花粉症とは、植物の花粉に対してアレルギー症状が現れる病気です。一般的には春先に広く飛散するスギ花粉が原因と思われがちですが、花粉症を引き起こす植物はスギ以外にもたくさんあります。もちろん子どもが発症することもあり、発症率は年々増えていることがわかっています。そこで今回は、花粉症の時期と注意すべき症状について医師が詳しく解説します。


花粉症ってどんな病気?


花粉症とは、木や草の花粉に対してアレルギーが生じる病気のことです。様々な症状を引き起こし、重症な場合は外出が困難になるなど日常生活に支障を来すことも少なくありません。まずは花粉症がどのような病気なのか、詳しくみていきましょう。


花粉症の発症メカニズムとは


花粉症は鼻や目の粘膜に付着した花粉に対して、体内の免疫が過剰に働いてしまうことが原因で発症する病気です。私たちの身体には体内に侵入した病原体などの「異物」を攻撃する仕組みが備わっています。このような仕組みを「免疫」と呼び、私たちの身体を守ってくれる働きを担っています。
しかし、免疫の働きが過剰になると様々な症状が現れるように…。これがアレルギーの正体です。花粉症もアレルギーの一種。鼻や目の粘膜に花粉が付着すると、免疫を担う細胞が活動を開始し、アレルギーを引き起こす物質が放出されるようになります。そして、身体に様々な刺激を与えて不快な症状を引き起こすのです。


花粉症はどんな症状が出る?


花粉症の三大症状は「鼻水」・「くしゃみ」・「鼻づまり」です。また、目のかゆみ、充血、流涙などの症状もよく見られ、重症な場合には目ヤニや瞼の腫れがひどくなって目が開けにくくなることもあります。また肌症状が現れることも多く、かゆみに悩まされたり、敏感肌になってしまったりすることも少なくありません。さらには、頭痛や下痢など花粉症とは関係なさそうな症状が現れることもあります。


花粉症の症状はいつ頃から現れる?


花粉症といえば、春先に多くの方が悩まされるスギ花粉症を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、花粉症を引き起こす植物はスギだけではありません。いろいろな植物の花粉が原因となるため、1年を通して発症する可能性があります。そこで、代表的な花粉症と発症時期をご紹介します。


●スギ


スギ花粉は非常に広い範囲に飛散するのが特徴です。近くにスギの木がない地域でも発症する可能性があります。花粉の飛散が多いのは2月下旬から4月上旬頃。しかし、飛散は2月~5月半ば、10月~11月半ばに起こります。飛散量が多いほど症状が強くなるのが一般的です。しかし、わずかな飛散量でも症状が出る方は冬や秋に発症することもあります。


●イネ科


イネ科の植物も花粉症を引き起こします。最も飛散量が多いのは5月下旬ですが、5~9月にまで飛散が続きますので初夏から秋にかけて注意が必要です。


●キク科


ブタクサやヨモギなどキク科の植物も花粉症を引き起こします。特にブタクサは9月上旬に飛散量が増えるので症状が強くなります。しかし、キク科の植物は8月中旬から10月頃までと飛散する時期は限られています。症状が長引くことは少ないでしょう。


子どもの花粉症~こんな症状に要注意!


花粉症は子どもが発症することもあります。子どもの発症率は年々増えており、スギ花粉症の発症率は0~4歳で3.8%、5~9歳で30.1%、10~19歳で49.5%にも上ります。また、スギ花粉以外の花粉症の発症率は0~4歳で2.6%、5~9歳で17.4%、10~19歳で33.8%。このことから花粉症に悩む子どもも多いことが分かります。そこで、花粉症にかかってしまった子どもに出やすい、症状以外で注意すべきことをみていきましょう。


※鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2020年版(改訂第9版)/鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会 (著)


集中力の低下


花粉症は鼻づまりや目のかゆみなどの症状を引き起こすため、重症な場合には頭がぼーっとして集中力が低下してしまうことがあります。花粉症は一時的な症状と思われがちですが、上述したように長く続くこともあるため日中の活動や学業などに支障を来すことも。
小さな子どもは鼻づまりなどの症状を自分で訴えることができないこともあります。何となくぼんやりしていることが増えた…というときは要注意です。


イライラすることが増えた


アレルギー症状を誘発する物質の中には、細い血管に働きかけて血管を拡張させる作用を持つものがあります。鼻の粘膜の血管が拡張すると粘膜が腫れるため、花粉症では強い鼻づまりが起こりやすくなります。鼻づまりは横になるとさらにひどくなることも多く、快適な睡眠を妨げる原因になることもあります。
慢性的な眠気が続くことでイライラすることが増え、癇癪(かんしゃく)を起す原因になることも少なくありません。保育園など集団生活でのトラブルにつながる可能性もありますので注意が必要です。


花粉症は鼻や目の症状だけでなく、それに付随して様々な症状を引き起こします。特に症状を正確に伝えることができない小さな子どもは、鼻水やくしゃみなど目立った症状はなくても、集中力が低下したりイライラするなど生活に支障をきたすことも少なくありません。気になる症状が続くときは早めにかかりつけ医に相談しましょう。


病児対応可能なサポーターを見つけておこう


子どもは急に発熱したり、体調を崩してしまったり。そんな時に限って大事な会議やキャンセルできない用事がある場合は、病児や病後児の預け先としてベビーシッターという選択肢があります。体調が優れない、肌荒れなどデリケートなケアが必要な場合は、知識のある方に保育をお願いしたい方もいらっしゃるでしょう。キッズラインでは小児病棟で働いた経験がある看護士の方など、看護師資格を保有しているサポーターも在籍しております。病児または病後児、感染症の保育に対応しているかどうかはサポータープロフィールからご覧になれます。


急な預け先として必要になった場合に、スムーズに依頼できるよう、依頼したいサポーターを数名候補にあげておく、顔合わせや事前面談を済ませておくことをオススメします。


花粉症を疑ったら受診を


花粉症は様々な植物の花粉によって引き起こされるため、年間を通して発症することがある病気です。また、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど典型的な症状だけでなく、重症な場合には集中力の低下やイライラ感を引き起こして日常生活に支障を来すこともあります。花粉症を疑う症状があるときはもちろん、いつもと違う様子が続くときはかかりつけ医に相談して治療を受けましょう。


■監修ライター:成田亜希子
2011年医師免許取得。一般内科医として幅広い疾患の患者様の診療を行う。行政機関に勤務経験もあり母子保健分野も担当。育児に悩むママたちに医師という立場から様々なアドバイスを助言。プライベートでは二児の母。自身の悩みからも育児の情報発信している。


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