寝返りは、赤ちゃんの発達過程のひとつです。赤ちゃんがコロンと寝返りする様子はとても愛らしく、まだ寝返りをしていない子のママパパは成長を待ち遠しく思うかもしれません。そんな寝返りですが、実は注意点もあります。今回は、保健師資格を持つ筆者が寝返りの時期や注意点を詳しく説明します。

赤ちゃんが寝返りを始める時期は?


寝返りの時期
赤ちゃんは、生後どのくらいの時期から寝返りを始めるのでしょうか。
気になる寝返り開始時期についてあらかじめ知っておき、心づもりをしておくとよいですね。赤ちゃんが寝返りを始める時期について、調査結果を含めて説明していきます。

寝返りが始まる時期


一般的に赤ちゃんが寝返りを始める時期は、生後4〜5ヶ月頃だと言われています。個人差があり、3ヶ月から寝返りを始める場合もあれば、6ヶ月を過ぎてから寝返りを始める場合もあります。

寝返りが遅くても心配し過ぎないで


赤ちゃんの運動発達において重要だと言われているのは、「首すわり」「ひとりすわり」「ひとり歩き」の3つです。
これら3つに比べると、寝返りを始める時期は赤ちゃんによって個人差が大きく、寝返りをしないことは、後の運動発達の遅れとあまり関連しないと言われています。
寝返りをするのが一般的な時期より遅くても、赤ちゃんの首がすわっていて元気に過ごしているようなら、心配し過ぎる必要はありません。

寝返り開始時期の個人差
厚生労働省の調査によると、左右どちらの方向にも寝返りができるようになる時期は生後2ヶ月から9ヶ月まで幅があります。(出典:平成22年乳幼児身体発育調査
生後4〜5ヶ月未満で両方向の寝返りができる赤ちゃんは52.7%と約半数で、生後5〜6ヶ月未満の赤ちゃんでも86.6%です。そして、生後6ヶ月を過ぎると99.2%の赤ちゃんが寝返りをします。


赤ちゃんが寝返りを始める前兆って?


赤ちゃんには、寝返りを始める前触れがあるのを知っていますか?赤ちゃんは全身を使って寝返りをしますが、そのための準備は生後すぐから徐々に始まっています。赤ちゃんが寝返りを始める前兆について、説明していきます。

①仰向けの体勢で全身を良く動かす


赤ちゃんは、生まれて間もないときは仰向けの体勢で寝かされた位置から、ほぼ移動できません。しかし、しだいに体がしっかりしてきて首がすわるころになると、仰向けの体勢でも想像できないくらい移動することがあります。これは、首だけでなく背中や腰もしっかりしてきた証拠で、寝返りをするための体の準備が整ってきていると言えるでしょう。

②気になるものをよく目で追う


首がすわるころになると、赤ちゃんの興味関心が広がってきています。ママパパを目で追ってキョロキョロし始めるのもこの時期です。この興味関心こそが、赤ちゃんが動き始める原動力です。

③自分の力で横向きになる


気になるものを見つけると、ただ目で追うのではなく、首を動かし、顔をその方向に向けるようになります。それに伴って、背中や腰も横方向にねじろうとする動きが出てきます。

寝返りが「できた」とはどんな状態?


寝返り
ところで、寝返りが「できた」というのは、どんな状態のことを言うのでしょうか。赤ちゃんの様子を見て、「これって寝返りできてるの?」と疑問に感じるママパパもいるのではないでしょうか。赤ちゃんの寝返りが「できている」状態と、まだ「一歩手前」の状態について解説していきます。

寝返りができているのはこんな状態


寝返りができると言うのは、赤ちゃんが自分で「仰向け」の体勢から「うつ伏せ」の体勢になることです。左右どちらかでもできれば、「できた」と言えます。
赤ちゃんはお腹の中での体勢などが影響し、生まれつき向きやすい体勢があるので、寝返りにもやりやすい方向が存在することが多いです。

寝返り一歩手前の状態とは…


「体をひねって寝返りしそうなのにお尻がついてこない」とか「横向きにまでなるけど手が抜けなくて仰向きに戻ってしまう」ということもよくあります。これらは、寝返りまであと一歩の段階です。
また、寝返りは一度できた後にみるみる上達する…とは限りません。たまたまはずみで一度だけ成功した、ということもあり得ます。いずれにしても、赤ちゃんのこれらの様子は寝返り獲得までまもなくの状態なので、焦らずに見守りましょう。

赤ちゃんの寝返りをサポートしてもよい?


寝返りしそうでしない…そんな様子を見ているママパパは、ハラハラしてしまうかもしれません。また、「早く寝返りして欲しいな」と待ち遠しく感じることでしょう。寝返りしはじめる直前のこの時期の過ごし方について、説明していきます。

寝返りを積極的にサポートする必要はない


時期が来れば赤ちゃん自ら寝返りをするので、基本的に寝返りができるようになるための練習を手伝う必要はありません。ですが、赤ちゃんがあと一歩で寝返りしそうな様子であれば、赤ちゃんの体に手を添えて手伝ってあげるのもよいでしょう。
それがきっかけで赤ちゃんが寝返りのコツをつかむわけではありませんが、この時期にママパパが赤ちゃんに関わって遊ぶこと自体が、赤ちゃんの成長を促すことにつながります。うつ伏せの姿勢で声をかけたり、おもちゃを見せたりして過ごすのもおすすめです。

寝返り直前の時期におすすめのかかわり


寝返り時期の赤ちゃんにとって、スキンシップと声かけによるふれあい遊びは、赤ちゃんの運動発達を促すはたらきがあります。服を着替えさせるときやおむつをかえるときなど、赤ちゃんに声をかけながら体をさすってあげるとよいでしょう。意気込んで時間をかける必要はなく、その時々の関わりで十分です。

赤ちゃんの寝返りについての注意点


寝返り注意点
寝返りしている様子は微笑ましく、赤ちゃんの成長に喜びを感じる時期ですね。一方でこの時期は、予期せぬ事故の危険性が高まるため注意して過ごす必要があります。
注意すべき危険には、大きく次の3つがあります。

●窒息
●転落
●誤飲


それぞれの危険性について、具体的に説明していきます。

●窒息


赤ちゃんの寝返りが始まると、仰向けに戻してもすぐにうつ伏せの体勢になろうとします。寝返りを始めたばかりの赤ちゃんは、まだ「うつ伏せ」の体勢から「仰向け」の体勢に戻る「寝返り返り」はできません。
この時期の赤ちゃんは、うつ伏せの体勢で過ごしても自分の力で鼻と口がふさがらないようにできますが、柔らかい布団など環境が不適切な場合には、窒息する危険性があります。思いがけず首がすわりきる前に寝返りをすることがあり、そうした場合にはより窒息に注意が必要です。


●転落


ベッドやソファからの転落も、寝返り時期に起こりやすい事故です。寝返り時期の赤ちゃんは、少し目を離した間にママパパが驚くほど移動していることがあります。少しの時間であっても、赤ちゃんから目を離す時は、ベビーベッドの柵を上げておくなど、転落の危険がない場所に寝かせる注意が必要です。


●誤飲


誤飲とは、食べ物以外のものを間違って飲み込んでしまうことを言います。寝返り時期の赤ちゃんは、自らおもちゃに手を伸ばしたり、手を口に持っていくことができます。そして、自ら寝返りをしたり、身体を動かして少しの距離を移動することができます。誤飲の可能性のあるものは、赤ちゃんの手の届かない場所に置く必要があります。


赤ちゃんが寝返りを始めたら環境を整えて


赤ちゃんが寝返りを始めると、様々な危険があることは先に紹介しましたが、環境を整えることでそれらの危険を予防できます。どんなことに注意して環境を整えるとよいかについて解説していきます。寝返り前後の時期に、赤ちゃんが過ごす部屋の環境を見直すことをおすすめします。

■「窒息」を防ぐポイント


赤ちゃんの寝具は、窒息を防ぐために硬めのものが推奨されています。柔らかい布団や枕は、寝返りをしたときに口や鼻を覆って窒息事故につながる危険があります。
また、寝ている赤ちゃんの顔の近くに口や鼻を覆ったり、首に巻きついてしまったりするようなものを置かないようにしましょう。ぬいぐるみやスタイなどには特に注意が必要です。
「寝返り防止グッズ」なるものも販売されていますが、それ自体が赤ちゃんの口や鼻を覆う危険があり、過去に消費者庁が注意を促したことがあります。
0歳児の就寝時の窒息死に御注意ください!|消費者庁

■「転落」を防ぐポイント


赤ちゃんのそばを離れるときは、少しの時間でもソファや柵のないベッドでは寝かせないようにしましょう。ほんの一瞬、目を離したときに転落事故が起こっています。ベッド柵をしっかり上げたり、危険物のないマットなどに寝かせるようにしましょう。
0〜1歳児の大人用ベッドからの転落事故に御注意ください!|消費者庁

SIDS(乳幼児突然死症候群)とうつ伏せ寝
SIDS(乳幼児突然死症候群)は、睡眠中に赤ちゃんが突然死亡する病気です。SIDSの予防方法は確立していませんが、うつ伏せで寝かせたときの方が仰向けに寝かせたときよりも、発生率が高いことが分かっています。そのため、1歳になるまでは眠り始めるときに仰向けの姿勢にしてあげることが推奨されています。


疲れを感じたら育児のプロのサポートも検討を


ベビーシッター
赤ちゃんの成長は喜ばしいものですが、できることが増えるということはその分、危険も増えるということです。寝返りが始まると、赤ちゃんから「目が離せない」と感じることも増えてくるでしょう。そんな寝返り時期の赤ちゃんと過ごすコツを提案します。

ママパパのリフレッシュを大切に


目が離せない状態の赤ちゃんと過ごす時間が長くなると、疲れを感じるのは当たり前のことです。
疲れを和らげるために、赤ちゃんの体動や呼吸を監視するベビーセンサーやベビーモニターを活用するのも一つの方法です。これらの育児グッズはあくまでも補助的に使うものですが、ママパパの精神的な疲れを和らげてくれるでしょう。
また、長く続く育児においては、思い切って赤ちゃんを預けて自分の時間を作り、ママパパがリフレッシュすることも大切です。家族や友人など、他の大人に赤ちゃんを預けて休息を取ることも考えてみてください。

保育のプロに依頼するのも◎


身近に赤ちゃんのお世話を頼むことが難しい場合は、自治体やNPOなどの一時保育サービスや、民間のベビーシッターへの依頼を検討するのもよいでしょう。
月齢の小さい赤ちゃんは一時保育で対応していないことも多く、筆者が保健師として関わってきた家庭でも、ベビーシッターを依頼しているママパパがいました。いざというときに赤ちゃんのお世話を頼むところがあると知っているだけも、とても心強いものです。

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ベビーシッターや家事代行サポーターを探せるキッズラインなら、0ヶ月の赤ちゃんを見られるベビーシッターや家事をお願いできる家事代行サポーターを、スマホで気軽に探すことが出来ます。
初めて依頼する相手に子どもを預ける際には、顔合わせまたは事前面談が必要なので、まずは利用登録をして、検討している方に連絡を取ってみるのがオススメです。
赤ちゃんとの生活を支えてくれる心強いサポーターと“子育てのチーム”を作って、みんなで子育てする環境をつくっていきましょう。

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■監修ライター 辻 奈由香
フリーランスの保健師・助産師。周産期センターで助産師として勤務した経験から、地域で生活する母子を支援する保健師に関心を持つ。その後12年間、自治体で保健師として勤務し、乳幼児家庭を対象とした家庭訪問や乳幼児健診など母子保健事業を中心に従事。現在は小学生の子どもを育てながら、ライターの他、看護職の資格を活かして活動中。


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