看護師の仕事は、患者の命を支える責任の重さだけでなく、夜勤など体力的な負担が大きいものです。看護師の中には働き方を見直し、資格を活かして副業を始める人もいます。近年、ライフステージの変化に対応する柔軟な働き方への関心が高まって「副業」を考える方が増えています。そこで今回は、看護師の副業について解説します。

そもそも、看護師は副業をしてよいのか


会話をする看護師
看護師が副業を考える際に最も気をつけたいのが勤務先のルールです。公立病院と民間病院では、副業に対する規定が大きく異なります。勤務先のルールを理解することで、副業を始める際のトラブルを未然に防ぐことができます。

民間病院で副業をする場合

●病院に事前申請し、許可を得る

民間病院では、副業が可能であっても「事前承認が必須」と規定されている場合があります。申請手続きを怠ると、後々トラブルに発展する可能性があるため、注意が必要です。申請の際には、副業内容や勤務時間について具体的な情報を伝えることが大切です。病院側が懸念するのは、副業が本業に悪影響を及ぼすリスクです。どのような副業を、どれくらいの頻度で行うのかをしっかりと説明しましょう。

●本業に支障をきたさないことが条件

副業を行う際に最も重要なのは、本業に影響を与えないようにすることです。副業に時間や体力を取られ、本業のパフォーマンスが低下すると、医療事故などのリスクがあるためです。夜勤明けや休日に副業をする際には、休息をしっかり取り、体調管理を徹底することが求められます。また、副業のスケジュールが本業の急な変更に対応できるかも確認しましょう。副業の目的が収入の補填や新たなスキルの習得であったとしても、過労や睡眠不足で本業に悪影響が出てしまっては本末転倒です。本業を最優先に考え、無理のない計画を立てることが大切です。

公立病院で働く看護師の副業は、基本的にNG


OKサインをする看護師
公立病院に勤務する看護師は、法律や就業規則によって副業が制限されている場合が多いです。その理由についてお伝えします。

公立病院での副業禁止の理由と法的な背景

公立病院に勤務する看護師は、公務員として扱われる場合が多く、その場合は兼業を禁止する規則が適用されます。この規則の根拠は、地方公務員法第38条にあります。この法律では、公務員の信用失墜行為や職務専念義務に違反しないことを目的に、兼業や副業が原則として制限されています。

●信用失墜行為の防止
公務員の立場で副業を行うことは、公平性や中立性に疑念を抱かせる可能性があります。特に、看護師のように患者の命を預かる仕事では、信用問題に直結するリスクがあるため、副業は禁止される場合が多いです。

●職務専念義務の遵守

公務員は本業に専念する義務があり、副業が本業のパフォーマンスを低下させる可能性がある場合、厳しく制限されます。看護師の職務は高い集中力や体力を必要とするため、特にこの義務が重視されます。

参考:地方公務員法第38条

公立病院勤務でも、副業ができるケースもある

ただし、全ての副業が一律に禁止されるわけではありません。公務員規定の範囲内で許可される活動もあります。

●規則内で認められるボランティア活動や収入を伴わない行動

地域貢献や社会福祉活動として認められる場合、許可が下りることがあります。このような活動は、無償で行われることが多いためです。ボランティア活動は収入に直結しないものの、経験を積み、人とのつながりを広げることで、キャリアアップにつながる可能性があります。

●公務員として扱われない場合

勤務先の病院が地方独立行政法人や公設民営方式で運営されている場合、看護師は公務員に該当しません。そのため、地方公務員法の制約を受けず、病院の就業規則によっては、副業が許可されることもあります。

看護師が副業をする3つのメリット


笑顔の看護師
就業規則で副業が可能だと確認できた場合、看護師が副業をすることで得られるメリットをご紹介します。

メリット1:収入を補填できる

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は約500万円です。看護師の仕事には責任の重さや夜勤を含む不規則な勤務体系、感情労働などの負担があり、「この収入は見合わない」と感じる看護師も少なくありません。特に、家計を支える立場にある人や、子どもの教育費を確保したい人にとって、副業で得られる収入は大きな助けになります。

参考:令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況
※令和5年賃金構造基本統計調査から、看護師の月収(35万600円)に12をかけて年間の収入を算出し、賞与額(85万4200円)を足して算出

メリット2:本業で培ったスキルを活かせる

看護師の経験や知識は、医療現場を超えて幅広い分野で活かせます。特に、検診バイトや健康相談、医療ライティングといった副業では、判断力やコミュニケーション能力、観察力など、本業で培ったスキルを活用できます。これにより、信頼性の高いサービスを提供できるのが看護師の強みです。

メリット3:本業以外で、新しい視点や経験を得られる

趣味を活かしたハンドメイド商品の販売やデジタルマーケティングなど、副業にはさまざまな選択肢があります。副業では、看護師の仕事では得られない新しい視点や経験を得られるのが大きなメリットです。本業とは異なる仕事をすることで、新鮮な気持ちを取り戻し、多様な価値観や考え方に触れる機会が得られるためです。
さらに、副業での成功体験や達成感は、自信やモチベーションの向上につながります。こうした経験は精神的なリフレッシュをもたらし、日々の業務パフォーマンスを向上させる効果も期待できます。

看護師が副業で「やってはいけない」こと


悩む看護師
副業は、看護師として収入を増やし、スキルの幅を広げるチャンスです。しかし、注意すべきポイントを無視すると、本業に支障を来たし、周囲からの信頼を失いかねません。副業に取り組む際に避けるべき行動を詳しく解説します。

副業成功のために避けたいポイント1:確定申告を怠る

副業で得た収入が年間20万円以上になる場合、確定申告が必要です。もし確定申告をしないと後から税務署から指摘を受け、延滞税や追徴課税が発生するリスクがあります。収入を正確に報告しないと脱税とみなされる可能性があります。

⚫︎確定申告が必要なケース

看護師が副業で得た所得(収入から必要経費を差し引いた金額)が20万円を超える場合、確定申告が必要です。これはアルバイト、フリーランス業務、オンラインビジネスなど、副業の種類にかかわらず適用されます。

副業成功のために避けたいポイント2:違法性の高そうな副業をする

副業を選ぶ際は、違法性や信頼性の低い仕事を避けることが重要です。たとえば、報酬が異常に高い仕事や、業務内容が十分に説明されていない案件には注意が必要です。また、違法性のある医療行為に関わる可能性がある仕事や、契約内容が曖昧な業務も避けるべきです。副業を始める前には、その仕事が法律や医療倫理に違反していないかをしっかり確認することが大切です。

本業に支障をきたす副業の例

副業で最も大切なのは、本業での勤務に悪影響を与えない範囲で行うことです。そのため、以下のような副業は避けるべきです。

NGな副業1:夜勤明けに体力を要する副業

夜勤明けの疲れた状態で体力を大きく消耗するような副業をすると、集中力の低下や体調不良につながるリスクがあります。看護師は患者の命を預かる責任ある仕事に従事しているため、体力や健康管理を最優先に考えるべきです。夜勤後に力仕事や長時間の立ち仕事を伴う業務は避けるのが賢明です。

NGな副業2:長時間拘束される副業

副業に長時間拘束されると、本業の勤務に支障を来たすリスクがあります。看護師は突発的な業務の発生により急に出勤することがあるため、副業に長い時間を割いてしまうと、本業に対応できなくなる場合があります。こうしたリスクを避けるため、時間管理に注意が必要です。

副業のリスクを最小限に抑えるためにすべきこと

副業を成功させるには、リスクを正しく理解し、それに対処する準備が欠かせません。まず、確定申告や税金の管理を徹底し、違法性や信頼性に問題のない仕事を選ぶことが重要です。また、副業が本業に悪影響を及ぼさないよう、仕事量や時間配分を調整し、体調を最優先に考えながら取り組むことが求められます。こうした点に注意することで、長期的に安定して副業を続けることができます。

看護師におすすめの副業3選


キーボードを打つ女性の手
看護師が副業を始める際には、スキルや経験を最大限に活かしつつ、体力や時間拘束の面で融通が利く仕事を選ぶことが重要です。ここでは、看護師に特におすすめの副業として「医療系ライター」「検診バイト」「ベビーシッター」の3つをご紹介します。

専門知識を活かして記事を執筆する「医療系ライター」

医療系ライターは、看護師の専門知識を活かしながら在宅ワークの副業として人気があります。健康や医療に関する記事を執筆する仕事で、メディアや病院のウェブサイト、医療関連のブログなどで需要が高い職種です。自宅でできるのでスケジュールの調整がしやすく、本業への影響を抑えられるのも利点です。

⚫︎メリット

・専門知識を活用できる
看護師としての経験を活かし、医学的な信頼性の高い記事を執筆できます。執筆の対象は、一般の方向けの健康情報から、医療従事者向けの専門的なコンテンツまで幅広くあります。

・在宅で柔軟に働ける
医療系ライターの仕事は基本的にリモートで行えるため、夜勤明けや休日など、自分のペースで取り組むことができます。

・報酬が比較的高い
医療分野は専門性が求められるため、報酬が高めに設定されている案件が多いのが特徴です。
デメリットは、執筆の締切に追われることが多く、本業との両立が難しくなる場合があることです。依頼者の要望に応じた修正が多い場合、予想以上に時間を取られることもあります。


*始め方*


医療系ライターを始めるには、まずクラウドソーシングサイトに登録し、医療関連の記事執筆の仕事を探すのがおすすめです。経験を積めば、より高単価の案件を受注できるようになります。

短時間で効率的に収入を得られる「検診バイト」

検診バイトは、健康診断や予防接種の現場で短期間働く仕事です。看護師資格を活かしながら、比較的軽作業で収入を得られるため、副業として適しています。

⚫︎メリット

・短時間で効率よく稼げる
健康診断や予防接種業務は数時間で完了することが多く、1回の勤務で高い報酬を得られる場合があります。

・体力的な負担が少ない
基本的には採血や検査補助などが主な業務であり、激務になりにくいため、副業として適しています。

・スキルアップにもつながる
現場での業務を通じて、採血や検査技術のスキル向上が期待できます。
デメリットは、業務内容によっては体力的な負担が大きい場合があり、長時間勤務が必要なときがあることです。

*始め方*


検診バイトは、人材派遣会社や求人サイトで募集されていることが多いです。自分の勤務スケジュールに合わせて柔軟に働ける案件を選ぶことで、本業と無理なく両立することが可能です。

病児保育などで看護師の資格が活かせる「ベビーシッター」

ベビーシッターは、家庭で子どもの世話や育児サポートを行う仕事です。特に小児科での看護師経験がある場合は、病児保育の分野での活躍が期待できます。

⚫︎メリット

・保護者からの信頼が得やすい
看護師資格を持つことで、保護者からの信頼度が高まります。小児科の経験がある場合は、病児保育も請け負えるため、特に需要が高いです。

・柔軟な働き方ができる
ベビーシッターの業務は、希望の時間や曜日にだけ仕事を入れるなど調整できるため、本業との両立がしやすいのが特徴です。

・社会貢献をするやりがいが感じられる
共働きで忙しいご家庭を個別保育で支えることで、家庭や地域社会のサポートに貢献できる点も魅力です。
デメリットは、子どもの体調変化や緊急対応が求められ、精神的な負担が大きくなる可能性があることです。依頼者としっかりとコミュニケーションを取ることも必要です。依頼のタイミングと自分の都合が合わないケースもあります。

*始め方*


ベビーシッターの仕事を始めるには、ベビーシッターのマッチングサイトに登録するのがおすすめです。マッチングサイトは個人事業主としての活動になるため、自分の希望するスケジュールのみで稼働でき、時給も自分で決めることができます。


サポーターとして働く

看護師が副業としてベビーシッターを行う魅力


保育士の読み聞かせ
看護師として医療現場で働く中で、患者やその家族へのケアにやりがいや達成感を感じる一方、時間に追われる中で十分に寄り添えないと悩むことがあります。一方で、ベビーシッターは病児保育をはじめとした個別保育に取り組めるため、個々の家庭にしっかりと寄り添うことができます。
特に、小児科病棟やNICUでの勤務経験を持つ看護師は、自身の経験を活かして病児の子どもを預かることができるため、育児家庭への貢献度が非常に高いです。以下に、看護師がベビーシッターを行う3つの魅力をご紹介します。

魅力1:病児保育の需要は高く、看護師スキルが活かせる

ベビーシッターの中でも病児保育は、看護師の資格と経験が最も役立つ分野です。病気の子どもを安全にケアしながら、保護者の不安を和らげるという役割は、看護師としての知識とスキルがあってこそ成り立ちます。特に、NICUや小児科病棟での勤務経験がある看護師は、子どもの健康管理や適切な対応について深い理解を持っており、保護者からの信頼を得やすいのが特徴です。
共働き家庭の増加や保育環境の変化により、病児保育の需要が急速に高まっています。一方で、病児保育の受け皿は不足しています。子どもが病気になった際、両親が仕事を休めない場合にベビーシッターに頼るケースが増えています。

魅力2:専門知識が役立つ現場で、親からの信頼を得やすい

ベビーシッターとして働く際、看護師の専門知識は病児保育以外でもさまざまな場面で役立ちます。たとえば、お子様のサポート中にけがをした場合の対処では、看護師の知識があることで、子育て家庭の力になれる場面があります。また、病児保育を受けた経験がなくても、子育てに慣れないママパパにとっては、「看護師さんが家に来てくれる」という信頼感があることで、安心をお届けできると言えます。

魅力3:柔軟な働き方で、本業との両立がスムーズ

ベビーシッターの仕事は、シフト制や自由な時間設定が可能なため、本業の看護師の仕事と両立しやすい副業です。依頼があった際に対応する形になるため、自分の都合に合わせてスケジュールを調整できるのもメリットです。たとえば、休日に短時間だけお子様の習い事の送迎をすることもできます。このようなフレキシブルな働き方は、看護師のように不規則な勤務形態で働く人にとって非常に魅力的です。

サポーターとして働く

ベビーシッターの登録先としてキッズラインを選ぶメリット


bebysitter
看護師が副業としてベビーシッターを選ぶ際、登録を検討する会社は複数考えられます。その中で、「キッズライン」は他社とは異なる魅力があります。その理由を紹介します。

メリット1: ユーザーの人数が非常に多い

キッズラインの最大の特徴は、利用者とベビーシッターを結びつけるマッチングプラットフォームという点です。ベビーシッターを頼みたいと登録しているユーザー数は約20万人以上。全国からベビーシッターを探す方が登録しています。
サイト内では、看護師資格を持ったシッターも複数います。とはいえ、保育士の方が多いため、看護師資格を持っていることをプロフィールでアピールすることで、保護者からの信頼が高まります。看護師としてのスキルと経験を活かしながら、より多くのユーザーに出会う機会を得られることが大きなメリットです。

メリット2: シフト制に合わせた柔軟な働き方が可能

看護師は本業がシフト制のことが多いため、副業との両立が難しいと感じる方も多いでしょう。
その点、キッズラインでは自分の空いている時間のみをスケジュールとして公開できることから、休日にだけ副業をすることも可能です。無理のないペースで働けるため、本業に影響を与えず副業を続けられる点が看護師にとって大きな魅力です。また、突然の依頼にも柔軟に対応できるので、スキマ時間を有効に使いながら収入を得ることができます。

メリット3: 病児保育の需要が非常に高い

病児保育は、ベビーシッターの中でも特に需要が高い分野です。特に、看護師資格を活かしたケアは、親にとって大きな安心感を提供します。病気の子どもを預ける際、看護師の資格とスキルは信頼の証となり、他のベビーシッターとの差別化につながります。
看護師としての緊急時の対応力や健康管理のスキルを活かすことで、医療的なケアを含む専門的なサポートが可能です。そのため、高単価の依頼を受けられる機会が増える点も大きな魅力です。

ベビーシッターの時給は右肩上がりの傾向に

平均時給がアップしていることも、キッズラインでベビーシッターをする魅力の一つです。特に東京都におけるベビーシッターの平均時給は2015年に1414円でしたが、2024年には2422円と、10年で約1.7倍も上昇しました。東京だけでなく、一都三県の平均時給も2308円と高水準です。病児保育を受けられる看護師の場合は、平均よりも高い時給を設定することも可能です。

助成制度を活用して、継続的なサポートができる

キッズラインは東京都の「ベビーシッター利用支援事業・一時預かり事業」(1時間あたり最大2500円の補助)や「企業型ベビーシッター割引券」(1回あたり最大4400円の割引)といった助成制度の認定事業者です。
登録後にこれらの認定シッターの資格を得ることにより、依頼者の経済的な負担が軽減され、働く側のシッターも安定した仕事が入るという仕組みがあります。看護師をしながら副業を考えている方にとっては、こうした助成制度があることで、比較的高時給でベビーシッターを始めることができます。また、スキルに見合った時給を設定できるので、やりがいにつながりやすいことも利点です。

参考:東京都ベビーシッター利用支援事業(東京BS事業)のご利用条件
サポーターとして働く

看護師の副業としてベビーシッターを検討してみよう


笑顔の看護師
看護師は、高い専門性を活かして、定年まで長く働ける職業です。職場環境やライフステージの変化に合わせて、資格を活かした柔軟な働き方を取り入れることで、より充実したキャリアを築くことも可能です。その一つとして注目されるのが副業です。副業は、収入を補うだけでなく、新しい視点や経験を得る機会としても活用できます。
その中で「キッズライン」のベビーシッターの仕事は、看護師資格を活かせる魅力的な副業の一つです。共働きの家庭が増える中で、看護師ならではの専門性が求められる場面も増えています。
こうした副業の選択肢を通じて、看護師としてのスキルを新しい形で活かしながら、自分らしい働き方を実現できます。副業で得た経験や新たな視点は、将来のキャリア形成や生活の充実にも役立つでしょう。今の環境にとらわれず、柔軟な働き方を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

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