3歳前後になるとやってくるのが「なぜなぜ期」です。子どもから「なんで?」と次々と質問されて、困っているママパパも多いはず。この時期を上手に乗り越えるための方法について、現役保育士がご紹介します。
なぜなぜ期って何?知っておきたい子どもの成長過程
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子どもが「いやいや期」を終えたと思ったら、次にやってくるのが「なぜなぜ期」です。この時期、子どもの知的好奇心はピークを迎えます。「なんで?」「どうして?」といった質問が増える中で、親としてどのように向き合うかが、その後の学びや成長に大きく影響すると言われています。
まず、
「なぜなぜ期」とはどのような時期なのかを詳しく見ていきましょう。
なぜなぜ期とは?
「なぜなぜ期」とは、ことあるごとに「なんで?」「どうして?」といった質問を次々と重ねる時期のことです。質問の連続に、ウンザリしているママパパも多いのではないでしょうか。
「なぜなぜ期」という言葉は育児や教育の現場でよく使われていますが、医学的な正式用語ではありません。それでも、3歳頃の子どもが持つ強い好奇心や探究心が活発になるのは、発達心理学でも知られています。
子どもが頻繁に質問するのは、自然な成長の一環であり、親子の絆を深める貴重な機会でもあります。
とはいえ、時には大人が返答に困るような質問が飛び出すため、「どう対応すればよいのだろう」と頭を抱えることもありますよね。子どもの「なんで?」が爆発的に表出する「なぜなぜ期」について詳しく紹介します。
なぜなぜ期は何歳まで続く?
なぜなぜ期が始まる時期は、子どもによって異なります。
早い場合は、語彙が増える2歳半くらいから「なんで?」と疑問を口にするようになります。
思考力や好奇心が高まる3〜4歳頃にピークを迎え、経験や知識が増える5〜6歳頃には、「なぜなぜ期」は落ち着いていきます。
終息後も「なんで?」と聞くことはありますが、その頃には大人の思考に近づき、質問も具体的になるため、回答に困ることは減るでしょう。
なぜなぜ期が始まる理由
3〜4歳の子どもが「なんで?」と頻繁に質問する理由は、脳や認知能力の発達と深く関係しています。
3〜4歳は脳の発達が著しく、認知能力が急速に向上する時期です。
言葉を操る力が発達することで、頭に浮かんだ疑問を言葉で表現できるようになります。こうした発達の過程で、「なぜなぜ期」が訪れるのです。
人間は成長するにつれて、少しずつ親から離れ、自分で考えて生きる力を身につけていきます。そのためには、世の中の仕組みを知ることが不可欠です。子どもは、「どうして?」「なんで?」と疑問を持つことで、生きていくための知識を少しずつ蓄えていきます。
子どもは、自然の摂理や人の気持ちなど、さまざまな事象を理解しようとして、「なぜ?」と質問をしてきます。
「なぜなぜ期」は自立に向けて一歩を踏み出したサインと言えるでしょう。
なぜなぜ期で子どもが身につける3つの力
子どもが「なぜなぜ期」で得るのは知識だけではありません。幼児期に身につけておきたい、さまざまな力も同時に育まれていきます。
特に、以下の3つの力が育まれます。
・探究心
子どもは「知りたい!」という気持ちを抱き、「なぜ?」と質問を繰り返す中で、物事の仕組みを理解しようとします。こうして、学びへの意欲や問題解決力の土台が作られます。新しいことを発見する喜びは、子どもが自分から学ぼうとする姿勢につながります。自ら学ぼうとする態度を養うためには、「探究心」が不可欠です。
・想像力
「なんでだろう」と疑問に思ったり、答えを考えたりする過程で、子どもの想像力が育まれていきます。目には見えないことをイメージする力は、人の気持ちを理解したり、問題を解決する場面で役立ちます。親が「どう思う?」と問いかけるだけでも、子どもの想像力を広げる手助けになるでしょう。
・コミュニケーション能力
疑問に感じたことを周りの大人に「なんで?」と尋ねたり、もらった回答を聞いたりする過程で、子どもは自然とコミュニケーション能力を養っていきます。
この力は、自己表現や他者との関わりの土台となり、学校や社会での良好な人間関係を築くうえで欠かせません。
これらの力を意識しながら、子どもの「なぜ?」に向き合う時間を楽しんでみてください。親として質問に答える時間が、子どもとの大切なひとときになるでしょう。
質問攻めだけじゃない!なぜなぜ期によくある言動や行動
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実は「なぜなぜ期」には質問するだけではなく、この時期ならではの行動がいくつか見られます。周囲の世界に興味を広げた子どもには、どのような姿が見られるのでしょうか。
なぜなぜ期の行動パターンを3つご紹介します。
【なぜなぜ期の行動1】「これ何?」と物の名前を知りたがる
なぜなぜ期の子どもは、身の回りのさまざまなことに興味津々です。「なんで?」の他にも「これ何?」と物の名前を聞くことで、自分を取り囲む世界を知ろうとしていくのです。初めて目にした物だけでなく、今まで気に留めていなかった日用品にも関心を持ち、名前や使い方を知りたがります。この過程を経て、
新しい言葉や知識を獲得していくのです。
【なぜなぜ期の行動2】大人の真似をする
なぜなぜ期の子どもは、周囲の大人をよく観察し、真似る機会が増えてきます。ママパパの口ぐせや仕草、日常的な振る舞いを模倣して、言葉の使い方や生活習慣などを身につけていきます。
たとえば、ままごと遊びでは、大人になりきって、
憧れの言葉や行動を何度も繰り返し、自分のものとして獲得していくのです。
【なぜなぜ期の行動3】興味のあることにこだわる
特定の物事に強い興味を示し、追求しようとする姿が見られます。乗り物やキャラクターなど、好きなものに関する知識を次々と吸収し、その集中力に大人が驚かされることもあります。
この時期に見せる「こだわり」は、集中力や探究心を育みます。これらは後々に必要となる学習意欲の基礎となるため、大切に育んでいきたいですね。
なぜなぜ期のよくある質問、返し方のお手本
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「なぜなぜ期」には、よく聞かれる質問の答えを事前に準備しておくと、慌てずに対応できますね。ここからは、「なぜなぜ期」によくある質問と、その回答例をご紹介します。
【よくある質問1】「どうして雨が降るの?」の回答例
雨が降り出した空を見上げて、「雨って、なんで降るの?」という質問をする子はたくさんいます。「どこから降ってきているんだろう」「さっきまでは晴れていたのに、どうして急に降るんだろう」という疑問が次々と湧いてきます。
自然は変化に富んでいるため、子どもにとっては不思議でいっぱいなのでしょう。大人にとっても難しい質問かもしれませんが、科学に興味を持つチャンスになるので、ママパパのわかる範囲で答えてみましょう。
【回答例】
・「雲にね、雨の粒がいっぱい溜まると、落ちてくるんだよ」
・「雨はね、お花とか、動物とかが生きるために必要だから降るんだよ」
・「海の水が雲になって飛んできて、ここでザーッと降ってるんだよ」
【よくある質問2】「なんで寝ないといけないの?」の回答例
寝るのがあまり好きではない子どもは、たくさんいます。お昼寝や夜の就寝前になると、「寝たくない」「まだ眠くない」と粘る子は少なくないです。
そんなときによく聞かれるのが「なんで寝ないといけないの?」という質問です。大人が寝かせようとする理由を知ろうとします。
そのような時には、睡眠が健康や成長と繋がっていることを説明したいですね。しっかりと寝て、頭も身体も休息をとることで、毎日元気に過ごせることを伝えましょう。
【回答例】
・「たくさん遊ぶと身体が疲れるけど、寝ると元気になるんだよ」
・「寝てる間に、身体も頭も育つんだよ」
・「寝ないで遊んでばかりいると、頭がフラフラして元気がなくなっちゃうんだよ」
【よくある質問3】「どうしてお仕事に行くの?」の回答例
子どもと一緒に保育園へ行く途中で、「どうしてママはお仕事に行くの?」と聞かれた経験のある方は多いのではないでしょうか。「お仕事がなかったら、ママとずっと一緒にいられるのに」という気持ちで聞く子もいれば、純粋に疑問として聞いてくる子もいます。
子どもには、仕事の意義や喜びを伝えたいですね。「行きたいから」「楽しいから」といったポジティブな気持ちで話をしてみましょう。
【回答例】
・「お仕事してるとママは元気になるから、お仕事に行きたいんだよね」
・「ママがお仕事をすると、喜んでくれる人がいっぱいいるんだ」
・「家族みんなで美味しいご飯を食べたり、楽しく暮らせるようにお仕事頑張ってるんだよ」
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なぜなぜ期の質問、回答に困った時の対処法
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答えやすい質問であれば問題ありませんが、
「なぜなぜ期」には答えに困る質問もたくさんしてきます。「どうしたら良いのだろう」と、頭を悩ませてしまった際の対応を知っておきたいですね。
ここからは、回答に困る質問やその時の対処法について見ていきましょう。
【対処法1】答えがわからない質問をされたら…
子どもは、大人がすぐに答えられないような質問をすることがあります。
たとえば、「なんで虹っていろんな色があるの?」といった専門的なことから、「幸せって何?」というような哲学的なことまで、大人でも答えに困る質問をしてきます。
【対処のポイント】
正直に「わからない」と返してもよいでしょう。大人でもわからないことがある、と伝えるのも大切です。
「何でだろうね」と一緒に不思議がったり、「図書館で調べてみようか」と一緒に学ぶことを提案してみたりするのもおすすめです。
【対処法2】答えづらい質問をされたら…
肌や髪の色が異なる人や障がいがある人を見かけた時に、「なんであの人は肌の色が違うの?」「どうして車椅子に乗ってるの?」と聞いてくることもあるでしょう。
また、「赤ちゃんはどうやってママのお腹に来たの?」と性に関する話題を投げかけて来ることも。大人にとっては答えづらいことでも、子どもは構わずに聞いてきます。
【対処のポイント】
人種や障がい、性については、小さい頃から正しい情報を伝えていくことで、当たり前のこととして受け止めやすくなります。子どもだからと言って話題を避けるのではなく、丁寧に伝えるよう心がけましょう。その場では説明が難しいときは、「どう説明すればいいかわからないから、ちょっと考えさせてね」「おうちでお話するね」と伝えても良いでしょう。
人種や性に関することが書かれた絵本も出版されています。子どもと一緒に読んでみるのもおすすめです。
【対処法3】質問攻めに疲れたら…
なぜなぜ期の悩みの1つとして、質問の連鎖が挙げられます。回答に対して「なんで?」が連続し、相手をすることに疲れを感じてしまう場合も。
「なんでご飯を作るの?」「お腹が空いたからだよ」→「なんでお腹がすくの?」「たくさん遊んだからだよ」→「なんで遊ぶの?」「楽しいからじゃない?」→「なんで楽しいの?」…延々と続く「なんで?」にウンザリするママパパも少なくないでしょう。
【対処のポイント】
そのような時は、「ママも疲れちゃったから、あと1個だけね」と先手を打って終わりを伝えてみましょう。
「じゃあ、次は〇〇ちゃんが考えて、ママに教えて」と、子どもに答えを考えさせる方法もおすすめです。また、「お歌でも歌おうか」と誘うことで、気分が変わるよう促しても良いですね。
なぜなぜ期の子どもへのNG事例
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「なんで?」「どうして?」の質問が繰り返されると、イライラしてしまうこともありますよね。ここでは、大人のNG対応について見ていきましょう。
【NGな対応1】不快感を表す
イライラしてもその苛立ちを子どもにぶつけるのは控えましょう。「うるさい!」「あっちで遊んでて!」といったような、
子どもの存在を否定するような言葉には気をつけましょう。
言葉に出さなくても、表情や態度からも子どもは大人の心境を敏感に感じ取ります。「話しかけると怒られる」と感じることが続けば、質問はしてこなくなるかもしれません。しかし、大切な親子の愛着関係にヒビが入る可能性があります。
もし不快感を表したり、怒ったりしてしまった場合は、
「ちょっと疲れてて怒っちゃったの。ごめんね」と素直に謝ることも必要です。
【NGな対応2】無視する
質問を無視したり、子どもの声が聞こえないふりをしたりするのも避けます。自分の方を向いてくれないと、ママパパの注意を引くために、いたずらをしたり、悪口を言ったりするようになるかもしれません。
感情的な気持ちを抑えようとして、あえて無視をする人もいるでしょう。しかし、
無視されると、子どもは怒られる以上に不安や孤独を感じることがあるため、注意が必要です。適切な返し方を学び、子どもとのやりとりの仕方を身につけましょう。
【NGな対応3】ごまかす
「なぜなぜ期の子どもに説明しても、どうせわからない」と思うこともあるかもしれません。すると、「大きくなったらわかるよ」「そんなことは気にしなくていいよ」と、ごまかしていませんか?
質問をうやむやにして返す習慣がついてしまうと、「どうせママパパは教えてくれない」と子どもが思い込み、質問をしてこなくなる可能性があります。
「困ったときはママパパに話を聞いてもらおう」と思えるような信頼関係を築くためにも、この「なぜなぜ期」に丁寧に向き合うことが大切です。
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保育士が、なぜなぜ期の子を持つ親に伝えたい3つのこと
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子どもの成長過程で「なぜなぜ期」が見られるのは、自然なことです。正しい知識を身につけて、子どもも大人も、楽しみながらこの時期を過ごしていきたいですね。
保育士である著者が「なぜなぜ期」のお子さんを持つママパパにお伝えしたいことを、3つ紹介します。
●「なぜなぜ期」は成長の証
子どもの「なぜなぜ期」は、成長の証です。「なんでだろう」と不思議に思う心や、「どうして?」と周りに質問ができる語彙力が育ってきているからこそ見られる姿です。
なぜなぜ期を経て、子どもは知的好奇心を培い、多くのことを吸収していきます。自立するための力をつける節目の時期なので、子どもの成長を喜び合いながら見守っていきたいですね。
●完璧な答えは必要ない
「なぜなぜ期」の子どもは多くの質問をしますが、実は
完璧な答えを求めているわけではありません。きちんとした回答よりも、大人が自分と丁寧に向き合ってくれることに喜びを感じます。この過程で、
自己肯定感や自尊心が育まれていくのです。
わからないことは「わからない」と答えても大丈夫です。一緒に考えたり、面白がったりしましょう。「なぜなぜ期」には、こうしたやりとりを通じて親子の関係性を深めていきたいですね。
●「なぜなぜ期」に学習意欲が育まれる
「なぜなぜ期」に、就学後に必要な学習意欲の土台が築かれます。「なんでだろう」「知りたい」という気持ちは、主体的な学びに直結するからです。
どんなに知識を与えても、子ども自身の「知りたい」という気持ちがなければ、身につきません。就学前の幼児期には、知識や技術よりも、意欲や好奇心が育つような関わりが欠かせません。
子どもが「なんで?」と聞き始めたら、学びの意欲を育むチャンスです。親子で一緒に考えたり、調べたりすることで、新しいことを学ぶ楽しさを味わえる時期を楽しみましょう。
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子の成長にはさまざまな大人との触れ合いが大切
「なぜなぜ期」は、子どもの探究心や好奇心を育てる貴重な時期であり、親子の絆を深めるチャンスでもあります。なぜなぜ期には、
親だけでなく、祖父母や先生など、さまざまな大人と触れ合うことで、子どもの視野が広がり、柔軟な思考や共感力、社会性が育まれます。
忙しい中で、子どもから投げかけられたすべての質問に答えるのは難しいものです。それでも、「一緒に考えてみよう」「図鑑で調べてみよう」といった言葉をかけるだけでも、子どもは自分の疑問に向き合う楽しさを感じられるはずです。この姿勢が、子どもの学びの土台を作る第一歩となります。
また、「なぜなぜ期」の子どもへの対応に苦慮している場合には、子どもへの接し方を熟知している
ベビーシッターに依頼してみるのも一つの手です。保育士資格を持つシッターであれば、子どもの質問に的確に答えたり、育児に関するアドバイスを受けたりすることができますし、
親が一時的に子どもと離れて気分転換することで、なぜなぜ期の対応の疲れもリセットすることができます。
「子どもが親以外の人と触れ合う機会を増やしたい」とお考えの際も、
ベビーシッターへの依頼はおすすめです。
親だけではない多様な大人との関わりが、子どもの「なぜなぜ期」をより豊かで実りある経験にしてくれるでしょう。
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「キッズライン」ならスマホでシッターを探せる
ベビーシッター・家事代行サービスを運営する「キッズライン」なら、パソコンやスマホで簡単に
ベビーシッターを見つけることができます。
「キッズライン」には、保育士資格を持ち、保育園での実務経験があるシッターが多数在籍しています。子どもの「なぜなぜ期」にも理解があり、質問の対応や適切な関わり方を教えてくれる頼もしい存在です。忙しい毎日の中で、子どもの質問攻めにストレスを感じてしまうこともあるでしょう。そのようなときにはベビーシッターに頼り、気分を切り替えてみてください。
シッターが子どもの疑問に丁寧に答える姿を見れば、親も安心できるだけでなく、子どもも「質問に答えてもらえた」という満足感を得られるでしょう。また、シッターから「なぜなぜ期」への具体的な対処法を教えてもらえることで、親としての対応に余裕が生まれるかもしれません。
初めてのシッターに保育を依頼する際には、オンラインでの顔合わせまたは対面での事前面談が必要です。まずはよさそうだなと思った人に連絡を取ってみて、お互いの相性を確かめてみましょう。
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■保育士ライター 佐野希子
18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。
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