産後は安静にするように言われますが、実際のママ達はどのように過ごしているのでしょうか。この記事では、出産直後のママやこれから出産を迎える人に向けて、産後1ヶ月の過ごし方を助産師がお伝えします。
産後1ヶ月、ママの体はどんな状況?
産後約1ヶ月間は「産後の肥立ちが悪くなるから休みなさい」と昔から言われています。この時期に無理をすると後々心身ともに問題が起きてくるため、休むことが大切です。
産後の肥立ちとは?
産後の肥立ちとは、
出産後妊娠前の状態に身体が戻る過程のことを言います。産後6〜8週間程かけて妊娠前の状態に戻っていくのですが、この時期に無理をすると「産後の肥立ちが悪い」という表現があるように、体調不良が続くことがあります。
産後は出来るだけ休息を優先し、身体の回復を促していく必要があります。
ママの身体では何が起きてるの?
産後ママの身体は、
①子宮が元の状態に戻る
②ホルモン状態が急激に変化する
③母乳をつくる
これらの3つの変化が急激に起きていることが特徴です。1つずつ説明していきます。
①子宮が元の状態に戻る
妊娠中に赤ちゃんを育てるために大きくなった子宮は、産後胎盤が出たあとに急激に収縮します。これにより産後の出血を最小限にすることができるのです。
産後は約1ヶ月ほど悪露(妊娠中に使用した血液や卵膜)が出ますが、子宮が妊娠前の状態まで収縮し終えると悪露も出なくなります。
②ホルモン状態が急激に変化する
妊娠中は、赤ちゃんをお腹で育てるためのホルモンが出ていますが、産後直後からおっぱいを出して子宮を収縮させるホルモンに切り替わるため、身体の中は大パニック状態。
このホルモンの急激な変動の影響で、産後はマタニティブルーになりやすくなります。
③母乳をつくる
産後は直後から母乳を分泌するホルモンが出て、出来るだけ早く赤ちゃんに乳首を吸わせることで、だんだんと母乳が出るようになります。
初めは胸が張って痛みを感じやすいですが、繰り返し赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらうことで、赤ちゃんに合わせた量を作れるようになっていきます。
産後1ヶ月で赤ちゃんはどう成長する?
生まれてから1ヶ月までの赤ちゃんは、新生児期とも呼ばれ、日に日にふっくらして体重もどんどん増えていく時期です。あらゆる刺激を吸収しどんどん成長していく姿にはパパママも感動することでしょう
新生児期とは
新生児期とは、ママから酸素や栄養をもらっていたお腹の中の環境とは変わって、自分で酸素や栄養をとるようになり、体外生活に適応するためのとても大切な時期です。
新生児期の特徴は
①睡眠時間は16時間〜20時間
②母乳もしくはミルクを飲んで、うんちを出して、寝るのが仕事
③スキンシップが大切
などがあげられます。
①睡眠時間は16時間〜20時間
1日のほとんどは寝ている赤ちゃんですが、続けて寝てくれるわけではなく、1〜4時間おきに起きてはお腹がすいたと泣きます。この時期は、昼夜関係なく起きるので、ママも睡眠不足になりやすいです。
②母乳もしくはミルクを飲んで、うんちを出して、寝るのが仕事
1日のほとんどは寝ているはずなのに、ママはお腹をいっぱいにさせて、オムツを変えて、寝かしつけをして…の繰り返しで、とても大変に感じるかもしれません。この時期は赤ちゃんのリズムに合わせてパパママも一緒にこまめな睡眠をとることが重要です。
③スキンシップが大切
赤ちゃんはパパママに抱っこされることで、脳が刺激され成長につながります。「抱き癖がつく」と抱っこを躊躇する人もいますが、この時期の抱っこが抱き癖になることはありません。たくさん抱っこして、愛情をたっぷりあげてくださいね。
産後1ヶ月の過ごし方は「実家」が29.7%
では、実際の産後のママたちはどのように過ごしているのでしょうか。キッズラインユーザーの0歳児の親111人にとったアンケート結果をみてみましょう。
約3割は実家で過ごしている
【アンケート結果】
・実家で過ごした…29.7%
・自宅に戻り、パートナーが休みを取って二人で行った…17.1%
・自宅に戻り、実家の父母、義理の父母、きょうだいなど親族に来てもらった…15.3%
・自宅に戻り、片方の親だけで世話をした…14.4%
・産後ケアを受けられる施設(民間ホテル、公共の宿泊施設)で過ごした…7.2%
・自宅に戻り、産後ヘルパー、産後ドゥーラに来てもらった…5.4%
・義実家で過ごした…1.8%
・その他…9.1%
アンケートでは
「実家で過ごした」人が3割弱と最も多くなりました。次に多かったのは
「パートナーが休みを取って二人で行った」が17.1%です。過ごす場所で見ると、実家よりも自宅を選んだ方が多いことがわかります。自宅で過ごす場合でも、パートナーや祖父母、親族や産後ヘルパーなど、誰かしらの助けを借りている人が多数派です。
ただ中には「片方の親だけで世話をした」(14.4%)と、産後直後からワンオペ育児をしていた方もいて、産後の体調回復が心配なところです。
実際にどのように過ごしたか、コメントも紹介します。
<実際の産後の過ごし方のコメント>
・自営業なので仕事にすぐ復帰した
・自宅でなんの手伝いも受けずワンオペだった
・自宅でヘルプなしだった
・自宅に戻り、夫が休みを1週間取り、片方の親が2週間来てくれ、その後はkidslineで食事作り置きをお願いしている
・産後ケアできる助産院に3日お世話になり自分でカスタマイズして都内のシティホテルに3泊してのんびり
・退院後1週間実家、1週間助産師所、1週間実家、その後帰宅
*助産師からの一言コメント*
実家で過ごす人が3割を占めていますが、近年では男性の育休が取得しやすくなったことも影響して、自宅でパートナーと育児をする方も増えてきています。
家族の形の多様化に伴い、産後の過ごし方も多様化してきていると感じます。実家や義実家で過ごす以外にも自分が一番ストレスのない方法で過ごすことがなによりも大切です。
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産後1ヶ月の過ごし方それぞれのメリットデメリットを解説
各家庭によって産後の過ごし方は多様ですが、それぞれのメリットデメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。
それぞれの過ごし方のメリットデメリット
【実家で過ごす場合】
*メリット
・気心が知れた家族に甘えてリラックスして過ごせる(実母や実父との関係性によります)
・家事を家族に任せて、育児に専念できる
・身の回りの物の位置などを知っているため、ストレスなく生活できる
・何かあった時に人手があるので、病院に駆け込みやすい
・人生の先輩である家族に相談しながら育児が出来る
・雑談をする相手が多いため、ストレスを発散しながら育児ができる
・上の子がいる場合は、上の子のお世話をしてもらえる
*デメリット
・家族のお節介や子育ての価値観の違いに、ストレスを感じことがある
・夜間など赤ちゃんの泣き声で気を使う
・パートナーと離れる時間が増えるため、夫婦関係の変化に不安を感じやすい
・パートナーとの育児負担の差が起きやすい
・父子の愛着形成が遅くなりやすい
【自宅でパートナーと二人で過ごす場合】
*メリット
・パートナーも父親になった自覚が芽生えやすく父子愛着形成しやすい
・ママの産後の大変さをパートナーが実感しやすい
・パパママ2人で育児方針を固められ、夫婦の絆を構築しやすい
・自分のペースで生活できるため、ストレスなく過ごせる
*デメリット
・パートナーが家事が苦手な場合、家事と育児で負担が大きい
・食事の準備が大変で、栄養面での偏りが気になる
・育児の疑問などを気軽に相談する相手がいない
【自宅に戻り、実家の父母、義理父母など親族に来てもらう場合】
*メリット
・自分のペースで生活できる
・日中は祖父母に家事を手伝ってもらい、夜の育児に専念するなど分担ができる
・栄養のある食事を作ってもらえる
*デメリット
・家の中に自分以外の家族がいることにストレスを感じることがある
・物の位置など、祖父母や親族に説明しなければならない
・祖父母が宿泊している場合、赤ちゃんの夜の泣き声に気を使う
【産後ケアを受けられる施設で過ごす場合】
*メリット
・専門的な知識や育児のスキルを学べる
・すぐに専門家に相談できる安心感がある
・栄養や休息をとりながら、育児に専念できる
*デメリット
・パートナーと離れる場合は、夫婦関係に不安を感じやすい
・パートナーとの育児負担の差が起きやすい、父子愛着形成が遅くなりやすい
・民間の産後ケア施設の場合は、費用負担が大きい
【自宅で産後ヘルパー、産後ドゥーラを利用した場合】
*メリット
・栄養や家事の心配をすることなく育児に専念できる
・育児の不安などを専門家に相談できる
・ママの体調不良時は、沐浴など育児も手伝ってもらえる
*デメリット
・祖父母に来てもらうよりも費用がかかる
・他人が家に入ることにストレスを感じる人もいる
・夜間は帰宅してしまうため、自分とパートナーだけで対応しなければいけない
【義実家で過ごす場合】
*メリット
・家事や食事の心配をせずに育児に専念できる
・上の子がいる場合は上の子のお世話をしてもらえる
・育児の相談が出来る
*デメリット
・生活リズムの違いで、自分のペースで生活できない
・義理の親とのコミュニケーションで気を使い、ストレスがたまることも
・育児方針の違いなどが理由で、関係が悪くなりやすい
【自宅に戻り、片方の親だけで過ごす場合】
*メリット
・自分のペースで育児ができる
*デメリット
・家事をしながら育児、身体の休息をとらなければならず、心身共に疲労困憊する
・マタニティブルーや産後うつのリスクがあがってしまう
・孤独感を感じやすい
*助産師からの一言コメント*
産後すぐのワンオペ育児は、出来るだけ避けてほしいです。メリットよりもデメリットの方が大きく、心身共に疲れ切ってしまうリスクがあまりにも高いからです。
どうしてもワンオペ育児をしなければならない場合は、妊娠中から産後ヘルパーや産後ドゥーラなどを調べておき、いつでも頼れるように準備しておきましょう。頼れるものはできる限り頼るようにしてください。
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助産師がオススメしたい産後1ヶ月の過ごし方
産後のどんな過ごし方が一番よいと言えるのかは、ママの状況や性格により変わってきます。ここでは、パターン別にオススメの過ごし方をご紹介します。
◆自活している人は自宅で育児をするのがおすすめ
実家から出て何年も経っている人や
実家の親と意見の相違がある方は、自宅で育児をする方法が一番ストレスが少ないでしょう。
ただし、その場合はパートナーに育休をとってもらったり、産後1ヶ月ほどは祖父母などに手伝いにきてもらったり、産後ヘルパーを依頼するなど、育児以外の仕事は他の人に頼むようにしましょう。
◆話し相手が欲しいなら実家か義理実家がおすすめ
育児をする場合、人と話すことが減り悶々としてしまう人も少なくありません。
おしゃべりが好きな人は、人と接する機会の多くなる実家や義理実家に帰ることをおすすめします。もしくはパートナーに育休をとってもらうのも良いと思います。
◆体調不良が心配な人は産後ケア施設がおすすめ
出産の負担は人によって大きく違い、産後歩くこともままならないほどダメージを受けている人もいます。
自宅に帰って育児が難しいと感じる場合は、産後ケア施設を検討することをおすすめします。産後の無理は長引きやすいと言われています。まずはママの体調を回復させることが何よりも大切なので、無理をしない選択をしてくださいね。
産後1ヶ月の過ごし方は重要!頼れるものには全て頼って
産後1ヶ月は体調回復のためにとても大事な時期です。
育児に困難を感じた時は、人に頼ることで乗り切るという選択肢があることに気づくだけでも少し肩の荷が降りることもあります。
最近では
ベビーシッターや
産後ドゥーラなど、手軽に育児のサポートを依頼しやすくなってきました。1人で育児をするのではなく、頼れるものには全て頼るという姿勢で育児を楽しみながらやってみてください。
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キッズラインなら、産後ドゥーラやベビーシッターを探せる
ベビーシッターのマッチングプラットフォームであるキッズラインなら、
産後の育児や家事をサポートしてくれる産後ドゥーラや、0ヶ月の赤ちゃんを見られるベビーシッター、家事代行をお願いできる家事サポーターを、スマホで気軽に探すことが出来ます。
初めて依頼する相手に子どもを預ける際には、必ず顔合わせ(オンライン)または事前面談(対面)が必要なので、まずは利用登録をして、検討している方に連絡を取ってみるのがオススメです。
産後の生活を支えてくれる心強いサポーターと“子育てのチーム”を作って、みんなで子育てする環境をつくっていきましょう。
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■ 調査概要
・調査期間:2022年9月9日(金)〜9月12日(月)
・調査対象:キッズライン会員111名
・調査方法:インターネット調査
■フリーランス助産師 上原沙希
東京女子医科大学病院 産婦人科 MFICU に勤務後、より多くの方の力になりたいという思いを抱き、英語力習得のためヨーロッパ留学とギリシャ難民ボランティアへ。その後フリーランス助産師として独立し産婦人科クリニックにてお産介助や妊婦指導などを行う傍ら精神疾患患者や障害をお持ちの患者さんのケアも行う。現在は子持ちフリーランス助産師として産婦人科業務以外にも妊産婦向け商品開発やライター、思春期相談、マタニティヨガ指導、性教育など幅広く活動中。
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