「ママ嫌い」という言葉に傷ついていませんか。「こんなに頑張って子育てしているのに…」「愛情不足なの?」と自分を責める必要はありません。子どもが「ママ嫌い」と言う本当の理由と対処法について、現役保育士が解説します。子どもの気持ちを理解した対応を行えば「ママ大好き」と言ってもらえる日がやってきます。
「ママ嫌い」と子どもが言う理由
子どもが「ママ嫌い」と言うのは、
「ママが好き」だからです。安心できる相手でなければ「嫌い」とは言えません。では、大好きなはずのママに「嫌い」と表現することで、子どもは何を伝えたいのでしょうか。子どもの気持ちを解説します。
【理由1】分かってもらいたいから
自分の気持ちを分かってもらえない時に、子どもは「ママ嫌い」と言います。「ママなら分かってくれるはず」と信じているからです。
子どもにとってママは、生まれたときから「快」をもたらしてくれる存在です。泣いたらすぐに駆けつけて心地良くしてくれるのは、ママだということを子どもは知っています。
しかしママと子どもは別々の人間なので、どうしても気持ちがわからないときもあります。でも子どもはいつでもママに理解され、不快なときはママに「快」の状態にしてもらいたいのです。
「僕(私)のママなのに、なんで分かってくれないの?」といった気持ちを「ママ嫌い」という言葉で表現し始めます。
【理由2】気を引きたいから
ママの気を引きたいときにも「ママ嫌い」と言うことがあります。
「嫌い」と言えば、反応してくれると分かっているからです。
子どもはいつでもママに見ていてもらいたがります。見ていてもらうと安心できるからです。
子どもはママの気を引くためなら、怒られると分かっていることでもします。「嫌い」と言う方が「ママ見て」と言うより自分のことを見てくれる、と誤学習してしまうと、ママの気を引くために「ママ嫌い」と表現するようになります。
【理由3】わがままを言いたいから
わがままを言いたくて「ママ嫌い」と言うこともあります。子どもにとってママはわがままを最大限受けとめてくれる存在です。
どんなにわがままを言っても最終的には見捨てられないことを知っています。
あえて負の表現をぶつけることで、それでも自分はママに守られていることを再確認しているのです。
保育園やお出かけ先では、子どもは自然と周りに気を使い、自分の気持ちをコントロールしています。だからママと向き合ったときに安心して、疲れが出るのです。
「ママ嫌い」とママに当たったり、わがままを言ったりすることで、1日のストレスを発散し、心の安定を取り戻します。
子どもに「ママ嫌い」と言われた時の対処法
「ママ嫌い」と言われると、ママにも負の感情が生まれてしまいますよね。言葉の意味をそのまま受けとる必要はありません。
子どもの「ママ嫌い」は「ママ大好き」の裏返しです。子どもの本音を理解した上で、対応策を考えていきましょう。
ここからは「ママ嫌い」と言われたときの対処法をご紹介します。
◆「ママ嫌い」の裏に隠れた気持ちを読みとる
「ママ嫌い」という言葉の裏にはどのような気持ちが隠れているのか、想像してみましょう。
・悲しい
・疲れている
・ママに見てほしい
・言葉にできない思いを分かってもらいたい
・わがままを言っても受けとめてもらえることを確認したい
子どもの中に混沌とした負の感情が溜まっている状態です。訳のわからないモヤモヤを抱え「ママになんとかしてもらいたい」「ママなら助けてくれるはず」と思っています。
目の前のわが子は今、何から助けてほしくて「ママ嫌い」と表現しているのか、想像してみましょう。言葉で言い表せなかった本当の気持ちをママに理解してもらえたと分かれば、子どもの心も晴れてくるはずです。
◆子どものありのままを受けとめる
子どものありのままの姿を受けとめましょう。「ママ嫌い」と言ったら「ママ嫌いって言いたいのね」と受けとめ、大泣きしたら「泣きたい気分なのね」と受けとめます。
「大丈夫。どんな表現をしても、ママはあなたのことが大好きだよ」という気持ちを言葉と態度で示していくと、子どもは安心します。
子どもも人なので、負の感情が湧くときもあります。負の感情は、出しきった方がスッキリするものです。気持ちを表現できるのはよいことです。あとは適切な言葉で表現できるようにサポートするだけです。
子どもを否定していれば、子どもは徐々に表現しなくなります。同時に、ママへの信頼感も失われてしまいます。
感情を身体で表現できるのは子どもの特権です。「一生懸命に生きてるんだな」と子どもの生命力を喜びましょう。
※ただし「叩く」など子どもが人に危害を与える行動を取ったときは例外です。止めるか、別に叩くもの(クッションなど)を渡しましょう。
「ママ嫌い」と言われたときの会話例
「ママ嫌い」と言われたとき、とっさにどう返したらいいのか迷いますよね。子どもの気持ちをくみ取る会話例を紹介しますので、参考にしてみてください。
《保育園のお迎え時》
母「ただいま〜」
子「ママ嫌い!」
母「ん?どうしたの?」
子「ママやだ!嫌い!」
母「え〜、ママのこと嫌いなの?」
子「嫌い!あっち行って!」
母「ママは〇〇ちゃんのことが大好きだけどなぁ」
子「やだ!〇〇ちゃんは嫌い!」
母「ママ、悲しいなぁ。泣きたくなっちゃう。」
子「〇〇ちゃんだって泣いたもん!ママが行っちゃったから!」
母「そっか。ママと離れて寂しかったんだね。」
《ママが赤ちゃんを抱っこしているとき》
母「かわいいね〜」
子「…」
母「ほら、〇〇ちゃんもこれくらい小さいときがあったんだよ〜」
子「ママ嫌い!赤ちゃんも嫌い!」
母「嫌いなの?どうして?」
子「だって〇〇ちゃんのママなのに!ママがだっこするのは〇〇ちゃんなのに!」
母「そうだよね。まずは〇〇ちゃんをだっこしなくっちゃね」
《保育園から帰るとき》
子「ママ、靴やって〜」
母「自分で履けるでしょ」
子「やって、やって〜」
母「早く履きなさい!」
子「ママ嫌い!大っ嫌い!」
母(深呼吸、深呼吸…今日は何か嫌なことでもあったのかな…)
「どうしても今日はママに履かせてほしいの?」
子「そうだってば!早く!」
母「そっか。今日はちょっと疲れちゃったね。右と左、どっちの靴から履く?」
子どもの気持ちを受けとめるのが、はじめの一歩です。「嫌い」という言葉に過剰な反応はせず、子どもの気持ちを読み解いたり、引き出したりするやりとりを意識しましょう。
「ママ嫌い」と言われて親がやってはいけないNG例
「嫌い」と言われれば、ママも傷つきます。しかし感情のままに反応すれば、子どもも傷ついてしまいます。さらなる反発やママに対する不信感を招きかねません。子どもの心の成長を守るためには、親の感情と行動のコントロールが必要になってきます。ここからは、親がやってはいけない行動をご紹介します。
【NG1】感情的になる
「嫌い」と言われたら、嫌な気持ちになるのは自然なことです。その嫌な気持ちをどう表現するかが問題です。相手は生まれてまだ数年の子どもです。まだ感情のコントロールの仕方も身につけていません。
子どもと同じ熱量で、感情的な言葉をぶつけないように気をつけましょう。
感情的な言葉とは…
「悪い子だね」
「ママだって嫌い」
「そんな子に育てた覚えはない」
「そんなこと言うなら置いて帰る」
「そんなこと言う子はママの子じゃない」
子どもの本当に言いたいことを引き出せる言葉ではありませんね。むしろ子どもを黙らせるための言葉です。子どもを理解できないだけでなく、深く傷つけてしまう可能性が高いので、まずはママ自身の感情をコントロールする必要があります。
【NG2】無視をする
感情的にならないために「無視をする」という行動をする方もいますが、これはおすすめできません。
存在を無視されてしまうと子どもは「ママは私のこと好きじゃないんだ」と感じてしまいます。ママが好きだから「嫌い」と言っていたのに、「嫌い」さえも言わなくなってしまいます。
その時期の煩わしさはなくなるかもしれませんが、子どもの気持ちを理解するチャンスはどんどん減っていきます。人の気持ちは成長すればするほど見えにくくなります。
幼児期ほどわかりやすく表現してくれる時期はないのです。子どもが伝えようとしているときには無視をせず、理解しようと歩み寄ることが大切です。
【NG3】しつけようとする
「ママ嫌い」と言うのはしつけができていないからだと感じ、子育てを見直そうとする方もいますが、これはしつけの問題ではありません。
子どもは不安な感情を言語化できないから、「ママ嫌い」と表現するだけです。
正論で言い返したり、叩いて教えようとするのは間違いです。「ママ嫌い」と言わないようにするのではなく、本当は何が言いたいのか表現できるようにすることが大切です。
気持ちの言語化は、言い聞かせてできるようになるものではありません。子どもが自分の気持ちを話す経験を繰り返すことでできるようになります。「ママ嫌い」と言わないようにしつけるのではなく、子どもが上手に感情表現できるようサポートしていきましょう。
「ママ嫌い」に困ったら、育児のプロに相談するのも手
間違った対処をすれば「ママ嫌い」はひどくなります。ママも子どもも傷つき、親子の関係性が複雑になってしまいます。既に子どもとの関係で、どこから手をつけたらいいのか分からないくらい困っているのなら、育児のプロである
ベビーシッターに頼ってみてはいかがでしょうか。
子どもとママの間に誰か1人いてくれるだけで、気持ちが楽になります。保育園等の集団保育施設では、なかなか親こそれぞれの悩みを相談するのは難しいですよね。。その点、
家庭に入って子どもの様子を見守ることができるベビーシッターなら、子どもだけでなくママの気持ちも理解してフォローしてくれますよ。
今すぐベビーシッターを依頼してみる
ママ嫌いは一時的。子どもの成長を見守って
「ママ嫌い」は、大好きなママだからこそ安心して言える言葉です。否定的な感情をぶつけても見捨てられないことを再確認しているのです。
「ママ嫌い」と言われたら「信頼してくれてるんだ」と受け取りましょう。子どもの本心ではないので、傷つく必要はありません。
子どもが本当に求めていることは何なのかを想像し、推測しながらやりとりを繰り返していくことで、子どもの気持ちが分かるようになります。「自分には難しい」「もう手遅れな気がする」と思っているママは、一度プロに頼ってみましょう。ママが諦めない限り、子どもとの関係性は取り戻せます。
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キッズラインには、家庭保育のプロが在籍
ベビーシッター・家事代行サービスのマッチングプラットフォームであるキッズラインでは、
ベビーシッターとして、保育士や看護師など保育の専門資格や研修を完了した家庭保育のプロフェッショナルが多数在籍しています。
初めてのシッターに保育を依頼する際には、顔合わせまたは事前面談が必要なので、まずはよさそうな人に連絡を取ってみましょう。「ママ嫌い」と言われる状況などを話してみて、ベビーシッターそれぞれの保育への姿勢を聞いてみるのがオススメです。
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■保育士ライター 佐野希子
18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。
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