第9回はアフリカ・ケニア移住歴3年、1児の母であり、移住後に立ち上げたアパレルブランド「RAHA KENYA」の代表取締役をつとめる河野リエさんのストーリーをお届けします。ケニアに渡り、日本にいた頃より「自分らしく生きている」と語る河野さん。移住先の子育て事情や文化を綴ってくださいました!

子育てはみんなですれば良い

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ケニアに渡って、たくさんの人に支えてもらっていますが、何より家族のように我が家に欠かせない存在がベビーシッターさんです。

専門的な技術を持っていない女性は、比較的家事の手伝いやベビーシッターを仕事にする人が多く、喜んで引き受けてくれるんです。

そのため、我が家のような駐在員の家庭は、ほとんどがお手伝いさんやベビーシッターさんをお願いしています。昨年の秋に出産しましたが、娘が生まれてからは毎日、朝から晩までベビーシッターに来ていただいてます。ケニアでは、日本に比べてお手伝いさんやベビーシッターさんとの距離が近いんじゃないかな、と思うんです。

お陰で「母である立場なんだから自分が全てやらなくちゃ」という考えよりも「みんなで子育てすれば良いんだ」と自然に思えるようになりました。

実は、離乳食もベビーシッターさんの方が詳しくて、全て作ってもらっているんです。新しい食材を始める時やおかゆの硬さなど、月齢によるステップも全部教えてもらいました。新米の私よりずっと知識と経験があるので、本当に助かっています。

また、昼間は外に出ると、各家庭でお願いしているご近所のベビーシッターさんと子供たちが集まって遊んでいます。そんな風景をみていると「みんなで子育てする文化なんだな」と感じ、娘をお願いすることに全く引目を感じなくなりました。

ケニアの女性は強くて逞しい

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ケニアに来て驚いたのは、シングルマザーがとても多いことです。私がお願いしているベビーシッターさんもその1人ですが、働きながら子育てをしている女性がたくさんいます。

そんな女性たちを見ていると、「ケニアの女性は強いな」と感心してしまいます。布屋さん、ミシン屋さんなどに仕事柄よく行きますが、店内の奥にベビーベッドがあったり、赤ちゃんを抱っこしながら仕事をしてる光景をよく目にします。

現地の人はそれが当たり前なので、母親が忙しい時は別の大人が抱っこしたりして、自然と助け合っているんですよね。また、年長さんくらいになるとお母さんの後ろに大人しく座って手伝いをしていたり、下の子のお世話をしている場面もよく見かけます。

そのため「助け合って今を生きる」といった生命力を日々感じます。

日本にいた頃は、生きること、生活できること、仕事を選べることが当たり前だと思っていましたが、ケニアに来てそうでない環境もあるのだと目の当たりにしました。そして日本がいかに恵まれているかも改めて知るきっかけにもなったんです。

今を大事に生きることの大切さ

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ケニアでは、その日に職があるかわからない人、仕事が明日なくなる人もいます。そのため「できることはなんでもやる」「仕事があること自体ありがたい」と考えていて、そんな彼らを見ると「今を大事に生きることの大切さ」が伝わってきます。

また、ある時たわいもない会話の中で「あなたは楽しんでる?幸せなの?」と当たり前のように職人さんに聞かれたことがあります。

私は唐突すぎてびっくりしてしまったんですが、改めて「自分の幸せや楽しんでるか」ということを自問すると、むしろそれ以前に考えたこともなかったことに気づきました。それと同時にもっと図々しく自分のことを考えて良いんだ、ということを教えられたように思えたんです。

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さらには、「楽しんでる?あなたが楽しくないと私は楽しくないし、自分が楽しいと思うことをしなさい」と言われたこともありました。その時もハッとさせられたんですが、自分が幸せなら周りが笑顔になることを再確認したんです。

お陰で今は、自分が楽しめているか、幸せかという観点にとても敏感になりました。ケニアには日本ほどの生活の豊さはありませんが、お金では決して買えない心の豊さに満ちています。そして、自分の幸せが何かちゃんとわかっているんです。

スラム街に住む若者と仕事をした時に「僕はお金はないけど家族がいるから幸せ」と言っていたのが印象に残っています。当たり前のことですが、屈託もない笑顔とまっすぐな瞳で言うその言葉に、改めて大事なことを教わったような気持ちになりました。

周りの目より自分がどうしたいか

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日本にいる時の私は、人の目や意見をものすごく気にしていました。仕事をする時も、洋服を選ぶ時も、誰かに相談してから決めていたし、新しいものに挑戦することも躊躇するタイプだったので、洋服はいつもモノトーンばかりでした。

しかしケニアに来てみたら、大胆な柄や派手な色を身につけた女性たちがとにかく眩しくて。「自分の好きなものを自由に表現してる」と言わんばかりに輝いて見えたんです。

「ケニアの女性はかっこいい!」と思い、私もマネをして人生初めて派手な柄を身につけてみたんです。すると、予想以上に周りから褒められて!すごく嬉しくて「もっと知りたい、他の色や柄に挑戦したい」という前向きな気持ちになれたんです。

初めて洋服からポジティブなパワーをもらい、過去の自分を脱出できたようにも思えました。そこで、このポジティブなエネルギーを日本にも広めたいと思い、2018年に活動をスタートしたんです。

今では、自分を表現することの楽しさ、人と違う私って素敵、そんな風に思いながら着こなす日本の女性を思い描きながら物作りをしています。

私の生き方が誰かの1歩になれたら

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「やりたいことに踏み切れない」「自分らしさがわからない」といった相談を受けることがあります。過去の私はいつも「自分らしさ」について考えていたので気持ちがとてもよくわかります。

ですがケニアに来てからは「自分らしく生きること」は、誰かに決めてもらうのではなく、自分で考え、選択し、そして行動すること。それが自分らしい人生のストーリーになっていくと思えるようになりました。また、「周りの視線や言葉を一旦無視して、自分はどうしたいか」ということを1番大事にして欲しいと思っています。

今後も「旦那さんがいるから」「子供がいるから」というのを理由に挑戦することを諦めることなく、自分らしく生きていきたいです。そして「私らしく」生きる姿をみて、誰かが一歩を踏み出すきっかけになってくれたら嬉しいです。

実は、RANA KENYAのブランドコンセプトは「個性と自信を持って前向きに一歩踏み出そう」というものなんです。

日本の皆さんに、ぜひその思いを届けたくてチャレンジしてきましたが、今後はケニアの人たちにも一歩踏み出すきっかけを作っていきたいと思っています。

というのも、子供と一緒に私が日本に帰る時、ベビーシッターさんに「職がなくなっちゃう、どうしよう」と言われたことがあったんです。そこから、「ベビーシッターさんのような身近な人から助けていきたい」という思いが湧き、ケニアのシングルマザーの方に技術を提供し、作ったものを販売していくというプロジェクトを始動しました。

10月からはケニアにも出店します。今は2カ国の挑戦ですが、今後世界のマーケットにも目を向け、1人でも多くの人に「個性と自信を持って前向きに一歩踏み出す」ということを伝えていきたいです!

RAHA KENYA
https://rahakenya.com/

▶︎POPUP情報
東京
⦅日時⦆9月18日(土)~19日(日) 11:00-17:00
⦅場所⦆東京都目黒区青葉台1-22-2 AYビル1F

大阪
⦅日時⦆10月2日(土)~3日(日) 11:00-17:00
⦅場所⦆WB Gallery (大阪市西区南堀江1-11-8 ルーブルコート南堀江301)



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~ キッズラインとは ~

1時間1,000円から、即日手配も可能!お子さまを預けたいママ・パパとベビーシッターをインターネット上で繋ぐマッチングサービスです。子どもの対象年齢は0歳から15歳まで。産後ケア、英語レッスンや家庭教師もご依頼頂けます。

事前に全シッターの詳細なプロフィールや利用者の口コミ評価がわかるため、安心して依頼することができます。
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