赤ちゃんに必要な栄養素や免疫物質を含む母乳。また、授乳はママと赤ちゃんの大切なスキンシップの一つです。授乳をするとママの身体の中では「幸せホルモン」が分泌されると言われており、母子に大きなメリットをもたらします。しかし、中には母乳をしっかり飲まない赤ちゃんも。そこで今回は、母乳を飲まない赤ちゃんへの対処法について医師が詳しく解説します。
厚生労働省による「授乳・離乳の支援ガイド(2019年版)」によれば、妊婦さんの9割は「ぜひ母乳で育てたい」または「母乳が出れば母乳で育てたいと思った」と回答しているとのこと。多くの妊婦さんが母乳育児を希望していることが分かりました。そのため、現在では多くの産科や助産院で妊娠中や産後に母乳マッサージなどの指導を行っています。
実際の育児は産後1ヶ月では約半数のお母さんが母乳のみを与えており、ミルクとの混合も含めると、9割以上のお母さんが赤ちゃんに母乳を与えています。母乳は赤ちゃんに必要な栄養素だけでなく、免疫物質、酵素、ホルモンなどさまざまな物質を含みます。特に出産後数日の間に分泌される初乳は、免疫物質を多く含むことが知られており、赤ちゃんに与えることが強く推奨されています。
また、授乳は母子の大切なスキンシップの一つ。授乳をすると子宮収縮が促されるため、産後の回復も早くなることが知られています。このように、授乳は母子に大きなメリットがあるため、母乳育児や混合育児をする割合は年々増えているのが現状です。
多くの赤ちゃんは母乳を飲みながら育っていますが、十分な量を飲めない子や乳首に吸い付こうとしない子もいます。赤ちゃんが母乳を飲まない原因について見てみましょう。
赤ちゃんはいとも簡単に乳首に吸い付いて母乳を飲んでいるように見えます。しかし、実際には舌や口の周りの筋肉を使って強い力で吸い付かないと母乳は赤ちゃんの口の中に出ていきません。そのため、筋力が弱い赤ちゃんや吸い方のコツが分からない赤ちゃんは上手に吸うことができないのです。また、ママが陥没乳首や扁平乳首など吸い付きにくい乳首の場合も上手に吸えない子がいます。
吸うのが難しいママの乳首に対し、哺乳瓶は軽い力で吸い込めば簡単にミルクを飲むことができます。混合育児をしていると、飲むのが楽な哺乳瓶の乳首に慣れてしまい、ママの乳首が上手く吸えなくなってしまう「乳頭混乱」という現象が起こることもあります。
赤ちゃんは嗅覚が非常に優れており、ママの母乳や乳首の匂いなどを区別することができると考えられています。そのため、ボディソープなどを変えて匂いが変わると、吸い付くのを嫌がる子もいます。また、母乳はママの血液から作られるためママのコンディションによっては母乳の味や質が変化することも。赤ちゃんが変化を受け入れない場合は母乳拒否になることがあります。
赤ちゃんがしっかり母乳を飲まないときの対処法についてご紹介します。
母乳の分泌量には個人差があります。特に産後間もない時期は母乳量が少ないママも多いため、赤ちゃんが上手く吸えない原因になっていることも少なくありません。
母乳の分泌を促すには乳頭をつまんで圧迫しながら柔らかくするマッサージがおすすめです。マッサージの方法は産院などでレクチャーしてくれることもあるので、積極的に聞いてみましょう。
粉ミルクと母乳の混合育児をしている場合は「乳頭混乱」を避けるために、ミルクが出にくいタイプの乳首を選ぶようにしましょう。吸えば簡単に出る乳首は混合育児にはあまり向いていません。混合育児向けの乳首が販売されていますので、その中から赤ちゃんに合ったものを選んで下さい。
上手く母乳を吸えない赤ちゃんには「ラッチオン」を意識してあげましょう。ラッチオンとは、赤ちゃんの動きに合わせてママが赤ちゃんの口に乳首を含ませることを指します。いわば、赤ちゃんとママの共同作業で授乳を行うこと。コツはしっかりと乳輪まで赤ちゃんの口を吸着させること。吸い付きが浅いと上手く吸い出せませんので注意しましょう。
赤ちゃんはママの匂いをかぎ分けて安心感を得ています。できるだけ赤ちゃんの刺激にならないよう、匂いが少ないボディソープやシャンプーなどを選びましょう。また、母乳の匂いや味はママの食生活に関係しているとの説もあります。ママ自身が栄養バランスのよい食生活を心がけるようにしてみましょう。
母乳育児は母子ともに大きなメリットがあります。赤ちゃんとママの心身の健康のためにも母乳育児や混合育児が推奨されていますが、上手く母乳を飲めない子も少なくありません。母乳の飲みが悪いな…と感じたときは、原因をしっかり見極めて対策を行いましょう。産科や助産院で相談することもできますし、「母乳外来」を受診するのもおすすめです。
また、出産直後は赤ちゃんが母乳をしっかり飲んでいるかどうか、不安になるママも多いことと思います。産後は、体力的にも精神的にも追い詰められやすくなるので、注意が必要です。そんな時は産前産後のママと赤ちゃんの両方をお世話をしてくれる「産後ドゥーラ」に来てもらうことも検討してみてください。母乳の飲み方など育児で気になることも相談できるので、一人で不安に駆られることがなくなります。
赤ちゃんが外出できない時期にリフレッシュするには、産後0ヶ月から預かってくれるベビーシッターに依頼して、ママは別室で過ごして気分転換をする時間を設けるのもオススメです。
家事だけを頼みたいなら家事代行サービスもあります。産後に一人で悩んだり、無理をしないよう、さまざまなサポートを頼んで、育児を軌道に乗せていきましょう。
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