「わたしの母ものがたり」第2回は、小澤さんの母として過ごしてきた日々を原動力に活動をスタートした、一般社団法人「MOTHER」についての物語。「世界中のママを笑顔に」というコンセプトの裏側には、小澤さんの生き方や未来の子供達へ託すべく母なる強い想いが込められていました。

ママだからできる、ママの力を信じて


産後は慌ただしく過ごす一方で、日に日に生産性、社会性が失われていくような気持ちになりました。

「私にできることって何だろう」
そんなことを思う日々。

社会と繋がりたい...。
窓の外にある眩しい世界をみながら、新たな希望を探していたのかもしれません。

そんな時、熊本で大きな地震が起きて。
いてもたってもいられず、気づけば義援金を募る活動を始めていました。

「行動せず後悔するより、まず行動を」
この思考が私の背中を押したんです。

そして、同時に
「ママの力で、困っているママを助けたい」
という思いが強くわき上がりました。

1人1人の力は小さくても人が集まれば大きな力になるかもしれない、そう思ったんです。

そこで「ママ100人プロジェクト」を立ち上げ、思いに賛同してくださるママを集めて不要になった洋服などを販売。その一部の収益を熊本市にお届けするまでに至りました。
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※写真は2016年春、熊本市長へ義援金を届けた時のもの

3児の母親が「力になりたい」という思いだけで、熊本市長まで辿り着くことができたんです。

当時はMOTHERでも何者でもない、ただの「小澤です」としか名乗ることしかできなかった私にも、「何かできるかもしれない」と希望がわき、MOTHERを設立することにしたんです。

2016年「MOTHER」設立

コンセプトは「世界中のママを笑顔に」

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※2020年光文社より共著として発売された初の書籍。売り上げの一部は「あしなが育英会」に寄付。

MOTHERには、「ママという目線を通して後世のことまで考える気持ちを大事にしたい」という思いが込められています。

自分がいなくなった後の地球や子供の未来に責任を持って考えられる大人でいたいのです。

私は、出産の時に一度命を失いかけていて、そのせいか余計に「命はいつどうなるかわからない」という思いが人より現実的で自分ごとなのかもしれません。

メンバーの中にはお子さんが生まれてから配偶者の方を亡くされたという方もいるし、ご自身がガンサバイバーという方もいて。こういうケースは珍しいことではありません。

もし、自分が急に余命宣告を受けたら...。
その時、この世に残していく子供に何をしてあげられるだろう。

生活や学業は保証されるのか、何かを諦めてしまうような人生にならないか、心配でたまりません。

その支えに、もし社会が子供たちの未来の助けになってくれるとしたら、子供を残していく母親として、多少なりともほっとすることができると思うんです。

子供へ「平等に生きる道」を作ってあげたい

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子供が進学を諦めてしまうと、そのリカバリーをすることは大変ははず。
親がいない、経済力がない、子供には何の罪もないのに負の連鎖を浴びることになるなんて...。

これってとても不公平だし、希望ある未来を失うことにもなる。

だから、
親がどんな環境でも子供は平等にスタートラインに立てる社会であって欲しい。
血の繋がりだけでなく、たくさんの大人の手や目が子供たちを守る世の中であって欲しい。

1人の母として、MOTHERの一員として、強く強く心から願っています。

そして、生きていることは奇跡なんだということも。

ーーvol.3は小澤さんの「私らしく生きること」について支えになった言葉や考え方の物語をお届けします。


【MOTHER】

http://mother-jp.org/

『私たちは、白シャツ×デニムで』(光文社)

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