生後2ヶ月頃までの赤ちゃんによく見られる乳児湿疹は、悪化すると肌が真っ赤になりかゆみで一晩中機嫌が悪くなってしまう子どももいます。丁寧にケアをしていても悪化が避けられないケースは少なくありません。そんな時、かかりつけ医から処方されることが多いのがステロイドの外用薬(塗り薬)です。ステロイドと言えば「副作用が強い」というイメージを持つ親御様も多いと思いますが、実際はどうなのでしょうか?乳児湿疹とステロイドについて医師が詳しく解説します。

ステロイドってどんな薬なの?

ステロイドは、副腎と呼ばれる臓器で作られるもので、私たちの体の中で作られているホルモンの一つです。ステロイドは薬として使用するとどのような効果や副作用があるのでしょうか?さっそく詳しくみていきましょう。

ステロイド外用薬の効果とは?
ステロイドを薬として使用すると、炎症を抑え、血管を収縮させて肌の赤みを鎮める効果などが期待できます。乳児湿疹に使用すると、肌の炎症やそれに伴う赤みを改善してくれる効果があります。もちろん、乳児湿疹だけでなくアトピー性皮膚炎など他のさまざまな病気の治療に使用されています。

ステロイド外用薬の副作用にはどのようなものがあるの?
ステロイド外用薬は、長期間使用することで副作用が起こることもあります。
具体的には、皮膚が薄くなる・赤ら顔になる・ニキビなどの肌トラブルが起こりやすくなるといった副作用が挙げられます。また、ステロイドは免疫の働きを抑制する作用もあるため、万が一塗った場所に細菌感染などが起きている場合は、症状を悪化させてしまうこともあるのです。そのため、医師の指示に従って慎重に使用していく必要があります。

乳児湿疹にステロイド外用薬は必要?

ステロイドは確かに上述したような副作用があります。しかし、ステロイドは強さに対して多くのランクがあり、弱いランクのものを短期間使用すれば、副作用が現れることはほとんどありません。乳児湿疹は悪化するとかゆみが出るため、掻きむしって顔を傷だらけにしてしまう子どももいます。

そのような状態になってしまうと保湿剤などを用いたスキンケアだけでは改善できない場合も少なくありません。機嫌が悪くなり、十分な睡眠が取れなかったり、哺乳量が減ってしまったりすることも考えられます。どの時点でステロイドを使用するかは医師の判断によって異なりますが、悪化してしまった場合は、ステロイドを導入してできるだけ早く改善してあげることをオススメします。かかりつけ医と相談して治療を進めていきましょう。

【医師監修】赤ちゃんの肌トラブル!乳児湿疹の対処法と病院へ行く目安は?

余ったステロイド外用薬を親の判断で使用して大丈夫?
乳児湿疹は、スキンケアを徹底しても繰り返してしまう子どももいます。「毎回病院に行くのは大変」と前回の治療で余ったステロイドを自己判断で使用している方もいらっしゃるでしょう。しかし、ステロイドは誤った使用をすると副作用が起こることがあります。特に乳児湿疹は搔きむしることで細菌感染などを起こしていることもあり、ステロイドを使用するとさらに症状がひどくなることも。「膿が出ている」「患部が熱くなっている」「掻きむしったところに湿疹が広がっている」といった症状が見られる場合は、とびひなどの可能性があります。自己判断で安易にステロイドを使用するのは控えましょう。


産後頼れる「産後ドゥーラ」


産前産後のママが身体を休め、安心して赤ちゃんのお世話に専念できる環境をつくるお手伝いをしてくれる産後ドゥーラ。主に産褥期(出産後6週から8週)や妊娠中の家事や子育てを支援してくれます。また上の子どもがいる場合はベビーシッターとして子どものお世話を相談することができます。

●どんなことをお願いできるの?
妊娠中のつわりが辛い時期や、お腹が大きくなり身体が辛い時から、食事作りや掃除といった家事サポートをお願いすることができます。また安心して出産、育児に臨めるよう、ママと一緒に産後の生活について相談することもできます。


さらに、産後は赤ちゃんの沐浴、授乳のサポート、オムツ替え、上の子どものお世話などを依頼することができます。産後ドゥーラに赤ちゃんのお世話をお願いして睡眠を取ったり、母乳に良い食事を作り置きしてもらうのも良いですね。

まとめ

生後2ヶ月頃までに多くの赤ちゃんに見られる乳児湿疹は、悪化すると機嫌が悪くなったり、夜眠れなくなったりすることも少なくありません。基本的には丁寧なスキンケアで改善していくものですが、悪化した場合は炎症や赤みを抑える作用のあるステロイド外用薬を使用することもあります。ステロイドは副作用が怖いと思われがちですが、正しく使用すれば大きな心配は必要ありません。医師の指示に従って治療を行なっていきましょう。




■監修ライター:成田亜希子
2011年医師免許取得。一般内科医として幅広い疾患の患者様の診療を行う。行政機関に勤務経験もあり母子保健分野も担当。育児に悩むママたちに医師という立場から様々なアドバイスを助言。プライベートでは二児の母。自身の悩みからも育児の情報発信している。