあります。
【幼稚園の預かり保育】
・幼稚園の在園児が利用できる
・通常保育の時間外に預けられる
【保育園の一時保育】
・保育園に通っていなくても利用できる
・保育園の開園時間なら、時間単位や1日単位で預けられる
そもそも
幼稚園は教育の場、保育園は福祉の場という大きな違いがあります。
それは管轄省庁が幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省(令和5年4月~こども家庭庁)となっていることからも明らかです。そのため幼稚園の預かり保育は在園児が利用できるのに対し、保育園の一時保育は園に在籍していなくても保育の必要があるなら利用できる仕組みになっています。
しかし保育園の一時保育は利用できる対象が広いことから、一部の地域では保育園の一時保育は定員の枠が常にいっぱいで予約が取れないことも。そのため、
通っている幼稚園で預かり保育を利用できるのであれば、基本的には預かり保育を利用することをおすすめします。
※参考:幼稚園における預かり保育の促進について
https://www.gyoukaku.go.jp/review/aki/R02/img/s10.pdf
預かり保育の時間帯は?どんなことをしてくれる?
幼稚園の預かり保育を利用したとしても、預かり終了時間が早いとお迎えの時間までに間に合わないことも。では本当に幼稚園の預かり保育を利用すれば仕事を続けることはできるのでしょうか?そこで預かり保育の時間帯や一般的に行われている活動内容などをまとめてみました。
預かり保育の時間帯
預かり保育は通常保育の時間外に行われます。朝は7時半や8時など通常保育が始まる前から預けられるところもあれば、通常保育終了後に17時~18時まで預かる園も多いようです。中には18時以降も預かりOKと保育園並みに遅くまで受け入れているところも。
また忘れてはならないのが、
保育園と違い幼稚園には夏休みや冬休みといった長期休みがあることです。ただし長期休みにも預かり保育を実施している園も多くあるので、仕事を続けたいなら長期休みでも預かり保育を利用できる幼稚園を選ぶとよいでしょう。
ちなみに預かり保育の実施時間には統一されたルールがなく、幼稚園ごとに決められています。たとえば
・登園前の預かりはなし(通常保育後の預かりのみ)
・平日の預かりのみ(長期休みはなし)
といった決まりのところもあるので、事前にルールを確認しておくようにしましょう。
預かり保育ではどんなことをしてくれる?
預かり保育では以下のような自由遊びがメインとなります。
・創作遊び
・工作
・絵本
・お庭遊び
預かり保育では少人数のクラスとなるため、異年齢で遊ぶ機会も。また放課後は遅くまで過ごすことから、おやつが提供されることもあります。
さらに、
幼稚園によっては預かり保育中に課外活動(習い事)を選べるところもあります。参考までに、筆者の子どもが通う幼稚園では、有料で英語や体操など課外活動を取り入れています。課外活動が終わるとお迎えまで預かり保育の部屋で遊んで待っていてくれるので、共働きで習い事に通わせるのが大変な家庭にもありがたい仕組みとなっています。
預かり保育では誰が見てくれる?
預かり保育では担当する先生が子どもたちを見てくれます。なお、担当できる先生は幼稚園教諭だけでなく、
・保育士
・小学校教諭の免許所有者
・市町村長等が行う研修を修了した子育て支援員
といった、教育や保育のプロが担当することと決められています。また通常の保育と同様に配置基準も決められており、
担当する先生の2分の1(当面の間は3分の1)は幼稚園教諭または保育士と決められているので、幼稚園の通常保育と同様に安心して預けることができます。
預かり保育も無償化の対象になる場合がある!
2019年10月に始まった幼児教育無償化により、幼稚園の預かり保育も無償化の対象となりました。しかし無償化の対象となるには条件があり、すべてが無償化の対象とはなりません。そこで、無償化の対象となる条件を確認しておきましょう。
リフレッシュのために預ける場合は実費
幼稚園の預かり保育で無償化の対象となるには、新2号認定を取得する必要があります。そのため新2号認定を受けないで預かり保育を利用する場合、たとえば
リフレッシュ目的で預かり保育を利用する場合は無償化の対象となりません。また預かり保育を利用する目的で多い
「兄弟の学校行事への参加」も無償化の対象外です。
新2号認定を受けなくても幼稚園の保育料自体は無償化の対象なのですが(月25,700円まで)、
預かり保育の料金に関しては実費となるのでご注意ください。
なお、預かり保育の料金は園ごとに決められています。参考までに筆者の子どもが通う幼稚園で預かり保育を利用する場合、1日1,000円、月極で利用する場合は12,000円かかります。
新2号認定とは?
就労などのために幼稚園の預かり保育を利用する場合、自治体から「保育の必要性の認定」を受ける必要があります。この認定のことを新2号認定と呼びます。なお、無償化の適用を受けるためにはあらかじめ新2号認定を受ける必要があるので、就労証明書などと共に幼稚園経由で自治体に申請してください。
就労などが目的の場合は無償化が適用される
仕事をするために「預かり保育」を利用する場合は、預かり保育も無償化の対象となります。ただし無償化の条件である新2号認定を受けるためには、就労しているというだけでは認められません。たとえば
月48時間以上働いているなど、一定の時間働いていることが必要です。
また、預かり保育の利用料は全額が無償化の対象となるわけではなく
「預かり保育を利用した日数×450円」と「預かり保育の利用料」のどちらか小さい方が無償となります。(ただし上限は月11,300円)
預かり保育が無償になる条件とは?
預かり保育が無償化になる主な条件は働いていることです。もちろん正社員だけでなく、パートや居宅内の労働などでもOK。ただし
月48時間〜64時間以上、働いていることが条件となります。
新2号認定を受けるために必要な就労時間は各自治体によって異なるので、必ず確認しておきましょう。
仕事以外でも無償化が適用されるケース
幼稚園の預かり保育は仕事以外にも、出産や求職中でも認められます。具体的には以下のとおりです。
・就労(フルタイムのほか、パートタイム、夜間、居宅内の労働など)
・妊娠、出産
・保護者の疾病、障がい
・同居又は長期入院等している親族の介護・看護
・災害復旧
・求職活動(起業準備を含む)
・就学(職業訓練校等における職業訓練を含む)
・虐待やDVのおそれがあること
・育児休業取得中に、既に保育を利用している子どもがいて継続利用が必要であること
・その他、上記に類する状態として市町村が認める場合
このような場合は、以前なら保育園に入園させるしかありませんでした。しかし最近では預かり保育でも対応できるようになっています。預かり保育の枠に空きがあれば年度途中からでも預けることができるので、保育が必要な状況になったら申請してみることをおすすめします。
幼稚園入園を機に、フルタイムの仕事も視野に入れて
無償化で費用の負担は軽くなったものの、子どもの教育費は決して簡単に用意できる金額ではありません。たとえば大学卒業まですべて公立に通ったとしても1,000万円はかかると言われていますし、中学や高校から私立に通わせれば2,000万円を軽く超えることも想定されます。さらに留学まで考えるなら、子どもが小さいうちからコツコツ積み立てておくことをおすすめします。
とはいえ、節約だけでは限界がありますよね。それに子どもの教育費以外にも自分たちの老後資金だって用意しなければなりません。このように考えると
働き方をセーブするよりも時短勤務で働くか、できるならフルタイムでの仕事復帰を検討したいものです。
ベビーシッターを検討してみる
フルタイムで働くなら、育児のサポーターを見つけておこう
保育園ではなく
幼稚園に通わせたとしても、預かり保育を利用すればフルタイムでの仕事は可能です。しかし幼稚園によっては長期休暇の預かり保育を実施していないところもあります。さらに子どもが体調不良のときには預けられません。そういった場合は有給休暇などで対応することになりますが、仕事の都合や有給休暇の日数にも限りがあるのでなかなかお仕事を休めないときもあるでしょう。
そういう時は、
ベビーシッターを依頼してみてはいかがでしょうか?ベビーシッターを頼むと費用が高いと思われがちですが、勤め先の福利厚生やお住まいの自治体に補助制度があれば意外とリーズナブルに依頼することができます。もちろん、そういった制度がない方でも
仕事目的での利用であれば「ベビーシッター派遣事業割引券(内閣府ベビーシッター割引券)」を利用できるのでぜひ活用してみてください。(※)
※ベビーシッター派遣事業割引券の利用条件は以下をご確認ください。
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■監修:ファイナンシャルプランナー 坂口 恭子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。webライターとしてマネー記事や子育てに関する記事を執筆するかたわら、ブログやSNSを通じて難しいお金の話をできるだけわかりやすく発信しています。
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