一般的に、卒乳時期の目安は1歳6ヶ月頃とされていますが、卒乳は赤ちゃんの気持ちと身体の準備ができて、初めて成し遂げられるものです。もちろん個人差もあるでしょう。2歳を過ぎて卒乳が完了していないからといって焦る必要はありません。今回は、2歳になって卒乳できていなくても大きな問題はないという理由と、その注意点について医師が詳しく解説します。



2歳を過ぎても卒乳できないのは問題ない


まずは「2歳になって卒乳できていなくても焦る必要はない」という理由について詳しくみていきましょう。




■卒乳時期は年々遅くなっている?!


厚生労働省による「授乳・離乳の支援ガイドライン(2019年版)」によると、現在の赤ちゃんの卒乳時期は、過去に比べて遅れていることがわかっています。




2005年には約半数の赤ちゃんが生後12ヶ月頃の卒乳を完了していましたが、2019年の調査では、最も多い卒乳時期は生後13~15ヶ月。6割以上の子どもが生後13ヶ月以降に卒乳していることがわかっています。




授乳の果たす役割はメンタル面にも影響


親子画像

卒乳時期が遅くなっている背景には、授乳は赤ちゃんやお母さんにとって非常に大切なものであることが広く認識されるようになったことです。母乳には赤ちゃんの成長に必要な栄養素のほか、人工ミルクにはない免疫物質、善玉菌、酵素、ホルモンなどが多く含まれています。


母乳で育った赤ちゃんはミルクで育った子どもよりも乳幼児突然死症候群の発症率が低いことも知られており、赤ちゃんの身体を守ってくれる役目もあります。




また、授乳は赤ちゃんとママのかけがえのないスキンシップの一つでもあります。赤ちゃんはママの温かさと匂いに包まれることで、安心でき、気持ちを落ち着けることができます。ママは赤ちゃんへの愛情が深まるだけでなく、授乳をすることで「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンの分泌が盛んになります。それにより、出産や育児で不安定な心と身体が内側から癒されていくのです。




■2歳で卒乳できなくても大丈夫!


上述したように、赤ちゃんにとって授乳は単に栄養や水分を補給するだけのものではありません。そのため、2歳を過ぎて幼児食がしっかり食べられるようになって、卒乳が完了していなくても大きな問題はないのです。




一般的に、卒乳開始の目安とされるのは、3回食を十分に食べられるようになること、母乳以外に興味を持つようになること、などが挙げられます。食事量が増えたにも関わらず卒乳が完了しないのは、ママの「おっぱい」が心の安定になっているから。おっぱいから離れられる時期には個人差がありますので、2歳を過ぎて卒乳できなくても焦る必要は全くありません




いつか自然に卒乳できる日が来ます。仕事の都合や妊娠など、どうしてもという理由がない限りは、できるだけ赤ちゃんのペースに合わせて授乳を続けることをオススメします。



卒乳できない理由とその対処法

卒乳時期は赤ちゃんによってさまざま。周りの子どもより遅いからといって問題はありません。しかし「そろそろ卒乳を考えようかな」と思っても、実際に赤ちゃんが受け入れてくれないこともあります。2歳を過ぎても卒乳できない原因としては、食事量の不足、おっぱいが精神安定の材料となっている、日中の活動量不足、夜間の空腹などが挙げられます。


卒乳を目指す場合は、食事と水分を十分量摂れるよう食事内容を工夫しましょう。また、夜間はぐっすり眠れるように、昼間に身体を使ってたくさん遊ばせることが大切です。夜間にお腹が空いて目を覚ます子どもは、寝る前にフォローアップミルクなどを与えるのも良いでしょう。


そして一番大切なのは、おっぱい以外のもので気持ちを落ち着かせる練習をすることです。夜泣きをしたときなどに反射的に授乳をしていると、おっぱいが気持ちを落ち着けるための必需品になってしまいます。少しずつで良いので、おもちゃや絵本、歌など赤ちゃんに合った「安定剤」を見つけてみましょう。



卒乳するべき時の注意点


卒乳時期は個人差があるため、基本的には時期が遅くても焦る必要はありません。しかし、次のような場合は卒乳を早めた方が良い場合もあります。




■虫歯がある


夜間に頻繁な授乳をしていると口の中の衛生状態が悪化して、前歯を中心に虫歯になりやすいことがわかっています。食後に丁寧な歯磨きをしているにも関わらず虫歯ができてしまったら、それは夜間の授乳が影響している可能性があります。




できるだけ早めに卒乳することを心がけ、卒乳までの間は授乳後にお水やお茶を含ませるようにすると虫歯対策になります。




■次の子どもを考えている


赤ちゃんが2歳を過ぎると「そろそろ次の子どもを」と考えるご家庭もあるでしょう。授乳をしていると排卵が抑制されて妊娠しにくくなる場合があります。また、授乳は子宮収縮を促すため妊娠初期には流産や出血などを助長することも。次の子どもを考え始めたら、卒乳を目指すことをオススメします。




■ママの体力が限界


授乳は母子の大切なスキンシップとはいえ、2歳になった子どもを抱っこして頻回に授乳するのは体力も必要です。この時期には職場復帰をしているママも多く、育児と仕事の両立で疲れが溜まりやすいはず。ママが体力に限界を感じたときは、無理をせずに卒乳を考えましょう。




卒乳時期も赤ちゃんの個性!焦る必要はない


卒乳は赤ちゃんの気持ちと身体の準備ができてから完了するのが理想です。その時期には個人差がありますので、周りの子どもより遅くても大きな心配をする必要もありません。しかし、ママの体力や妊娠などの関係から、卒乳を早めた方がよいケースもあります。それぞれのご家庭で赤ちゃんとママのコンディションを考えながら、ご家庭に合った時期に卒乳できると良いですね。





■監修ライター:成田亜希子


2011年医師免許取得。一般内科医として幅広い疾患の患者様の診療を行う。行政機関に勤務経験もあり母子保健分野も担当。育児に悩むママたちに医師という立場から様々なアドバイスを助言。プライベートでは二児の母。自身の悩みからも育児の情報発信している。





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