幼稚園や保育園に通わず、自宅での保育を選ぶことも一つの選択肢です。その場合「自宅保育での過ごし方」や「年齢に合わせた一日の流れ」について、不安を感じることもあります。この記事では、現役のベテラン保育士が、年齢別に適した一日の過ごし方を具体的に解説します。
自宅保育とは?就園していない子どもの割合

「自宅保育」とは、
幼稚園や保育園などの施設に通わず、保護者が自宅で子どもを養育するスタイルのことを言います。実際にはどれくらいの家庭が自宅保育を行っているのでしょうか。内閣府の資料では、就園していない児童の数は次のように示されています。
幼稚園に通える3歳になると未就園児の割合は少なくなりますが、
0〜2歳児は約6割が自宅保育であるという状況が分かります。
参考:「こども・子育ての現状と若者・子育て当事者の声・意識」
自宅保育のメリットとデメリット

幼稚園や保育園などの施設に通わず、自宅で保育を行うメリットとデメリットを、それぞれの側面から見てみましょう。
自宅保育のメリット
自宅保育には、家庭ならではの多くのメリットがあります。具体的には、以下の点が挙げられます。
・子どもの生活リズムを整えやすい
・子どもの成長を見逃さず、直近で見守れる
・親子の時間を十分に取れる
・感染症のリスクを減らせる
・子どものペースに合わせた生活を送れる
自宅保育の最大のメリットは、
子どもの個性やペースに合わせた生活ができることです。親は時間に追われることなく、ゆとりを持って子どもと接することができます。また、親が常にそばにいることで、日々の成長や変化を見逃すことなく見守ることができます。
さらに、自宅保育では「子どもの様子が分からない」といった不安を感じることが少なく、安心して子育てに取り組める環境を整えられる点も大きな魅力です。このように、
子ども一人ひとりに合った生活スタイルを築けることが、自宅保育ならではの利点と言えるでしょう。
自宅保育のデメリット
逆に自宅保育のデメリットには、次のようなものがあります。
・自分の時間を取りづらい
・他者と触れ合う機会が少ない
・孤独を感じやすい
・仕事でキャリアアップする機会を失いやすい
・経済的な不安を感じやすい
自宅保育のデメリットは、
親の負担が大きいことです。親が子どもと終日一緒に過ごすため、自分の時間を取りづらくなります。時には思うようにリフレッシュができず、ストレスを感じてしまうかもしれません。また、大人同士の交流が減ることで、悩みを一人で抱え込んでしまう危険があります。
また、子どもにとっても同世代の子どもと関わる機会が減るため、コミュニケーションや共同活動の経験が不足しがちです。そのため「社会性が育まれるだろうか」と保護者が不安を感じることも少なくありません。
0歳の赤ちゃんと楽しむ自宅保育の過ごし方

自宅保育には、子どもの個性やペースに合わせた生活を送れるというメリットがありますが、毎日の過ごし方について迷う方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここからは年齢別に、自宅保育をする際の具体的なポイントをご紹介します。まずは0歳児の赤ちゃんの場合です。
0歳児の発達過程
0歳児は運動機能の発達がめざましい時期です。身体の中心から末端へ、そして頭から足へ向かって機能が発達していきます。
そのため、首座り、寝返り、お座り、はいはい、つかまり立ちなど、1年の間で次々と成長が見られます。手指の発達も進み、物を掴んだり、つまんだりするようにもなります。
7〜8ヵ月頃には人見知りが見られるようになりますが、これは脳が発達し、特定の大人と他者との違いが分かるようになった証でもあります。
0歳児との関わりで大切にしたいこと
0歳児との関わりで重要なのは、
安心感を与え、信頼関係を築くことです。優しく語りかけながらスキンシップを取ることで、赤ちゃんに安心感を与えましょう。泣いたり、関わりを求めているときには、適切に応えてあげることが大切です。
授乳やおむつ替えの際には、「お腹すいたね」「おむつ、きれいにしようね」と、優しく語りかけるのもよいでしょう。こうした声掛けによって、赤ちゃんは安心感を得るだけでなく、言葉への理解も深めていきます。
スマートフォンやタブレットはつい手にしてしまいがちですが、
赤ちゃんが安心できるように、視線を合わせることを意識しながら過ごしたいですね。
0歳児育児の環境作りのポイント
0歳児は、ずり這いやはいはい、伝い歩きなどで動き回るようになります。体を動かすことで身体機能を獲得していくため、安全に伸び伸びと動き回れるスペースを準備しましょう。
安全なスペースが整ったら、次に子どもの興味を引き出し、発達を促す環境を整えましょう。たとえば、
月齢に適した玩具を手の届く場所に置くことがおすすめです。音の出るものや握りやすい玩具など、子どもが触れて楽しめるものを選びます。
また、0歳児は手で掴んだ物を口に運ぶことで、物体の感触や形状を確かめようとします。発達の自然な段階ですが、
誤飲の危険がある物は手の届かない場所へ片付けておくのが無難です。
ベビーシッターを探してみる
1歳児の好奇心を育む自宅保育の過ごし方

次に、1歳児を自宅保育する上でのポイントを解説します。
1歳児の発達過程
1歳頃になると歩き始め、行動範囲が広がります。歩行が安定した後は、走ったり、階段を登ったりと、動きが活発になっていきます。
また、大人の言葉を少しずつ理解し始め、「ボールを取ってきて」や「手を振ってバイバイして」など、
簡単な指示にも応じられるようになります。この時期には「まんま」や「葉っぱ」など、意味のある一語文を話し始め、言葉の数が徐々に増えていきます。
1歳児との関わりで大切にしたいこと
1歳児は安定した大人との関係性の中で、さまざまなことに挑戦しようとする時期です。
子どもの「やってみたい」という気持ちを大切にしながら、接するようにしましょう。
また、この時期は周囲の環境に興味を持ち、積極的に観察したり触れたりする探索活動が活発になります。たとえば、「アリさん、いたね」「ボールが転がっていったね」といった具体的な言葉で子どもの発見に反応しましょう。こうしたやりとりは、子どもの好奇心をさらに引き出し、学びの基盤を育む助けとなります。
自我の芽生えにより、かんしゃくを起こすことが増えるかもしれません。その場合、「○○したかったんだね」といったように子どもの気持ちを受け止めながら、冷静な対応を心がけましょう。
1歳児育児の環境作りのポイント
1歳児は歩き回るようになりますが、まだバランスが不安定で転びやすい時期です。落下や衝突に気を付けながら、大きなケガを防ぎましょう。
自宅では、
家具の配置を工夫したり、建具の角に保護テープを貼ったりしても良いでしょう。コンセントカバーも付けると感電の心配がなく、安心ですね。
玩具は子どもの興味に合わせながら用意します。全身運動を促すボールや、ままごとに使える人形などを、手に取りやすい場所に配置しましょう。
ベビーシッターを依頼してみる
2歳児の自主性を育む自宅保育の過ごし方

続いて、2歳児を自宅保育する上でのポイントを見ていきましょう。
2歳児の発達過程
2歳頃になると自我が発達するため、
できないことでも「自分で」と言ってやりたがります。またイヤイヤ期とも呼ばれる時期で、「いや」と主張するようになります。
全身運動はさらに活発になり、ジャンプをしたり、階段を登り降りをしたりするようになります。指先も発達し、クレヨンでマルを描いたり、スプーンやフォークを使って食事をするようになります。
言葉が増え、「○○して」と大人に要求を言葉で伝えられるようになります。模倣する力もつき、身近な大人の行動や言葉を真似するようになります。
2歳児との関わりで大切にしたいこと
自己主張が強くなる時期なので、
子どもの気持ちを受け止めながら、ゆとりを持って関わることが大切です。自分でやりたがる時は、危険がない限り、見守っても良いでしょう。この時期は、親の考える通りに「させよう」とすると、抵抗が大きく、イライラが募りやすくなります。子どもの主張を成長と受け止め、広い心で見守りたいですね。着替えや食事、排泄など基本的な生活習慣は、少しずつできることが増えていきます。焦らず、子どものペースを大切にします。
2歳児育児の環境作りのポイント
2歳児は、「自分でやりたい」という気持ちを大切にできる環境作りを意識しましょう。着替えや手洗いなどに必要な物は子どもの手の届く場所へ置き、しまう場所が分かるように写真などで表示します。
指先を使った遊びを好む時期なので、いつでもできるよう、クレヨンや紙、シールなどを使える場所を設けておきましょう。
ままごとやブロックなど、イメージを広げて遊べる玩具も用意しておきたいですね。
全身を使って遊ぶ空間では、固い物やとがった物を片付け、ケガを防ぎましょう。
3歳児の意欲を育てる自宅保育の過ごし方

次に、3歳児の自宅保育のポイントを見ていきましょう。
3歳児の発達過程
3歳児は、走る、飛ぶ、三輪車をこぐなどの運動が滑らかになります。指先の機能も発達し、ハサミやのりなどの道具も使えるようになります。言葉も増え、
「なんで?」「どうして?」といった質問が増え、身の回りの出来事に関心を広げます。
着替えや排泄などの基本的な生活習慣も身につき、大人の助けを借りながら、自分でできることが増えていきます。社会性も育ってくるため、他の子どもの様子を気にしたり、一緒に遊びたがる様子も見られるようになります。
3歳児との関わりで大切にしたいこと
3歳児は自分でできることが増えてくる時期なので、子どものペースを大切にしながら、「自分でできた」という達成感を味わえるような接し方を心がけます。
3歳頃には知的好奇心が旺盛になり、質問が増えていきます。子どもの問いかけにはできるだけ丁寧に答えたり、一緒に考えたりすることで、子どもの学ぶ意欲を育むことができます。
分からないことがあれば、一緒に調べたり、図書館を利用したりするのも良い方法です。
同世代の子どもがいる場では、周りとの関わりを持とうとする姿も見られるようになります。ただし、3歳では感情のコントロールや気持ちをうまく伝えることがまだ難しいことも多いです。そんなときは、子どもの気持ちに寄り添い、「そう思ったんだね」と共感しながら対応すると、安心感を与えられるでしょう。
3歳児育児の環境作りのポイント
「自分でしたい」という意欲を大切にするために、自分のことは自分でできるような環境作りを意識してみましょう。生活や遊びでよく使う物を子どもの手の届くところに、分かりやすく置くことを意識しましょう。
たとえば、洗面所には洗濯物を入れるカゴを置いたり、洗面台に踏み台を置いてみるのも良いでしょう。リビングには、帽子やカバンをかけるフックを低めに設置すれば、自分で準備や片付けを行うことができます。
環境を工夫することで、大人の手を借りなくてもできることが増えます。危険がないか、子どもの様子を見ながら環境設定を行いましょう。
ベビーシッターを依頼してみる
4〜6歳の知的好奇心を育む自宅保育の過ごし方

4歳頃になると、ほとんどの子どもが幼稚園などに通うようになります。家庭で過ごす休みの日には、どのようなことを意識して家庭保育を行ったら良いのか、見ていきましょう。
4~6歳児の発達過程
想像力が豊かになり、他者とイメージを共有しながら遊ぶことが楽しくなる時期です。また、文字や数字への関心も高まり、「これは何て書いてあるの?」と聞かれることが増えます。
動きは活発になり、スピード感や力強さが増していきます。鉄棒や縄跳びなどの道具を利用した遊びもできるようになっていきます。
知的好奇心が増し、「なんで?」「どうして?」といった質問が増えます。脳の発達に伴って、先の見通しを立てながら生活ができるようになります。
4~6歳児との関わりで大切にしたいこと
4~6歳児は普段、幼稚園や保育園で友だちとたくさん過ごすことが多いです。休みの日には親子での時間を充実させてみるのも良いでしょう。この時期の子どもは、自意識が育ち始め、外では親に甘えるのを恥ずかしいと感じることがあります。しかし、まだ甘えたい気持ちが残っているため、
家庭ではしっかりと親子の時間を確保し、子どもの気持ちを満たしてあげることが重要です。家庭での安心感が、子どもの心の成長を支える基盤となります。
4歳児以降の育児の環境作りのポイント
4~6歳児は知的好奇心が旺盛な時期です。そのため、図鑑や絵本など興味を引くものを手に取りやすい場所に置いておくと良いでしょう。また、
数や文字に関心を持ち始めるので、数字やアルファベットが書かれたポスターを貼ったり、絵カードを用意するのも効果的です。
また、就学を見据えて、自分の物を自分で管理できるような環境を作ることも大切です。子ども用の棚を用意して、自分で出したり、片付けたりする習慣をつけたいですね。
幼稚園に通わない場合はどうする?
保育園や幼稚園などに通わず、「小学校入学までは子どもの近くで成長を見守りたい!」という方もいるかと思います。その場合は、地域の施設を利用したり、行事に参加したりすることで、多様な体験を重ねられるよう工夫をしてもよいでしょう。
小学校就学を見据えて、同世代の子どもと関わる経験をすることも大切です。子育て支援センターや児童館など、子どもが集まる場所へ定期的に出向いてみることをおすすめします。
自宅保育を充実させる3つのポイント

家庭では、親子共に笑顔があふれる楽しい時間を作りたいですよね。ここからは、自宅保育を充実させるために心がけたい3つのポイントをご紹介します。
【自宅保育のポイント1】生活の流れを大まかに決める
日々の生活で、大まかな流れを決めることは大切です。起床、食事、午睡、お風呂、就寝など、
基本的な時間を設定することで、子どもが一日の見通しを持ちやすくなり、情緒の安定にもつながります。
例えば、天気の良い日には、外遊びのタイミングをあらかじめ決めておくとスムーズに行動できます。ただし、生活の流れを決めたとしても、子どもの気分や体調によって計画通りに進まないこともあります。そのような時は、子どもの様子を見ながら柔軟に対応することが大切です。
【自宅保育のポイント2】外に出る時間を設ける
一日に一回は、外に出る時間を設けましょう。散歩をしたり、公園へ遊びに行っても良いですね。雨の日は、傘をさして歩いてみたり、窓から外を見るだけでも気分転換になります。
その日の気分や子どものペースで、さまざまなところへ出かけられるのが自宅保育の良いところです。季節の自然に触れたり、地域の人とコミュニケーションをとったりすることで、子どもの世界を広げながら、親もリフレッシュをしましょう。
【自宅保育のポイント3】同年代の子どもと交流する機会を作る
幼稚園や保育園に通っていない場合、同年代の子どもと交流する機会が少なくなってしまいます。子育て支援センターや公園に出向き、意識的に子ども同士の関わりが持てる機会を作りましょう。
他児との関わりは、子どもにとっては楽しく、学びのある体験です。親にとっても、子どもの姿を客観的に見る時間となり、気分転換にも繋がるでしょう。
自宅保育で疲れを感じたら、ベビーシッターを頼ろう
自宅保育には多くのメリットがありますが、子どもと長時間向き合う日々が続くと、保護者が疲労を感じることも少なくありません。時には苛立ちやストレスを感じることもあるでしょう。
そのような際には、ベビーシッターを頼ってみてはいかがでしょうか。自分の時間を確保することでリフレッシュできます。また、
自宅保育での過ごし方や遊び方に迷った際には、相談することもできるでしょう。少しだけでも子どもと離れる時間を持てれば、気持ちを切り替えることができるはずです。
ママパパが笑顔で過ごしていると、子どもは安心するものです。自宅保育に疲れを感じてきた時には、まず親が笑顔を取り戻せるよう、対策を考えてみましょう。
「キッズライン」ならスマホでシッターを探せる
ベビーシッター・家事代行サービスを運営する「キッズライン」なら、パソコンやスマホで簡単に
ベビーシッターを見つけることができます。
「キッズライン」には、経験豊富なシッターが多数在籍しており、保育士の資格を持つシッターもいます。ベビーシッターを頼ることで、親は安心して子どもと離れる時間を確保できます。また子どもにとっても、自宅という慣れ親しんだ環境でプロの保育を受けられるため、親と離れる不安を緩和することができます。
初めてのシッターに保育を依頼する際には、オンラインでの顔合わせまたは対面での事前面談が必要です。まずはよさそうだなと思った人に連絡を取ってみて、お互いの相性を確かめてみましょう。
今すぐベビーシッターを依頼してみる
■保育士ライター 佐野希子
18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。
▼あわせて読みたい
親が体調不良の時、保育園に預けてもよい?現役保育士が教える注意点
「ごめんなさい」が言えないのはなぜ?子の年齢別の理由と親が気をつけたいこと【保育士監修】
なぜなぜ期突入?!回答に困った時の切り抜け方とNG事例【保育士監修】
▼記事一覧に戻る
KIDSLINE編集記事一覧
▼TOPページに戻る
KIDSLINE TOPページ