「人間関係がつらい」「給料が低い」「仕事量が多い」。保育士として働く中で、こうした悩みを抱える人は少なくありません。しかし、保育士資格を活かして活躍できる場は、保育園だけではありません。本記事では、保育士資格を活かせる仕事を25種類紹介し、「子どもと関わる仕事を続けたい」「異業種に挑戦したい」「フリーランスを目指したい」など、希望に合わせたキャリアの選択肢を解説します。
⚫︎保育士のスキルと経験は、他業種でも役立つ
⚫︎フリーランスという選択肢もある
保育士が転職を考える理由

過去に保育士として働いていた方々は、どのような理由で退職を選んだのでしょうか。厚生労働省が2020年(令和2年)に公表した「保育士の現状と主な取組」によると、主な退職理由は以下の通りです。最も多かったのは「職場の人間関係」(33.5%)で、次いで「給料が安い」(29.2%)、「仕事量が多い」(27.7%)が続きました。
クラスの中で人間関係が固定化しやすく、価値観が合わなかったり、自分の意見が言えなかったりすることで、ストレスが溜まりやすい。
⚫︎給与が安い
厚生労働省の「保育士の現状と主な取組」によると、保育士の平均年収は約364万円で、全職種の平均約500万円と比べて約140万円低いことがわかっています。特に家賃や物価が高い都市部では、経済的な不安を抱えやすい状況にあります。
⚫︎仕事量が多い
保育以外の業務も多く、勤務時間内に仕事が終わらず、残業をしたり、自宅へ持ち帰ったりすることが頻繁に起こります。こうした厳しい労働環境から、保育士資格を持ちながらも保育士として働いていない「潜在保育士」 が増加しています。
参考:厚生労働省「保育士の現状と主な取組」(令和2年9月17日)
保育士資格は転職で有利に働く?

保育士として培ったスキルは、保育園以外の職場でも高く評価されます。特に、コミュニケーション力・問題解決能力・チームワークは、さまざまな業界で求められる重要なスキルです。それぞれの強みを詳しく見ていきましょう。
コミュニケーション力
保育士は、子ども・保護者・同僚など、幅広い世代と接する機会が多く、傾聴力や伝える力が自然と培われています。特に、相手の気持ちを汲み取り、理解しやすい言葉で説明する能力は、人との関わりが多い接客業や営業職といった職種で重宝されるでしょう。問題解決能力
子どもたちは、予期せぬ行動に出ることがあります。そのようなときでも冷静に判断し、対応を重ねてきた経験は、様々な業界において、危機管理や顧客対応に応用できます。状況を素早く把握し、問題の解決策を見出す力は、どの業種でも応用できます。チームワーク
保育士は、同僚や外部の専門家、地域の人々と協力しながら子どもの成長を支えています。こうした経験で培われるチームワーク力は、さまざまな職場で求められています。特に、異なる年代や立場の人と連携を取る力は、仕事を円滑に進める上での強みとなります。
保育士資格を活かせる仕事・お勧めの転職先25選

【転職候補1】他の保育施設
子どもと関わることが好きな方は、保育園以外の保育施設に視野を広げてみるのがよいでしょう。幼稚園と保育所の機能を併せ持つ施設で、教育と保育の両方の視点から子どもの成長を総合的にサポートします。
2. 小規模保育園
主に0~2歳児の少人数保育により、乳幼児期の発達に合わせたきめ細やかな保育ができます。
3. 家庭的保育事業
5人以下の少人数で家庭的な雰囲気の中、個々の生活リズムに寄り添った保育ができます。
4. 病児保育
医師や看護師と連携を図りながら、体調不良の子どもの症状や心理状態に配慮した専門的なケアを提供できます。
5. 夜間保育園
夜間特有の子どもの生活リズムのほか、夜間に感じやすい不安や寂しさに寄り添う保育スキルを身につけることができます。
6. 事業所内保育施設
働く親の多様なニーズを理解し、柔軟な保育サービスを提供できます。
7. 院内保育所
病院内にある保育園です。医療従事者の子どもたちの生活リズムに合わせた保育をします。
8. ベビーホテル
主に時間外保育や宿泊を必要とする保育など、特別なニーズに対応する専門性を身につけられます。
9. 託児所
短時間または一時的に子どもを預かる施設。異なる年齢の子どもと関わる機会も多いため、保育スキルの幅を広げる経験ができます。
保育施設の種類や形態で働き方が変わるため、自分の希望に合った環境を選びましょう。保育の楽しさを再発見できるかもしれません。
【転職候補2】児童・福祉関係の業種
福祉の仕事は保育園とは異なり、子ども以外の支援に関わる場面が増えます。たとえば、子どもの親や家庭環境、地域との連携など、子どもを中心にしながらも、より広い範囲で関わる仕事が多いのが特徴です。地域の子育て家庭を対象として、相談に乗ったり適切な支援につなげたりします。
11. 放課後児童クラブ(学童保育)
小学校に通う児童を対象に、放課後の安全な居場所を提供する施設です。保育士として培った子どもの理解力やコミュニケーションスキルを活かせます。
12. 療育施設
発達に支援が必要な子どもたち向けに、専門的な対応をします。保育士として培った子どもの理解やコミュニケーションスキルが役に立ちます。
13. 児童養護施設
様々な背景を持つ子どもたちが生活をする場です。子どもの心のケアや信頼関係構築スキルが大いに活きるでしょう。
14. 母子生活支援施設
生活に困りごとを抱える母子の生活支援で、保育の専門性と様々な親子に接した体験が活かせます。
15. 児童自立支援施設
家庭環境や生活などに課題を抱える子どもたちの自立支援を行う施設です。保育士として身につけた、子どもたちとの関係構築スキルは、児童との信頼関係の形成に役立ちます。
児童・福祉施設では、乳幼児だけでなく、学童期の子どもや保護者、支援が必要な家庭の大人とも関わる機会があります。相談対応や生活支援など、保育現場とは違ったやりがいを感じられる職場です。地域密着型の職場で働きたいと考えている方に向いている仕事でしょう。
【転職候補3】一般企業
保育現場での経験は、保育や福祉の分野以外でも役立ちます。一般企業への転職を考える際には、保育士として培ったコミュニケーション力やマネジメント力を業務でどのように活かせるかを整理し、履歴書と職務経歴書にまとめるとよいでしょう。子育て中の家族へのきめ細かな対応や接客において、保育現場で培ったコミュニケーション能力が役立ちます。
17. 事務作業
保育現場で身につけた書類作成や保護者対応のスキルは、一般事務の業務にでも応用できます。
18. イベント運営
保育行事の企画・運営経験は、子ども向けイベントの企画や実施で活かせます。
19. テーマパーク
子どもの目線に立ったエンターテインメントの提供において、保育園で行った行事などの経験が大いに役立ちます。
20. 幼児教室
保育の専門知識を強みとして、子どもの発達段階に応じたプログラムを提案できます。
21. 子ども向け写真館
子どもとの関わり方や発達段階を理解しているため、子どもの笑顔を引き出しながら撮影する環境作りができるでしょう。
22. 人材関連や教育業界
新人保育士を指導した経験を活かし、保育士の採用支援や教育研修の企画ができます。
23. 保険販売・営業職
保育園で培ったコミュニケーション能力を持つほか、子育て家庭のニーズを理解していることから、適切な保険プランの提案ができます。悩みに対して、親身に寄り添えるでしょう。
24. 商品開発やマーケティング職
子どもの発達段階や興味、保護者のニーズの理解を強みとして、教材の開発やプロモーション企画などのマーケティング分野で保育士経験を活かせます。
25. 子ども関連のグッズ販売
子どもの興味関心に関する知識を活かしながら、商品提案や購入のアドバイスができます。
「保育士経験を活かして異業種に挑戦したい」 人にとって、一般企業への転職は、新たなキャリアを築くチャンスとなります。一般企業は福祉と異なり、営利を目的としています。売上や業績向上といった目標を達成することが求められるため、成果を意識しながら主体的に動ける人に向いていると言えます。
保育士資格はフリーランスでも活かせる!

転職の他に、フリーランスへ転身する方法もあります。フリーランスで働くと、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
【メリット1】自分で働き方を調整できる
働く日にちや時間など、自分で調整して決められるので、柔軟な働き方が可能です。また、稼働時間を増やしたり、複数の仕事をしたりすることで、収入をある程度調整することもできます。たとえば、午前中は保育施設で働き、午後は在宅で別の仕事をするといったスタイルで働けます。休日や夜間など、人手が少ない時間帯には時給を高く設定するのもありでしょう。育児や介護との両立が必要な方は、自分のペースを重視して働けるのがメリットでしょう。ワークライフバランスを重視したい方にとっても、自分で仕事を調整できるフリーランスは、メリットの大きい働き方と言えます。【メリット2】自分の理想に沿った保育ができる
特定の園に所属して働く場合、園の方針や先輩保育士の指示に従う必要があります。しかし、フリーランスであれば自分の保育観や理想に沿って働けます。その分、責任も重くなりますが、働きがいをより感じられるでしょう。多くの保育士は、子どもとゆったりと関わりたいと思いつつも、集団保育では難しいと感じています。フリーランスとして個別保育ができれば、子ども一人ひとりの成長に寄り添うことができます。【メリット3】自分の得意分野を活かしたキャリアを築ける
保育士経験は、イベント託児や子育て相談、保育関連の執筆などで活かせます。また、SNS発信やオンラインでの子育て相談など、保育士資格を活かした多様な活動が可能です。専門的な視点から子育ての方法を提案したり、悩みを解決していったりすることは、保育士だからこそ提供できるサービスです。保育士資格を活かせるフリーランスの働き方

フリーランスの魅力は、働き方を自由に選びながら、自分の得意分野で仕事ができることです。保育士資格は、フリーランスとして働いても十分に活かせます。ここでは、フリーランスとして保育士資格を活かせる仕事を5つ紹介します。なお、フリーランスで働く場合は、仕事の獲得が課題です。クラウドソーシングの活用、SNSでの発信、既存のプラットフォームの利用など、複数の方法を組み合わせると安定した受注ができます。
スポットワーク
スポットワークとは、単発や短時間で稼働する働き方のことです。スマートフォンがあれば、簡単に仕事を検索し、応募もできます。案件によって稼働時間は異なり、中には短時間勤務の仕事もあるので、「スキマ時間に働きたい」といった希望を叶えられます。スポットワークには保育士向けの募集もたくさんあります。特定の保育園に固定されずに働けるため、人間関係の悩みを軽減できる点も魅力の一つです。なお、スポットワークは厳密に言うとフリーランスとは異なり、勤務期間が短期間であっても雇用契約を結んで働きます。そのため、完全に独立して働きたいと思う人は、フリーランスの仕事と組み合わせて活用するのがよいでしょう。習い事の先生・家庭教師
ピアノやリトミック、体操など、自分の得意なことを活かし、習い事の先生をすることもできます。既存の教室で講師として働く以外に、自分で教室を開いて生徒を募集することもできます。また、物事を教えるのが得意な人であれば、幼児向けの家庭教師として働くのもよいでしょう。都市部では幼児教育のニーズが強く、小学校受験を検討する家庭からの需要があります。
オンライン保育サービス
オンラインで、子どもに絵本の読み聞かせや手遊びをしたり、保護者を対象に子育ての悩み相談を行ったりするサービスです。SNSやブログを通じて子育てに関する情報などを発信し、集客をします。自分でサービスを構築するため、マーケティングなど保育以外の知識も必要です。しかし、お客さんに喜ばれたり、感謝されたりすることで、やりがいも感じられるでしょう。ライター
保育で培った知識や経験を元に、記事作成をすることもできます。クラウドソーシングやWebサイト、SNSなどでライターの募集をしているので、応募してみるとよいでしょう。オフィスへ出向かなくても、パソコンとネット環境さえあれば、在宅で執筆ができます。また、基本的には稼働の時間帯は自由であるため、日中の空いた時間や夜間に取り組めます。文章が得意な人や、これまでに得た保育の知識を伝えたいと感じている人には、おすすめです。ベビーシッター
ベビーシッターは、依頼者の自宅などで子どもを預かる個別保育のことです。一人の子どもに向き合えるので、ゆったりと関わりを持つことができます。保育士資格がなくてもベビーシッターになれる場合もありますが、子育て中の親は、保育士資格を持つシッターを選ぶ傾向にあります。専門的な知識と技術を持つ証となるので、取得した資格を最大限に活かせる仕事と言えるでしょう。フリーランスのベビーシッターとして働く場合、個人で依頼者を探す方法と、マッチングサービスを活用する方法があります。直接契約を結べば自由度が高まる一方で、集客が必要になります。一方で、ベビーシッターのプラットフォームを利用すれば、安定した仕事を得やすくなるでしょう。「集団保育の現場には戻りたくない」と考える保育士にとって、フリーランスのベビーシッターは魅力的な選択肢の一つです。

キッズラインでベビーシッターを始めるメリット

ベビーシッターは個人事業として行うことができるものの、「キッズライン」などのマッチングサービスに登録して活動するのが一般的です。様々なサポートを受けながら、安心して働けるためです。ここでは「キッズライン」に登録してベビーシッターを行うメリットをご紹介します。
【魅力1】自分で働く時間を決められる
キッズラインでは、稼働する時間を自分で決められるため、自分の都合に合わせた働き方ができます。たとえば、育児中の方は、子どもが学校へ行っている間だけ働くことができます。時間に融通が効く方は、土日に働いて、平日に休みを取ることも可能です。【魅力2】時給を自分で決められる
キッズラインでは、時給を自分で設定できます。一度設定した後でも、経験やスキルに応じて自分で時給を上げていくことができます。【魅力3】レビューが蓄積され、転居してもキャリアが持続できる
キッズラインでは、依頼者とベビーシッターの双方がレビューを記載するシステムがあります。ベビーシッターとして得られた評価は「信頼の証」となり、次の依頼へと繋がっていきます。家族の転勤や引越しに伴って、別の地域でベビーシッターとして活動する際にも、レビューが役立ちます。着実に積み上げた実績を元に、新たな利用者へキャリアをアピールすることが可能になります。
【魅力4】ユーザー数が非常に多い
キッズラインにおける累計依頼件数は230万件を超え、20万人を越えるユーザーが登録しています。キッズラインでは、すべてのサポートが最大5億円の賠償責任保険の対象となっており、24時間受付のサポートデスクなど働く人を守るシステムが整っています。また、東京都ではベビーシッターの利用料を助成する「ベビーシッター利用支援事業」があり、キッズラインは認定事業者となっています。他にもこども家庭庁が行う「企業型ベビーシッター割引券」制度の認定事業者でもあります。これらの制度が使えるため、依頼者がベビーシッターを頼む際の経済的な利用のハードルが下がり、ベビーシッターの依頼が年々増えている現状があります。
保育士資格は幅広い仕事で活かせる!
保育士資格や保育士としての経験は、保育施設以外の仕事でも十分に活かせます。「保育士として働く中で得た知識をもとに、環境を変えて働きたい」と考えている方は、別の仕事に挑戦するのもいいでしょう。
たとえば、子どもと関わる仕事を続けたい場合は、児童・福祉分野やベビーシッターとして働くという選択肢があります。対して、異業種への転職を考えている方は、保育士ならではのコミュニケーション力や子育て世代のニーズの理解力を活かし、一般企業へ転職するという道もあります。
「もっと自分の理想の保育をしたい」「時間の融通が効く働き方がしたい」と考えている方は、フリーランスとして働くとよいでしょう。いきなり独立するのが不安な場合は、まず副業からスタートすることもでできるので、一度説明会に参加してみてはいかがでしょうか?

18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。
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