0歳から1歳までは多くの予防接種があり、スケジュール管理に追われていたご家庭も多いことでしょう。しかし、気を抜いて良いのはもう少し先です。3歳のお誕生日を迎えると再び予防接種が始まります。しかも、スケジュールがバラバラなので打ち忘れをしてしまうことも。そこで今回は、幼児期の予防接種について医師が詳しく解説します。

3歳以降はどんな予防接種が必要なの?



打ち忘れなどがない限り、2~3歳の期間での予防接種はインフルエンザ以外にありませんが、3歳を過ぎると再び定期予防接種が始まります。
では、どのようなワクチンを打てばいいのか詳しくみていきましょう。


●日本脳炎ワクチン
日本脳炎を予防するためのワクチンです。日本脳炎は蚊に刺されることでウイルスに感染して発症する病気です。感染しても無症状のことが多いですが、まれに脳炎を起こして後遺症を残したり、重症な場合は死に至ったりすることもあります。


東南アジアを中心に流行していますが、日本ではワクチンの普及により発症者は年間10人以下と激減しています。温かい地域で流行しやすいですが、日本では全国の子どもたちが定期接種の対象となります。


日本脳炎ワクチンは、3歳のお誕生日を迎えたら1回目を接種し、4週間以上あけて2回目の摂取、さらに半年以上あけて3回目の接種を行います。そして、その後時間をおいて9~12歳で4回目の接種を行う必要があります。日本小児科学会は、1回目と2回目の接種を3~4歳までに行い、4~5歳で3回目、9~12歳で4回目の接種を推奨しています。なお、1~3回目の接種は7歳半までに受けないと定期接種とはならないため打ち忘れには注意しましょう。


●MRワクチン
麻しん(はしか)と風しんを予防するためのワクチンです。麻しんや風しんは重症化すると肺炎などを発症することもあるため、注意しなければならない感染症です。入院が必要になることも多く、さらに風しんは妊婦さんが感染するとお腹の赤ちゃんの発達に影響を与えることが知られています。


MRワクチンは、1歳のお誕生日を迎えたら1回目の接種をすぐに受けるよう推奨されています。そして、2回目接種を小学校入学前の一年間の内に受けるよう定められています。秋になるとインフルエンザの予防接種なども始まりますので、年長さんの4~6月頃に接種を済ませておくことをオススメします。


●おたふくかぜ
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)を予防するためのワクチンです。定期接種には定められていませんが、おたふくかぜは髄膜炎を起こすこともあり、まれに後遺症として難聴を患うことがあります。そのため、集団生活をする子どもは1歳のお誕生日を迎えたらMRワクチンなどと同時に接種することが勧められています。


日本小児科学会では、5~7歳で二回目の追加接種を推奨しています。この時期までに感染していない子どもは受けておくと安心ですね。


日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュールの変更点

百日せき予防のための追加接種も必要?
百日せきはかぜのような症状から始まり、せきが長引く感染症です。せきが続くため呼吸をしにくくなることもあり、乳児では息が止まって死に至るケースも。日本では四種混合ワクチンの一つとして生後3ヶ月から1歳のお誕生日前後にかけて4回の接種を行います。



しかし、ワクチンによって作られた抗体は徐々に減少していくため「学童期に百日せきを発症する子どもも増えている」との報告もあります。日本では定期接種は乳児期の4回のみですが、WHOは5歳以降に5回目の追加接種を推奨しています。心配な方はかかりつけ医に相談してみましょう。

乳児期のワクチンを打ち忘れてしまったら?

0歳、1歳に打たなければならない予防接種を忘れていたことに気付いた場合は、できるだけ早めにかかりつけ医に相談して「キャッチアップ接種」をしましょう。就学前に終えることが大切です。また、定期接種でない場合は接種間隔なども異なりますので乳児期よりも短期間で終えることができます。以下のスケジュールを参考にして下さい。

「キャッチアップ接種」て何?
予防接種忘れや様々な理由で必要な回数を打てずに漏れがあった場合、追加摂取をすることを指します。



●MRワクチン(2回)
1回目の接種から4週間以上あけて2回目


●水ぼうそう(2回)
1回目の接種から4か月以上あけて2回目


●B型肝炎(3回)
1回目の接種から4週間以上あけて2回目、2回目から16~20週間あけて3回目


●四種混合(4回)
1回目の接種から3週間以上あけて2回目、2回目から3週間以上あけて3回目
3回目から半年以上あけて4回目


●日本脳炎(3回)
1回目の接種から4週間以上あけて2回目、2回目から半年以上あけて3回目


なお、BCGは4歳以上ではキャッチアップ接種の必要はないとされています。

病児・病後児の保育も依頼可能

感染症に関わらず、子どもの急な発熱などで仕事を休まなくてはならない。そんな時に限って大事な会議やキャンセルできない用事がある場合に、病児や病後児の預け先としてベビーシッターという選択肢があります。

キッズラインでは小児病棟で働いた経験がある看護士の方など、看護師資格を保有しているサポーターも在籍しております。病児または病後児、感染症の保育を対応しているかどうかはサポータープロフィールからご覧になれます。

また急な預け先として必要になった場合に、スムーズに依頼できるよう、依頼したいサポーターを数名候補にあげておく、事前面談を済ませておくことをオススメします。

まとめ

3歳を過ぎると再び予防接種が始まります。各接種の時期もバラバラなので打ち忘れてしまうケースも多いですが、予防接種は子どもを感染症から守る大切な手段の一つです。定期接種の時期を過ぎてしまうと自費での接種となりますので、引き続きスケジュール管理をしっかり行うようにしましょう。
また、乳児期の予防接種に打ち忘れがあるときはできるだけ早くキャッチアップ接種をして就学前には所定の定期接種を完了することが大切です。困った時はかかりつけの医師に相談しましょう!




■監修ライター:成田亜希子
2011年医師免許取得。一般内科医として幅広い疾患の患者様の診療を行う。行政機関に勤務経験もあり母子保健分野も担当。育児に悩むママたちに医師という立場から様々なアドバイスを助言。プライベートでは二児の母。自身の悩みからも育児の情報発信している。