妊娠前に比べて出産後から「ボーっとする」「物忘れが多くなった」などと感じているママは多いのではないでしょうか?もしかすると、その症状は「マミーブレイン」によるものかもしれません。この記事では、マミーブレインとはなにか、いつ治るのか、対処法などの基礎知識を助産師が詳しく解説します。出産後に起こるマミーブレインについて知り、マミーブレインと上手に付き合っていきましょう。
最近になって耳にするようになった「マミーブレイン」ですが、具体的にどのようなものかご存じの方は少ないかもしれません。「マミーブレイン」とは一体どういうものなのでしょうか。
マミーブレインとは、産後ぼーっとする、物忘れがひどいなどの「産後ボケ」のような現象のことをいいます。これらの現象は、出産の痛みを忘れるための一過性のものである、ホルモンの変動が脳に影響を与えるなどと考えられていますが、明らかな因果関係は分かっていません。
【助産師からの一言アドバイス】
「マミーブレイン」という言葉は、医学的用語ではなく一般的に産後の女性の忘れっぽくなる特有の現象のことを差し、産後のママの悩みのひとつとして相談を受けることが多いです。
マミーブレインは産後特有の忘れっぽさのことをいい、病気ではないため治療法はありません。しかし、マミーブレインになりやすい人の特徴はあるようです。
マミーブレインは出産した女性全員がなるわけではないのですが、産後は多かれ少なかれボーっとすることが増えると言われています。
最近の研究では、妊娠と同時に脳の変化が始まり、産後にはホルモンの影響もあって、脳が7%ほど萎縮することが分かってきました(※1)。脳全体は萎縮するものの、共感を司る部位は拡大しており、母親として赤ちゃんに対してより思いやりを持てるように変化していくことも分かってきています。
【助産師からの一言アドバイス】
赤ちゃんを世話するための準備は妊娠中から始まっていて、それに引き換え脳の萎縮が起きているため、物忘れも多くなっているのかもしれません。いずれにしても
、産後の必要な変化と言えますね。
(※1)参考文献: 平成27年度国際交流助成(海外渡航) 公益財団法人中山人間科学振興財団活動報告書 2015
「社会脳のヒューマンサイエンス」 中川 秀紀 東京電機大学工学部
マミーブレインは、脳の萎縮が原因の一つと考えられますが、ではその症状はいつまで続くのでしょうか?
産後の肥立ちが人によって異なるように、マミーブレインの回復時期も人によって異なります。
研究によると妊娠時より脳の変化は始まり、出産後は少なくとも2年間、脳は変化し続けると考えられています。「え!2年も戻らないの?」と焦るママもいるかもしれません。でも、それほど心配することはありません。多くの場合、約半年ほどでボーっとすることは減ってきて、徐々に生活にも順応していき、むしろ産後のママは幅広い視野でいろんなことを考えられるようになると言われています。
家事もしながら育児もして家族のサポートもする…こうしたマネジメント能力は、産後のママが長けていると言われています。
社会復帰を考えていたり、上の子のお世話をしているママ達は、マミーブレインとどう向き合っているのでしょうか。マミーブレインは一時的な脳の変化なので、大きなミスに繋がらないように工夫をしながら生活することがコツと言えます。どんなことに注意して生活するとよいか、生活の工夫の仕方を紹介します。
やるべきことや話したいことなど、どんなことでもメモをとる習慣をつけましょう。紙を持ち歩くのが難しい場合は、スマホのメモ機能を使うと便利です。指先を使うことも脳を活性化させるため、育児日記をつけたりすることも、赤ちゃんの成長記録になってオススメです。
産後は今までできていたような時間の管理でさえ難しくなることがあります。そんな時はアラーム機能を使うと良いです。また、カレンダーは家族で共有しておく、リマインダーを設定しておくと大事な用事を忘れることがありません。
マミーブレインで起こっている症状や、必要な手助けなどを周囲の人に伝えておき、予定などを共有しておけば、ミスが起きてもフォローしてもらえます。サポートしてもらえる環境を整えておくことも大切です。
繰り返しになりますが、、赤ちゃんが寝た時は一緒に昼寝をするなど、こまめに睡眠をとることが大切です。また、日中はできるだけ日光を浴びるようにするなど、赤ちゃんと一緒に生活リズムを整えることを心がけましょう。
どれだけ気をつけて生活していても、ウッカリしてしまうのがマミーブレインの特徴です。そのため、外出時はできるだけ無くしたら困る物は持ち歩かないようにした方が安心です。
産後は筋道を立てて話すのが苦手になったりしやすいですが、だからといって家に引きこもってしまうと、精神的にも良くありません。人と会話をすることは、脳を活性化させます。眠っている脳を起こす意味でも、外に出ていろんな人と話すようにしましょう。
産後半年頃まではぼーっとしやすいため、長時間の車の運転は避けるようにしましょう。ぼーっとしなくなったと感じたら、近場から少しづつ運転を再開すると安心です。
赤ちゃんとずっと二人きりでいると、周囲からの刺激が少なくなってしまいます。時には信頼できる人に赤ちゃんを預けて、外出をするだけでも脳には良い刺激になります。息抜きもできて一石二鳥なので、思い切って赤ちゃんと離れる時間を作ってみてはいかがでしょうか?
「産後2年が経つのにマミーブレインが治らない」「ずっと気持ちが落ち込んでいる」などの場合は、マミーブレインではなく他の病気が隠れていることがあります。そのような時には、医療機関を受診することをお勧めします。ここでは、受診する目安や何科にかかればよいのかなどをお話します。
判断力が鈍ったり、ぼーっとするなどの症状以外にも、以下のような症状が続く場合は、マミーブレインではなく他の病気の可能性があります。
これらの症状がある場合は、マミーブレインではなく、「産後うつ」の可能性があります。「ただ落ち込んでいるだけ」「たぶんマミーブレインだから大丈夫」と自己判断するのではなく、少しでも気になる症状がある場合は、早めに医師に相談するようにしましょう。
上記で紹介した症状がある場合は、産後うつの可能性が否めません。少しでも辛いと思うことがあれば、ひとりで抱え込まず、産婦人科かメンタルクリニックなどを受診するようにしましょう。病院に行きにくい場合は、地域の保健所に相談することもできます。
産後はマミーブレインだけではなく、心身ともに落ち着かない時期です。
「完璧な母親にならなくちゃ」「育児も家事もこなさなくちゃ」と一人で抱え込むのではなく、パートナーや家族など周囲の人に頼ることが大切です。身近に頼る人がいない場合には、ベビーシッターや産後ドゥーラ、家事代行サービスなどの民間サービスを活用するのもひとつの手です。いろんな人の手を借りて、楽しい育児生活を送ってくださいね。
ベビーシッターのマッチングプラットフォームであるキッズラインなら、産後の育児や家事をサポートしてくれる産後ドゥーラや、0ヶ月の赤ちゃんを見られるベビーシッターを、スマホで探すことが出来ます。初回の依頼前には必ず顔合わせ(オンライン)または事前面談(対面)が必要なので、まずは一度連絡を取ってみるのがオススメです。
また、キッズラインでは家事代行サービスも依頼することが出来ます。産後の生活を支えてくれるサポーターを見つけて、無理のない子育てをスタートさせましょう。
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