育児に積極的に参加をしたくても「ママがいい」と子どもに泣かれてしまい、困った経験があるパパは多いのではないでしょうか。子どもにとってママの存在が大きいのは間違いありません。だからといって、パパも育児を諦めるわけにはいきませんよね。「ママがいい」と泣かれた時の対処法を知っておけば、子どもとの距離を少しずつ縮めていけます。今回はそのコツを、現役の保育士がご紹介します。

「ママがいい」はいつまで続く?


泣く子供
「ママがいい」のピークは1歳半前後と言われています。子どもによって異なりますが、子どもによっては小学校へ入学するまで続く場合もあります。
「ママがいい」という感情は、子どもの発達によって表現の仕方が異なるので、年齢別に解説します。

【生後7ヶ月前後】「ママがいい」の始まり


「ママがいい」の始まりは生後7ヶ月頃です。脳が発達し、人見知りをするようになるからです。
ママ以外はどんな人なのかわからないので、不安になって泣きます。まだ赤ちゃんなので言葉で伝えることはできませんが、慣れない人に抱っこされれば「ママがいい」と訴えて泣くのです。

【1歳半】「ママがいい」のピーク


「ママがいい」のピークは1歳半前後です。
歩いたり、言葉を発したり、少しずつできることが増えてきます。しかしまだ自分でできないことが多いので、ママの側が安心なのです。
そこで自分を守ってもらうために「ママがいい」と泣き、頻繁にママを呼びます。

【2〜3歳】「ママがいい」の終息期


「ママがいい」の終息期は2〜3歳頃です。
言葉が喋れるようになり、友だちができるなど人間関係が広がる時期です。興味の対象がママから友だちに移ることで「ママがいい」と言わなくなっていきます。
慣れた場所では「ママがいい」と言わなくなっても、不安になった時に再度言い始める子がいます。小学校へ入学する時は環境が大きく変化するので「ママがいい」と訴える子も少なくないでしょう。

「ママがいい」と子どもが言うのはなぜ?


「ママがいい」と子どもが言うのは、不安が大きな理由です。子ども自身が安心しているときには「ママがいい」とは言いません。
では、なぜ「パパ」ではなくて「ママ」がいいのでしょうか。その理由を解説します。

●本能的にママを求めているから


赤ちゃんは本能的にママを求めていることがあります。
生を受けたときにはママのお腹の中でした。10ヶ月という期間、へその緒でつながって過ごしてきたのです。生まれてからはママのおっぱいを吸います。誰かに教えられた訳でもないのに吸えるのは、生きるための本能が働いているからです。
赤ちゃんにとってママの存在は必然であり、そのために本能的に求めてしまうのです。

●ママは満たしてくれる存在だから


赤ちゃんにとってママは、自分の欲求を満たしてくれる存在です。
お腹が減ったらおっぱいやミルクを与えてくれるし、眠たくなってぐずったら抱っこしてくれます。いつも快の状態をもたらしてくれるママは、赤ちゃんにとって不可欠な存在です。
一般的に、ママはパパよりも赤ちゃんと過ごす時間が長いので、ママの方がより赤ちゃんの欲求を理解できるようになります。もしママよりもパパの方が赤ちゃんと接する時間が長ければ、「パパがいい」と言うようになる可能性も高いでしょう。

「ママがいい」という子どもにできるママの対処法


泣く子供とママ
「ママがいい」と泣かれるのは、ママにとってもつらいものです。しかし適切な対応をしなければ、子どもの不安は解消されず、必要以上に「ママがいい」と泣き続けることになります。では「ママがいい」と泣かれた時、ママはどう対処したらよいのでしょう。シーン別に解説します。

【シーン1】保育園へ預けるとき


「ママがいい」と泣かれる状況で一番多いのは、保育園へ預けるときではないでしょうか。子どもを保育士へ引き渡す際、「ママがいい」としがみつかれた経験のある方は多いでしょう。そんなときのOK行動とNG行動を紹介します。

【OK行動】
「お仕事、行ってくるね」と言いながら、ぎゅっと抱きしめる
泣いても、保育士へサッと引き渡す
笑顔で手を振り、振り返らずに仕事へ行く

【NG行動】
「泣いているからかわいそう」と思い、いつまでも保育士へ引き渡さない
保育士へ引き渡したあと、泣いている子どもが気になってなかなか立ち去らない
心配そうな顔で何度も振り返りつつ仕事へ行く


「ママがいい」と泣く子どもが心配で、つい【NG行動】をとってしまうママも少なくありません。しかしママが不安な顔をしていると、子どもも不安になってしまいます。
ママが笑顔でいれば「ここは安心できる場所なんだ」と子どもは理解していきます。そして拠り所となる保育士を探し始めるのです。
子どもが保育園で安心して過ごせる日がくるように、別れ際は笑顔で、手早く行動しましょう。

【シーン2】パパのところへ行かないとき


「少しの間でもパパと遊んでいてくれれば、もう少し家事がはかどるのに…」という状況に陥るときもありますよね。子どもがママだけでなく、パパにも懐くにはどうしたらよいのでしょうか。

【OK行動】
ママがパパと仲良くしているところを見せる
「パパに渡してきて」とお手伝いを通してパパと関わる機会を作る

【NG行動】
パパに頼るのを諦める
パパに無理やり押しつける


子どもにとってパパが安心できる存在になれば、パパとも過ごせるようになります。まずはママが仲介して、子どもとパパの接点を増やしていきましょう。
時間をかけてしっかり信頼関係を築いていけば、子どもはパパも大好きになります。焦らずに、諦めずに、パパとの関係を構築していきましょう。

ママがいるのに「ママがいい」と泣くのはなぜ?【著者の体験】
著者の息子が2歳で、イヤイヤ全盛期の話です。
ある日、うまく着替えができなくて大泣きしていました。手伝おうと手を差し伸べても振り払われ、全力で泣き叫びます。時間の経過とともに私もイライラしてきます。
そして息子は「ママがいい !!」と泣くのでした。
(いや、ママは目の前にいるし。なんなら、手伝うって言ってるのに…。)
「ママがいい !!」と泣くので「じゃあ、抱っこする?」と手を差し出すと、叩かれる始末。
(ママって、私じゃないんかいっ!)
心の中でツッコミを入れつつ、募るイライラをどうにか抑えようと必死でした。

ママである私は目の前にいるのに「ママがいい」と泣かれるのはなぜか、今ならわかります。
「ママ」は安心の象徴です。イライラしているママではなくて、優しく受け入れてくれるママを求めて「ママがいい」と泣いていたのでしょう。


「ママがいい」にパパが対処するときのコツ


パパと赤ちゃん
パパも積極的に育児に関わろうとしているのに、肝心の子どもに逃げられてしまうと、困ってしまいますよね。「ママがいい」と言われた時のパパの心の持ち方と対処法をご紹介します。

「パパも好き」を目指す


子どもにとってママの存在は絶対です。ママに勝とうとしてはいけません。
「ママが好き」そして「パパも好き」の状態を目指しましょう。子どもにとってママは「安心できる場所」です。ママが側にいる場合、安心できる場所は2つも必要ありません。
パパはパパのできることで「大好きな場所」となりましょう。いっぱい遊んであげると、子どもはパパが大好きになります。

「ママがいい」と泣く子どもへの対処法


「ママがいい」と言う子どもに効果的な会話例をご紹介します。

【会話例】
子「ママがいい〜」
父「ママがいいのかぁ」
子「ママがいい〜」
父「ママが好きなの?」
子「ママ〜」
父「ママが1番好きなの?」
子「うん」
父「そうなんだ。ママのことがすっごく好きなんだね」
子「うん」
父「ママのお目めも好き?」
子「うん」
父「ママのお口も好きなの?」
子「うん」
父「そっか〜。じゃあ、ママと公園で遊ぶのも好き?」
子「うん」
父「じゃあ、おやつ食べたら公園に行こうか」
子「うん」


ポイントは、子どものYESを引き出す問いかけから始めることです。「ママがいい」と言っているので、もっともYESが得られやすい質問は「ママがいいの?」です。少しずつ言葉を変えて、子どものYESをたくさん引き出しましょう。
「気持ちをわかってもらえた」と感じられれば、子どもは少しずつ心を開いてきます。
パパの言葉とともに子どもの気持ちも移り変わっていくので、焦らずじっくり子どものYESを引き出していきましょう。

「ママがいい」は、親以外だと収まることも


「ママがいい」は親以外の大人が対応すれば収まることもあります。実際に保育園では、始めこそ「ママがいい」と泣きますが、ママの姿が見えなくなればすぐに落ち着いて遊び始めます。
子どもにとってママとパパはもっとも身近で、安心できる存在です。同時に甘える気持ちも持ち合わせているので、少しの不安でも助けてもらいたくなってしまうのでしょう。
子どもの「ママがいい」に対応しきれない時は、親以外の人に頼るのも1つの方法です。

今すぐベビーシッターを依頼してみる

「ママがいい」は一時的。困ったらサポートの手を借りて


ベビーシッターに預ける
「ママがいい」と言う時期は、一時的です。心や身体の成長とともに必ず減っていきます。
ただしわかっていても、度々「ママがいい」と拒否されるのは、パパにとって辛いもの。保育園の送迎やママのお出かけなどで困ったら、ベビーシッターにサポートしてもらうのも一つの手です。
一時的なものだからこそ、人の手を借りながらうまく切り抜けていきましょう。ママパパの笑顔が多いほど、子どもは「ママがいい」を早く卒業していくはずです。

ベビーシッターなら、子どもに安心感を与えられる


ベビーシッターは、家庭での保育を担うプロです。子どもがどんなことに不安を感じ、どんなことで安心感を覚えるのかを理解して子どもに向き合ってくれます。
一番リラックスできる自宅で保育を行えるため、必要以上に子どもが不安を抱くことがありません。ママが出かける際に「ママがいい」と泣いたとしても、ママの外出後はベビーシッターがうまく気持ちを切り替えさせてくれます。
「ママがいい」が強くて、パパにも預けられないといった場合でも、ベビーシッターなら適切に対処してくれます。

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キッズラインには、家庭保育のプロが在籍


ベビーシッター・家事代行サービスのマッチングプラットフォームであるキッズラインでは、シッターとして、保育士や看護師など保育の専門資格や研修を完了した家庭保育のプロフェッショナルが多数在籍しています。
初めてのシッターに保育を依頼する際には、オンラインでの顔合わせまたは対面での事前面談が必要なので、まずはよさそうな人に連絡を取ってみましょう。「ママがいい」と泣いて離れられない状況であることなどを話してみて、お互いの相性を確かめてみるのがオススメです。

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■保育士ライター 佐野希子
18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。


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