つわりは妊娠のサインのひとつでもあり、多くの妊婦さんが経験されます。妊娠がわかり嬉しい反面、いきなり始まるつわりに戸惑う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事では病院に行くほどではないが、日々を乗り切る対処法が知りたい方や病院に行くべきかお悩みの方に、つわりについて助産師が詳しくお話しします。つわりを知って、つわりと上手に付き合っていきましょう。
つわりと聞くとにおいで具合が悪くなったり、食べると吐いたりするというイメージが強いですが、実はつわりと言っても症状は人それぞれです。まずはつわりについて知ることが、自分にあった対処法を見つけることに繋がります。まずは、つわりとはどういうものかをお話します。
つわりとは、妊娠初期の頃から起きる食欲低下や吐き気などの症状により、何かしらの不快症状が出ていることを言います。悪阻(おそ)とも呼ばれ、妊娠した方のうち半数以上はなにかしらのつわり症状を経験すると言われています。
つわりのメカニズムは実は未だわかっていません。近年の研究では
つわりと聞くと臭いや食べ物が原因で吐くというイメージがありますが、実はつわりの症状は多種多様です。
吐き気、嘔吐、食欲低下、だるい、胃が痛い、便秘、喉が渇く、肌が乾燥する、頭痛、眠気が強い、唾液が大量に出る、胸が張る、イライラする、悲しくなるなど、妊娠による不快症状が続くことを一般的につわりと呼びます。
臭いに敏感になり、今まで好きだった香りでも具合が悪くなる「臭いづわり」、何か食べていないと吐き気が起きる「食べづわり」、たくさん寝てもずっと眠くだるい状態が続く「眠気づわり」などもあります。
つわりは、今まで経験したことのない不快な症状の連続です。「これっていつまで?」「ピークはいつなの?」と先が見えない不安がありますよね。ここではつわりの一般的な発症時期をお話します。
つわりの時期やピークは妊婦さんにより違いますが、妊娠によりホルモンが大きく変動する頃に合わせて症状が出やすいです。そのため、つわりの症状を感じ始めるのは妊娠初期の妊娠5週目頃からで、落ち着くのは妊娠16週頃の方が多いようです。
妊娠8〜10週頃にピークに差し掛かり、その後徐々に症状は落ち着く方が多いようです。しかし、人によっては10週以降もつわりの症状が続く方もおられます。16週頃には胎盤が出来上がるためつわりも落ち着いてくるようです。
つわりは妊娠初期にみられる方がほとんどですが、妊娠後期からつわりの症状が出る方もいます。赤ちゃんが成長し子宮が大きくなることで胃が圧迫されて吐き気や胸焼け、胃もたれなどを感じるようになります。これを後期つわりと言います。後期つわりは、出産前に赤ちゃんが骨盤内に入り子宮が下に降りる妊娠10ヶ月頃に落ち着くことが多いようです。
これまでお話したように、つわりは多種多様な症状があり、人により感じ方が違うものです。そのため先輩ママや親に話しても、分かってもらえない辛さがある方もいることでしょう。つわり中は人と比べず、無理をしないことが大切です。
妊娠をすると身体の中ではあらゆる変化が起こります。その変化に「すぐ影響を受ける人」「影響を受けにくい人」がいます。つわりは体質が影響すると言えるのかもしれません。身体の変化がひと段落するのが、16週の胎盤が出来上がる頃です。この時期につわりの症状が落ち着く人が多いのも胎盤が関係していると考えられます。
つわりは1人目の妊娠と2人目の妊娠で症状が違ったり、双子など多胎妊娠のときには強く出やすいなど、同じ妊婦さんでもその妊娠の状況によって症状が変わってきます。
通常、「つわりの症状は遺伝するか?」という質問に関しては「No」とお答えしています。ただし、自分の母親と生活習慣が似ていたり、精神的なもので似ていると感じる方もいらっしゃるようです。
つわりには色々な症状があるとお話しました。では、つわりに対して対処法はあるのでしょうか。症状により対処法は変わってきますので、ご自身の症状にあった対応を試してみてください。
食べづわりとは、空腹になると吐き気などの不快症状が出ることをいいます。お腹がすくとムカムカしてしまうため、なにかをずっと食べていないといけなくなり体重が増えすぎてしまうことがあります。
体重が増えすぎると難産になりやすかったり、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などにもなりやすいため、体重増加に注意しながら空腹を避ける対応が必要です。
起床時、就寝時などに口にしやすいものをベッドサイドに置く、外出時はビスケットを持ち歩くなど、すぐに食べ物を口にできるようにしましょう。
【助産師からの一言アドバイス】
この時期はコンニャクゼリーや果物、ビスケットなどとにかく食べやすいものが良いです。つわりが落ち着いたら散歩をしたり、栄養の摂れる食事に変更するなどの対応をして、体重管理に努めましょう。
吐きづわりは代表的なつわりの症状で、吐き気が強く食べても吐いてしまう症状のことをいいます。
実は吐きづわりは、吐くことでどんどん悪化してしまいます。吐くと楽になるからと癖のように吐くのは避け、吐き気から意識をそらすために映画を観るなど好きなことをしてみるのもひとつの手。なにかに夢中になるとつわりをふと忘れることもあります。
とにかく吐いてしまう人は、無理に食べようとせず水分だけでも摂れていれば大丈夫です。赤ちゃんに必要な栄養は優先的に送り込まれる仕組みになっているので、つわりによって赤ちゃんが栄養失調になることはありません。
この時期はとにかくママの体調を優先してあげてください。無理に栄養のあるものではなく、食べやすいものを食べられるときに食べるようにしてくださいね。
【助産師からの一言アドバイス】
経口補水液、野菜スープ、炭酸ジュース、柑橘類など、さっぱりとしたもので水分が多いものが食べやすいですよ。
においつわりは、なにか特定のにおいをかぐと気分が悪くなってしまう症状のことをいいます。においつわりの困ったところは、普段よい香りだと感じていたものでも、この時期は具合が悪くなってしまうこと。例えば、米が炊けたにおい、好きだった香水やシャンプーの香りなどでもにおいつわりになる方がいます。
妊娠するとどれだけ眠っても眠気やだるさを感じる方が多いです。じつはこれもつわりのひとつで、眠気つわりと呼ばれることもあります。眠気は妊娠維持のためにできるだけママを休ませようとする防衛本能ではないかと考えられています。
隙間時間や昼休み、帰宅後など少しでも横になって過ごすことが大切です。特に眠気に注意が必要なのは運転中です。妊娠中はできるだけ車の運転は避け、交通機関を利用するようにしましょう。
【助産師からの一言アドバイス】
眠気は、周囲の方に理解されづらいという悩みをお聞きすることも多いです。仕事などどうしても眠れない時には、ガムを噛む、顔を冷たい水で洗う、軽く身体を動かす、できるだけ人と喋って眠気を払うなど、工夫して対応しましょう。
妊娠中はホルモンの影響で情緒不安定になりやすく、イライラしたり不安になって眠れなくなることがあります。初めての妊娠で不安になったり、体調不良で心身ともに疲れやすい時期です。イライラは、幸せホルモンであるセロトニンで撃退しましょう。セロトニンは散歩をしたり日光を浴びたり、笑ったりすると分泌されると言われています
また、妊娠し出産した後はすぐに育児が始まります。これまで通りの生活とは大きく変わるのも事実です。今は産後に向けて生活スタイルなどを変えていくタイミングだと割り切って、少し家が片付いてなくても、仕事中心の生活が出来なくなっていても、割り切る気持ちも大事です。
妊娠すると自律神経が乱れるために、頭痛で悩む方もいらっしゃいます。頭痛には、こめかみがズキンズキンと脈打つように痛くなる偏頭痛と、頭の後ろから首筋にかけてギューっと痛くなる緊張性頭痛があります。
偏頭痛は、妊娠初期に特に多く、疲れやストレスなどで悪化しやすいです。また血管が拡張することも原因なので、痛いときは冷やすようにしましょう。緊張性頭痛は、肩こりなど血流が悪くなっていることが原因なので、ストレッチやマッサージをする、肩まで入浴して温めるなどすると効果的です。
【助産師からの一言アドバイス】
パートナーにマッサージをしてもらったり、家事などを頼ってみるのも、産後の生活の練習になりおすすめです!育児は夫婦で協力し合うことが何よりも大事です!
妊娠して起こる症状はこれまでに紹介したもの以外にもあり、100人の妊婦さんがいれば100通りあるといえます。人によって症状が違うため、周囲に理解してもらえず、辛い思いをしている人もいるでしょう。具体的にはどんな辛さを抱えているのでしょうか?
妊娠により情緒不安定になり、今までは聞き流せていたような言葉でも傷ついてしまい涙が止まらなくなることがあります。悪気無く言われたことも、素直に受け入れるのに時間がかかることも。そういう時は、相談しやすい人に今の気持ちを聞いてもらいましょう。友達でもパートナーでも病院の助産師でも誰でもよいので、ひとりで溜め込まず吐き出すようにしてください。
【助産師からの一言アドバイス】
今はインターネットで繋がることもできるため、同じ気持ちの人にコメントしあうなどでストレス発散をする人もいるようです。
職場や公に妊娠を報告するのは一般的には安定期以降が多いですが、これは一般的な人の話です。信用できる人や自分の気持ちを素直に話せる人には、いつ報告しても問題ありません。今の悩みや体調のことを聞いてもらうことも、とても大事なこと。無理に秘密にしなきゃ!と思わなくても大丈夫です。
上の子がいると一人目の妊娠とは違う大変さがあります。わからないことだらけで大変だった一人目と、休みたくても休めない二人目の妊娠。他のママはどうやって乗り切っているのでしょうか。
夫婦ともに一人目の時よりも年齢を重ねているので、健康にはより気をつける必要があります。体力が落ちており、免疫も低下しやすく、感染症にもかかりやすくなります。胎児の染色体異常などのリスクも、加齢とともに上がりやすいため、より赤ちゃんの健康状態に気を配るようにしましょう。
二人目の妊娠では、上の子のお世話をしながらつわりを乗り越えるのが、なにより大変だという話をよくお聞きします。ひとりで全てをこなそうとせず、例えば上の子の送り迎えはパパにお願いする、親に手伝いに来てもらう、家事代行を頼むなど、周りの人を頼って育児をしていきましょう。
【助産師からの一言アドバイス】
一人目では出来たから大丈夫!と思わず、夫婦の役割分担を今一度話し合うよいタイミングです。夫婦だけでは育児が難しいと感じた時は、産後ドゥーラやベビーシッターを依頼してみるのもよいですね。
「つわりは病気ではない」と言われますが、妊娠中何かしらの不調を訴える妊婦さんは半数以上いるのが現状です。妊娠中は不調に対して薬を積極的に使えない分、辛い思いをする方が多いです。
メカニズムが解明されていないことから予防も治療も難しいのがつわりです。病気でないからと我慢をしすぎると、妊娠悪阻で入院治療が必要になってしまうこともあります。妊娠中、産後ともに無理をせず、周囲に頼ることが何より大切です。
家族や親以外にも地域のファミリーサポートを利用する、ベビーシッターを一時的に依頼するなど、選択肢をできるだけ多く知っておくと良いでしょう。
妊娠中はストレスをためず、ちょっとしたことでも医師に相談するのが大切です。
職場で妊娠中に不向きな仕事をしなくてはならなかったり、体調不良を理解してもらえない場合には「母性健康管理指導事項連絡カード」を医師に記入してもらいましょう。
通勤や業務内容、休憩などの医師の指導内容を事業主に的確に伝えることができます。この連絡カードをもらった事業主はその内容を守ることが法律で決められています。医師に相談しにくい場合は、産院で助産師に連絡カードについて聞いてみてくださいね。
つわりと妊娠悪阻の違いは、日常生活が送れているかどうかです。吐き気が辛すぎて水分も摂ることができない、仕事に行けないほど症状が辛い、トイレの回数が減った、体重が急激に減ったなどの症状があれば、迷わず医師に相談するようにしましょう。入院ではなくても、通院で点滴をしてもらえることもあります。
つわりはお腹の中で赤ちゃんが成長している印でもあります。辛い時は今回紹介した対処法を参考にしてみてください。
また上の子がいる場合は、出産後すぐから上の子と赤ちゃんのダブル育児が待っています。妊娠中から産後の生活のことを考えて、家事代行サービスやベビーシッターなどに慣れておくこともおすすめです。頼れる育児のサポーターを見つけて、無理のない子育てをしていきましょう。
ベビーシッターのマッチングプラットフォームであるキッズラインなら、家事代行サービスや、産後の育児や家事をサポートしてくれる産後ドゥーラ、0ヶ月の赤ちゃんを見られるベビーシッターを、スマホで探すことが出来ます。つわりの時期は家事代行サービスを依頼したり、上の子の世話をベビーシッターに依頼するなどして、自分とおなかの子の健康と安全を第一にした生活を送りましょう。
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