頬が真っ赤になる症状が出ることから「リンゴ病」と呼ばれるこの病気は、ウイルスによる感染症の一つです。子どもによくみられる病気で、多くは一週間前後で自然に回復します。しかし、大人が感染すると重症化するケースも少なくありません。特に妊婦さんは要注意です。そこで今回は、リンゴ病の特徴と注意点について医師が詳しく解説します。

リンゴ病ってどんな病気?



正しくは「伝染性紅斑」と呼ばれ、パルボウイルスB19などに感染することによって発症するリンゴ病。ワクチンはなく、子どもによくみられる感染症の一つです。まずはリンゴ病の症状や治療法について詳しくみていきましょう。


どんな症状が出るの?
リンゴ病の症状は、ウイルスに感染すると10~20日ほどの潜伏期間を経て両側の頬に赤い網目状の発疹が広がるのが特徴です。手や足、胸、背中などにも同じような発疹が出ることもありますが、多くは一週間前後で自然に消失します。


また、発疹が出る一週間ほど前に、37℃台の微熱や関節痛、倦怠感など軽い風邪症状がみられることもあります。これは、身体の中でウイルスが活発に増殖していることが原因と考えられており、感染力が最も高くなるのはこの時期です。


どんな治療をするの?
リンゴ病は自然に改善していくことがほとんどなので、特別な治療が必要になることはありません。発疹が出る時期には発熱などの症状が出ないことが多く、ゆっくり療養しながら自然に消失していくのを待つことになります。また、発疹が出る前に発熱などの症状が出ることもありますが、軽度な症状であるため内服治療が必要になるようなケースは少ないでしょう。

大人がリンゴ病にかかるとどうなる?

子どものリンゴ病は軽い症状のみで、重篤な合併症を引き起こすことはありません。しかし、大人が感染した場合は重症化するケースもあることが報告されています。そこで、大人が感染した場合について詳しくみていきましょう。


関節が痛くて歩けなくなる?
子どものリンゴ病は頬に赤い発疹が出るのが特徴ですが、大人がかかると頬ではなく手足に出ることが多いとされています。また、6割以上の方に関節痛や手指・足などのむくみが出るのも特徴です。症状の程度には個人差がありますが、ひどい場合には強い痛みのため歩行が困難になることも。


また、重度なむくみが生じて心臓などに負担をかけるケースも少なくありません。これらの症状は基本的に一週間程度で改善しますが、中には数ヶ月以上続くこともあり、関節リウマチなど別の病気と間違われることがあります。


妊婦さんが感染すると流産することも?
リンゴ病の原因となるパルボウイルスB19は胎盤を通してお腹の赤ちゃんに感染することがあります。特に妊娠6週未満の初期段階で感染してしまうと「胎児水腫」という異常を引き起こしてお腹の中で赤ちゃんが死亡することも…。妊婦さんにとっては風疹などと同様に注意すべき感染症と言えます。

リンゴ病の感染を防ぐには?
リンゴ病にはワクチンがありません。飛沫感染や接触感染によって拡がるため、一般的な感染対策を徹底するしかありません。しかも、感染して潜伏期間を経て頬が赤くなる頃には感染力はほとんどなくなることが分かっています。


発疹が出る一週間ほど前が最も感染力が高くなるとされていますが、無症状または微熱などの症状しかみられないため、リンゴ病に気付くことは不可能といえるでしょう。妊娠中や妊活中のママはもちろん、子どもの保育園や学校などでリンゴ病が流行している時期は、いつも以上に感染対策を徹底しましょう。


病児・病後児の保育も依頼可能

感染症に関わらず、子どもは急に発熱したり、体調を崩してしまうものです。そんな時に限って大事な会議やキャンセルできない用事がある場合は、病児や病後児の預け先としてベビーシッターという選択肢があります。キッズラインでは小児病棟で働いた経験がある看護士の方など、看護師資格を保有しているサポーターも在籍しております。病児または病後児、感染症の保育に対応しているかどうかはサポータープロフィールからご覧になれます。


急な預け先として必要になった場合に、スムーズに依頼できるよう、依頼したいサポーターを数名候補にあげておく、事前面談を済ませておくことをオススメします。

まとめ

頬に真っ赤な発疹ができるリンゴ病は子どもによくみられる感染症です。重度な症状が出ることは少なく、一週間程度で自然に改善します。しかし、大人が感染すると関節痛やむくみなど重度な症状を引き起こすことも。妊娠初期に感染すると流産する可能性もあります。
一方で、リンゴ病には明確な予防法がないため日頃から手洗いなどの感染対策をしっかり心がけておきましょう。




■監修ライター:成田亜希子
2011年医師免許取得。一般内科医として幅広い疾患の患者様の診療を行う。行政機関に勤務経験もあり母子保健分野も担当。育児に悩むママたちに医師という立場から様々なアドバイスを助言。プライベートでは二児の母。自身の悩みからも育児の情報発信している。