わが子にちょっと近づいただけで「パパ嫌い」「パパいや」と言われて傷ついたことはありませんか。パパなりに努力しているのに、懐いてくれないのは何故なのでしょうか。そこで今回は「パパいや」の理由と対処法をベテラン保育士が解説。適切な関わり方をすれば、パパにも笑顔を向けてくれるようになります!
「パパ嫌い」が始まる年頃

生後7ヶ月頃になると「パパいや」と泣いて表現する子が見受けられます。この時期に人見知りが始まるからです。人見知りが落ち着いたら、最初とは違う理由で「パパ嫌い」が始まります。パパを嫌がるのは、子どもが成長している証ともいえるでしょう。「パパ嫌い」の適切な対処法を知るためにも、まずは子どもがどのように「パパ嫌い」と表現しているのか確認していきましょう。
「パパ嫌い」と言葉で表現するのは、しゃべれるようになってからです。ただしおしゃべりができるようになる前から、子どもはさまざまな方法で「パパいや」と表現しています。
どのような表現があるのか、みてみましょう。
・7ヶ月頃
泣く
固まる
ママにしがみつく
・1〜2歳頃
泣く
怒る
逃げる
・3歳以上
叩く
にらむ
「パパ嫌い」と言う
「パパ嫌い」の理由は?
子どもは「パパが本当に嫌いだから」というよりも、別の理由があって「パパ嫌い」と言っていることが多いです。理由は発達過程によって異なります。
ここからは「パパ嫌い」の理由を、子どもの発達と合わせて解説します。
【7ヶ月】人見知り
生後7ヶ月頃になると、脳が発達して人見知りが始まります。ママとママではない人の顔を見分けられるようになり、子どもによっては「パパいや」と泣いて表現するようになります。
ママは赤ちゃんにとって安心できる存在です。いつも側にいて、心地よい状態を保ってくれるからです。ママ以外の人は安心できる人なのか分からないため、赤ちゃんは泣きます。パパであっても、仕事が忙しかったりして赤ちゃんと接する時間が少ないと、人見知りの対象となってしまいます。
「パパが嫌い」というよりは「ママがいい」という理由で泣くのです。
【1歳】いつもと同じがいい
1歳頃になると秩序を好むようになるので「いつもと同じ」ことで安心するようになります。パパが関わることで、
いつもとは違う状態になってしまうので、子どもは不安になり「パパいや」と言います。
たとえばオムツ交換でも、ママにはママの手順があります。ママの触れ方や声のかけ方もあります。子どもがママとのオムツ交換しか慣れていないのなら、突然異なるやり方でパパがオムツ交換をしてきたら、嫌がって泣きます。パパが嫌だからではなく、いつもと違うからです。
【2歳】イヤイヤ期
2歳頃になると自我が芽生えて、いわゆるイヤイヤ期に突入します。
何を言われても「いや」と返す時期なので、「パパと遊ぼうか?」と誘っても「パパいや」と断られます。
パパに限らず、ママが誘っても「いや」と返すことが多い時期です。子どものイヤイヤに真正面から衝突してしまうと、本当に嫌われてしまう可能性があるので気をつけたいですね。
【3歳以上】怒られたくない
3歳を過ぎると自分でできることが増えてきます。しかしまだ子どもなので、危険な行動をしたり、社会的なルールを守れなかったり、大人に注意される機会も増えます。
怒られると嫌な思いをするので、
自分を守るために「パパ嫌い」と表現することがあります。
しかし、心の底から恐れているパパには「パパ嫌い」なんて言えません。余計に怒られるからです。怒られたときに「パパ嫌い」と言う子は、実はパパのことを信頼しているし、好きなのです。
大好きなパパに怒られたくなくて「パパ嫌い」と言ってしまう時期なのです。
「パパ嫌い」はいつ頃治まる?
「パパ嫌い」は、4歳くらいになると落ち着いてきます。理由は以下の通りです。
●コミュニケーション力や社会性の発達により、積極的にママ以外の人と関係を築けるようになる
●語彙が増え、自分の気持ちを「嫌い」「いや」以外で表現できるようになる
●「嫌い」「いや」と言うと相手が傷つくことが分かってくる
4歳より前の段階でも、パパが十分に子どもと関わる時間が持てれば、「パパいや」と拒否されることはなくなります。とはいえ、仕事で毎日忙しいと思うので、休日に子どもと遊ぶ時間を1時間だけ作る、お風呂は一緒にはいる等短い時間でも子どもと関わる機会を作っていくとよいでしょう。
「パパと一緒にいると楽しい」と分かれば、「パパいや」と言われなくなります。
「パパ嫌い」と言われた時の対処法

「パパ嫌い」と言われたとき、とっさにどう返せばよいのか困ってしまいますよね。適切な対応策を知っておけば、突然の「パパ嫌い」にも戸惑わずに済み、より子どもと仲良くなれるはずです。
ここからは、「パパ嫌い」と言われたときの対処法をご紹介します。
【言葉のかけ方】おうむ返し
「パパ嫌い」と言われたら、「パパのこと、嫌いなの?」とおうむ返ししましょう。「うん」と返ってきても、ショックを受ける必要はありません。
子どもから「うん」を引き出せたら大成功です。「自分の気持ちを受けとめてもらえた」と感じ、次の会話に繋がりやすくなります。
【NG例】
子 「パパ嫌い」
パパ「なんで?」
子 「嫌いだから!」
パパ「嫌いって言わないでよ」
子 「やだ!」
パパ「怒るぞ!」
子 「パパやだ〜(泣く)」
怖がらせては、先へ進めません。質問・否定・脅迫の言葉は控えましょう。
【OK例】
子 「パパ嫌い」
パパ「パパのこと、嫌いなのか〜」
子 「うん」
パパ「パパ、悲しいなぁ」
子 「…」
パパ「パパは〇〇ちゃんが大好きだよ」
子 「(そうなの?)」
パパ「一緒におやつ食べようか」
子 「うん」
子どもの気持ちを受けとめたあとで、さりげなくパパの気持ちを伝えましょう。子どもの心がパパの方を向いたところで、楽しいことに誘えるといいですね。
【表情】悲しそうな顔
「パパ嫌い」と言われたときには、悲しそうな顔をしましょう。大人は感情をあまり顔に出さないので、少し演技をするくらいでちょうどよいです。
子どもは大人の表情をよく見ています。怒っていれば逃げていきますし、悲しんでいれば近寄ってきます。ヨシヨシと頭を撫でてくれる可能性もあります。
悲しい顔が難しければ、泣く真似でもよいでしょう。
無表情は怒っているように見えてしまうので、気をつけてくださいね。
【関わり方】少し離れたところで遊んでみせる
「パパ嫌い」と言われているのに、グイグイと近寄っていくのは避けたほうがよいです。少し離れたところで、楽しそうに遊んでいる姿を見せた方が効果的です。「なんか楽しそう」「やってみたい」と思えば、子どもが自分の方から近寄ってきます。
「パパ嫌い」「パパいや」と言われているときは、子どもから寄ってくるのを待つ姿勢が基本です。子どもが遊び始めたからといってすぐに声をかけるのではなく、優しく見守りましょう。ママも一緒になって遊んでいる姿を見せれば、子どもは安心してパパと関わっていけるようになりますよ。
「パパ嫌い」と言う子に親がやってはいけないこと
「パパ嫌い」と言われているのに、嫌がることをしたら余計に嫌われてしまいます。良かれと思ってやっていることでも、実は逆効果な場合もあるのです。ここからは「パパ嫌い」と言われてやってはいけないことを解説します。
【NG1】怒る
子どもに「パパ嫌い」と言われて、感情的に怒ってはいけません。子どもは余計に怖く感じ、パパに近づき難くなってしまいます。
子どもは不安なときに「嫌い」と言い、安心すれば「好き」と言います。「嫌い」と言われたら、存在を全否定されたと思わず、「今はそういう気持ちなんだな」と考えましょう。子どもとの距離が縮まれば、「パパ大好き」と言ってくれる日もやってきます。
【NG2】無理に近づく
「パパいや」と言われたら「もっと接する機会を増やさなければ」という気持ちになります。しかし、無理に近づくのは控えましょう。心の準備が整っていないのにグイグイと迫ってこられては、子どもも戸惑ってしまいます。余計に「パパいや」と言われてしまうでしょう。
子どもの方から距離を縮めてくるのを待ちます。ただ待っているだけでは寄ってこないので、子どもの好きな玩具などで興味を引くように働きかけてみましょう。
【NG3】距離をとる
無理に近づくのもNGですが、どうせ「パパ嫌い」と言われるのなら
関わらないようにしよう、と距離を取るのも間違いです。関わりが減れば減るほど、子どもとの距離感は広がっていってしまいます。いざ関わろうとしたときに「パパいや」と言われてしまうでしょう。
きっかけさえ作れれば、子どもとの距離はすぐに縮まります。「どうせ嫌われてるし、子育てはママにおまかせ」なんてことにならないようにしましょう。
「パパ嫌い」は成長の証し。適切な対処で見守って

生まれて間もない赤ちゃんは、まだ人の顔が見分けられないので「パパいや」という表現はしません。人見知りで「パパいや」と泣き始めたら、「顔がわかるようになったんだね。すごいね」と赤ちゃんの成長を喜びましょう。
「パパ嫌い」「パパいや」は成長の証です。「今はイヤイヤ期だから、イヤって言いたいんだな」と受け止め、「そうかー、パパは嫌か。悲しいなぁ」と対応していきましょう。
諦めずに繰り返し関わる機会を持てば、子どもも少しずつ心を開いてくれ、「パパ大好き」と言ってくれるようになりますよ。
今すぐベビーシッターを依頼してみる
対処に困ったら保育のプロに頼む手も
「パパいや」が続いている時期でも、ママが体調を崩して育児がままならなくなったり、外出が必要なこともあるでしょう。そのとき、パパは子どもと2人で過ごすことはできますか?
2人きりになったときに「パパいや」と泣かれたら大変です。そういったことにならないよう、普段から子どもとの関係性を築いておきましょう。
子どもとまだ信頼関係が築けていないときに2人きりの状況になるなら、保育のプロであるベビーシッターの力を借りるのも1つの方法です。保育のプロの対応をみて、子どもとの向き合い方や言葉のかけ方を学ぶこともできます。
ママやベビーシッターの助けを借りながら、パパも少しずつ子どもと仲良くなっていきましょう。
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初めて子どもを預ける前には、必ず顔合わせか事前面談を行うルールとなっているため、まずは、一度お試しで依頼してみてはいかがでしょうか?
親が対応できないときのセーフティーネットを整えたり、日々大変な家事の負担を減らしていくのも、パパの仕事です。
子どもに「パパいや」と言われても育児をママ任せにせず、子どもの成長やママの状況を見守りながら、頼れる存在として積極的に育児に関わっていきましょう。
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■保育士ライター 佐野希子
18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。
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