「保育園に夏休みはあるの?」「親が休みの日も預けていいの?」——共働き家庭なら、一度は疑問に思ったことがあるかもしれませんね。この記事では、保育園の休園日や休日の保育園利用について、現役保育士が解説します。  

*この記事のポイント*

⚫︎保育園には原則、夏休みがない
⚫︎お盆の時期の預かりは、通常と異なることも
⚫︎夏休みにはベビーシッターを頼ろう


保育園に「夏休み」は原則ない?幼稚園との違いと運営の実情


保育士と園児
結論から言うと、保育園には原則、夏休みはありません。ただし、実際には園ごとに対応が異なります。幼稚園との違いや保育園の夏季運営の実態について見ていきましょう。

保育園と幼稚園の違い

保育園は児童福祉法に基づく「児童福祉施設」として位置付けられています。主に働く保護者のために子どもの保育を行うことを目的としており、入園には「保育の必要性」の認定が必要です。また保護者の就労だけではなく、疾病、介護などの事情により、家庭での保育が難しい場合に利用できます。

そういった事情もあり、夏休みのような長期休暇を設けると、子どもを預けることができず困ってしまう保護者もいることから保育園では基本的に夏休みは設けられていません。

一方、幼稚園は学校教育法に基づく「教育施設」として、3歳から就学前の子どもに教育を提供することを目的としています。そのため、保育の必要性に関係なく利用することができ、小学校と同様に夏休み、冬休み、春休みなどの長期休暇が設けられているのが特徴です。また園独自の休園日が設定されていることもあります。

お盆期間の保育園運営の実際

保育園は原則としてカレンダー通りに開園していますが、お盆期間は仕事が休みの保護者も多く、登園する子どもの数が減る傾向にあります。そのため園によってはお盆期間中に数日間の休園日を設けたり、開園時間を通常より短縮するなど、柔軟な対応を取っていることがあります。

ただし、このような休園や時間短縮といった通常と異なる保育を行う場合は、必ず事前に保護者への案内があります。保育の必要性のある保護者が困らないよう配慮した対応が取られていることがほとんどです。

地域や園の種類による違い

保育園のお盆休みに関する対応は、園の種類や地域によって異なります。公立保育園や私立の認可保育園の場合、国や自治体の方針に従って運営されていることから、カレンダー通りに開園する傾向にあります。

一方で、認可外の保育園や家庭的保育事業(保育ママ)などは、それぞれの方針や保護者のニーズに応じて柔軟な対応が可能です。短縮保育やお盆休みを設けるところも少なくありません。

こうした園の方針に加えて、地域差も見られます。多様な職種で働く保護者が多い都市部では最低限の休日のみを設定する園が多い一方で、地方では地域の慣習や保護者の就労形態に合わせて、休園日を設ける園もあるようです。

さらに、企業内保育所や病院内保育所など従業員の子どもを預かる保育園では、基本的には就労時の保育を行うため、その組織の休業日に合わせ休園になることもあります。

項目 保育園(児童福祉施設) 幼稚園(教育施設)
対象者 保護者に「保育の必要性」がある家庭の子ども 保育の必要性に関係なく利用可
目的 子どもの保育
(家庭での保育が困難な場合)
教育の提供
(3歳〜就学前まで)
利用の条件 保護者の就労や
疾病、介護など
特に条件なし
長期の休暇 基本的に夏休みは設けられていない 小学校と同様に夏・冬・春休みあり
その他休園日の例 年末年始
園によるお盆休みなど
独自の休園日があることも


保育園の休園日はどう決まる?保護者がチェックしたい3つのポイント


チェックリスト
保育園には夏休みがないとはいえ、完全に休みがないわけではありません。園独自の休園日や、突発的な事情による臨時休園が発生することもあります。働く保護者にとっては、こうした休園に備えて事前に情報を把握し、対応を準備しておくことが大切です。ここでは、保護者が必ず確認しておきたい3つのポイントを解説します。

【ポイント1】年間行事予定表で確認​​

保育園によっては創立記念日や職員研修日など独自の休園日が設定されている場合があります。そこで確認したいのが、「年間行事予定表」です。また 8月13日〜16日頃のお盆期間を休園とする園もあるため、確認が必要です。

年末年始も同様で、12月29日〜1月3日が休園となることが一般的ですが、園によって日程は多少前後する場合もあります。そのため入園時や年度初めに配布される年間行事予定表を必ず確認し、仕事のスケジュールと照らし合わせて、調整が必要な日程を早めに把握しておきましょう。
特に、両親ともに仕事の調整が難しい家庭では、休園日に備えて子どもの預け先を事前に検討しておく必要があります。

【ポイント2】災害や感染症など突発的な休園の対応

突発的な休園の原因となるのが、自然災害や感染症の発生です。たとえば、大雨や地震などの際、子どもの安全を確保するため、発生前から終日休園となることがあります。

災害による休園の例

多くの保育園では、市区町村の警報発令基準に従って休園を決定しますが、具体的な判断基準は園によって異なります。例えば「警戒レベル5相当の大雨特別警報が発令されている場合は休園」など、明確な基準を設けている園も少なくありません。

大地震による休園も考えられます。地震により建物に被害が出ており、子どもを安全に預かることができない場合には、休園になる可能性もあります。

感染症による休園の例

感染症の流行によって休園になるケースもあります。新型コロナウイルスが流行し始めた頃には、感染者の発生を受けて休園対応をとる保育園も多く見られました。現在では以前ほど頻繁ではありませんが、インフルエンザやノロウイルス、新型コロナウイルスなどの感染拡大状況に応じて休園措置が取られることもあります。

事前の備え

今後未知の感染症が発生した場合には、コロナ禍と同様に臨時休園の措置が取られることも想定されます。
臨時休園の際は、園から保護者へ連絡が入ります。アプリ、ホームページの掲示板、メールなど、園が利用している連絡手段を事前に確認しておき、緊急時にも慌てず対応できるよう準備しておくことが大切です。

【ポイント3】休園日のフォロー体制

休園日でも仕事を休めない保護者がいることを想定して、別の保育サービスを準備している園もあります。また提携している他の園で預かりを行ったり、同じ法人が運営する姉妹園での受け入れを行ったり、方法は園によってさまざまです。

園内で対応できない場合は、ファミリーサポートセンターやベビーシッターサービスなどの外部サービスの利用を検討してみましょう。また休園日の保育に備えて事前に複数の選択肢を調べておき、いざというときに慌てないようにしましょう。



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親がお休みの際、子どもを預けてもいい?


子どもを預ける母親
仕事が休みの日に子どもを保育園に預けることに、後ろめたさや罪悪感を抱く保護者は少なくありません。実際のところ、保護者が仕事を休んでいる日に保育園を利用しても問題ないのでしょうか。保育園の利用ルールや預ける際の注意点、園との上手な付き合い方について解説します。

保育園のルールを確認しよう

保育園の基本的な方針は、「保育を必要とする子どもに保育を提供すること」です。ただし「保育の必要性」は仕事の有無だけで判断されるものではありません。保護者が仕事が休みの日に預けることについては、園ごとに考え方や対応が異なります。平日休みの仕事に就いている方や、有給休暇・体調不良などで仕事を休む場合は事前に園へ相談するのが安心です。理由をきちんと説明すれば、柔軟に受け入れてくれる園も多く見られます。

また、お盆や年末年始の前後などには、登園の有無を事前に確認されることがあります。これは、給食の発注や職員配置の調整を行うために必要な対応です。スケジュールを早めに把握し、園へ連絡するよう心がけましょう。
入園時に配布される「保育園のしおり」や「重要事項説明書」なども確認し、不明な点があれば園に直接問い合わせてみてください。まずは園のルールを把握したうえで、適切に相談することをおすすめします。

参考:仕事が休みの日に保育園を利用するのはOK?預ける際のマナーと注意点【保育士監修】

休みの日に預けるメリットとデメリット

休みの日に子どもを保育園に預けることには、さまざまなメリットとデメリットがあります。
メリットとしては、保護者が自分の時間を確保できることで、日々の疲れやストレスの解消に繋がることが挙げられます。また、子どもにとっても親が休みでも登園することで生活リズムを保ちやすい、というメリットがあります。集団生活の中で友だちや保育士との関わりを持ちながら規則正しく過ごすことで、一日のメリハリもつきやすくなります。

一方で、デメリットもあります。それは、子どもが家庭でゆっくりと過ごす機会や、親子のふれあいの時間が減ることです。特にお盆期間など、登園する子どもの人数が少ない時期には、「どうして自分だけ保育園なの?」と寂しさを感じる子どももいるかもしれません。子どもの年齢や性格、家庭の状況をふまえたうえで、保育園の利用をどうするかを柔軟に考えることが大切です。

休みの日でもスムーズに預けるためにすること

仕事が休みの日に子どもを預ける際、園とのトラブルを避け、スムーズに利用するためには、事前の準備が欠かせません。園のルールに従って、事前に仕事が休みであることを伝え、必要な申請があれば早めに行いましょう。

当日は、子どもの体調や機嫌を十分に確認してから登園します。また、お迎え時間を守ることや、緊急時の連絡先を伝えておくことも重要です。
もし、お盆期間などで「登園する」と伝えていたものの、予定が変わり登園が不要になった場合は、できるだけ早く園に連絡を入れましょう。園では登園児数に応じて保育士の配置などを調整しているため、早めの連絡がスムーズな運営につながります。

またお盆や年末年始の時期は、保育士自身も帰省やお墓参りなど、家族との時間を過ごしたいと考えていることがあります。こうした背景も踏まえて、保育を本当に必要とする家庭だけが登園することで、保育士がリフレッシュする機会を確保できるという側面もあります。
とはいえ、保護者が「保育の必要性」を感じているときには、遠慮せずに保育園を利用して構いません。預けても良いか判断に迷う場合は、まずは園に相談してみましょう。

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夏の保育園の行事や活動内容とは


水遊びをする子どもたち
保育園には長期の夏休みはありませんが、季節を感じられる楽しい行事がたくさん用意されています。ここでは、保育園で行われている夏の活動について見ていきましょう。


水遊び

暑い夏には、プール遊びや水遊びを中心とした活動を行なっている園が多いでしょう。子どもたちは水に触れて気持ち良さを感じたり、感触を楽しんだりします。なおプール活動では、水温や塩素濃度の定期的なチェックをはじめ、安全面や衛生面への配慮が徹底されています。また監視係を配置するなど、子どもたちが安心して遊べる環境づくりが行われているのです。

夏祭り

夏祭りを実施する園も多くあります。子どもによっては浴衣や甚平を着て盆踊りをしたり、縁日ごっこでヨーヨー釣りや輪投げを楽しんだりと、日本の伝統文化に触れることができます。地域の人を招待して夏祭りを実施する園もあり、さまざまな人との交流を楽しむ機会にもなります。夏祭り本番だけでなく、準備を通して友だちとの関わりを深め、協調性や社会性が育まれることも期待できます。

お泊まり保育

年長児を対象としたお泊まり保育は夏場に行われ、保育園や宿泊施設に保育士とともに一泊する、というケースが多いようです。夕飯作りや友だちと過ごす夜、朝の散歩など、普段とは異なる体験を通じて、子どもの自立心や協調性が養われます。ママパパと離れて過ごすお泊まり保育は、子どもにとって思い出深い、特別な時間となることでしょう。

夏野菜の収穫体験

夏は園で育てているトマトやキュウリ、ナスなどを収穫する時期でもあります。 自分たちで育てた野菜を収穫し、食べるという体験は、夏野菜に対する関心を深め、食育にもつながっていきます。

普段は野菜を食べることが苦手でも、成長の過程を見ているうちに「食べてみよう」という意欲が湧いてくる子も少なくありません。採れたてのおいしさを味わうことで、野菜に対する抵抗感がやわらぐ場合もあります。

季節の製作

夏の保育では、風鈴作りやうちわの絵付けなど、季節を感じられる製作活動も行われています。子どもの発達段階に応じた内容で、楽しみながら取り組めるよう工夫されています。
さまざまな素材に触れてモノづくりを楽しむ過程は、手先の器用さだけでなく、想像力や創造性の育成にもつながります。友だちと協力して共同作品を作る体験も、保育園ならではの貴重な経験です。こうした季節の行事や活動を通じて、子どもたちは夏ならではの経験をたくさん積んでいます。

夏休みにはベビーシッターに依頼しよう


ベビーシッター
夏休みやお盆の時期には、保育園が短縮保育になったり、数日間休園になることもあります。共働き家庭にとっては、仕事と育児の両立が一層難しくなるタイミングで、預け先が見つからず困るケースも少なくありません。
そのようなときに 頼れる存在として活用できるのが、ベビーシッターです。自宅で保育をお願いできるため、子どもはいつもの環境で安心して過ごすことができるうえ、普段と変わらない生活リズムを維持しやすい、というメリットがあります。

また「お盆の数日間だけ」「短縮保育の日の午後だけ」といった一時的な利用も可能で、必要なタイミングに応じて柔軟に対応してもらえるのが大きな魅力です。急な休園やお迎えが間に合わないときにも心強い存在となるでしょう。

夏の間、保育園のスケジュールに左右されず、子どもを安心して預けたいと感じたときは、ベビーシッターの利用も検討してみてください。家族の状況や働き方に合った過ごし方を見つけることで、保護者の負担もぐっと軽くすることができます。

キッズラインならスマホからシッターを探せる

ベビーシッターのマッチングプラットフォームであるキッズラインは全国47都道府県にベビーシッターがおり、スマホから24時間いつでも検索・依頼をすることができます。ベビーシッターは、保育士資格など8つの資格または研修修了者のみが登録可能で、保育のプロが揃っています。

夏休みの時期は、保育園に預けられない日や登園を控える日が出てくることもあります。そうした場面で、子どもが自宅で安心して過ごせるよう、ベビーシッターの利用を検討する家庭もあります。スポット利用や短時間の依頼ができるため、夏の一時的な保育ニーズにも柔軟に対応しやすい点が特長です。

キッズラインでベビーシッターを依頼するには、事前に顔合わせまたは事前面談が必要です。急に依頼する必要がある場合に備えて、まずは一度お試しで頼んでみるとよいでしょう。子育ての疲れを一人で抱え込まず、ときにはサポートを得ながら子どもと向き合っていきたいですね。

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■保育士ライター 佐野希子
18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。


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