毎食きちんと作って、毎日お風呂に入れて、暑い日でもどこかへ連れ出して、生活リズムも守って——。夏になっても「いつも通り」をやろうとして、気づけば親のほうが先にへとへと。そんなふうになっていませんか。

でも、少し立ち止まって考えてみてください。この暑さの中で、春や秋と同じペースを保とうとすること自体が、そもそも無理のある話です。うまく回らないのは、あなたの手際が悪いからでも、気合いが足りないからでもありません。夏という季節が、それだけ体力を奪っていくからです。

そこでこの記事では、真夏の間だけ「ちゃんと」を少し手放すための、具体的な線引きをお伝えします。肩の力を抜いて読んでみてくださいね。

この記事のポイント

⚫︎ 夏に育児が回らなくなるのは、親の努力不足ではなく、暑さそのものが体力を奪うから
⚫︎ ごはん・お風呂・お出かけ・生活リズムなど、真夏だけ「ちゃんと」を一段さげていい場面は多い
⚫︎ いちばん手放してほしいのは、親自身への「ちゃんと」。頼れる先をひとつ持っておくと、夏がぐっとラクになる


「ちゃんとしなきゃ」が、夏はいちばんの敵になる

公園にいる子ども

子育てをしていると、無意識のうちにたくさんの「ちゃんと」を自分に課しています。ちゃんと栄養のあるごはんを。ちゃんと湯船に浸からせて。ちゃんと外で体を動かさせて。ちゃんと決まった時間に寝かせて——。

どれも、普段なら大切なことです。でも、この基準を真夏にそのまま持ち込むと、親の消耗だけが積み上がっていきます。気温35度を超えるような日に、春と同じ量の家事育児をこなそうとすれば、無理が出るのは当たり前です。そして無理をした親のイライラは、めぐりめぐって子どもにも伝わってしまいます。

夏の間は、「ちゃんと」の基準を一段さげておく。それくらいが、親子ともにちょうどいいのです。ここからは、手放していい「ちゃんと」を、場面ごとに見ていきましょう。

ごはんは、そうめんが続いてもいい

そうめんや冷やし野菜など、火を使わない夏の食卓

暑いと、火を使うのもつらい。子どもも食欲が落ちて、せっかく作っても残される。そんな日が続くと、作る気力そのものがなくなっていきますよね。

そうめんが続く日があっても、大丈夫です。冷凍食品やレトルトに頼っても問題ありません。市販のお惣菜に、切っただけのトマトやきゅうりを添えれば、それでひとつの食事になります。夏は水分と、食べられるものが少しお腹に入っていれば、それだけでも十分です。毎食完璧を目指さず、数日から1週間くらいの単位でバランスを見てみましょう。

離乳食の時期なら、なおさら気負わなくて大丈夫です。暑い日にベビーフードを活用するのは手抜きではなく、この季節の賢い選択です。「手をかけていない」と後ろめたく感じる必要はありません。暑い日に無理なく食べさせられた、ということ自体を大切にしましょう。

お風呂は、シャワーだけの日があってもいい

シャワー

「毎日ちゃんと湯船に」と思っていると、それも地味なプレッシャーになります。

汗を流すのが目的なら、夏はシャワーでも十分なことがほとんどです。ぐったり疲れた日は、さっとシャワーで汗を流して、さっぱりさせてあげるだけでいい。湯船にお湯をためて、入れて、洗って、上げて……という一連の作業を毎日こなさなくても、子どもが清潔で気持ちよく眠れれば、それで役割は果たせています。

赤ちゃんのぐずりがひどくて沐浴やお風呂のタイミングを逃した日も、汗ばんだところを濡れたガーゼやタオルで拭いてあげるだけで、さっぱりして機嫌が直ることもあります。「今日はちゃんと入れられなかった」と気に病まなくて大丈夫です。

着替えや洗濯は、追いつかなくてもいい


夏は汗をかくたびに着替えて、その分だけ洗濯物も増えていきます。一日に何度も着替えさせて、洗濯機を回して、それでも追いつかない。気づけば洗濯だけで一日が終わっている、なんてこともありますよね。

でも、汗をかくたびに完璧に着替えさせなくても大丈夫です。少し汗ばんだくらいなら、背中にガーゼを一枚はさんで、こまめに抜き替えるだけでもしのげます。洗濯物がたまってしまう日があっても、いいのです。乾燥機やコインランドリーに頼ったり、「今日は回せなかった」と割り切ったり。家じゅうの家事を、夏の間も平常運転で回しきろうとしないこと。それだけで、気持ちがずいぶんラクになります。

お出かけは、しない日があってもいい


エアコンの効いた部屋で親子がのんびり過ごす様子

「夏休みなんだから、どこかへ連れて行ってあげなきゃ」。そんな気持ちが、親をさらに追い詰めることがあります。

けれど、命にかかわるような暑さの日に、無理をして外へ出る必要はありません。「いろんな体験をさせてあげたい」という思いは素敵ですが、それは涼しい日や、朝夕の過ごしやすい時間帯にとっておけばいいのです。猛暑の日中は、エアコンの効いた部屋でゆっくり過ごすのが、安全で快適です。家の中で過ごした一日を、「何もしてあげられなかった日」と思わなくて大丈夫。子どもにとっては、涼しい部屋で親とのんびり過ごせた時間のほうが、ずっと心地よかったりもします。暑さで体調を崩さずに過ごせたこと自体が、十分価値があります。

生活リズムは、多少崩れてもいい


日が長く、暑さで寝つきも悪い夏は、どうしても就寝時間が後ろにずれがちです。昼寝が長引いたり、夜更かしになったりするもの。

これも、夏はある程度は仕方のないことです。神経質に「いつも通り」に戻そうとするより、朝起きる時間だけゆるく意識しておくくらいで十分です。就寝時間が多少ずれても、朝の起床時間をだいたい一定に保つことが、体内時計を整える助けになります。夏の間に多少リズムが乱れても、その軸さえ残しておけば、夏休み明けにもとに戻すのもぐっとラクになります。


夏の睡眠リズムについては、こちらの記事でくわしく解説しています。


動画やテレビの時間が、少し増えてもいい


テレビをみる子ども
外に出られない日が続くと、どうしても家の中での過ごし方は限られます。動画やテレビに頼る時間が、ふだんより増えてしまうこともあるでしょう。

夏の間くらいは、そこも大目に見て大丈夫です。猛暑で外遊びができない以上、室内で静かに過ごす手段があるのは、むしろ助かること。涼しくなって外遊びが戻れば、自然とバランスも戻っていきます。「今日は長く見せてしまった」と、自分を責めすぎないでください。

【小学生のいるご家庭へ】宿題は、毎日きっちりでなくてもいい


宿題する子ども
小学生がいるご家庭なら、夏の「ちゃんと」に、宿題や生活表が加わります。「毎日コツコツ計画的に」が理想だとわかっていても、暑さでだらけてしまう子どもを毎日せっつくのは、親のほうが消耗しますよね。

ドリルが数日滞っても、大丈夫です。生活表が空欄のままの日があっても、あとでまとめて振り返れば済みます。完璧に毎日進められなくても、週単位で進み具合を見られれば十分。親が横について毎日管理しようとすると、親子ともにイライラして、かえって長続きしません。

「宿題をやったかどうか」で毎日バトルするより、夏の間は少し目をつぶる。そのほうが、親子の空気はずっと穏やかに保てます。

近くのベビーシッターを探してみる

いちばん手放してほしいのは、親自身の「ちゃんと」


涼しい部屋でひと息つく親

ここまで、子どもへの「ちゃんと」を手放す話をしてきました。でも、いちばん手放してほしいのは、実は親自身の「ちゃんとしなきゃ」という気持ちです。

子どものごはんは簡単に済ませても、親が倒れてしまっては元も子もありません。夏は、大人だって思っている以上に消耗しています。子どもに息抜きが必要なように、親にも息抜きは必要です。

「今日はどうしても休みたい」。そんな日は、数時間だけベビーシッターにお願いして、自分が涼しい部屋でゆっくり眠る、という選択肢もあります。遠回りのようでいて、それが家族みんなの夏を、いちばんラクにしてくれることもあります。頼れる先をひとつ持っておくだけでも、気持ちはずいぶん軽くなりますよ。ひとりで頑張り続けるのではなく、必要なときは周りの力を借りることも、この夏を乗り切る大切な方法のひとつです。

この夏は、「全部ちゃんと」ではなく、「笑顔でいられるくらいに、ゆるく」。そのくらいの心持ちで、親子ともに、無理なく夏を越えていきましょう。

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