所構わず物を投げるわが子に悩んでいるママパパは少なくありません。止めようとすればするほど投げてしまい、頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。この記事では、2歳児が物を投げる理由を理解し、家庭で使える具体的な対処法を現役保育士のアドバイスとともにご紹介します。
2歳は「物を投げる」お年頃?!
2歳児にとって「物を投げる」という行動はごく自然なものです。この年齢は「投げる」という運動スキルを獲得する発達段階にあるため、手に取った物を何度も投げて試してみたくなるのです。
2歳児は感情のコントロールが未熟なために、投げるという行動を通じて感情を表現している場合もあります。必ずしも悪意があるわけではなく、
感情表現の1つとして「投げる」という手段を取っていることが多いです。
また、この年齢は「イヤイヤ期」とも呼ばれ、できないことを自分でやりたがったり、癇癪を起こしたりと、親にとって手を焼く行動が増える時期です。物を投げる以外にも、できないことを自分でやりたがったり、癇癪を起こしたりなど、対応に困ることもあるでしょう。
しかし、これらの行動は、
2歳児の発達過程の一部であり、しつけの問題ではありません。根気強く、適切な行動を優しく伝え、安全な環境で子どもの好奇心を満たしてあげることが大切です。
2歳児が物を投げる心理とは
2歳児は物を投げることで、自分の気持ちを表現しています。まずは、子どもがどのような気持ちで投げているのかを理解しようとすることが大切です。ここでは、物を投げるときの心理状態をいくつか紹介します。
【楽しんでいる】
投げる行動を遊びとしてただ楽しんでいるだけのこともあります。2歳児にとって、物が飛んでいく様子や落ちたときの音、大人の反応など、すべてが面白い体験です。
また、自分の力で物や人に変化を与えたことに喜びを感じていることもあります。
「投げたら飛ぶ」という法則を、何度も確認したくなるのです。
周りの大人が驚いたり笑ったりする反応を楽しんでいる場合もあります。
たとえ怒られたとしても、それも子どもにとっては一つの反応として楽しんでいることが多いです。
【嫌だと自己主張をしている】
2歳児は自我が芽生える時期ですが、まだ自分の思いを適切に表現することが難しい段階です。
「イヤ」「したくない」などといった不満を表現するために、物を投げる場合もあります。まだ言葉で十分気持ちを伝えられない2歳児にとって、物を投げることは自己主張の手段なのです。
たとえば、食べたくない食事を投げたり、着たくない服を投げたりすることで、意思を表現しようとします。また、
自分の思いが通らなかったり、わかってもらえなかったときに、怒りや苛立ちを感じて物を投げることもあります。
【ママパパの関心を引きたい】
2歳児が物を投げる背景には、ママパパや周囲の大人に
注目してほしいという欲求が隠れていることがあります。
たとえば、ママパパが家事で忙しかったり、下の子や他の赤ちゃんに注意が向いたりしているときに、自分を見てほしいという気持ちから物を投げるのです。怒られても、関心を引けたことが嬉しくて繰り返してしまいます。
不安を感じているときに物を投げることでママパパの反応を確認し、
安心感を得ようとしている場合があります。
【どうしたらいいかわからない】
2歳児は困った状況に直面したときに、
「どうしたらいいかわからない」という戸惑いの感情を、物を投げて表現する場合があります。この時期の子どもはまだ自分の感情や思いを言語化することが難しいため、わかってもらえないことに苛立ちが募りやすくなります。
たとえば、お腹が空いていたり、眠たかったりするなどの不快感をどう解消すればいいかわからず、物を投げることがあります。また、
新しい状況や予想外の出来事に直面したときなど、何をしたらよいのかわからないときにも、物を投げる行動が見られます。
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物を投げる子どもへの保育園での対応
保育園では、子どもが物を投げる姿を見かけますが、珍しいことではないため、保育士は危険を回避しながら必要な対応をしています。具体的に、保育士がどのような対応を行っているのか、段階別にご紹介します。
【段階1】子どもの表現したいことを読み取る
まずは、子どもがなぜ物を投げたのか、そのときの状況や子どもの感情から読み取ります。
笑って投げていれば、楽しんでいたり、興奮した状態にあったりする可能性が高いです。
怒ったり泣いたりしているときは、不満や苛立ちを表現していると推測します。
保育園では、他の子の存在や集団生活のルールによって、子どもたちは自分の思い通りにいかない場面に多く出くわします。こうした経験から子どもは我慢や感情のコントロールを学んでいくのです。しかし、発達の途中にある2歳の頃はまだ感情をうまく扱えないため、保育士の「読み取り」が重要です。
【段階2】子どもの気持ちに寄り添った言葉をかける
子どもがなぜ物を投げたのかという気持ちを読み取ったら、
気持ちに寄り添った言葉をかけます。
たとえば、玩具を取られて怒っているときには、「使ってたのに、持っていかれちゃったから怒ってるんだよね」と共感を示す言葉をかけます。眠たくてイライラしている子どもには「眠たいんだよね。お布団で寝ようか」と子どもが感じている不快感を言葉にして伝えます。
子どもは「わかってもらえた」と思うだけで安心します。気持ちが落ち着けば、物を投げなくなる場合も多いのです。
【段階3】投げたい欲求を満たす
2歳頃の子どもは、投げるという行動自体を楽しむ時期です。そのため、
子どもが「投げたい欲求」を満たせる遊びや環境を用意します。
普段の活動の中で、ボールや柔らかい物などを投げて遊ぶ時間を設けます。その際には、安全に遊べるよう十分にスペースを確保し、ぶつかったり、転んだりしないような環境を整えましょう。
子どもが遊びの中で自然と投げる欲求を満たすことで、不適切な場面で物を投げる行動を抑えられます。
【段階4】他の遊びへ誘う
場面によっては、物を投げる行動自体が危険だったり、周囲に迷惑が及んだりします。そのようなときには、速やかに他の遊びへ興味が向くように働きかけます。子どもが好きな遊びや、目新しい玩具を見せることで、
気持ちが切り替わるような働きかけを行っています。
普段から子どもが遊んでいる様子をよく観察することで、好きな遊びを把握しておくことも保育士の大切な役割です。気分が高揚して物を投げるときには、子どもの関心を引く遊びや玩具を提示することで、落ち着いて遊べるように働きかけています。
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物を投げる子どもへの親の接し方のポイント
保育士は2歳児の対応に慣れていますが、ママパパはどうしたらよいかがわからず、戸惑ってしまうかもしれません。子どもが物を投げて困っている時期に、親として意識するとよいポイントをご紹介します。
【親の接し方のポイント1】急に大声を出して叱らない
子どもが物を投げても、
突然大きな声で叱らないよう気をつけましょう。
楽しい気持ちで投げているときに、突然叱られると子どもは驚いてしまいます。怒って投げているときは、気持ちをわかってもらえなかったと感じ、さらに激しく投げることがあります。
なぜ投げているのか理由を考え、気持ちに添った言葉がけを心がけましょう。
たとえば、「当たったら痛いから、投げないで。優しく置いてくれると嬉しいな」と声をかけ、ママパパの気持ちを穏やかに伝えたり、行動の手本を見せたりします。
子どもが真似できたら「できたね」と褒めましょう。こうして、子どもは少しずつ、望ましい行動ができるようになっていきます。
【親の接し方のポイント2】投げられて困る物を片付けておく
子どもが物を投げる時期は、部屋を片付けておきましょう。特に、割れる物や壊れたら困る物は、子どもの手の届かない場所に置いておきます。お皿やコップを投げるようでしたら、この時期は陶器でなく、プラスチック製品を使うとよいでしょう。
物を投げる行動が見られるのは、一時的なことです。子どもの成長に合わせた環境を整えることで、ママパパの負担を軽くすることができます。
【親の接し方のポイント3】投げてもよい物を準備しておく
投げたい時期には、
投げてもよい物を準備しておき、十分に欲求を満たせるようにしましょう。
まだ小さな子どもにとって、投げる際に力の加減をすることは難しいです。そのため、力一杯投げても困らない道具を用意しておきます。たとえば、次のようなものがあります。
・柔らかいボール
・少し空気を抜いたボール
・お手玉
・風船
・新聞紙を丸めて作った玉
遠くまで飛ばず、もし人に当たっても痛くない物がおすすめです。
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物を投げる行為が止まらないときはどうする?
物やタイミングによっては、投げることをすぐに止めたいときもありますよね。そのような場合の対処法をご紹介します。
【対処法1】子どもの関心を逸らせる
物を投げる子どもの関心を、
別のことに向くように働きかけてみましょう。外の景色が見えるなら、
鳥や花、車など、子どもが興味を持ちそうな物に注目が向くよう声をかけるのも一つの手です。
代わりの物が定まっていなくても、「あれ、見て!」と指を差せば、子どもはそちらを向いて、気持ちが切り替わることがよくあります。「ほら、ちょっとこっちで見てみようよ」と場所を移動すると、子どもの関心は自然とそちらに移りやすくなります。
別の玩具を見せるのもよいでしょう。ママパパが楽しそうに遊ぶ姿を見せると、子どもはその玩具に関心を抱きやすくなります。
2歳ではまだ、周りの状況に合わせて自分の感情や動きをコントロールする力は育っていません。
物を投げ始めたら、叱るよりも、子どもが興味を持ちそうな遊びに誘う方が得策です。
【対処法2】毅然とした態度で止める
危険が伴う場合は、ためらうことなく止める必要があります。普段より真剣な表情と、はっきりとした口調で「ストップ」「投げない」と言いましょう。
投げようとしている子どもの手を優しく押さえ、動きを止めることも必要な場合があります。言葉と行動を一致させる機会を持つことで、子どもは少しずつ「ストップ」の意味を理解し、大人が押さえなくても自分で動きを止めることができるようになるでしょう。
2歳の子どもには、まだママパパの手助けが必要です。
過度に怒鳴ったり、子どもの腕を掴む手に力が入り過ぎたりしないよう気をつけながらも、毅然とした態度で対応したいですね。
【対処法3】子どもを抱きしめて止める
2歳児はまだ言葉を十分に理解できず、注意しても物を投げ続けることがあります。そんなときは、
子どもを抱きしめて、その場から離れましょう。場所が変わると、子どもの気持ちも落ち着きやすくなります。
日頃から止められてばかりいると、子どももストレスが溜まり、余計に物を投げてしまうかもしれません。別の遊びに誘うといった穏やかな対応をしながら、この時期を乗り越えていきたいですね。
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2歳のイヤイヤ期は、親も無理をしないことが大切
2歳児はイヤイヤ期であることに加え、コミュニケーション能力が発達途上なので、物を投げて気持ちを表現する姿がよく見られます。そうはわかっていても、
ママパパ自身がストレスを感じる場合は、専門家に相談してみることをおすすめします。
保育園を利用している場合は、担任の先生や主任保育士に相談してみてもよいでしょう。保育園に通っていなくても、地域の子育て支援センターなどで保育士に話を聞いてもらえます。
保育士は物を投げる子どもの対応に慣れています。園での豊富な経験をもとに、適切な対応方法をアドバイスしてくれるでしょう。
物を投げる子どもへの対応にママパパが疲れてしまったら、
ベビーシッターを頼ってリフレッシュするのもよい方法です。ママパパが自分たちだけで抱え込んでストレスを感じ続ける状況は避けたいものです。中には保育士資格を持つベビーシッターもいるので、相談をしてみましょう。プロの視点から、適切な助言をしてくれるはずです。
子育ての悩みは親だけで抱え込まないことが肝心です。子育ての経験者や専門家にサポートしてもらいながら、物を投げる時期を乗り越えていきましょう。
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専門知識を持つシッターは子どもの心理を理解しながら、適切な対応で物を投げる行動を減らすサポートをしてくれます。
初めてシッターに保育を依頼する際には、オンラインでの顔合わせや対面での事前面談が必要です。気になるシッターにまずは連絡を取って、お互いの相性を確かめてみましょう。
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■保育士ライター 佐野希子
18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。
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