下の子が生まれると、上の子の赤ちゃん返りが大変という声をよく耳にします。上の子は気を引きたいのだと分かっていても、具体的にどんな言葉をかけたらいいのか難しいですよね。そこで、ママパパの愛情がきちんと伝わる赤ちゃん返りの対応法を保育士が解説します。

赤ちゃん返りとは?


赤ちゃん返り
赤ちゃん返りとは、幼児期の子どもが赤ちゃんのように振る舞うことです。家庭では弟や妹が生まれたときに、上の子が赤ちゃん返りをする姿が見られることがあります。
具体的に赤ちゃん返りとはどのような状態なのか、確認していきましょう。

赤ちゃん返りで見られる子どもの姿


赤ちゃん返りでは、以下のような子どもの姿が見られます。

☑おもらしをする
☑オムツを履きたがる
☑哺乳瓶で飲みたがる
☑おっぱいを触りたがる
☑赤ちゃん言葉で喋る
☑泣いたり、泣き真似をしたりする
☑できることなのに、できないフリをする
☑ママパパの言っていることがわからないフリをする


赤ちゃんの真似をすることで、ママパパに甘えたり、注目を集めようとします。

赤ちゃん返りをする状況


赤ちゃん返りをするとき、子どもは以下のような状況におかれていることが考えられます。
●ママパパを呼んでも振り向いてくれない
●なんでも自分でやるように言われている
●ママパパが赤ちゃんをずっと抱っこしている
●ママもパパも赤ちゃんばかり見ている
●「お姉ちゃんだから」「お兄ちゃんだから」と言われる

ママが下の子を妊娠したときから、赤ちゃん返りが始まる子もいます。ママの体調が悪くなったり、大きなお腹でだっこするのがしんどかったりすると、上の子との関わり方が変化するからです。赤ちゃん返りが始まったら、子どもの周りでどんな変化があったのかを客観的な目でチェックしてみましょう。

赤ちゃん返りの原因は?いつまで続く?


子どもは赤ちゃん返りをすることで、ママパパの愛情を確認しています。どんなことを考えて赤ちゃん返りをしているのか、子どもの思いを解説します。

赤ちゃん返りする子どもの心理状況


赤ちゃん返りする子どもの心理状況は、以下のような内容が考えられます。

●ママパパに遊んでほしい
●ママパパに見てもらいたい
●赤ちゃんにママパパをとられた
●赤ちゃんと同じように構ってほしい
●ママパパが赤ちゃんばかり見てて寂しい


赤ちゃんが生まれる前まで独占できていたママパパの愛情を取り戻したい、という気持ちが心の中で渦巻いています。その思いを言葉にすることは難しいので、赤ちゃん返りという方法でママパパの関心を引こうとするのです。

赤ちゃん返りはいつまで続く?


赤ちゃん返りは、おおむね4歳くらいになると落ち着きます。自分でできることが増え、友だちとの関係も広がってくるので、精神的にも自立が進むからです。
自意識が芽生え、周りの目を気にするようになるので「恥ずかしい」という気持ちを抱くようになります。そうして少しずつ、赤ちゃん返りはなくなっていきます。
ただし「4歳」はあくまでも目安です。子どもによっては2歳で落ち着く子もいれば、小学校に入学しても続く子はいます。一度赤ちゃん返りが落ち着いたと思っても、時間をおいて再び赤ちゃん返りが再び始まる子もいます。
親子の関係性だけでなく、環境や子どもの性格も関係するので「もう5歳なのに…自分の子育てが間違っていたのかなぁ…」と落ち込む必要はありません。
今、目の前にいる子どもの気持ちを大切にして関わっていけば、赤ちゃん返りが落ち着く日は必ずやってきます。

赤ちゃん返りの対応方法は?


赤ちゃん返りの対処法
では、赤ちゃん返りをする子どもにはどのような対応をしたらよいのでしょうか。子どもは気持ちを満たしてあげると、落ち着いていきます。子どもの心が満足する親の関わり方を解説します。

【1】気持ちを受けとめる


まずは、子どもの気持ちを受けとめましょう。子どもは決してママパパを困らせたいと思っている訳ではありません。子どもの行動がどのような気持ちと結びついているのかを、考えてみましょう。たとえば以下のようなものが挙げられます。

「赤ちゃんみたいな泣き真似をしているのは、だっこしてほしいからだろう」
「できないフリをしているのは、赤ちゃんと同じように甘えたいからだろう」
「赤ちゃん返りをするのは、ママパパがちゃんと自分を好きか確かめたいからだろう」

子どもの行動には必ず動機が存在します。動機(気持ち)を適切に読み取ることが大切です。

《保育士からの一言ポイント》
子どもの気持ちの根底にあるのは「ママパパが好き」という気持ちです。「好きだから、何をして欲しいと思っているんだろう」と考えましょう。


【2】スキンシップをとる


だっこしたり、手を握ったりして、スキンシップを意識的に増やしましょう。肌に触れる時間が増えるだけで、子どもは安心します。

例えば…
・ハグをする
・頭をなでる
・背中に手を当てる


生活の中で、自然と上の子に触れている時間帯もあるはずです。あえてスキンシップの時間を作るのは難しくても、普段の関わりの中で意識して触れたり、丁寧に関わっていくだけでも子どもは満足します。

例えば…
・一緒にお風呂に入る
・着替えを手伝う
・髪をとかす
・保湿クリームをぬる
・子どもを膝にのせて絵本を読む
・布団に入って寝かしつけをする


《保育士からの一言ポイント》
1日の中で、上の子とスキンシップをとる時間を決めておきましょう。子どもも「ママとの時間がある」と分かっていれば、心が安定します。


【3】成長を喜ぶ


子どもの成長した姿を喜び、言葉にして子どもに直接伝えましょう。

例えば…
「ごはん、自分でぴかぴかに食べられるようになったね。かっこいい!」
「わー!お洋服に着替えるの、早い!さすが!」
「〇〇ちゃんが大きく育ってくれて、ママ(パパ)嬉しいなぁ」


本来なら子どもは「自分でできる」ことに喜びを感じます。しかし今は、できないことに価値を感じています。自分よりできることが少ない赤ちゃんが、自分よりもママパパの注目を浴びているからです。
上の子なりに成長している部分を認め、言語化していきましょう。「ちゃんとママパパは見ていてくれている」と子どもが安心します。

《保育士からの一言ポイント》
何げない日々の中で、子どもが当たり前にできている姿を褒めましょう。子どものありのままの姿を認めることが大切です。


【4】感謝を伝える


子どもに「ありがとう」を積極的に伝えましょう。ママパパが「助かる」「嬉しい」「幸せ」と感じたときが、感謝を伝えるタイミングです。

例えば…
「お手伝いしてくれて、ありがとう。とっても助かったよ」
「えっ!お片付けしてくれたの?パパ嬉しいな。ありがとう」
「○○ちゃんがいてくれるから、ママ幸せ。ありがとう」


「ありがとう」と言われると、子どもは自分の存在や行動を認められていると感じます。自己肯定感が育ち、赤ちゃんのように振る舞わなくても大丈夫だと感じられます。

《保育士からの一言ポイント》
「ありがとう」と伝えるときは、子どもの目を見て、にっこり微笑みましょう。ママパパが笑顔を向けてくれたと分かるだけで、子どもは嬉しく感じるものです。


【5】2人だけの時間を作る


上の子とママパパが2人きりで過ごす時間を作りましょう。子どもの「ママ(パパ)を独占したい」という気持ちを叶えるためです。
上の子は上の子なりに、赤ちゃんのいる生活を受け入れようと日々頑張っています。2人きりの特別な時間をもつことで、子どもはママパパの愛情を再確認できます。気持ちが満たされれば、赤ちゃんのいる生活も少しずつ受け入れていくことができるでしょう。
以下のように2人きりで過ごす時間を決めてみてはいかがでしょうか。

例えば…
毎月、第3日曜日
毎週、日曜日の午前中
毎日、下の子が寝ている時間


2人の時間を作るために、赤ちゃんを誰かに見ていてもらう必要があります。パパやおじいちゃん・おばあちゃんの他、ベビーシッターにお願いしてみるのもオススメです。

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赤ちゃん返りをしている子にやってはいけないこと


怒る母親
間違った対応をすれば、赤ちゃん返りが長引いてしまいかねません。また、子どもの心を傷つけてしまう可能性もあるので、対応には気をつけていきたいですね。ここからは、赤ちゃん返りをしている子にやってはいけない対応について解説します。

【NGパターン1】怒る


感情的に怒らないように気をつけましょう。怒られた子どもは「やっぱりママパパは赤ちゃんが好きで、自分のことは好きじゃないんだ」と勘違いしてしまいます。
子どもの姿にイライラして、以下のような言葉をかけていませんか?

「なんで泣くの?」
「自分で靴、履きなさい!」
「赤ちゃんみたいなこと、しないの!」


どうしても目に映る行動に意識が向いてしまいますが、注目すべきは目に映らない子どもの内面です。苛立ちや怒りを感じ始めたら、まずは深呼吸をして、子どもの気持ちを想像してみましょう。

【NGパターン2】突き放す


子どもを突き放すような言動をしないように気をつけましょう。例えば以下のような言い方です。

「そんなことする子は嫌いだよ」
「あっちに行ってて」
「置いていくからね」


上記のような言葉をかけられた子どもは「やっぱり、私のことは大切じゃないんだ」「私はいなくてもいいんだ」という絶望を感じてしまいます。
子どもは一時的には赤ちゃん返りを止めて、親の言う通りに行動するかもしれません。しかし「ちゃんとやらないと見捨てられてしまう」という不安が常に隣り合わせになってしまいます。

【NGパターン3】自分でやらせようとする


赤ちゃんに手がかかるので、ママパパは上の子に「自分でできることはやってほしい」と期待してしまいます。しかし赤ちゃん返りをしているときは、以下のような無理強いする言葉は避けた方がよいでしょう。

「自分でできるでしょ!」
「もうお兄ちゃん(お姉ちゃん)でしょ!」
「早くやって!」


ママパパの注意を引きたくてできないフリをしているのに、無理にやらせようとするのは困難です。なんとか自分でやらせようとすれば、親子のバトルに発展してしまうかも。
この時期は甘えを受けとめ、やってあげても大丈夫です。子どもが満足したら、また自分でやり出します。そのときにはたくさん褒めて、自然に自立を促していきましょう。

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赤ちゃん返りに疲れてない?ママパパも休息を


母親と遊ぶ子供
一時の赤ちゃん返りならかわいいものですが、何ヵ月も続くとママパパも疲れてしまいますよね。赤ちゃんみたいな振る舞いは、辞めさせようとすればするほどひどくなります。
喋れるのにわざと喋らなかったり、泣き声を出して気を引こうとしたり、「いい加減にして…」と思う気持ちも湧いてくることでしょう。急いでるときや疲れているときは、怒りの感情が抑えきれないときもありますよね。
赤ちゃん返りに疲れたママパパに必要なのは休息です。リラックスして自分の気持ちと向き合えたとき、「上の子も寂しんだよな」という感情を思い出すことができます。
赤ちゃん返りをする子どもの気持ちを理解するためには、ママパパの心のゆとりが必要です。「ちょっと育児に疲れを感じてきたな…」というときは、周りの人に助けを求めることも大切です。

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赤ちゃん返りの対応は、育児のプロに頼むのも◎


赤ちゃん返りが長引く場合は、親子ともに気持ちをリセットする必要があります。親子の間に、負の感情の悪循環が発生している可能性があるからです。
親の心に余裕がないと、ゆとりをもって子どもの気持ちを受け止めることができません。すると赤ちゃん返りはいつまでも止まず、親のイライラも繰り返してしまいます。
そんなときは、育児のプロであるベビーシッターに頼るのも1つの手です。別々に過ごす時間が、お互いの気持ちをスッキリさせてくれます。
子どもがベビーシッターとたくさん遊んでいる間に、ママパパはリフレッシュの時間を確保しましょう。気持ちが落ち着けば、親も子どもも自分らしさを取り戻せるはずです。

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赤ちゃん返りは適切な対応で乗り切ろう


赤ちゃん返りは「僕(私)のことを、見て」のサインです。子どもはいつだって、親にとって一番の存在でいたいと思っています。とくに上の子は、生まれたときからずっとママパパを独占してきたはず。下の子の誕生で日常が変化し、不安を感じています。
適切な対応をすれば、上の子も「大事にされている」と分かり、赤ちゃん返りも落ち着いてきます。自分は自分のままでも愛されていることが分かるからです。
赤ちゃん返りの様子が見られたら、子どものできることを褒め、その子らしさを認めていきましょう。対応に行き詰まり、疲れを感じているのなら、子育てのプロであるベビーシッターに頼るのもおすすめ。家族が笑顔で過ごせる方法を選択しましょう。

キッズラインなら、ベビーシッターをスマホで依頼できる


ベビーシッターのマッチングプラットフォームであるキッズラインなら、赤ちゃんのお世話や上の子の相手をしてくれるベビーシッターを、スマホで探すことが出来ます。初回の依頼前には必ず顔合わせまたは事前面談が必要なので、まずは一度連絡を取ってみるのがオススメです。
また、キッズラインでは家事代行サービスも依頼することが出来ます。慌ただしい育児生活を支えてくれるサポーターを見つけて、時にリフレッシュを図りながら、無理のない子育てをしていきましょう。

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■保育士ライター 佐野希子
18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。


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