ベビーカーを使っていると便利な反面、「何歳まで子どもを乗せてよいのか」迷うこともあります。そこで本記事では、ベビーカーを卒業したがらない子どもへの対応方法や、適切な使用年齢について、保健師が子どもの発達の視点で詳しく解説します。
ベビーカーは何歳まで乗ってよい?
ベビーカーは、子どもを乗せるだけでなく荷物を運ぶのにも便利なため、幼い子どもを連れてのお出かけには欠かせない存在です。しかし子どもが歩き始めると、「ベビーカーは何歳まで乗せてよいのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。
ベビーカーを卒業する時機は家庭や子どもの状態によって異なります。子どもがどれほど歩けるか、子どもの体重や家族の生活スタイル、外出の頻度によっても、ベビーカーを使う期間や年齢は変わってきます。
子どもが歩き始めたからといって、急いでベビーカーを卒業させようとする必要はありません。
ベビーカーの使用は柔軟に考えてよいものの、
あまりにも長期間の利用は子どものためにおすすめできません。
その理由は、大きく分けて二つあります。
【理由1】子どもの健康面や発達面への影響
歩行は、子どもの体づくりに欠かせない基本的な活動であり、体力や脚力の向上に重要な役割を果たします。また、歩いて周囲を探索することは子どもの知的好奇心を高め、心の成長を促します。子どもが歩く能力を持ちながらもベビーカーに乗り続けていると、心身の成長を妨げてしまう可能性があります。
【理由2】製品としての安全面への懸念
子どもが成長するにつれて、ベビーカーを使うことで安全面のリスクが増す可能性があります。ベビーカーの耐荷重以上に体が大きくなった子どもがベビーカーに乗り続けると、子ども自身のケガやベビーカーの破損のリスクが高くなるためです。
ベビーカーのタイプ別利用年齢の目安
ベビーカーはその安全性を保証するため、SafeGoods(安全な製品)を表すSGマークが付けられていることが大半です。SGマークが付いているベビーカーには、SG基準による適用月齢が明記されており、安全に使用できる年齢の目安を確認することができます。
SG基準によるベビーカーの適用月齢
SGマークは、一般財団法人製品安全協会が定めたSG基準に適合する安全な製品にのみ付けられるマークです。SG基準では、ベビーカーをA型とB型の二つのタイプに分類し、それぞれに適用月齢を設けています。各タイプの適用月齢と特徴は、以下の通りです。
【A型ベビーカー】
〈適用月齢〉生後1ヶ月から、または首がすわった乳児期(4ヶ月)から最長48ヶ月まで
〈特徴〉
・背もたれをしっかり倒すことができる
・対面式にできるなど多機能
【B型ベビーカー】
〈適用月齢〉おすわりができる時期(7ヶ月)から最長48ヶ月まで
〈特徴〉
・軽量で持ち運びがしやすい
・コンパクトで小回りがきく
参考:
一般財団法人製品安全協会 ベビーカーSG基準
SG基準上の分類ではありませんが、A型とB型の両方の機能を併せ持つAB型と呼ばれるベビーカーも存在します。いずれの型も、
ベビーカーの適用月齢は48ヶ月(4歳)までとされています。
耐荷重が安全のポイント
ベビーカーの適用月齢はあくまで目安です。4歳を過ぎてからの利用がすぐに危険というわけではありません。しかし、
ベビーカーを安全に使用するためには、適用月齢よりも耐荷重に注意が必要です。
SG基準に基づくベビーカーの多くは耐荷重が15kgまでとされています。同じ年齢でも体格は異なり、4歳を過ぎても体重が軽い子どももいれば、3歳でも15kgを超える子どももいます。
そのため、
適用年齢内でも体重が15kgを超えている場合は、安全のために使用を控えた方がよいでしょう。
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ベビーカー卒業のタイミングと判断基準
ここからは、ベビーカー卒業のタイミングについて見ていきましょう。卒業の時機は家庭ごとに異なりますが、以下のようなサインや判断基準は参考になるはずです。
【1】子どもの成長により必要性が低くなる
子どもが長時間しっかりと歩けるようになると、ベビーカーを使う機会が減ります。成長に伴い外出先で昼寝をしなくなるため、休憩場所としてのベビーカーの必要性も低くなります。
【2】子どもがベビーカーに乗るのを嫌がるようになる
子ども自身がベビーカーに乗りたがらなくなることがあります。自分で歩きたい気持ちが芽生えるのは、成長の証です。自分でベルトを外したり、身をよじったりするようであれば落下などの危険も生じるため、卒業を検討しましょう。
【3】子どもの年齢や体重がベビーカーの適用月齢や耐荷重に近づいた
子どもの年齢や体重が適用月齢や耐荷重に近づいたら、ベビーカーの卒業が近いサインです。ベビーカーを使い続ける必要があるかを検討してみましょう。
ベビーカーの卒業時機を考えるポイント
ベビーカーの卒業時機は、子どもの状況だけでなく、家庭の事情や生活スタイルによっても異なります。そのため上記の判断基準に加えて、以下のポイントも考慮して考えるとよいでしょう。
•普段の移動手段
•きょうだいの有無
•ママパパの体力や健康状態
車や自転車を使わず、徒歩や公共交通機関を利用する家庭では、ベビーカーが長く必要になりがちです。
またきょうだいがいる家庭では、上の子の用事で外出する機会が増えるため、下の子のベビーカー利用が増えることがあります。また、ママが妊娠中の場合も、ベビーカーの必要性が高まります。
ベビーカーの卒業は、家庭ごとの事情を踏まえ、それぞれのペースで進めていくのがよいでしょう。
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ベビーカーを降りたくない?!子どもの心理とは
ベビーカー卒業の流れが自然にやってくるケースがある一方で、いつまでもベビーカーから降りようとせず、ママパパが困ってしまう場合もあります。ここでは、なかなかベビーカーから降りて歩こうとしない子どもの心理状態について説明します。
子どもがベビーカーから降りて歩こうとしない要因には、以下のようなことが考えられます。
【ベビーカーを降りない要因1】疲れを感じやすい
まだ脚力が十分に発達していないため、少し歩いただけで疲れてしまうことがあります。また、楽しくないと歩くことが退屈に感じられ、疲れに意識が向いてしまいます。
【ベビーカーを降りない要因2】不安が強い・甘えたい気持ちが強い
慎重なタイプの子は、ベビーカーを安全基地と感じています。また、甘えたい気持ちが強く、「歩きたくない」という行動で表現することもあります。
【ベビーカーを降りない要因3】イヤイヤ期で指示されたくない
自己主張が強くなる時期に、ママパパから指示されて何かをするのがイヤで歩かないことがあります。
子どもがベビーカーを卒業したがらない要因は、複雑に絡み合っています。例えば入園したばかりで疲れていたり、きょうだいが生まれたばかりで赤ちゃん返りもしていることもあります。
その場合、親は「ベビーカーから降りて、歩いてほしい」という気持ちを抑え、まずは
子どもの「歩きたくない」という気持ちを受け止めましょう。
ベビーカー卒業に向けた子どもへの促し方
ベビーカーからの卒業は自然な形でできるとよいですが、なかなか卒業できない場合は、ママパパから少し促してみてもよいでしょう。親がすぐにできるアプローチ方法について、説明します。
【1】楽しく歩けた経験を積み重ねる
歩くことを楽しめるようなサポートをしてみましょう。例えば
「歩きながらポストを探してみよう」と言って目標物を決めたり、「家まで何歩で帰れるか当てっこしよう」と言って、クイズを楽しむのもよいでしょう。歩いている場所が安全かをしっかりと確認したうえで、動物の歩き方をまねする方法などもあります。
【2】歩きたくなるアイテムを用意する
子どもの「歩きたい」気持ちを引き出し、歩くことへのモチベーションを高める関わりも有効です。例えば、
好きなキャラクターが描かれた靴や、お気に入りのバッグを持たせるのも効果的です。
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どうしても歩かない子への対処アイデア
先に紹介した方法を試してみても、うまくいかないこともあります。そのような時、ママパパは焦ってしまうかもしれません。
しかし、叱りつけたり突き放した態度を取ったりすると、子どもは動揺してしまうので避けましょう。
大人になってもベビーカーに乗っている人はいないので、耐荷重が超えないうちは、気長に考えておくことが大事です。
その上で、なかなか歩かない子への対処アイデアをいくつかご紹介します。
【アイデア1】同齢の子どもと一緒に歩いてみる
同じくらいの年齢で、よく歩く子どもと一緒に出かけると、子どもは刺激を受けます。気が付いたら長い距離を歩いていた、なんてこともあるかもしれません。子ども同士でやりとりしながら歩くことで、体の疲れを感じづらくなります。
【アイデア2】他の乗り物を試してみる
ベビーカー卒業の第一歩として、三輪車やランニングバイクといった他の乗り物を試すのもよいでしょう。これらの乗り物は、ベビーカーに比べて子ども自身のこぐ力が必要になるため、脚力を鍛える効果が期待できます。
【アイデア3】子どもの興味に沿った外出をしてみる
日常を離れて、子どもの興味に沿ったお出かけをするのもおすすめです。「動物園に行きたい」「新幹線を見に行きたい」などの希望を叶えて出かけることで、子どもは夢中になり、気づいたときには長い距離を歩けていることもあります。
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うまくいかないときは保育の専門家の力を借りて
ベビーカー卒業だけでなく、子育てにはさまざまな課題がつきものです。ときには根気よく子どもに関わる必要がある場合もあります。とはいえ親も人間ですから、疲れや体調不良、急ぎの用事があるときにイライラするのは、仕方がありません。
そうした状況が続くときは、
ベビーシッターなどの保育のプロにサポートを依頼することで、状況が改善するかもしれません。
キッズラインには、保育のプロが在籍
ベビーシッター・家事代行サービスを運営する「キッズライン」なら、パソコンやお手元のスマホで
ベビーシッターを見つけることが可能です。
「キッズライン」には、保育士などの資格を保有するシッターも多く在籍しています。「ベビーカーの卒業がなかなかうまくいかない」といった悩みをシッターに相談してみるのも一つの選択肢です。シッターの「一緒に歩いてみよう」という一言が、きっかけになるかもしれません。初めてのシッターに保育を依頼する際には、オンラインでの顔合わせまたは対面での事前面談が必要です。まずはよさそうだなと思った人に連絡を取ってみて、お互いの相性を確かめてみましょう。
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■監修ライター 辻 奈由香
フリーランスの保健師・助産師。周産期センターで助産師として勤務した経験から、地域で生活する母子を支援する保健師に関心を持つ。その後12年間、自治体で保健師として勤務し、乳幼児家庭を対象とした家庭訪問や乳幼児健診など母子保健事業を中心に従事。現在は小学生の子どもを育てながら、ライターの他、看護職の資格を活かして活動中。
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