保育園からの急な呼び出し、急な残業。平日にある保育園の行事——。そのたびに、頼れる人がいてもいなくても、結局自分が仕事を休む。共働きで子どもを育てていると、こんな場面が何度も訪れますよね。
「実家が近いんだから頼ればいいのに」と言われても、そう気軽に頼めないこともあります。またそもそも「うちは実家が遠いから仕方ない」とはじめから諦めているケースもありますよね。ただ、頼れるかどうかを決めているのは実家との距離だけではなく、関係性などいろいろあるものです。この記事では、共働き家庭の毎日を左右している「急なときに頼れる相手がいるか」という条件を整理しながら、実家との距離や関係性のタイプ別に無理なくできる備え方をお伝えします。
この記事のポイント
⚫︎ 「頼れるか」を分けるのは実家との距離ではなく、「急な事態に応えられるか」。近くても、祖父母が働いていれば平日日中は動けない
⚫︎ 頼れる相手の有無が効いてくる場面は、主に5つのパターンに決まっている
⚫︎ 子どもが元気なうちに外部の育児サービスを一度試しておくのが、確実な備えになる
「頼れるかどうか」を決めるのは、距離だけではない

実家が自宅から徒歩10分の場所にあっても、祖父母がまだ働いていれば、平日の日中に動いてもらうことはできません。実際、いまの60代は「働いている世代」なのです。内閣府の高齢社会白書によれば、60代前半では男性の8割以上、女性も6割以上が仕事に就いています。祖父母にあたる世代の多くが、平日の日中は自分の仕事を持っているのです。
すでに退職していても、朝から夕方まで小さな子どもを見るのは体力的に厳しい、ということもあります。週に何度もとなれば、なおさらですよね。
一方で実家が遠方であっても、前から決まっている行事なら来てもらえることもあります。前もって予定が立つものは、距離があってもなんとかなるものです。日々の綱渡りを左右しているのは、距離そのものではないのです。
距離が近いことと急に頼れることは、別の話です。今日の午後、あと2時間だけ誰かに子どもを見てほしい。明日の朝、9時までに保育園へ連れて行ってほしい。この「急に」に応えてくれる相手がいるかどうかが、毎日の育児の大変さに大きな影響を与えます。
そして「急に呼べる相手」は多くのご家庭でせいぜい1人程度でしょう。その1人が仕事中なら、その日はもう選択肢がありません。だからこそ、しんどさの正体は「頼れる人がゼロか、それに近いこと」にあるといえます。
詰まるのは、いつも同じ5つの場面
「毎日ずっと大変」というより、特定の場面で詰まってしまうことはありませんか。頼れる相手の有無が効いてくるのは、実はそれほど多くありません。だいたい、次の5つの場面に集約されます。
1. 仕事中、保育園から電話が鳴ったとき

熱が38度を超えていて、1時間以内にお迎えに行かなければならないとなると、会議の途中でも席を立つことになります。しかも発熱の場合、お迎えで終わりではありません。翌日も登園できないことが多く、「明日以降どうするか」まで考えなければなりません。
2. 急に残業が決まったとき/日帰りできない出張が入ったとき
残業を断れる日と、断れない日があります。ただ断れない日に限って、祖父母にも予定があったりするものです。
3. 平日に保育園の行事があるとき
運動会は土曜でも、保育参観や個人面談は平日開催なことも多いものです。年に何度かのために、貴重な有給を割り当てていくことになります。
4. 自分(親)が体調を崩したとき

子どもを見ながら寝込むことになり、自分が病院に行くタイミングを逃して、結局こじらせる、なんて経験はないでしょうか。親の通院は、どうしても後回しになりがちです。
5. きょうだいの予定が割れる日
上の子の行事と下の子の発熱が重なる、上の子の習い事の送迎と、下の子のお迎えの時間がぶつかるなど、子どもが2人以上いると「同じ時刻に、別の場所に、大人が必要」という日が定期的にやってきます。こうなると、大人が2人いても手が足りません。
どれも、月に何度も起きることではありません。ただ、
いざ起きたときに代わりがいないと、そのたびに仕事か家庭のどちらかが削られていく。この積み重ねが、じわじわと効いてくるのです。
あなたの家庭はどのタイプ?

ひとくちに「実家がある」といっても、ご家庭によって実家との距離や関係性は様々です。なお、ここでいう「実家」には義実家も含みます。近いのは自分の実家より義実家のほうというご家庭もあれば、どちらも遠いというご家庭もありますよね。
【自宅から近い場所にある】なら
呼べば来てもらえるというのは間違いなく、大きな支えです。ただ、頼るたびに「先月も毎週来てもらった」「今月はもう5回目」「あまり頼ると悪いかな」などと思い、なんとなく罪悪感を覚えるなんてことはないでしょうか。祖父母の仕事や体力に上限があるとわかっているぶん、無理をさせたくないという気持ちが生じることもあるでしょう。
結果として、本当に困っている日ではなく、頼みやすい日に頼んでしまう、なんてことも。そして
いざ本当に困った日がくると、かえって言い出せなくなってしまう——。そんなことは、決して珍しくありません。
こういうことを防ぐには、「祖父母にサポートを頼む日」と「ベビーシッターなど外部にサポートを頼む日」を分けることをおすすめします。たとえば、定期的に発生する送迎や残業日の夕方は外部サポートに、突発の発熱や泊まりが必要な日は祖父母に、といった感じです。線引きを先に決めておけば、頼むたびに「今月何回目か」を数える必要がなくなります。
【日帰りできない距離にある】なら
祖父母が遠方に住んでいる場合、そもそも急な発熱などには物理的に間に合いません。連絡した時点で、その日は解決しないことが確定してしまいます。
来てもらうとなれば泊まりがけになり、相手の生活も数日止めることになります。だから、よほどのことがない限り呼べない、と思ってしまうのです。そして「よほど」の基準がどんどん上がっていって、気づけばほとんど頼らないまま、何年か過ぎている、なんて方も少なくないでしょう。
このタイプは、突発的なサポートを実家に期待するのをいったんやめるところから始まります。数か月前から日程がわかっている行事など、前もって予定が立つものを実家にお願いするのです。「間に合わない相手」ではなく「予定を立てて頼れる相手」として捉え直すと、連絡もしやすくなりますよ。
【距離ではなく、頼れる相手がいない】なら
近くに頼れる祖父母がいない、あるいは事情があって頼めない。理由はご家庭によってさまざまですが、「選択肢がない」という点では同じです。
この場合、何かあったときにすべて夫婦2人で受け止める、というケースが多いことでしょう。ただ「どちらが仕事を休むか」といったことで話し合いが増え、ときに諍いになることもあります。
このタイプにおすすめなのは、外部サポートを「非常用」ではなく「3人目の大人」として組み込むことです。夫婦2人だけで回している家庭は、どちらかが倒れた時点で立ち行かなくなります。まずは週1回でも定期的に外部サポートを頼るようにしておくと、突発時の駆け込み先にもなります。
近くのベビーシッターを探してみる
「実家が近いのに」と言われる人ほど言い出せない

近くに実家があると、周囲からは「恵まれている」と見られがちです。「近くにご実家があっていいね」「困ったときに来てもらえるんでしょう」など言われることも少なくないかもしれませんが、実際にはそう簡単ではないことも多々あるものです。
そして、
実家が近いからこその「しんどさ」もあります。祖父母の「いつでも頼ってね」という言葉は本心でも、預けたあとにぐったりしている姿を見ると、次は頼みづらくなる。あるいは「また熱を出したの?」「少しは仕事を休めないの?」といった、家族だからこその何気ない一言に傷ついて、頼むこと自体がストレスになってしまう。そんなこともありますよね。
また、
同じ距離でも、実家と義実家では頼みやすさの感覚が違うということもあります。自分の親になら「ごめん、今日だけお願い」と言えても、義実家が相手だと、同じ一言がなかなか出てこない。距離でも体力でもなく、遠慮によって選択肢から外れている。そんなケースは決して少なくありません(
義理の両親に子どもを預けるのが不安…そんな私が選んだ預け先とは?)。そんなことが続いているうちに、周りに頼るという選択肢を自分で外してしまう、なんてことはないでしょうか。
近くのベビーシッターを探してみる
「急に呼べる相手」をあらかじめ作っておく

急な事態が起きたその日にはじめて子どもの預け先を探し始めても、間に合わないケースが多いもの。外部の保育サービスの登録や面談などには、どうしても時間がかかるからです。慌ててベビーシッターを見つけたものの、これまで預けたことがない人に熱を出した子どもを見てもらうのに抵抗感がある、という人もいるかもしれません。
なお、「ベビーシッターには元気なときしか預けられないのでは」と思われるかもしれませんが、実は、発熱時などに対応できる病児・病後児対応のサポーターもいます。
もっとも詰まりやすい「保育園からの呼び出しの翌日」、つまり熱は下がりきらないけれど仕事はどうしても休めない日にも、頼れる先はあるのです。
子どもが元気で何も起きていない平常時に、一度だけ試しておく。これが、いちばん確実な備えになります。平日の夕方に2時間だけ、あるいは休日の午後、少し出かける間だけなどでいいのです。子どもの様子を見ながら、「この人になら任せられそう」と確かめておきましょう。
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