「以前は上の子も可愛く思えたのに、下の子が生まれた後は可愛いと感じられない…」。もしかすると、それは「上の子可愛くない症候群」かもしれません。今回は、この気持ちと向き合い、親としての愛情と自信を取り戻すための対応法を現役保育士がご紹介します。
「上の子可愛くない症候群」って?
「上の子可愛くない症候群」とは、言葉の通り、
上の子だけ可愛いと思えない状態 のことを指します。「症候群」という言葉が使われているため、「病気なのか」と不安を感じるかもしれません。しかし、
下の子を持った親が経験する心の状態を指す言葉であり、医学用語でも病気でもないのです。
子どもに関わることが多いママが陥りやすい状態ですが、実はパパにも起こる可能性があります。きょうだいの子育てで上の子にモヤモヤした感情を抱いている方は、次の項目で心の状態を確認してみましょう。
☑ 上の子の目を見ることができない
☑ 上の子を睨んでしまう時がある
☑ 上の子に笑顔を向けられない
☑ 上の子に声をかける事が少ない
☑ 上の子に背中を向けてしまう
☑ 上の子の声に耳を塞ぎたくなる
☑ 上の子の行動にイライラする
☑ 上の子を叩きたくなる
☑ 上の子の寝顔を見て罪悪感を抱く
「上の子だけに否定的な態度をとってしまう」と感じる場合は、「上の子可愛くない症候群」に陥っているのかもしれません。重要なことなので繰り返しますが、
「上の子可愛くない症候群」は病気ではありません。正しく理解して、心の葛藤を和らげていきましょう。
上の子可愛くない症候群は、なぜ起こる?考えられる原因5つ
「上の子が可愛くない」と思ってしまう原因は人によって異なります。ここからは、その原因を5つ紹介します。
【上の子が可愛くないと感じる原因1】疲れやストレスの蓄積
まず考えられる一番の原因は「疲れやストレスの蓄積」です。子育て中はしなければならないことや気に留めておかなければならないことが多く、心も身体も休まる時間を取りづらくなります。
疲れやストレスが溜まると、誰でも心の余裕がなくなります。 可愛いはずのわが子に対して「可愛くない」と感じてしまうのは、仕方のないことなのです。
【上の子が可愛くないと感じる原因2】下の子への集中
下の子が生まれると、上の子よりも下の子のお世話に時間がとられます。赤ちゃんなので、授乳に排泄、沐浴と生活のすべてにケアが必要だからです。
下の子は手がかかるため、親の意識が向きやすくなります。その結果、下の子をより可愛く感じてしまうことがあります。こうした感情が、上の子可愛くない症候群の一因となることが考えられます。
【上の子が可愛くないと感じる原因3】上の子への期待疲れやストレスの蓄積
幼児期には、上の子が下の子よりも多くのことができるのは自然なことです。
下の子のお世話で忙しいと、上の子に対する親の期待値が高くなるのはよくあることです。「お兄ちゃんでしょ」「できることは自分でやって」と求めても、上の子がその期待に応えてくれなければ、「可愛くない」という思いが頭をよぎることも少なくありません。
【上の子が可愛くないと感じる原因4】上の子の反抗
まだ甘えたい盛りの上の子が
十分に甘えられなかったり、イヤイヤ期にさしかかっていたりすると、親に対して反抗することがあります。下の子のお世話で大変なのに、上の子に反抗されると苛立ちが募り、「可愛くない」と感じてしまうのも無理はありません。
【上の子が可愛くないと感じる原因5】親の子ども時代の影響
親が幼少期に体験したことが、子育てに影響を及ぼすことがあります。たとえば、ママが上の子として
「自分も我慢してきた」という経験があると、上の子に対して辛く当たってしまうことがあります。
このように「上の子が可愛くない」と感じる背景には、さまざまな感情や状況が複雑に影響していることがあります。
上の子可愛くない症候群、どうやって向き合えばいい?
「上の子が可愛くない」と感じてしまう時には、まず親が自分自身の気持ちと向き合う事が大切です。ここからは、ママパパの心の持ち方を紹介します。
【上の子可愛くない症候群への向き合い方1】頑張っている自分を認める
まずは、
日頃から頑張っている自分を認めてあげましょう。 できなかったことではなくて、「してきたこと」や「できたこと」に目を向けてみるのです。たとえば、「ご飯を作った」「一緒にお風呂に入った」「寝かしつけをした」など、自分の行動を振り返ると、上の子のために自分がしたことがたくさんあるはずです。
子どもに優しく接するためには、まず自分に優しくしなければいけません。「今日の私もよく頑張ったね」と自分を褒めてあげましょう。
【上の子可愛くない症候群への向き合い方2】完璧を目指さない
「大事な子どもだからこそ、失敗させないように育てなければ」と考えていませんか?家事や育児には、「ここまでやれば大丈夫」という明確な終わりがないため、完璧を目指すと、いつか疲れ果ててしまいます。
子どもも同じです。完璧を求められると、上の子も疲れてしまいます。
無理をせずに、親子双方が無理なく過ごせるバランスを見つけていくことが大切です。「完璧でなくてもいい」と思えれば、心にゆとりが生まれ、自然と上の子のありのままの姿を受け入れられるようになるでしょう。
【上の子可愛くない症候群への向き合い方3】頼れる人を見つける
ママパパだけで子育てをしようとすれば、行き詰まることもあるでしょう。頼れる人を見つけておくことで、安心感が生まれます。
たとえば、上の子と向き合いたい時には、下の子を預ける機会を作ってみても良いでしょう。この間に上の子とたくさん過ごせば、親子の絆が深まります。また、親がストレスを感じて上の子に強く当たってしまう時には、上の子を預かってもらいましょう。
自分と向き合い、気持ちを落ち着かせる時間を持つことで、心のゆとりを取り戻せます。
誰かに話を聞いてもらうだけでも、心の持ち方は変わります。祖父母や地域の子育て支援センター、
ベビーシッターなど、頼れる人を探してみましょう。
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「上の子が可愛くない」と思ったときに言ってはいけないNGワード
親の言葉や態度は、子どもの心に大きな影響を与えます。一時的な怒りや苛立ちから、後悔するような言動をとらないように気をつけたいですね。ここからは、親が気をつけるべき言葉や態度について見ていきましょう。
言わないように気をつけたい言葉は、次のようなものがあります。
⚫︎「〇〇なんていなければいいのに」
「〇〇なんていなければいいのに」「産まなければよかった」など、上の子の存在自体を否定する言葉は避けましょう。「いない方がよい」という言葉は、子どもの自尊心を深く傷つけ、自分自身を大切にできなくなる可能性があります。
⚫︎「ママが大変なのは〇〇のせい」
「ママが大変なのは〇〇のせいだからね」など、親のネガティブな感情を上の子のせいにするような言葉は言わないように気をつけましょう。「私のせいなんだ」「ぼくがママを不快にさせている」という思いは、子どもの自己肯定感を下げてしまいます。
⚫︎「〇〇より△△の方が可愛いね」
「下の子の方が可愛い」「上の子の方が可愛くない」という比較する言葉は慎みましょう。上の子が下の子に対して嫉妬したり、憎しみを抱いたりする可能性があります。また、人と比較する習慣がつくと、いつも現状に満足できず、生きづらくなってしまいます。
言ってしまった場合の対処法
もし感情が爆発して、「言ってはいけない言葉を言ってしまった」という時には、そのままにせず、きちんと謝ることが大切です。そして、
本当は大切に思っていることを何度も伝えましょう。
【伝え方の例】
「〇〇ちゃん、『いなければいいのに』って言ってごめんね。ママ、ちょっと疲れていて、思ってもいないこと言っちゃったの。本当は、〇〇ちゃんのことが大好きで、ママの子どもでいてくれて、幸せだと思っているよ。ひどい言葉を言って、ごめんね」
きちんと話せば、子どもは親が自分を大切に思っていることを理解してくれます。「子どもだからすぐ忘れるでしょ」と放置せず、1人の人間として真摯に向き合う事が大切です。
言葉だけでなく、態度にも気をつけたい
言葉で発しなくても、態度や視線で否定的な感情を伝えてしまう事があります。「私なんて、いない方がいいんだ」と、子どもが親の思いを誤って解釈してしまう場合もあるため、十分に気をつけたいですね。
一番気をつけたい態度は「無視」です。 無視は子どもの存在を否定する態度です。感情的になっていてすぐに応えられない場合は、「今、頭の中がいっぱいだから、少しだけ待って」と伝えましょう。深呼吸して心に余裕ができてから「おまたせ。どうしたの?」と向き合いましょう。
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「上の子が可愛くない」は伝わる?保育士からみた上の子の気持ち
保育士として多くの親子関係を見てきましたが、特に「上の子への接し方が難しい」と悩む保護者は少なくありません。理由の多くは、上の子が「自分を見てほしい」という気持ちから、わざと叱られるような行動をとることです。
保護者もその気持ちを理解している場合が多いのですが、具体的な対応に悩むことがあります。そこで、私は「下の子を保育園で預かる間に、上の子と二人きりの時間を作ってみてはどうですか?」と提案することがあります。
上の子との会話やスキンシップの時間を持つことで、親としての愛情が再び強く感じられることが多いです。 さらに、定期的に上の子との「スペシャルタイム」を設けることで、上の子の気持ちが満たされ、親子の関係が再構築されていく姿を何度も見てきました。
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上の子が可愛くないと思ったときは誰かに頼るタイミング
「上の子可愛くない症候群」はきょうだいを育てる親であれば誰でも経験する可能性があります。 この状態に気づいたら、愛情を取り戻すための対策を講じることが大切です。
「上の子が可愛くないな」と思うようになった時に心がけたいのは、
自分一人で頑張ろうとしないこと です。普段から保育園に預けているのであれば、悩んでいることを保育士に相談してみましょう。
普段保育園に預けていない方は、一時保育を利用するのも良い選択です。集団生活に不安がある場合は、
ベビーシッターに依頼することもおすすめします。ベビーシッターは自宅で個別に子どもを見てくれるため、親は自分の都合に合わせてリフレッシュする時間を確保できます。また、子どもにとっても住み慣れた環境で安心して過ごせるのは、嬉しいでしょう。
まずは
ママパパ自身が心のゆとりを取り戻し、上の子と向き合う時間を作ってみましょう。「上の子可愛くない症候群」から脱却する糸口を見つけることができるはずです。
「キッズライン」ならスマホでシッターを探せる
ベビーシッター・家事代行サービスを運営する「キッズライン」なら、パソコンやお手元のスマホで
ベビーシッターを見つけることが可能です。
「キッズライン」には、保育士などの資格を保有するシッターも多く在籍しています。
「上の子が可愛くない」と悩んでいるなら、下の子のお世話を一日頼んで、上の子とのお出かけタイムを作ってみるのもオススメです。初めてのシッターに保育を依頼する際には、オンラインでの顔合わせまたは対面での事前面談が必要です。まずはよさそうだなと思った人に連絡を取ってみて、お互いの相性を確かめてみましょう。
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■保育士ライター 佐野希子
18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。
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