発疹が全身に広がる水疱瘡。定期のワクチン接種の対象となっている感染症ですが、予防接種をしてもかかることがあります。1歳から接種が可能ですが、集団生活をしていると接種前にかかることもあります。発疹は強いかゆみがあるため掻きむしってしまうことも少なくありません。そこで看病の際の注意点について医師が解説します。
水疱瘡ってどんな病気?
水疱瘡は、水痘帯状疱疹ウイルスによる感染症です。潜伏期間は10~21日と長めなのが特徴で、感染力が強いとされています。まずは、水疱瘡の特徴について詳しくみていきましょう。
どんな症状が出るの?
水疱瘡は、全身にかゆみを伴う発疹ができ、38℃前後の発熱、ダルさなどの症状がみられます。子どもの場合は、まずは発疹ができることが多いとされています。発疹は赤く平らなものから盛り上がりのあるものに変化し、最終的には水ぶくれとなって潰れてかさぶたになるのが特徴です。一般的には、頭皮に発症して、胸や背中、手足に広がっていきます。
多くは2~3日程度で熱が下がり、1週間ほどで発疹がかさぶたになって落ち着いていきます。子どもが重症化することは少ないですが、1歳以下の子どもで肺炎や髄膜炎を起こすケースもあるため注意が必要です。
どんな治療をするの?
水疱瘡の原因である水痘帯状疱疹ウイルスには抗ウイルス薬が存在しています。しかし、重症化することが予想されるケースを除いて、抗ウイルス薬が使用されることはまずありません。子どもの場合は、発疹のかゆみや炎症を鎮めるための塗り薬や解熱剤などによる対症療法を行うのが一般的です。
ただし、発疹がのどの粘膜にできた場合は、痛みで十分に水分を摂れなくなることがあります。数日間は熱も高くなるため、脱水になった場合は点滴治療が必要になることもあります。
大人が水疱瘡にかかったら?
水疱瘡は90%以上が9歳以下の子どもに発症するとされています。一度感染したら免疫ができるため、二度とかかることはありません。
しかし、一度も感染したこともなく予防接種も打っていない場合は、大人になってから感染する可能性もあります。大人が水疱瘡にかかると子どもより重症化しやすいのが特徴で、入院治療が必要になるケースも少なくありません。
子どもが水疱瘡になった時の注意点
水疱瘡は全身に痒みが生じるため、発症すると一晩中機嫌が悪くなる子どもも少なくありません。掻きむしってしまうことで痕が残ったり、傷口から細菌感染が起こったりすることもあります。子どもが水疱瘡にかかった時は、どのようなことに注意すればよいのか詳しくみていきましょう。
脱水に注意しよう
上述したように水ぶくれはのどの粘膜にできて痛みを引き起こすことがあります。高熱な上に、水分が十分に摂れないと脱水になってしまう子どももいます。特に水分の必要量が多い赤ちゃんは注意しましょう。肌や唇、口の中が乾いている、ぐったりしているなどの変化は脱水のサインかも知れません。早めにかかりつけ医に相談しましょう。
かゆみ対策をしよう
水疱瘡のかゆみは非常に強く、掻きむしらないように注意しても我慢できない子どもも多いでしょう。一般的にかゆみは身体が温まったり、血行が良くなったりすると強くなります。発疹が落ち着いていない時の入浴は控え、ぬるめのシャワー浴にするのが良いでしょう。また、室内も汗をかかないような温度に調整しましょう。かゆみが強い部分は保冷剤などで冷やすのもオススメです。
感染対策も忘れずに!
水疱瘡は、感染力が強いため看病するママパパ、ご家族に一度も感染したこともない、または予防接種も打っていない人がいる場合、うつる可能性があります。手洗い、消毒、マスク着用など基本的な感染対策をしっかり行うことが大切です。
しかし、水疱瘡は同じ空間にいるだけで空気中を漂っているウイルスから感染する「空気感染」を起こすこともあります。子どもが休んでいる部屋は定期的に換気をしましょう。また、水疱瘡のウイルスは咳やくしゃみ、鼻水などだけでなく、水ぶくれが潰れた時に出る液体にも多く含まれています。水ぶくれが潰れた痕は素手で触れないようにし、寝具やタオルの共用を避けることも大切です。
病児・病後児の保育も依頼可能
感染症に関わらず、子どもは急に発熱したり、体調を崩してしまうものです。そんな時に限って大事な会議やキャンセルできない用事がある場合は、病児や病後児の預け先としてベビーシッターという選択肢があります。キッズラインでは小児病棟で働いた経験がある看護士の方など、看護師資格を保有しているサポーターも在籍しております。病児または病後児、感染症の保育に対応しているかどうかはサポータープロフィールからご覧になれます。
急な預け先として必要になった場合に、スムーズに依頼できるよう、依頼したいサポーターを数名候補にあげておく、事前面談を済ませておくことをオススメします。
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まとめ|1歳になったらすぐ予防接種を
水疱瘡は子どもによくみられる感染症の一つです。かゆみを伴う発疹が全身にできるのが特徴で、掻きむしってしまうことで痕が残ることも。看病するときは、かゆみが強くならないよう、身体を温めすぎないことに注意しましょう。また、大人がうつると重症化しやすいので感染対策に注意することも大切です。今回ご紹介したポイントに注意して、お子様が水疱瘡にかかったら注意しながら乗り越えましょう!なお、水疱瘡の予防接種は1歳から打つことができます。一回の接種で重症化を予防できる高い効果が期待されるため、1歳のお誕生日を迎えたら早めに接種しましょう。
■監修ライター:成田亜希子
2011年医師免許取得。一般内科医として幅広い疾患の患者様の診療を行う。行政機関に勤務経験もあり母子保健分野も担当。育児に悩むママたちに医師という立場から様々なアドバイスを助言。プライベートでは二児の母。自身の悩みからも育児の情報発信している。
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