保護者が体調を崩したときに気になるのは、子どもの預け先です。普段通っている保育園が利用できるかは、気になるところです。この記事では、保護者が体調不良になった際に意識したいことを、現役保育士の視点から解説します。
親が体調不良のとき、保育園に子どもを預けていい?

保護者が体調不良の際、
子どもの預かりを可能としている保育園は多いでしょう。理由は、厚生労働省が定めている「保育所保育指針」に、保育所の役割が次のように示されているためです。
保育所は、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第39条の規定に基づき、保育を必要とする子どもの保育を行い、その健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設であり、入所する子どもの最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしい生活の場でなければならない。
明記されてはいないものの、「保育を必要とする子ども」とは、保護者の就労時だけでなく、体調不良時も含まれると捉えることができます。
保護者が体調不良で十分に子どもの保育を行えない場合は、保育園で預かることによって子どもの最善の利益を守ることができると解釈できます。
また、保育所保育指針には次のような記載もあります。
保育所は、入所する子どもを保育するとともに、家庭や地域の様々な社会資源との連携を図りながら、入所する子どもの保護者に対する支援及び地域の子育て家庭に対する支援等を行う役割を担うものである。
出典はともに、「保育所保育指針(平成29年)」厚生労働省
保育園には、保護者を支援する役割があることが厚生労働省の資料にも明記されています。そのため、
体調が悪い保護者に代わって保育園が子どもを預かることは、保護者に対する重要な子育て支援の一環と捉えることができます。このように、保育園は保護者の就労時だけでなく、必要に応じて子どもを保育する役割を担っています。
ただし、保育園は同時に他の子どもたちの最善の利益を守る必要もあります。そのため、
保護者が体調不良の際に子どもを預かるかどうかの対応は、保育園ごとに異なる場合があります。まずは現在預けている保育園に、親の体調不良時の預かりについて確認しておくことをおすすめします。
親の体調不良時に子どもを保育園に預ける際、注意すること

保護者の体調不良時に子どもを預かってもらえると助かりますよね。園も保護者と子どものことを思って預かるのですが、「これだけはお願いしたい」と感じていることがあるので、現役保育士の視点から紹介します。
【1】子どもの体調を確認する
保育園へ子どもを預ける際は、子どもの体調に注意を払いましょう。特に保護者が感染症にかかっている場合、子どもにも感染している可能性があるためです。
登園前に体温を測り、食欲や機嫌などを必ず確認してください。
発熱していなくても、普段と違う様子が見られる場合は、自宅で様子を見た方がよいこともあります。保育園は集団生活の場であり、感染症はたった一人から広がるリスクがあります。そのため、登園前に健康状態をしっかり確認することが、園や他の子どもたちの安全を守ることにつながります。
【2】親が体調不良であることを伝える
保育園へ預ける際は、
保護者が体調不良であることを伝えておきましょう。通院後で診断を受けている場合は病名を伝え、通院前であれば症状を伝えます。
保育士が保護者の体調を把握することで、子どもの健康状態に変化があった場合、すぐに気づきやすくなります。保護者の体調が悪化した場合でも、迅速な対応が期待できます。
もし保育園からの緊急連絡先を職場の電話番号にしている場合は、連絡先の変更を伝えておきましょう。「仕事を休んでいるため、職場ではなくスマートフォンに連絡をしてほしい」「母親は体調不良のため、父親の職場に連絡してほしい」などといったように、連絡先を明確にしておきます。
【3】子どもの受け渡し方の確認をしておく
保護者の体調不良の際は、
子どもの受け渡しをどのように行うか、保育園に確認しておきましょう。普段は保育室で子どもの受け渡しを行う保育園でも、他の子どもへの感染を防ぐため、いつもとは異なる場所で受け渡しを行うこともあるかもしれません。園によって対応が異なるため、登園前に園へ電話を入れて確認してみるとよいでしょう。
親が感染症にかかった場合の保育園の対応方針例

保護者が感染症の場合、子どもの保育についてどのような対応を行うか、決まりを設けている保育園が多いです。園における対応方針の例を見てみましょう。
●自宅で様子を見てもらう
保護者が感染症の場合は、可能であれば自宅で過ごしてもらうようお願いすることがあります。これは、子どもを介した園での集団感染を防ぐためです。
ただし、
子どものタイプや保護者の身体状況によっては、自宅保育が難しい場合もあるでしょう。その場合は、保育園に相談することをおすすめします。
新型コロナウイルス感染症が2類相当に位置付けられていた時には、家族が罹患した場合、子どもは濃厚接触者と定義づけられ、登園が制限されていました。しかし、2023年5月に5類感染症へ移行して以降は、保護者が感染しても、子ども本人に症状がなければ登園が可能となるケースが一般的です。
しかし、新型コロナウイルスやインフルエンザといった感染力の高い疾病の場合は、登園を控えてもらうよう協力を依頼している園も少なくないでしょう。
●子どもの受け渡し方を変更する
登園する場合、感染のリスクを最小限にするため、
保護者の入室を制限する場合があります。普段、保育室の中で子どもの受け渡しを行う園であっても、玄関や保育室の入り口での受け渡しに変更する場合もあります。
「園に到着したら電話を入れてください」とお願いすることもあります。保育士は、連絡を受けたらすぐに受け渡しを行えるように準備をしています。
普段は口頭で行っているやり取りは、連絡帳などを通じて行う場合があります。保育士自身も感染を防ぐため、なるべく接触時間が短くなるような工夫を行っているところも多いでしょう。
●子どもが体調を崩したらすぐにお迎えに来てもらう
保護者が感染症にかかっている場合、子どもも感染している可能性があります。そのため、保育中に子どもが体調を崩した場合には、すぐにお迎えに来てもらうようお願いすることがあります。
子どもの体調が悪い場合は、保護者の状況に関わらずお迎えを依頼することがあります。お迎えが難しそうな場合は、代わりに行ける人を見つけておくと焦らずにすみます。
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親が体調不良のとき、どのような行動をすべきか

保育園では子どもたちが集団生活をしているため、感染症はあっという間に広がります。感染拡大のリスクを下げるためにも、保護者と保育園の連携が欠かせません。保護者が体調を崩したときには、次のような行動を意識してみましょう。
⚫︎登園前に保育園へ連絡を入れる
保護者の体調が悪い場合は、登園前に保育園へ連絡を入れ、その旨を事前に伝えておきます。子どもの預かりや受け渡し方法について、
園独自のルールがあれば教えてくれるでしょう。
体調が悪い中、子どもを保育園へ連れていっても、「自宅で様子を見てほしいです」と言われる可能性もあります。また、保護者が体調不良の場合は玄関で受け渡しすることになっていても、知らずに保育室まで入ってしまう、ということもあるでしょう。
保育園のルールを把握していない場合は、事前に電話をかけて確認しておいた方がよいですね。
⚫︎病院で診断名を聞く
通院した際は、診断名をしっかり確認しておきましょう。
具体的な病名が分かれば、保育士が適切な対応方法を検討しやすくなります。たとえば、感染症であれば、他の子どもへの感染リスクを減らすための予防策を講じることができます。
病院によっては、診断名を尋ねなければ教えてもらえない場合があります。その場合は、自分から「この症状は感染症ですか?」や「登園に影響する病気でしょうか?」といった形で、具体的に医師に質問してみましょう。診断書が必要な場合もあるため、必要に応じて依頼しておくと安心です。
⚫︎可能なら早めにお迎えに行く
体調に合わせて、早めにお迎えを検討しましょう。具合が悪化すると、お迎えが難しくなる可能性があります。
お迎えのタイミングとしては、
通院後や給食の前後、午後のおやつの前後などが適しています。代わりにお迎えに行ける人がいれば頼むのが理想です。それが難しい場合でも、無理をせず、体が動けるうちに向かうことをおすすめします。
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親の体調不良時にしてはいけないNG対応

続いて、保護者の体調不良で保育園を利用する場合、園側が「これだけはしないでほしい」と感じていることを見ていきましょう。
【NG対応1】体調不良を伝えない
保護者が体調不良のまま子どもを預ける際は、その状況を必ず保育園に伝えるようにしましょう。
事前に知らせておくことで、保育士が感染症への対応や子どもの健康状態をより注意深く見守ることができます。
もし保護者から後になって「実は、私も熱があって…」と知らされると、保育士は他の子どもたちへの影響を懸念し、「本当は事前に教えておいてほしかった」と感じることもあります。保護者同士や保育士との信頼関係を保つためにも、体調不良を隠さず、正直に伝えることが大切です。
仕事を休んでいる場合は、その旨も保育士に伝えておくことが大切です。
園で子どもが体調を崩して職場に連絡を入れたら「今日は休んでいます」と言われることがあります。緊急時にはいち早く連絡をとる必要があるので、仕事を休むこと、そして緊急時の連絡先を事前に保育園に伝えておきましょう。
【NG対応2】園の方針を無視する
保護者が体調不良の際の対応は園によって異なります。
体調が悪い時はまず園へ連絡し、方針を確認しましょう。
その上で、ルールを無視することは避けたいですね。他の保護者も同じルールに則って保育園を利用しているため、園の決まりは守りましょう。
保育園は他の子どもにとっても最善の環境を作る責任があります。個人的な要望にばかり応えていられない場合もあります。
園はそれまでの経験をもとにルールを作っています。預かってもらわないと困る場合には、事情を話し、相談する形をとりたいですね。
【NG対応3】お迎えに遅れる
体調が悪いと深い眠りに入り込んでしまったり、朦朧としたまま時間が過ぎてしまったりすることもあります。気がついたときには、お迎えの時間が過ぎていた、ということも。
連絡がないままお迎えに来ないと、保育園側も対応に困りますし、何よりも子どもが不安を感じてしまいます。そのようなことがないように、
お迎えはなるべく早めに行くよう心掛けましょう。
遅れる場合は早めに保育園へ連絡を入れます。別の人にお迎えを頼めるようであれば、事前に依頼しておくとよいでしょう。
親の体調不良時に利用できる保育園以外のサービス

保護者の体調が悪い時には、保育園に預けられないケースもあります。そのようなときのために、保育園以外で利用できるサービスを検討しておきましょう。
⚫︎民間の一時預かり
近くに頼れる親族や友人がいない場合、他者の助けを借りる必要があります。そのような場合は、民間の一時預かりサービスを利用することも1つの手です。
ただし、予約がいっぱいで空きがなければ、利用することができません。また、保育園と同様に送り迎えが必要です。自宅の近くに利用しやすい一時預かりサービスがある場合は、利用を検討してみてもよいでしょう。
なお、
保育園に在籍している場合、公費で運営されている一時預かりサービスを利用できない可能性があります。この点については、事前に自治体の窓口で確認しておくことをおすすめします。
⚫︎ファミリーサポートセンター
ファミリーサポートセンターとは、自治体が運営している子育て支援事業です。ファミリーサポ-トセンターを通して地域の協力会員(サポーター)に依頼することで、子育ての支援を受けることができます。
利用するためには、
事前に申し込みや打ち合わせが必要になります。また、子どもを預かってもらう場合、サポーターさんの自宅が拠点となります。
普段から保育園の送迎などで依頼している方は、利用しやすいサービスですね。候補の1つとして考えてみてもよいかもしれません。
⚫︎ベビーシッター
ベビーシッターとは、主に利用者の家庭で子どもの保育を行うサービスです。シッターによる個別保育のため、子どものペースに合わせた対応が可能です。また、自宅での保育が基本となるため、親が体調不良の際も移動の負担がなく、気軽に利用できるのが魅力です。ただし、利用には、事前にシッターとの顔合わせや面談を行い、保育内容や時間、料金を調整する必要があります。また、
病児、病後児が対応可能なシッターかを確認して依頼しましょう。近年では、オンラインのマッチングサービスを活用して、希望に合うシッターを見つけることも可能です。
保護者が体調不良時の依頼について
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親の体調不良時にベビーシッターに依頼するメリット

親が体調を崩したとき、子どものお世話が負担に感じられることもあります。そのようなとき、ベビーシッターを依頼すれば、安心して療養に専念することができます。ここでは、ベビーシッターサービスを利用する3つのメリットについてご紹介します。
【メリット1】お迎え時間を気にせず療養できる
ベビーシッターは基本的に利用者の自宅で保育を行うため、
子どもを保育園や一時預かり施設に送迎する必要がありません。このため、体調が優れない保護者でも移動の負担を感じることなく、安心して子どもを任せることができます。また、シッターが自宅に来ることで、急な時間変更や延長依頼にも柔軟に対応できる場合が多いのも魅力です。
【メリット2】子どもが慣れた環境で安心して過ごせる
子どもは慣れ親しんだ自宅で過ごせるため、お気に入りの玩具で遊べるほか、
生活リズムを崩すことなくのびのびと過ごせます。
また、保護者が近くにいることを知っていると、子どもは精神的に安定しやすくなります。初めてシッターに保育をお願いする際、子どもが少し緊張することもありますが、知らない場所で保護者と離れるより、自宅という安心できる環境が子どもをサポートします。
【メリット3】急な依頼でも対応してもらいやすい
ベビーシッターは、急な依頼にも対応してもらえることがあります。一時預かりの場合、空きがなければ利用できません。また、ファミリーサポートはサポーターの予定次第で対応が難しい場合があります。さらに、どちらも日中の連絡が前提となるため、夜間や早朝の依頼は困難です。
一方で、ベビーシッターの中には、24時間対応可能な人もいます。事前に登録や相談をしておくことで、
急な体調不良時にも柔軟に依頼できる体制を整えることが可能です。たとえば、夜間や早朝でも対応できるシッターを選べば、急な状況でも安心して頼ることができます。
親が体調不良の時の対応方法を保育園に確認しておこう
保護者が体調不良の際、子どもを預けることができるかどうかは、保育園によって異なります。
体調に問題がないときに、あらかじめ園のルールを確認しておきましょう。
保育園の利用が難しいことを想定し、別の預け先を考えておくことをおすすめします。近くに頼れる親戚や友人がいない場合は、利用できるサービスを検討しておきましょう。
一方で、ベビーシッターは慣れた自宅での保育なので、子どもも保護者も安心できるうえ、急な依頼でも対応してもらうことが可能です。ただし、体調不良になって初めて利用する場合、環境の変化に子どもが不安を感じることがあります。たとえば、平日に短時間の保育を試してみることで、子どももベビーシッターに慣れやすくなります。
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ベビーシッター・家事代行サービスを運営する「キッズライン」なら、パソコンやスマホで簡単に
ベビーシッターを見つけることができます。
「キッズライン」には、経験豊富なシッターが多数在籍しており、保育士や助産師の資格を持つシッターもいます。ベビーシッターを頼ることで、親は体調不良時でも安心して休養できます。また、「保育園に預けてもいいのだろうか」と迷う心理的な負担がないのも利点です。一方で、子どもにとっても、自宅という慣れ親しんだ環境でプロからの丁寧な保育を受けられる点も魅力です。
初めてのシッターに保育を依頼する際には、オンラインでの顔合わせまたは対面での事前面談が必要です。まずはよさそうだなと思った人に連絡を取ってみて、お互いの相性を確かめてみましょう。
※注意事項※
キッズラインでは、子ども本人だけでなく保護者やきょうだいなど同居している人が病気の場合、「病児・病後児に対応できるサポーター」にご依頼いただくこととなっております。対応可否についてはサポータープロフィールに記載があるため、ご確認のうえでご依頼ください。
■病児の判断はどうやってすればいいでしょうか?
https://kidsline.me/help/center_detail/sick_distinction
■家族内に病人がいる場合でもサポートをお願いできますか?
https://kidsline.me/help/center_detail/parent-sick
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■保育士ライター 佐野希子
18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。
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