保育園に入ったら最初にする「慣らし保育」。「慣らし保育って何?」「親は何をしたらよいの?」という疑問に、ベテラン保育士が回答。子どもが安心して保育園に通えるようになるための「慣らし保育」の進め方について解説します。

慣らし保育って何?慣らし保育の目的とは


慣らし保育
慣らし保育とは、少しずつ保育園に慣れていくための保育のことです。
生活パターンが変われば、心身ともに疲れが出てくるものです。子どもだけでなく、ママパパも少しずつ時間をかけて新しい環境に順応していきましょう。慣らし保育の目的は主に3つあります。1つずつ紹介していきます。

【慣らし保育の目的1】子どもが慣れるため


慣らし保育の第一の目的は、子どもが新しい環境に慣れることです。

ママと離れて過ごすことに慣れる
保育室に慣れる
保育士に慣れる
他の子がいる環境に慣れる
保育園に通う生活リズムに慣れる



生まれてからずっとママパパの側で生活してきた子どもにとって、離れることは不安でしかありません。保育園が安全な場所なのかどうか、最初はわからないためです。
また、保育室には家庭と異なるにおいや音、景色があり、さまざまな人がいます。保育士に不安を受けとめてもらいながら、徐々に安心して過ごせるようになります。

【慣らし保育の目的2】ママパパが慣れるため


子どもが慣れるのと同時に、ママパパも新しい生活に慣れる必要があります。

子どもと離れて過ごすことに慣れる
保育園に慣れる
保育士に慣れる
送り迎えに慣れる
1日の時間の使い方に慣れる



初めての場所で初めての人と関わるのは、大人であっても知らず知らずのうちに緊張しているものです。登降園時に保育士とどんな言葉のやりとりをしたらいいのかも悩みますよね。
仕事の完全復帰をイメージしながら、少しずつ時間の使い方や行動パターンを掴んでいく必要があります。毎日のルーティンが決まってしまえば、少しずつ生活しやすくなっていきます。

【慣らし保育の目的3】保育士が慣れる


実は、慣らし保育期間中は保育士にとっても新しい環境に慣れる時期になります。

子どもの生活リズムをつかむ
子どもの興味関心を知る
子どもの発達段階を探る
子どもと信頼関係を築く
保護者と信頼関係を築く



保育士はたくさんの子どもを見ているので、ある程度は子どもの素性を知っています。もし慣らし保育期間がとれなくても、通常保育の中で子どもや保護者との関係を築いていくことは可能です。
とはいえ、保育士にとっても新しい子どもとの出会いは、試行錯誤の連続です。一人ひとりに合わせた保育ができるよう、少しずつ子どものことを知って、子どものペースに慣れる必要があります。

慣らし保育の基本的なスケジュール


慣らし保育のスケジュールは、ママパパがいつから仕事復帰するのかによって異なります。また子どもの様子を見つつ、ママパパと保育士が相談しながら慣らし保育の進め方を決めていくことになります。ここからは、基本的な慣らし保育のスケジュールについてご紹介します。

●慣らし保育の時間


慣らし保育の時間は、子どもへの負担を考え、短時間から始めます。少しずつ時間を延ばしたり、活動の節目でお迎えに来てもらったりします。園や人によって異なりますが、以下のような流れで進めます。

◇ママパパと一緒に保育園で遊ぶ
  ↓
◇ママパパと離れて1時間だけ過ごす
  ↓
◇2時間過ごす
  ↓
◇給食を食べるまで過ごす
  ↓
◇午睡明けまで過ごす
  ↓
◇おやつ後まで過ごす
  ↓
◇復帰後預ける予定の時間帯で預ける


●慣らし保育の日数


慣らし保育の日数は、2週間〜1ヶ月くらいで行います。ママパパの仕事の都合によっても異なり、人によっては全く慣らし保育の期間をとれない方もいます。
仕事復帰まで余裕がある方は、復帰予定日に向けて時間をかけて慣らし保育を行っていくことができます。入園と同時に仕事復帰の方は、早退したり、半休を使ったりして、早めにお迎えにくることもあります。

仕事の都合もあると思うので、子どもの様子に合わせて慣らし保育をゆっくり進めていくことが難しい方もいるでしょう。しかし無理をすれば、子どもが体調を崩して結局休みをとらざるを得なくなってしまいます。
できれば2週間くらいは慣らし保育の期間を設けたいところですね。

慣らし保育の前に家庭でしておきたい準備


保育士
子どもが慣れない場所でママパパと離れて過ごすようになるので、親の方は心配が尽きないですよね。少しでも子どもの負担を軽減するために、家庭で準備できることはしておきましょう。
慣らし保育初日を迎える前に家庭でできることを、保育士視点でご紹介します。

【準備1】子どもの生活リズムや好きな遊びを記録しておく


子どもの生活リズムや好きな遊び、興味のあることについてまとめておきましょう。
保育士は子どもの好きなものを知らない状態で慣らし保育が始まります。色々試すことはできますが、事前に情報として知っておけば、子どもと仲良くなるまでにかかる時間が短くなるかもしれません。
特に赤ちゃんは、生活リズムも一人ひとり異なります。眠くなったり、お腹が空いたりするリズムがわかると保育士も安心です。
適切に睡眠や食欲などの基本的欲求を満たしていくことで、赤ちゃんも安心できます。保育士が適切にサポートできるよう、子どもについて事前に記録しておきましょう。

【準備2】持ち物に名前を書いておく


持ち物には、大きく名前を書きましょう。見えやすい場所に書くこともポイントです。
保育士は大勢の子どもの物を管理しなくてはいけません。子どものために素早く対応したいと思っても、他人の物を使用する訳にはいかないので、1つ1つ名前を確認する必要があります。
赤ちゃんが眠ったときやオムツを替えるときに、名前がすぐに確認できるだけでも保育士の動きがスムーズになり、子どもの欲求にもすぐに対応できるようになります。
名前はすべての物に大きく、見やすい場所に書いて準備しておきましょう。

【準備3】保育園に親しみを感じる機会を作る


まったく知らない場所は大人でも緊張するものです。慣らし保育が始まる前に、できるだけ子どもが保育園を身近に感じられる機会を作りましょう。
保育園によっては子育て支援センターが併設されていたり、地域の人に園庭開放をしていたりします。実際に園内へ入ったり、遊んだりする機会を持てれば、子どもにとって保育園が親しみを感じる場所になるでしょう。
中に入ることができなかったら、近くを散歩するのもよいですね。園庭で遊ぶ子どもの様子を見ることができるかもしれません。
まずは園のホームページを見て、地域の人が利用できるか調べてみましょう。

慣らし保育に行くときに子どもがぐずったらどうする?


保育園に慣れるまで、子どもは不安な気持ちでいっぱいです。「ママと離れたくない」と泣くことが予想されます。ここからは、子どもがぐずったときにママパパができることをご紹介します。

笑顔で、ちゃんとバイバイする


子どもと離れるときは、笑顔で「行ってきます」を表現しましょう。ママパパの不安は子どもに通じるものです。不安を感じていても笑顔でバイバイすることが大事です。ママパパが笑っていると、子どもは「ここは安心できる場所なんだ」と少しずつわかっていきます。

もちろん、不安な気持ちを持ってはいけないということではありません。ママパパも初めての保育園で複雑な気持ちを抱えているはずです。不安な気持ちは保育士に伝えておきましょう。そして、子どもとバイバイするときだけは笑顔を作るように努力します。

子どもの機嫌がよいからといって、バイバイをせずに、子どもが見てないうちにそっと去るのはNGです。ママパパが突然いなくなったら、子どもはママパパと離れることに更なる不安を覚えます。
保育園に預けるときは、必ず子どもに笑顔で「行ってきます」と伝えましょう。

「〇〇したらお迎えにくるからね」と見通しを伝える


保育園に預けるときには子どもに「〇〇したらお迎えにくるからね」と伝えましょう。見通しがわかることで、子どもは安心します。始めのうちは保育園の生活の流れがわからないので、多くの子が不安を感じます。「ご飯食べたらお迎えにくるからね」と繰り返し伝えれば、回数を重ねるごとにちゃんとお迎えにきてくれるとわかってきます。
ママパパがいつお迎えにくるのかわかるだけでも安心材料の一つとなります。「おやつ食べて、お部屋で遊んで、ご飯食べて、ねんねしたらお迎えにくるからね」と子どもが一日の流れをイメージできるように伝えるのもオススメです。

保育士と親しくなる


保育士と積極的に会話をして親しくなりましょう。保育士と話すママパパの自然な笑顔を子どもに見せるのがポイントです。送迎時に保育士と会話を重ね、信頼関係を築いていきましょう。
実は年度始めは、保育士の方も緊張しています。若手保育士ならなおさらです。子どものためにもお互い歩み寄り、一緒に子どもの成長を応援していきたいですね。

慣らし保育から帰宅した子どもの過ごし方

慣れない場所で過ごした後、子どもは心身ともに疲れています。保育園から帰宅したらどのように過ごしたらよいのでしょうか。ここからは、子どものケアも含めて、帰宅後の過ごし方をお伝えします。

子どもの気持ちに寄り添おう


まずは帰宅したら子どもの気持ちに寄り添いましょう。言葉が話せる子であれば、保育園での出来事を聞いてみてもよいでしょう。たくさん泣いて疲れているようであれば、自宅でゆっくり休みます。いつも以上にスキンシップをとり、子どもと向き合いましょう。
動くことでストレスが発散できる子は、帰宅中に公園に立ち寄って気分転換をするのもよいですね。子どもの好きなことを一緒に楽しみながら、子どもの気持ちに寄り添いましょう。

疲れてしまうので、おでかけは控えめに


慣らし期間中は帰宅後に時間があります。しかし遠くにお出かけしたり、遊びに連れて行ったりするのは控えましょう。
子どもは一見元気そうに見えても、意外と疲れているものです。子ども自身で疲れを感じて行動をコントロールするのは難しいので、親が調整してあげましょう。もしおでかけが必要なら、子どもの様子を見ながら、長時間にならないように気をつけましょう。

夜は早めに寝かせる。夜泣きの可能性も


次の日の登園のことも考えて、早めの就寝を心がけましょう。日中は慣れない場所で過ごしたので、夜泣きする可能性もあります。夜泣きに備えて、ママパパも早めに就寝できるとよいですね。
十分に睡眠がとれると、心身ともにリフレッシュできます。逆に睡眠が足りないと、気持ちが安定せず、保育園に慣れるまで余計に時間がかかります。夜は早めに布団へ入り、十分に眠りましょう。

慣らし保育期間、親はどう過ごす?


保育園
慣らし保育の期間中、親はどう過ごしたらよいのでしょうか。育休中の方と仕事復帰している方では意識することが異なります。ここからは、慣らし保育期間中の過ごし方について解説します。

【育休中】慣らし保育期間中の過ごし方


育休中の方は、1人で過ごす時間ができて、はじめは落ちつかないかもしれません。あっという間に時間は過ぎてしまうので、一人時間の過ごし方を決めておきたいですね。

【過ごし方の例】
・近場でショッピング
・自宅でゆっくりする時間を楽しむ
・仕事復帰に向けた準備をする
・部屋の片付けをする
・食事の準備をしておく


慣らし保育中の子どもは疲れが出やすく、体調を崩しやすいです。慣れない空間で生活しているので、食べない・飲まない・熱が出たと保育園から連絡が来る可能性があります。遠出はせずに、すぐに対応できるような過ごし方を心がけましょう。どうしても用事があるときは、事前に保育士へ伝えておくことをオススメします。

【仕事復帰後】慣らし保育期間中の過ごし方


慣らし保育期間中に仕事復帰した方は、出勤時間・退勤時間の調整が必要です。子どもが体調を崩す可能性があるので、早退や有給を使うシミュレーションもしておいた方がよいですね。上司や同僚とのコミュニケーションを大切にしながら、仕事量の調整を行っていきましょう。
自宅へ帰ってからも家事や子どものお世話に追われ、慣れない生活リズムに苦戦するかもしれません。途中で切り上げてきた仕事のことも頭をよぎるはずです。働きながら慣らし保育を行うのは大変なことです。1人で頑張ろうとせず、いざというときのために頼れる人をみつけておきましょう。

今すぐベビーシッターを依頼してみる

慣らし保育期間は、育休復帰後の生活リズムを整えよう


保育園の送迎
慣らし保育は、子どもだけでなく、ママパパにとっても新生活に慣れるための時間となります。初めての保育園生活を送る子どものことが心配だと思いますが、ママパパも生活リズムを整えたり、役割分担を決めたりして、仕事復帰に備えましょう。
実際に働きながら子どもを育てることは大変です。はじめのうちは感染症にかかりやすく、仕事を休まなければならないこともあるでしょう。
職場の人が理解を示してくれているとしても、復帰してすぐに連続したお休みは取りにくいものです。祖父母や親戚など、近くに頼れる人がいるなら、事前にお願いする可能性も伝えておきましょう。
もし頼れる人がいない場合は、ベビーシッターの利用を検討してみてはいかがでしょうか。慣らし保育期間中だけでなく、仕事復帰後も強い味方となってママパパを支えてくれるはずです。

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キッズラインならサポートを頼めるシッターが見つかる


ベビーシッターのマッチングサービス「キッズライン」には、育児のサポートをお願いできるベビーシッターが数多く登録しています。初めてのシッターに保育を依頼する際には、顔合わせまたは事前面談が必要なので、まずはよさそうだなと思った人に連絡を取ってみましょう。自宅の近くで対応してくれるシッターを見つけておけば、残業でお迎えに間に合わない、病児保育を頼みたい、といった子育てのさまざまな場面で力になってくれるはずです。まずは無料で登録してシッターさんを検索してみましょう。

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■保育士ライター 佐野希子
18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。


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