キッズラインで活き活きとお仕事をされているサポーターの方々に、働き方の工夫ややりがいについてお伺いする企画。13回目は、家事サポーターの江上さんにインタビューしました。江上さんは、60代で家事サポーターを始め、6年間で2000回以上のサポート実績を持つベテランのサポーターさんです。「料理で誰かの役に立てるなんて、夢にも思いませんでした」と語る江上さんに、キッズラインで家事サポーターを始めたきっかけや、仕事に込めた思いについてお話を伺いました。

家事代行サポーターを始めたのは、娘からの勧め




ーお料理は昔から好きだったのですか?

主婦として、夫や子どもの食事を長年担ってきました。孫ができてからは、共働きで忙しい娘に代わって孫たちの食事もよく作っていました。元々は私の父が料理がすごく上手くて、美味しいものに囲まれて育ったこともあり、料理はとても好きなんです。若い頃は有名な料理の先生に師事して、料理のいろはを学んだ経験もあります。ただ、この仕事を始めるまでは「料理を仕事にする」ということは考えていませんでした。

ー家事サポーターという働き方に出会ったきっかけをお聞かせください。

娘のひと言がきっかけでした。娘から「ママに向いている仕事がある」と紹介されたのがキッズラインでした。すぐに説明会に参加し、2018年秋にキッズラインが家事代行を開始するのと同時に登録しました。最初はベビーシッターとしても活動していましたが、プロフィールに「料理が大好きなこと」や「家族に料理を作ってきた気持ち」を綴ったところ、それを見た方から家事代行で料理のご依頼を多くいただくようになりました。徐々に、料理を中心としたサポートへ移行していきました。

ーなぜキッズラインに登録しようと思ったのでしょうか?

決め手というのはなくて、直感です。公式ホームページで代表の経沢さんのインタビュー記事を読んで、「この人の考え方、好きだな」と感じ、好感を抱きました。「思い立ったが吉日」という気持ちで、すぐに説明会に申し込みました。数日後には登録が完了し、新たな一歩を踏み出しました。

ーサポート先はどのような家庭が多いですか?

私が訪問するのは、共働き世帯や小さなお子さんのいるご家庭がほとんどです。「買い物に行く時間がない」「下ごしらえまで手が回らない」「献立を考えるだけで疲れてしまう」といったリアルな悩みに寄り添いながら、「その家の味」を一緒に作っています。
料理は、ご家庭で誰かが担うものだからこそ、任せてもらえることが本当に嬉しいんです。私の料理が誰かの支えになっていると思うと、毎回の訪問にも自然と力が入ります。

家事代行として働く

「ありがとう」という言葉を励みに、少しずつ自信が芽生えた


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ー経験がない仕事に不安は感じませんでしたか?

家族のための料理は日常でしたが、「仕事」として行うことにはたしかに不安もありました。それでも「ありがとう」「おいしかった」という言葉に励まされ、少しずつ自信が芽生えていきました。

ー初めてのサポートは、どうでしたか?

初めて一人で伺った日のことは、今でも鮮明に覚えています。慣れない場所で道に迷いながらなんとか到着。頭の中では段取りをしっかり組み立てていたつもりでしたが、他の家のキッチンに立つと、調味料の位置や道具の使い勝手の違いに最初は戸惑いました。事前に依頼されたメニューを作るのに時間が足りず、かなり焦ったのを覚えています。
それでも、サポート後にいただいた「おいしかった」のひと言に、心が救われました。「また次のご依頼でも頑張ろう」と思えた瞬間です。初回のサポートで学んだのは、技術だけでなく、心を込めて向き合うことの大切さ。その日の経験は、今でも私の原点となっています。どれだけ経験を重ねても、あのときの気持ちは忘れずにいたいと思っています。

ー他のお家のキッチンで料理をするために、工夫されていることはありますか?

ご家庭によってはお持ちでない調理器具などもあるので、菜箸、泡立て器、木べら、マッシャー、たこ糸、メジャーカップ、落とし蓋などを持参するようにしています。
ケーキやババロアのようにお菓子を作る時は型やハケ、ハンドミキサーも持っていきます。荷物は多くなりますが、「おいしいものを届けたい」という気持ちがあるので、準備はまったく苦になりません。

ーご家庭ごとの味付けの好みにはどう対応されていますか?

「揚げ物は避けてほしい」とか「小さい子どもがいるので、辛いものは避けてほしい」といったご要望をいただくことはあります。そのたびに「このご家庭に合う献立は何か?」を考えています。作った料理について味の好みを伝えてもらえた方が、コミュニケーションが生まれて次にもっと良いものを作れるので、ありがたいと思っています。

ーサポート時間の使い方にも工夫をしていると伺いました。

「14時からサポート開始」と依頼を受けている際は、料理を時間内に完成させるため、早めに到着して準備を始めるようにしています。ただ、ご家庭によっては「14時ぴったりに来る」と思われていて、最初は外で待たせていただいたこともありましたね。いただいたご依頼に対して真摯に向き合う姿勢をご依頼者様にご理解いただき、信頼関係を築くように心がけています。

※キッズラインでは「事前準備のため、訪問先には10分前を目安に到着する」ことを推奨しています。

家事代行として働く

「江上さんはどうしてそんなに料理が上手なの?」お子様の一言に胸が熱くなった


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ー家事サポーターをして嬉しかったことを教えてください。

あるご家庭で、4歳くらいのお子様が「江上さんはなんでそんなに料理が上手なの?」と声をかけてくれたことがありました。
お子様の純粋なひと言に、胸がじんと熱くなりました。「おいしいね」と言っていただけるだけでも十分嬉しいのですが、「どうしてそんなに上手なの?」と尋ねられたときは本当に驚きました。自分の料理が、そんなふうにお子様にまっすぐ届いていたのだと思うと、嬉しくてたまりませんでした。

今は「江上さんに料理をお願いしたい」と言っていただけることが、何よりの喜びです。年齢を重ねた今だからこそ、これまでの経験が“信頼”という形で返ってくる。その実感こそが、家事代行という仕事を通じて得られた最大のやりがいです。「自分が認められた」と思えたのは、この仕事があったからこそです。

ーほかに印象に残っている出来事はありますか?

あるお母様から、「江上さんが来てくれる日は、子どもに本を読んであげる時間が取れるようになった」と感謝されたことがあります。私が食事の準備を担うことで、ご家庭にゆとりの時間が生まれる。そうした「目には見えない価値」を届けられることも仕事の大きな魅力です。

小さなお子様がいるご家庭では、外食が難しいこともあり、ホームパーティーでの料理を頼まれることもあります。ラザニアを作った際に、その場にいらしたゲストの方々から「また食べたい」とリクエストをいただいたことも、嬉しい思い出のひとつですね。

家事代行として働く

長く続けるコツは、健康維持と綿密な記録の積み重ね


ー仕事を長く続ける中で気をつけていることがあれば、教えてください。

「よく食べて、よく寝る」という基本的な生活習慣です。訪問先は自宅から1時間以内に絞り、体に無理のないペースを心がけています。
もともと健康には自信がありますが、ストレスをためないよう意識することで、心身ともに良い状態を保てています。料理をするには体力が必要です。私はスープが好きでよく作るのですが、たとえばかぼちゃのスープの場合、固い皮を包丁で取り除くため、下ごしらえだけでも力が必要です。だからこそ、日々の体調管理がとても重要だと感じています。

ー毎回作った料理はどのように記録されているのでしょうか?

スマートフォンと手書きのノートを併用しています。キッズラインではスマホのアプリでご依頼が来るので、日程の調整や問い合わせへの対応はスマホで行っています。
それに加えて、1度のご依頼につき1〜2行ずつノートに手書きで記録しています。継続して訪問するご家庭では、前回の内容を思い出してスムーズに対応できるよう、ご家族との会話で印象に残ったことなどもさりげなくメモしています。先日も、6年ぶりに伺ったご家庭があったのですが、以前作った料理の記録を残していたので、スムーズに進めることができました。

このノートは今やかなりの冊数になりました。私にとってはご依頼の記録というだけでなく、大切な財産となっています。

家事代行として働く

「自分で時給をあげていい」ご家庭からの評価がモチベーションに


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ーご自身の時給はどのように決められていますか?

最初は1800円から始めましたが、2300円、2600円と段階的にあげていき、今は3000円にしています。とはいえ、当初は時給を上げることには正直なところ、迷いや不安もありました。「高すぎると思われないか」「依頼が減ってしまうのではないか」と、自分でブレーキをかけていたんです。

時給を上げた最初のきっかけは、キッズラインのスタッフの方から「そろそろ見直してみてはどうですか?」との提案を受けたことでした。その一言に背中を押され、「値上げしてもいいんだ」と気持ちがふっと軽くなりました。その次は、(※)家事支援サービス福利厚生導入実証事業が始まったタイミングに合わせて割引対象サポーターになるために見直しました。

(※)家事支援サービス福利厚生導入実証事業は現在終了しています(2025年5月時点)

ー時給を上げてみて、依頼の数や仕事に変化はありましたか?

依頼が減るどころか「それでもお願いしたい」と言ってくださるご家庭が多く、むしろお客様との信頼関係がより強くなったように感じました。自分の価値を認めてもらえたような気がしました。

また、知人から「その金額では安すぎるくらいだよ」と言われたこともあり、その言葉にも背中を押されました。自分ではずっと「普通の家庭料理」と思っていたものを、プロの味として評価していただけたことは、本当に嬉しかったです。時給は、単なる金額ではなく、自分が積み重ねてきた努力と信頼の形だと感じています。

家事代行として働く

「家事代行、楽しいですよ!」同世代へのメッセージ


ー家事サポーターを始める前と後ではどのような変化がありましたか?

最も感じる変化は、自分の時間やお金の使い方を、自分でコントロールできるようになったことです。収入が得られるようになり、暮らしに少しずつ彩りが加わりました。経済的に自立できているという実感が心にゆとりをもたらし、結果として夫婦関係にも良い影響を与えているように感じます。休日には夫婦ふたりで出かけたり、お友達と旅行や観劇を楽しむことも増えました。専業主婦だった頃には考えられなかった「自分の収入で好きなことを楽しむ」生活が実現できたのは、大きな変化だと思います。

ー家事サポーターに興味はあっても、一歩を踏み出す勇気が出ないという方に向けて、メッセージをお願いします。

60代で家事代行を始めて、気づけばもう6年。訪問件数は2000回を超えました。この年齢で、こんなに楽しく仕事ができるとは、自分でも思っていませんでした。これからも健康に気をつけながら、無理のないペースで、楽しみながら続けていけたらと思っています。

今は定期で訪問しているご家庭が多いのですが、スケジュールに空きが出たときに新しい方と出会えるのも、この仕事の魅力です。動きがあるからこそ、日々に新鮮さが生まれます。私にキッズラインの家事サポーターの仕事を勧めてくれた娘は、「やってみて、本当に良かったね」と応援してくれています。

お料理が少しでも好きな方は、ぜひ一歩踏み出してみてください。初めは誰でも不安です。でも、キッズラインはサポート体制がしっかりしていて、スタッフの方もとても親身です。ちょっとの勇気で、思いがけず楽しい世界が広がるかもしれません。

――インタビューを終えて――
年齢を全く感じさせず、生き生きとお仕事の楽しさを語る江上さんに、聞き手の方がパワーをいただきました。お料理だけでなく、ご依頼いただいたご家庭の方々に真摯に向き合う姿勢は、家事代行サポーターの規範ともなる存在です。キッズラインアワード2025のプロフェッショナル賞にも輝いた江上さんのご活躍を、今後も心から応援しております!



▼江上さんのプロフィールページはこちら
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