離乳食初期が過ぎると、次に待っているのは離乳食中期です。「離乳食中期ではどのように進めたら良い?」「後期に向けてはどんなことに注意したら良い?」など、順調に進んできた初期に比べ、中期に差し掛かるにつれて不安や疑問が出てくるママも多いことでしょう。そこで今回は、保育園で勤務経験があり離乳食調理も担当していた管理栄養士が離乳食中期について解説していきます!

離乳食に関するママやパパの困りごと



厚生労働省の調べでは、離乳食を実施している家庭の悩みに「(赤ちゃんの)もぐもぐ、かみかみが少ない」「食べる量が少ない」「食べるものの種類が偏っている」などの報告があるいます。離乳食について困りごとがあっても、相談先がなく一人で抱え込んでしまうという話も実際にあることです。そこで、管理栄養士の筆者が離乳食中期にまつわるアドバイスをお伝えして行きます。

離乳食中期はいつ頃からいつまで?目安は?



離乳食中期とは別名「もぐもぐ期」とも言います。離乳食初期のごっくん期では「食べ物に慣れること」「ごっくんと飲み込むことを覚えること」を目標に進めましたが、もぐもぐ期では『もぐもぐと口を動かしてしっかりと食べること、飲み込むこと』を目標に進めていきます。始める時期としての目安は生後7〜8ヶ月頃です。(※1)


※)1 授乳・離乳の支援ガイド 

離乳食中期のレシピで心がけたいこと

image


では実際に離乳食中期ではどのようなことに気をつければ良いのでしょうか?食材の選び方や量など、料理をする時に心がけたいポイントについてご紹介します!


① 1日2回食にする目安
離乳食中期で1日2回の食事になります。ただし、2回食にする目安としては「赤ちゃんがごっくんとしっかり飲み込める」こと、そして「食べ物そのものを嫌がっていないこと」ができるようになってからです。これらができるようになったら、初期よりも少しだけ硬さのある食べ物を授乳する前に1日2回のタイミングで与えていきます。


② 離乳食中期で使用できる食材
離乳食中期になると初期に比べて使える食材が増えていきます。とろみをつけるなどをしながら、パサつかないように調理すれば、初期では使ってこなかった鶏肉を与えることもできます。魚も白身魚に加えて鮭もオススメです。乳製品ではプレーンヨーグルトやカッテージチーズなどをやわらかくして使うことができます。


野菜は離乳食初期に引き続き、にんじん・ほうれん草・大根・かぼちゃなどを煮て、やわらかくして与えましょう。刺激の強いねぎやニラ、噛みにくいキノコ類は積極的には与えず、与えるとしても少量ずつにしながら、赤ちゃんの様子を見ましょう。果物はりんご、バナナ、いちごなど水分が多かったり、つぶせるものを積極的に使っていきましょう。


③ 離乳食中期の適切な食材の形態とは
離乳食初期では食材をポタージュ状にして与えてきましたが、問題なくポタージュ状が飲み込めているのであれば離乳食中期はもう少し硬さのある食材を与えます。「指で簡単に潰せる硬さ」が目安です。豆腐の柔らかさをイメージしていただくとわかりやすいでしょう。


④ 離乳食中期の食事の量の目安
特に指定がなかった離乳食初期に比べて、離乳食中期は食事量の目安が設定されています。1回あたりの目安として以下です。


・エネルギー源となる主食のお粥やうどんは50〜80g
・ビタミンやミネラルの補給源である野菜や果物は20〜30g
・体を作る元となる肉や魚は15g
・豆腐ならば水分が多いので30g
・卵は卵黄1個分〜全卵1/3個
・牛乳やヨーグルトなど乳製品は50〜70g


⑤ 調味料は少しずつ、素材そのものを味わってもらうことが大切
生後7ヶ月ごろからは、少しずつ調味料が使えるようになります。具体的には塩、醤油、味噌、砂糖です。しかし積極的に調味料を使うのではなく、できるだけ食材そのものの味を知って欲しいので調味料は控えめにしましょう。昆布やかつおなどで出汁をとって煮込むなど、食材の甘みや旨みを引き出すことがポイントです。


一度、調味料を加えて味を濃くしてしまうと、子どもはよく食べるようになります。しかし、調味料の味にはすぐに慣れてしまうが故に、その後薄味に戻すことはなかなか難しいのが現実です。将来的な味覚の発達のためにも、出来るだけこの時期は出汁の旨みや、食材そのものの味わいを知ってもらうことが大切です。


⑥ はちみつや黒糖などは1歳未満には使わない
厚生労働省や農林水産省から注意喚起されているはちみつや黒糖。1歳未満の赤ちゃんは腸内環境が整っていないため、はちみつや黒糖を与えるのはやめましょう。他にもコーンシロップや井戸の水なども赤ちゃんに与えるのは控えましょう(※2)。


※2) 厚生労働省 乳児ボツリヌス症

離乳食をなかなか食べてくれない時は?

離乳食が順調に始まったかのように思えても、赤ちゃんが思うように食べてくれない場合もあります。食べてくれないからといって心配し過ぎる必要はありません。まずは考えられるポイント4つをみていきましょう。


① 母乳やミルクでお腹がすでにいっぱいの場合も
離乳食中期はまだまだ母乳やミルクとの併用をする時期です。なかなか離乳食を食べてくれない場合、母乳やミルクでお腹がいっぱいになっていることもあります。母乳だと与える量がわかりづらいかもしれませんがミルクの場合は量が明確なので、少し減らすなど与えるミルクの量を調整すると良いかもしれません。


② スプーンの口当たりが合わない場合も
赤ちゃん用のスプーンはシリコン製・木製・陶器製などさまざまなものがあります。今使っているスプーンの口当たりが好きではなくて離乳食を食べないという場合もあります。他の素材でできたスプーンに替えて、様子を見てみましょう。


③ 赤ちゃんが眠い場合はスケジュールを見直すとよいことも
たまたま今日は食べてくれないという場合は、赤ちゃんが眠いことが原因の可能性も。外へお散歩に行くだけでも、外部の刺激を受けて疲れて眠くなってしまう赤ちゃんもいます。離乳食を与える時間や1日のスケジュールを見直してみると、食べるようになるかもしれません。


④ そもそも離乳食より母乳やミルクが好きな赤ちゃんもいる
口を動かして離乳食をもぐもぐと食べるよりも、ママの母乳やミルクを飲む方が好きな赤ちゃんもいます。私たち大人も性格が一人一人違うように、赤ちゃんも一人一人違います。食事そのものに興味がある子どもと、あまり興味がない子どもの個人差もあります。


周りの赤ちゃんと比べて落ち込みんだり自分を責めたりせず、気長に様子をみることも大切です。

離乳食中期の便利なストックレシピ『野菜と鮭のやわらかうどん』

image


離乳食初期と同様に、たくさんに作って小分けの容器に入れて凍らせて保存しておくと便利です。最近では1食分ずつ冷凍して、解凍したらそのまま食器として出すことができる容器もあるのでご家庭で使いやすいものを選ぶと良いでしょう。


【材料】
・うどん 50 g
・にんじん 10 g
・大根 10g
・ほうれん草 10g
・鮭 15g (※刺身用)
・出汁 50cc
・しょうゆ 1g


【作り方】
 うどんはやわらかく煮て水を切っておき、短く切ります(うどんには塩分が含まれるため、茹でて水を切ることにより塩抜きができます)。
 野菜はほうれん草は葉の部分だけ煮て細かくし、小さく刻みます。
 大根とにんじんは柔らかく煮て小さく刻みます。
 鮭は煮てから身をほぐしてすりつぶします 。このとき皮や骨がある場合はよく取り除きましょう。
 出汁に醤油を入れて味をつけ、①から④のすべての材料を入れて軽く煮て器に盛り付けたら完成です。


【栄養学上のポイント】
ほうれん草で鉄分を摂取し、鉄分の吸収をさらに良くするたんぱく質の鮭を一緒に食べられるレシピです。鮭は塩分の含まれないものを使用してください。刺身用でしたら塩分が含まれないためおすすめです。鮭をしらすに替えてもおいしく食べられますが、しらすはよく塩抜きして使っていただくことをおすすめします。

まとめ

離乳食を始めたはいいものの「赤ちゃんがなかなか食べてくれない」「離乳食の作り方は合ってる?」など、やってみて初めて気づくこともあるでしょう。このとき保健センターなどの公的機関で相談するのも良いですが、具体的に自宅で一緒に離乳食の作り方や進め方を教えて欲しいときは、管理栄養士や栄養士などの資格を持つ家事サポーター、もしくは子育て経験がある家事サポーターに相談してみるのもオススメです!
自宅のキッチンで、目の前で具体的に教えてもらえるのは心強いもの。家事をお願いしながらちょっとした育児相談をすることもできるので、リフレッシュも兼ねて依頼していかがでしょうか。




■管理栄養士・高岡 由貴
2011年管理栄養士免許取得。大学卒業後、保育園•病院•食品メーカーに勤務し、献立作成•栄養管理•食育講師などを担当。現在はフリーランスとしてコラム執筆•食事相談•レシピ開発などをしている。プライベートでは一児の母。




image