子どもが「ごめんなさい」と素直に言えないことに悩んでいませんか?謝れない理由には、心理的な要因や成長段階が影響している場合があります。この記事では、現役保育士の視点から年齢別の特徴や家庭で取り組める声かけのポイントを解説します。

ごめんなさいが言えない子どもの心理とは?


泣く子ども
子どもが「ごめんなさい」と言えないのはなぜでしょうか?背景には心理的な要因や成長段階が深く関係しています。3つの主な理由を解説します。

【ごめんなさいが言えない理由1】理解力が育っていない

子どもが「ごめんなさい」を言えない理由の一つに、何が悪いことかを理解できないことが挙げられます。成長段階によっては、善悪の判断ができず、他者の気持ちを理解できないことがあります。たとえば、お友だちの玩具を取った場合、「自分が欲しい」という気持ちが先行してしまい、お友だちの気持ちを想像しづらいのです。

【ごめんなさいが言えない理由2】感情のコントロールが難しい

感情をコントロールできず、「ごめんなさい」を言う余裕を持てないことがあります。怒られたり、悲しんだりしている状況では、子どもは混乱し、心が不安定になりがちです。兄弟喧嘩で感情が高ぶっている場合、「謝った方がいい」と分かっていても、行動に移せないケースが該当します。

【ごめんなさいが言えない理由3】気持ちが納得していない

「自分は悪くない」「自分にも言い分がある」と感じているために、謝れないこともあります。大人が「ごめんなさいは?」と促しても、子ども自身が納得していなければ謝りたくないものです。兄弟喧嘩を例に挙げると、「お兄ちゃんに先に意地悪をされた」と思っていれば、不満や不公平感から口を閉ざしてしまうことがあります。このようなときには、子どもの気持ちを丁寧に聞くことが重要です。

年齢別に解説!未就学児が「ごめんなさい」を言えない理由


おもちゃを取り合う子どもたち
子どもが「ごめんなさい」と言えない理由は、成長段階によって異なります。未就学児を対象に、年齢別の心理的特徴を解説します。

●2〜3歳頃

2〜3歳の時期は、思考が自己中心的な段階であるため、他者の気持ちを理解しづらいという特徴があります。
たとえば、お友だちが使っている玩具が欲しい時には、「(自分が)欲しい」という気持ちが強く、「玩具を取ったら、相手が悲しむ」という発想には至りません。この段階では、優しさがないのではなく、相手の気持ちを推しはかる力が未熟なため分からないだけなのです。
そのため、大人の真似をして「ごめんね」と言うことはできても、本当に悪いと思っているわけではありません。

●4〜5歳頃

4〜5歳頃になると、他者の気持ちや感情に気づく力が育ち始めます。しかし、自意識の芽生えとともに、「自分の気持ちを優先したい」「自分の誤りを認めたくない」という気持ちが生まれることがあります。
たとえば、きょうだいやお友だちと比較されることで子どもの自己肯定感が下がっている場合、「ごめんなさい」を頑なに言わないことで、自分を守ろうとすることがあります。また、「ごめんなさい」と言った方がいいと感じても、「言いたくない」気持ちが先行し、結果として謝らないという行動を取ってしまうのです。

●5〜6歳頃

5〜6歳頃になると、「ごめんね」という言葉が、お友だちとの円滑な関係を築くための言葉であることを理解し始めます。意図せずお友だちに嫌な思いをさせてしまったときには、すぐに「ごめんなさい」と言えるようになります。
ただし、「自分の気持ちは誰にも分かってもらえない」と感じている場合には、素直に謝れないこともあります。
加えて、「恥ずかしい」という感情が湧いてくる時期のため、たくさんの人がいる前で注意をされたり、お友だちの前で謝るよう促されたりすると、素直に「ごめんなさい」が言えないこともあります。

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「ごめんなさい」の意味を子どもが理解するのは4歳頃から


子どもと話す親
子どもが「ごめんなさい」と言えるようになるためには、どのような成長段階を踏むのでしょうか。その過程を解説します。

2〜3歳は謝ることへの理解が曖昧

2歳頃には、大人に促されるまま、お友だちの頭を撫でて「ごめんね」と表現することができますが、まだ「なぜ謝るのか」を理解していないことがほとんどです。玩具を取ってしまったとき、大人から「謝ろうね」と言われれば謝るものの、必要な理由を理解するまでには至っていません。
3歳頃になると語彙が増え、言葉で「ごめんね」と言えるようになります。また、お友だちが泣いていたり、困った顔をしたりしている場面では、「謝った方がいい」ことを少しずつ理解できるようになります。ただし、なぜ謝るのかの理解は曖昧で、謝る必要がない場面でも「ごめんね」と言ってしまうことがあります。

4歳以降には謝ることの意味を理解する

4歳頃になると、謝ることの意味を理解し、自分を客観的に見たり、相手の気持ちに気づいたりする力が育ってきます。たとえば、お友だちと喧嘩をして相手を泣かせてしまった場合、「謝った方がスムーズに仲直りできる」ことを、経験を通じて学んでいきます。
とはいえ、意味を理解して謝罪できるようになっても、心理的に不安定な状況では素直に謝るのが難しい場合があります。怒られて落ち込んでいる時や、みんなの前で謝るよう促された場合などです。こうした状況では、大人でも素直になりづらいものです。

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保育士が実践する、子どもに謝ることの意味を伝える3つのポイント


素直に謝ることができる子どもに育てるために、大人が意識した方がよいポイントがあります。現役保育士の筆者も保育をするうえで大切にしている3つのポイントをご紹介します。
保育士と子ども

【ポイント1】大人も謝る

子どもに「ごめんなさい」を求める前に、まずは大人が謝る姿勢を見せることが大切です。たとえば、狭い空間ですれ違うときに軽くぶつかったとき、相手が子どもであっても、「ごめんね」と謝るようにしましょう。
もし大人が謝る態度を見せないと、子どもは「自分も謝らなくていい」ことを学習してしまいます。一方、大人が日常的に謝る姿を見せることで、謝罪は自然な行動であると理解し、子ども自身も「ごめんなさい」と言いやすくなります。

【ポイント2】子どもの気持ちを受け止める

「ごめんなさい」と言えない理由の多くは、子どもが自分の気持ちを言葉で表現できないためです。大人が、子どもの気持ちを代弁するように心がけましょう。
「玩具を取られて嫌だったんだよね」「お話を聞いてもらえなくて怒っているんだよね」というように、状況を整理しながら子どもの心情を言語化します。これにより、子どもは「自分の気持ちを分かってもらえた」と感じ、心が落ち着くと同時に相手の気持ちを考える余裕が生まれます。
状況が分からない時には「何か嫌なことがあった?」と尋ねるだけでも効果的です。子どもが自分の気持ちを理解してもらえる経験を重ねることで、自然と他者への共感が育ちます。

【ポイント3】謝ったらすぐに気持ちを切り替えることを促す

謝ることで「関係が修復される」というポジティブな経験を持たせるために、謝ったら明るい話題に切り替えるよう大人が促しましょう。
たとえば、子どもがお友だちに「ごめんね」と謝った後、大人が「じゃあ、みんなで次は何して遊ぼうか」と声をかけると、子どもは自然と気持ちを切り替えることができます。謝った後も大人がネガティブな話題を続けてしまうと、子どもは「謝っても解決しない」と感じてしまいます。

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保育士が教える!子どもが「ごめんなさい」を言いやすくなる声かけ


子どもに語りかける保育士
子どもが自発的に謝れるようになるには、大人のサポートが欠かせません。「ごめんなさい」を言いやすくする声かけのポイントを年齢別にご紹介します。

【2〜3歳の子への声かけ】

2〜3歳の子どもは、なぜ「ごめんなさい」を言うのかをあまり理解できません。しかし、相手が嫌な思いをしていることに気づいてもらうための声かけは重要です。理解度に合わせたシンプルな言葉で伝えましょう。

⚫︎声かけのステップ

・何がいけなかったのかを簡単に伝える
・相手を見るように促してから、相手の気持ちをわかりやすく説明する
・一緒に謝る



【会話の例:他児の使っていた玩具を取った場合】

ママ 「〇〇ちゃん、玩具取ったら、お友だち悲しいよ」
子ども「〇〇ちゃんが使いたいの!」
ママ 「うん。使いたかったのね。でも見て。△△ちゃんが泣いてるよ。玩具、使ってたのにって」
子ども「うん」
ママ 「ママと一緒に『ごめんね』して、『かして』って言ってみようね」
子ども「うん」


【4〜5歳の子への声かけ】

4〜5歳頃の子どもは、少しずつ相手の気持ちが考えられるようになる時期です。大人が問いかけることで、解決法を考えられるように促してみましょう。

⚫︎声かけのステップ

・相手の表情を見るように伝える
・相手の気持ちを一緒に考える
・どうしたらいいかを一緒に考える



【会話の例:順番を抜かした場合】

保育士「〇〇くん、△△くんのお顔、見てごらん。泣いてるよ。」
子ども「…うん」
パパ 「どうして泣いてるのか、わかる?」
子ども「ぼくが順番抜かしちゃったから…」
パパ 「そうだね。」
子ども「だって、早く滑り台したいんだもん!」
パパ 「そうか。早く遊びたくて抜かしちゃったんだね。」
子ども「うん…」
パパ 「△△くん、今どんな気持ちかな?」
子ども「わかんない」
パパ 「〇〇くんは並んでる時に抜かされると、どんな気持ちになる?」
子ども「嫌な気持ち」
パパ 「そうだよね。じゃあ、△△くんは今、どんな気持ちだと思う?」
子ども「嫌な気持ち」
パパ 「そうだね。じゃあ、こういう時はどうしたらいいのかわかる?」
子ども「『ごめんね』する」
パパ 「そうだね。一人でできるかな?」
子ども「うん」


【5〜6歳の子への声かけ】

5〜6歳頃は、自分の気持ちを整理し、相手にどう伝えるかを考える力が育つ時期です。トラブルが起きた時は、まず子どもの気持ちを十分に聞き取り、相手へのアプローチ方法を一緒に考えましょう。

⚫︎声かけのステップ

・状況を振り返るよう促す
・気持ちを聞く
・解決法を見つけるよう促す



【会話の例:仲間はずれにした場合】

保育士「〇〇ちゃん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、こっち来てくれる?」
子ども「何?」
保育士「△△ちゃんとさ、何かあった?」
子ども「わかんな〜い」
保育士「『〇〇ちゃんが遊びに入れてくれない』って泣いてるんだけど」
子ども「だって、△△ちゃん、〇〇の服、可愛くないって言うんだもん」
保育士「可愛くないって言われて嫌だったの?」
子ども「そう、だから一緒に遊びたくないんだよね」
保育士「お洋服、可愛くないって言われたら、悲しいよね」
子ども「うん」
保育士「本当は仲良しなのに、一緒に遊びたくなくなっちゃったんだね」
子ども「そう。〇〇は△△ちゃんと遊びたかったのに、△△ちゃんがいけないんだよ」
保育士「嫌なこと言われた時は、どうすれば良かったんだっけ?」
子ども「『そんなこと言われたら悲しい』って言う…」
保育士「言った?」
子ども「言ってない…」
保育士「うん。じゃあ、どうする?」
子ども「ちょっと、△△ちゃんと話してくる」
保育士「うん。ここから見てるね。何かあったら呼んでね。」


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無理やり謝らせるのはNG!親が気をつけたい3つのポイント


家族
間違ったことをしたり、お友だちを傷つけてしまったりした場合、「ごめんなさいと謝ろうね」と謝罪を促すことは大切です。しかし、方法を間違えると、逆効果になるおそれもあります。子どもに謝罪の大切さを伝える時に、親が気をつけたいポイントを3つ紹介します。

【親が気をつけたいポイント1】子どもの考えを無視して謝らせる

子どもの考えを聞かずに、「早く謝りなさい」と命令することは避けましょう。子どもが、「自分の気持ちはどうでもいいんだ」と感じ、形だけの謝罪をするようになってしまいます。
子どもが素直に謝れるようになるためには、行動を振り返り、相手の気持ちに気づくプロセスが重要です。まずは子どもの話に耳を傾け、「なぜその行動をしたのか」「相手がどう感じたか」を一緒に考える時間を作りましょう。

外出先で子どもが周りに迷惑をかけた場合には、「うちの子がすみません。」と大人が謝ります。その場で子どもに無理やり謝らせるよりも、帰宅後に子どもの気持ちを聞き、行動を振り返る場を設けましょう。子どもが謝罪の本質を学ぶには、大人が謝る姿を見せることが大切です。親が謝る姿勢を日常的に示すことで、子どもは謝罪が相手との関係修復につながる行動であると学んでいきます。

【親が気をつけたいポイント2】条件を付けて謝らせる

「謝らないと連れて帰らないからね」「謝るまで、おやつはなし」というように条件を付けて謝らせるのは適切ではありません。大人の機嫌を取るだけの謝罪になってしまうからです。
中には、「うちの子はそうしないと行動しないんです」と感じるママパパもいるでしょう。その場合、条件付きで動かすことが習慣化していないか、立ち止まって考えてみてください。

「やるべきことは、親がやらせないといけない」「私もそうやって育てられてきた」という思いがある場合は、子どもの頃の自分がどのように感じていたのかを振り返ってみましょう。悲しみや怒りを感じたかもしれませんね。過去の自分が抱いた感情を思い出すことが、子どもへの向き合い方を見直すきっかけとなります。

子どもを一人の人間として尊重し、謝罪の本来の意義を伝えるためには、条件付きの方法ではなく、子どもの心に寄り添いながら行動を導くことが求められます。そのためには、行動の理由や背景を一緒に考えたり、相手の気持ちに気づく時間を作ることが重要です。「どうしてそうしたのか」を問いかけたり、「お友だちはどんな気持ちだったか」を話し合うことで、子どもは自分の行動を振り返り、謝罪を通じて相手との関係を修復することの大切さを学ぶことができます。

【親が気をつけたいポイント3】謝ったあとも責め続ける

子どもが謝った後も「本当に反省してる?」「前も同じことして謝ったよね」などと、責め続けることは避けましょう。「謝ってもダメなんだ」と、子どもが謝罪の意味を見失ってしまいます。
謝った後は、気持ちを切り替えることが大切です。たとえば、「よく謝れたね。じゃあ、この話はおしまいにしよう」と声をかけ、次の楽しい話題に移るのです。こうした行動を通じて、謝罪が関係修復につながるポジティブな経験だと子どもは学びます。

子どもが謝った後には、大人も自分の感情を切り替える姿勢を見せましょう。もし、「お説教が長引いてたな」と気づいたら、「〇〇ちゃんはちゃんと謝ったのに、ママが切り替えられなくてごめんね」と素直に伝えましょう。ネガティブな気持ちを引きずらないことは、大人にとっても重要です。子どもと一緒に「次にどうするか」を考えながら、気持ちの切り替えを心がけます。

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子どもの社会性を養うには、第三者との関わりがカギ


ベビーシッター
社会で人と良い関係を築き、間違ったことをしてしまったときには素直に「ごめんなさい」と謝れる人間に育ってほしい。親であれば、誰もがそう願うものではないでしょうか。そのためには、普段の生活の中で、大人が謝る姿を見せたり、子どもとの対話を大切にしたりすることで、謝ることの意味を伝えることが大切です。

とはいえ、まだ自己中心的な時期の子どもと外を出歩けば、親は周囲に謝ってばかりで疲れ果ててしまうこともあります。そのようなときには、子どもとの距離を整理するために、保育園の一時保育やベビーシッターの力を借りるのも一つの方法です。親がリフレッシュして心に余裕を持つことで、子どもに対しても優しく接することができるからです。

子どもにとっても、保育士やベビーシッターとの関わりは、親以外の大人と接することで社会性を身につけるチャンスとなります。子育ての悩みは、一人で抱え込む必要はありません。周囲のサポートを上手に活用しながら、大変な時期を乗り越えていきましょう。

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「キッズライン」には、経験豊富なシッターが多数在籍しており、保育士や助産師の資格を持つシッターもいます。ベビーシッターに頼ることで、親は気分転換ができ、心に余裕が生まれます。その結果、子どもに対してもより穏やかに接することができるようになるはずです。また、子どもにとっても、自宅や保育園、幼稚園で接する人とは異なる大人とのコミュニケーションを通じて、素直に「ごめんなさい」が言えるようになるきっかけになるかもしれません。

初めてのシッターに保育を依頼する際には、オンラインでの顔合わせまたは対面での事前面談が必要です。まずはよさそうだなと思った人に連絡を取ってみて、お互いの相性を確かめてみましょう。

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■保育士ライター 佐野希子
18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。

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