待ちに待った赤ちゃんとの出会いは、家族にとって大きな幸せです。しかし、授乳やおむつ替え、夜中の細切れ睡眠など、特に母親は想像以上の負担を感じることも珍しくありません。そこでこの記事では、産後に苦しい思いをした女性の体験談と、知っておくと役立つサポートや準備を紹介します。

産後ママの78.3%が「精神的につらかった」


キッズラインが2024年に実施した「産後のメンタルヘルスに関するアンケート調査」によると、産後ママの78.3%が「精神的につらかった」と回答しました。
産後の精神状態グラフ

出典:産後ママの78%が「精神的につらい」。求める支援は「新生児シッター」や「夜間サポート」

主な要因は「睡眠不足による疲労感」(83.8%)、「夜泣きによる精神的疲れ」(68.8%)、「自分の時間が持てないストレス」(67.8%)です。
産後のつらさ
精神的負担のピークは産後間もない時期に集中し、44.1%が「産後2週間〜1ヶ月」、39.7%が「退院後〜産後2週間」と答えています。
精神的につらかった時期

なぜ産後はこんなにつらいのか


産後の母親は、昼夜を問わない授乳やおむつ替え、細切れの睡眠、強い責任感の重なりによって、心身が追い詰められやすい状況にあります。大人と会話しないまま一日が過ぎたり、育児を楽しむ他者と比べて劣等感を抱いたりすることも少なくありません。SNSを通じて他人の暮らしが簡単に見えてしまう現代では、孤独や焦りが一層強まりやすいとも言えます。
このように、産後の「孤独」や「疲れ」は特別なことではなく、多くの母親に共通する課題です。つらさを感じたときには「自分だけではない」と意識し、抱え込まずに支援を求めることが大切です。

実際の体験談:「育児に疲れた」と弱音を吐けなかった


悩む母親
ここからは、実際に産後の育児に悩んだ女性の声を紹介します。

①1人目、2人目の産後に心身が崩壊。「助けを求める」重要性を痛感…田中さんのケース


中部地方に暮らす田中さん(女性・仮名)は、二度の出産を経験し、それぞれの産後に強い「つらさ」を抱いたといいます。
「1人目の出産は予定日より約1か月早く、36週での早産でした。母乳をあまり飲めず、授乳してもすぐに眠ってしまう。夜泣きはなかったのに、私自身が緊張しすぎて眠れませんでした」
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実家のサポートから一転、ワンオペ育児へ
出産直後は里帰り出産で関東の実家に滞在し、実母のサポートを受けながら1か月ほど過ごしました。慣れない育児に戸惑ったものの、近くに大人がいる環境は心強かったと振り返ります。
しかし、1か月健診後、夫の待つ中部地方の自宅へ戻ると、状況は一変しました。夫も仕事で不在がちで、日常は実質的にワンオペ育児となりました。義両親の家までは車で1時間近くかかり、多忙な義両親に頼るのは現実的ではありませんでした。
慣れない土地で友人や知り合いもおらず、外出の機会は、健診や買い物程度。赤ちゃんと二人きりの時間が続き、家を空けがちな夫と会話を交わせる時間も限られていました。気づけば気持ちはどんどん沈み込み、「孤独」の重さが日々積み重なっていったのです。

職場復帰で心のバランスを取り戻す
その後、田中さんは産前に思い描いた生活を見直し、早めに職場へ復帰。子どもが保育園に通い始め、再び社会との接点を持ち、「母親」「妻」以外の役割を取り戻したことで、少しずつ心の調子が回復していったそうです。田中さんは、「子どもは可愛いです。でも、適度な距離が必要なことを感じました」と話します。

育休退園で追い詰められた2人目育児職場復帰から数年が経った2人目の出産後、田中さんは予想もしなかった事態に直面しました。振り返って「1人目以上に過酷な日々だった」と語るほどの大変さの原因は、「育休退園」と呼ばれる保育園のルールにありました。思いもよらなかった自治体のルール上の子が保育園に通っていても、親が育休を取得すると自治体によっては「保育の必要性がない」と判断されることがあります。田中さんの住む自治体でも、上の子が3歳未満児の場合、出産から3か月で退園しなければならない規定がありました。

「産後まだ体も心も回復していないのに、上の子の遊び相手と下の子の授乳、家事が一度に押し寄せました。頭が常にフル回転の状態で、だんだんと言葉が出にくくなり、考えもまとまらなくなって……。夫と離婚して、子どもと離れて一人で実家に帰ろうかと本気で考えるほど、精神的に追い詰められてしまいました」

頼れる人がいない中で心身が限界に
悩む母親
実家は遠方にあり、義実家も体調や距離の事情で頼るのが難しい。夫は平日も休日も仕事で不在が多く、相談できる相手がいないまま、泣きたい気持ちを押し殺して家事と育児を繰り返す日々。田中さんの心身は次第に限界に追い込まれていきました。

実家での休養でようやく回復へ
病院を受診したところ「重度のうつ」と診断され、ようやく自分が危険な状態にあると自覚しました。最終的に、1か月間だけ子どもを夫に託し、一人で実家に戻る決断をしました。
その間、久しぶりに何も背負わず眠れる日々が続き、少しずつ心に余裕が戻ってきたといいます。田中さんは「自分の限界を知ること」「助けを求めること」が母親自身にとっても家族全体にとっても必要不可欠だと、この経験を通して痛感しました。


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②産後夫婦間に生じた溝。夫の行動を変え、協力体制を築いた…吉田さんのケース


夫婦喧嘩
また、夫の働き方や家庭での言動は、産後の暮らしに大きな影響を与えます。首都圏に住む吉田さん(女性・仮名)のケースです。

「子育ては母親の役割」という思い込み
第一子の誕生後、吉田さんは仕事のため半日以上家を空ける生活を続けていました。夫婦ともに専業主婦世帯で育ったため、「子育ては母親の役割」という意識を自然と受け継いでおり、吉田さん自身もその状況を当然と考え、疑問を持つことはありませんでした。妻もまた「子育ては自分が担うべき」と考え、本当はつらくても「助けて」と口に出せずにいたのです。外から見れば順調に見える夫婦関係も、内側では妻の孤立感が募っていました。

妻の生活だけ激変…夫婦の溝が広がった
吉田さんは帰宅後にミルクを与えたりおむつを替えたりと関わりはしましたが、育児の中心はあくまで妻でした。夫の生活リズムは大きく変わらない一方で、妻の暮らしは出産によって激変。その差が次第に溝を生み、夫婦喧嘩が増えていきました。さらに吉田さんの中には「周囲の家庭では妻がやっているのに、なぜ自分の妻はできないのか」という思い込みもあり、妻への不満が募ることもありました。


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話し合いで少しずつ役割分担を見直した
しかし、衝突を繰り返す中で夫婦は話し合いを重ね、吉田さんは働き方を見直すようになります。役割分担を少しずつ変えていったことで、夫婦の協力体制が整い始め、関係にも改善の兆しが見えてきました。

子育てを取り巻く環境は、確実に改善してきている


笑顔の家族
ここ数年で、子育てを取り巻く環境は少しずつ改善してきました。たとえば、2019年12月の「母子保健法」改正により産後ケア事業が市町村の努力義務となり、2021年4月から全国で運用が始まっています。宿泊型やデイケア型の施設では助産師や看護師が産後の母親を支え、授乳や育児に関する相談ができるようになったことは大きな前進でしょう。

産後ケア施設を活用した倉田さんのケース


首都圏に暮らす倉田さん(女性・仮名)は、2025年7月末に居住する自治体の産後ケア施設を利用しました。この自治体の利用条件は「宿泊型・日帰り型は産後4か月未満、訪問型は産後1年未満まで」と定められており、倉田さんの子どもは生後3か月で条件を満たしていました。産後に体調を崩し体力に不安があったことに加え、夫が海外出張で家を空ける予定があったため、利用を決意したといいます。


  ▼倉田さんの体験談の続きを読む
心身を休める時間の大切さ
宿泊先の施設では3食に加えておやつも提供され、職員が子どもを預かってくれる時間もありました。その間に休息をとったり、友人や姉妹に電話をしたりと、一人の時間を過ごすことで気持ちのゆとりが生まれました。利用料は1日あたり数千円で、「経済的な負担が少なかったことも魅力だった」と振り返ります。

制度を知っていても使えないこともある
ただし、産後ケア施設の利用には「生後◯か月まで」といった条件があるため、制度を知っていても必ずしも利用できるとは限りません。対象施設が近くにない、予約が取りにくいなどのハードルも存在します。制度そのものを知らない保護者も少なくありません。

保育園問題など、残る課題も多い
また、保育園の整備が進み全国的に待機児童数は減少傾向にある一方で、都市部では依然として入園が難しい地域もあります。希望する園に入れなかったり、条件に合う園が見つからなかったりするケースは後を絶ちません。
こうした現状は、制度の拡充だけでは育児の悩みが完全に解消されていないことを示しています。2025年の今もなお、子育て世代が安心して生活できる環境を整えるためには、支援の選択肢を広げると同時に、その存在を確実に届ける情報周知が欠かせません。


「人に任せる」ことへの抵抗を乗り越える


考え込むママ

「自分でやらなければ」という思い込み

 
田中さんも吉田さんも、育児を始めた当初は「自分でやらなければ」「人に任せるのは甘えだ」という思いを抱いていました。加えて、「母親はこうあるべき」という周囲の目や社会的な空気が、無意識のうちに心を縛りつけていたのです。頼ることは怠けだという感覚が、責任感とともに深く根を下ろしていたのです。

頼ることは家族を守るための選択
もちろん、自分の力で頑張ろうとする姿勢は大切です。しかし、一人で抱え込みすぎれば心も体も疲れ果ててしまいます。田中さんも吉田さんも、自身の経験を通じて「人に任せることは家族を守るための選択」だと気づきました。親が倒れてしまえば、結局は子どもが困ってしまうからです。

ベビーシッター活用で心に余裕が生まれた
田中さんは2人目の育児中、思い切ってベビーシッターを利用しました。「週に1、2回、数時間だけでも来てもらえると心が軽くなりました。私は隣の部屋で横になっているだけ。でも『安心して休める』という感覚がありました」と振り返ります。
吉田さん夫妻も定期的にベビーシッターに依頼し、その時間をリフレッシュにあてました。実際に利用してみると、想像以上に精神的な負担が和らぎ、心に余裕が生まれたといいます。

【吉田さんのベビーシッター体験談】

吉田さん夫妻がベビーシッターを初めて利用したのは、子どもが生後3か月のときでした。夫が仕事で不在の午後から夕方にかけて3時間ほどサポートを依頼し、妻は隣室で休み、睡眠不足の体をようやく癒やすことができたのです。
その後も日中の2〜3時間をお願いするほか、家事代行サービスも併用し、料理を作ってもらうなど、家族以外のサポートを少しずつ生活に取り入れていきました。子どもが小さいうちから「外の手を借りる習慣」をつくったことで、その後も定期的に利用を継続。1歳を過ぎて保育園に通い始めてからは、発熱時に病児保育を活用し、親も休養をとれるようになったといいます。


時間と気持ちに余裕がある出産前のうちに、した方がいいこと


パソコンとスマホで調査
産後は心身ともに余裕がなく、役所や施設に問い合わせたり、情報を整理したりすることが難しくなります。だからこそ、出産前の落ち着いた時期にできるだけ情報を集めて整理しておくことが大切です。

まずは自治体や病院のサポートを確認する


まず確認しておきたいのは、お住まいの自治体や病院が提供するサポートです。産後ケア事業の利用条件や料金、予約方法は自治体によって異なりますし、病院によっては入院中から助産師に相談できるケースもあります。

一時預かり・家事代行など生活支援サービスを調べておく


次に調べておきたいのは、日常生活を支えるサービスです。地域の一時預かりやファミリーサポートは、保育園入園とは別の仕組みで利用できる場合があります。また、宅配弁当や家事代行といった民間サービスも広がっており、事前に登録しておけば必要なときにスムーズに使えます。

情報は夫婦で共有しておくことが大切


集めた情報は、母親だけでなく夫婦で共有することが重要です。母親だけが知っている状態では、いざというときに活用できないこともあります。母子手帳ケースやスマホのメモアプリにまとめておくのはもちろん、夫婦で情報共有アプリを利用している場合はそれを活用すると便利です。

赤ちゃんだけでなく、自身の産後サポートの準備も忘れずに


出産前はどうしても赤ちゃんの準備品や名前など楽しいことに目が向きがちですが、産後の生活を支える仕組みをあらかじめ調べておくことで、より安心して子育てを始められます。

今すぐベビーシッターを依頼してみる

ベビーシッターは、子どもとママパパのサポーター


ベビーシッターと園児
ベビーシッターは、子どもにもママパパにも優しいサポーターです。利用を考えるとき、「他人に子どもを任せていいのだろうか」「家に来てもらうのは不安」と感じるのは自然なことです。加えて、1時間あたり数千円かかる費用も、継続利用をためらう理由になりがちです。

費用を抑えられる支援制度を活用しよう


しかし、近年は、自治体によるベビーシッター利用支援制度が広がり、自己負担を軽減できるケースが増えています。東京都の「ベビーシッター利用支援事業」では、東京都が認定した事業者を通じて契約した場合、条件を満たせば通常よりも低い金額で利用できます。共働き家庭だけでなく、育休中の家庭も対象になる場合があり、知っておくと心強い制度です。

ベビーシッターの魅力は柔軟なサポート体制


ベビーシッターの魅力は、家庭の事情に合わせて柔軟に頼める点にあります。早朝や夜間の依頼、保育園の送迎サポートなどに加え、実際には「リモート会議中に子どもを見守ってほしい」「少し休息をとりたい」といった理由で利用されることも多いです。プロフィールや研修内容を事前に確認できるため、子どもの性格に合ったベビーシッターを選びやすく、利用を重ねるうちに「子どもが懐いてくれる」「安心して任せられる」と実感する親も少なくありません。

親が休むことは、子どもにとっても大切


そして何よりも、保護者が安心して休息をとり、自分の時間を持てることは、子どもにとっても良い影響を与えます。親が笑顔で過ごせることが、子どもの安心感や家庭全体の穏やかさにつながるのです。

キッズラインならスマホから簡単にシッターに依頼できる


笑顔の子ども
ベビーシッターのマッチングプラットフォームであるキッズラインは全国47都道府県にベビーシッターがおり、スマホから24時間いつでも検索・依頼をすることができます。

保育のプロが揃うから安心


ベビーシッターは、保育士資格など8つの資格または研修修了者のみが登録可能で、保育のプロが揃っています。キッズラインには保育士経験を持つベビーシッターもいます。また、助産師や看護師資格を持ち勤務経験がある人もいて、0歳0ヶ月から依頼を受けてくれるベビーシッターもいます。

<キッズラインの5つの特徴>

【特徴1】ベビーシッターは保育資格または特定研修修了者のみ
キッズラインのベビーシッターとして活動ができるのは、保育士や看護師などの資格や育児関連の特定の研修修了者に限っています。また、全てのベビーシッターに毎年更新講習を行っており、保育のプロのみが在籍しています。

【特徴2】お子様に合うベビーシッターを選べる
キッズラインでは親御様の要望に合うベビーシッターを自身で選ぶことができます。育児経験豊富な方に頼みたい、保育園の先生のような方がいいなど、お子様との相性も確かめながら、探してみてください。

【特徴3】スマホで手軽に依頼&決済が完結

キッズラインはWEBブラウザとアプリでサービスを展開しています。日時や時給など細かく検索することができ、顔合わせや本予約も簡単に行えます。完了報告承認後にカード決済をし、スマホの中だけで全てが完結できます。

【特徴4】入会金・年会費・登録料が無料
ベビーシッターの運営会社によっては入会金や年会費がかかるところもありますが、キッズラインは登録料も全て無料。利用料金にあわせて手数料を払う仕組みです。

【特徴5】様々な特技やスキルを持ったシッターが在籍
キッズラインで活動するベビーシッターは、通常の保育に加えて、英語やリトミック、工作などそれぞれのスキルを活かした保育を行っている方も。子どもの興味に合わせて、ベビーシッターを選ぶこともできます。


まずはお試し利用がおすすめ


キッズラインでベビーシッターを依頼するには、事前に顔合わせや面談が必要です。産後は生活が一気に忙しくなり、落ち着いて準備をするのが難しくなることもあります。そのため、余裕のあるうちに一度お試しで依頼してみて、信頼できるサポーターとつながっておくと安心です。

今すぐベビーシッターを依頼してみる

育児は一人で抱え込まない


新生児
育児に疲れたと感じるのは、決してあなただけではありません。頑張りすぎて心身をすり減らす前に、制度やサポートを調べ、必要なときは迷わず頼ること。それは「甘え」ではなく、家族を守るための大切な選択です。
子育ての疲れを一人で抱え込まず、ときにはサポートを得ながら子どもと向き合っていきましょう。キッズラインは、「今すぐ頼みたい」にも「いざというときの備え」にも使えるサービスです。まずは登録してベビーシッターを探してみてくださいね。

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