キッズラインで活躍するサポーターの皆さんに、やりがいや働き方の工夫について伺うインタビュー企画。今回ご紹介するのは、東京都内を拠点に活動する米倉千恵さんです。
公立保育園の保育士として14年勤めたのち、キッズラインのベビーシッターとして活動をスタート。「病児・病後児」「感染症」のお子様のお預かり経験も豊富です。現在はベビーシッターに加え、産後ドゥーラの資格を活かした「産前産後ケア」を自身の大きな強みとされています。
サポート回数は1,200回を超え、レビューはすべて星5つ。親御様からも絶大な信頼を寄せられている米倉さんに、仕事への向き合い方や、日頃大切にしていることなどについてお話を伺いました。
2022年3月 公立保育園を退職。約1年、保育以外の仕事を経験
2023年3月 キッズラインでベビーシッターデビュー
2023年6月 東京都ベビーシッター利用支援事業の対象に。病児対応を開始
2023年7月 障がい児対応、企業型割引券の対象サポーターに
2024年5月 感染症のお子様の受け入れも可能に
2025年1月 産後ドゥーラの資格を取得し、産前産後ケアを開始
「ベビーシッターに絶対になりたい」ではなく、経験のひとつとして始めた
ー14年間勤めた公立保育園を退職されたあと、すぐにベビーシッターを始めたわけではないそうですね。
そうなんです。一度、保育の仕事から離れてみたいと思っていました。ずっと公務員として保育の世界にいたので、まったく違う職種を経験する機会がなかったんです。社会経験としていろいろなことをやってみたくて、複数の仕事を経験しました。
もともと趣味でアロマを学んでいて、公務員時代にアロマの資格も取っていたので、アロマの会社に就職して講座を担当したり、施術をしたりしていました。副業ができる働き方にも魅力を感じて、事務の仕事や在宅ワークなども試してみました。
ー安定した公務員という立場を離れることに、不安はありませんでしたか。
不安はなかったわけではないですが、それ以上にコロナ禍で考え直した部分が大きかったですね。お子様にもマスクをつけていただきながらの保育に、難しさを感じる場面が増えました。
また、私は親御様とお話するのが好きなのですが、保育園では他業務などとの兼ね合いから、じっくりお話することが難しい、というのもありました。「安定」よりもそういったジレンマを解消したい思いが勝り、保育士を辞めた後にある程度いろいろな経験をしてから独立する、という選択をしました。
ーその中で、ベビーシッターに行き着いたのはなぜだったのでしょうか。
保育園ではできない「1対1の関わりができる」というところですね。ただ正直に言うと、ベビーシッターの世界のことは、それまでまったく知らなかったんです。「集団保育には戻らない」ということだけは決めていたので、最初は月に1回、週に1回くらいのペースで、経験のひとつとして始めてみました。
そうしたら、ちょうど東京都の一時預かり事業(※)が広がってきた時期で需要がとても高く、予定を空けた日はすべてご依頼が入る状況でした。その需要の高さと、やってみたときの楽しさが自分にマッチして続いていったという流れです。最初から「絶対にベビーシッターになりたい」と思って始めたわけではないんです。
ー派遣型や病児専門型など、他社のシッターも経験されたと伺いました。最終的にキッズライン1本にされた決め手は何でしたか。
実は、ベビーシッターとして一番最初に登録したのがキッズラインなんです。病児専門シッターなどはそのあとに経験しました。
最終的にキッズライン1本に絞ったのは、やはり実際経験してみて「自由度がとても高い」ところに魅力を感じたからです。働き方も、時給の決め方も自分で決められるのが一番大きかったですね。
0歳6ヶ月から0歳1ヶ月へ。需要に応えるうちに広がった受け入れ幅

ー現在の受け入れ年齢は0歳1ヶ月から15歳までと幅広いですね。
キッズラインでベビーシッターになった当初は、0歳6ヶ月以上のお預かりでした。そして活動していく中で、生後6ヶ月以下のお子様の保育の需要がとても高いことに気づいたんです。そこで経験を重ねて、対象年齢を下げるための試験を受け、今は生後1ヶ月からお受けできるようになりました。
ーサポート回数1,200回超という数字を、ご自身ではどう分析されていますか。
今に至るまでは長いようで、あっという間でした。
これまでで一番印象に残っているのは、やはりデビュー後1回目のサポートです。そこから30回くらいまでは、慣れるまですごく長く感じました。ただそこを越えると、需要の高さとやりがい、楽しさのほうが勝ってきて、気づけば100回、200回と数を重ねていました。
現在、定期予約という形はとっていないのですが、お互いの自由度を保つために毎月「今月の予定もお入れしますか?」と確認しながら、親御様と私の予定を調整しています。結果的に、毎週リピートしてくださるご家庭が多いですね。
ー仕事への向き合い方で気をつけていることはありますか。
慣れてきたときこそ、初回を思い出す、初心を忘れないようにしています。定期的にご依頼いただく方とは信頼関係もできてきますが、慣れてきたときこそ何か起きてしまう可能性もあるので、1回1回気を引き締めています。
ー初回は緊張しますよね。大変だと感じる場面や、それをどう乗り越えているかを教えてください。
初回で人見知りをして泣いてしまうお子様もいます。そのため、事前のメッセージや顔合わせのときに「このくらいの年齢だと、こういう状況になって泣くかもしれません」とお伝えしておくことで、かえって安心していただけるんです。
泣くことは悪いことではありませんし、泣き止ませることだけがいい、というわけでもありません。ご様子を見ながらそうお伝えする中で、親御様の気持ちも少し楽になる、ということがよくあります。

産後ドゥーラの資格取得。子どもだけでなく、家族全体を支えたい

ー2025年1月に産後ドゥーラの資格を取得し、現在産前産後ケアも行っていらっしゃいます。先ほど「親御様とお話するのが好きだった」と伺いましたが、それがきっかけになったのでしょうか。
そうですね、もともと親御様の支援に強い関心があったんです。産後ドゥーラという資格を知って、お子様だけでなくご家族様全体を見ながら支えられるというところに魅力を感じて取得しました。
ー具体的には、どんなご依頼が多いですか。
離乳食のご相談でしょうか。また、親御様は疲れきっていらっしゃるので、お掃除をして少しでも気持ちよく過ごしていただくこともあります。私は親御様向けにアロマケア(※)もできるので、そこに価値を感じてご依頼くださる方も多いです。
お子様だけを見るベビーシッターと違って、簡単な家事やお料理もできる「オールインワン」であるところが、産前産後ケアの特徴です。そのため、時給もベビーシッターより高い5,500円に設定しています。
(※)「産後ケア」におけるハンドケア・ボディケアの一環としてのアロマセラピーのみ提供可能です。
ーお子様のことを優先し、ご自身のことは後回しという親御様は多いと思います。
「自分の話も聞いてほしい」「体をトリートメントしてほしい」という思いをお持ちだけど、なかなか言い出せない方が多いですよね。
ただ信頼関係を積み重ねていく中で、親御様ご自身のケアをすると、結果的にお子様の様子も変わったりするんです。ご家族全体が良い方向へ循環していくような空気を感じるときが一番嬉しく、やりがいを感じています。
ー産前産後ケアで難しさや葛藤を感じる場面はありますか。
親御様のご要望と、お子様の様子と、限られた時間。その中で全力でやるのですが、急いで行うことでお皿を割ってしまうようなことがあってはいけません。自分の気持ちを整えながら、お互いにとってベストな状態に持っていけるようできる限りのことをしますが、安全は絶対というところは葛藤があります。
ー産前産後ケアからベビーシッターへのご依頼へ、つながっていくことも多いのでしょうか。
そうですね。産前産後ケアをご利用いただき、お子様が1歳になって対象から外れたあとに「1歳からはベビーシッターとしてお願いします」と継続されるケースも多いです。逆に、ベビーシッターとして依頼をされた後、「お料理も食べてみたいから」と産前産後ケアのご依頼に変わることもあります。
またご依頼の形も多様化しており、最近は在宅ワークの方や、「母子同室」で同じお部屋で過ごされるケースも増えています。リピートしていただく中で、少しずつ慣れていく様子を見ていただけると、お子様の変化も親御様に伝えやすいと思っています。
病児・感染症のお預かり。「受け入れてもらえる」という安心感をつくる
ー病児対応を始めようと思ったのは、やはりニーズの大きさからでしょうか。
そうですね。ご依頼が確定していても、当日お子様が体調を崩されることはあります。そのときの親御様の不安がとても大きいんです。受け入れてもらえるのか、預かってもらえないのか。ここには大きな差があると感じています。病児保育の知識と経験は、本当に大事だと思っています。
ちなみに病児対応にあたっては、保育園時代の経験も活きています。園でも、発熱したお子様はお迎えに来ていただくのが基本ですが、それまでの間はお預かりします。そこで一通りの知識と経験は積んでいました。
ー2024年5月からは、インフルエンザや水ぼうそうなど感染症のお子様も受け入れていらっしゃいます。
今年の夏も流行している手足口病もそうですが、感染症のご依頼はとても多いんです。ただ、受け入れられるサポーターは限られます。だからこそ、対応できるようになっておきたいと思い申請しました。
ー体調のすぐれないお子様をお預かりするとき、元気なときと特に変えていることはありますか。
病児保育はやはり安静が第一です。ただ、病児といってもご機嫌には差があって、元気に見えることもあるんですね。お子様自身は自分が病気だとわからなかったりもする。だからこそ、できるだけ静かな遊びにする、睡眠を優先する、という持っていき方を1日の流れの中で気をつけています。あとは様子を見ながら、水分補給もこまめにさせていただいています。
ー親御様も不安な状態でお預けになると思います。安心のために心がけていることは何でしょうか。
引き継ぎのときにじっくりお話を伺うことでしょうか。またサポート中は、メッセージ機能を使ってこまめに様子をお伝えするようにしています。今こう過ごしています、安全に過ごせています、症状はこうです、といった感じです。そこは大事にしていますね。
ー病児対応は、2回目以降のリピーターの方にはオプション料金をいただかない設定にされていますね。急な発熱でも頼れる人がいる、というのは大きいと思います。
急な発熱は、絶対に外せないご予定があるときほど困りますよね。実際、親御様には「ここなら預かってもらえる」という安心感に価値を感じていただけていると思います。お会いしている中でお子様の様子もわかっているので、リピーター様には「すぐお預かりしますよ」とお伝えできますし、とても喜んでいただいています。

2,000円から3,800円へ。時給を上げるとき、あえて下げるとき

ーベビーシッターとしての時給は2,000円からスタートし、現在は3,800円まで上がっています。金額はどのような基準で決めているのでしょうか。
自分自身が経験しながらスキルアップしてきたことが基準です。病児・病後児保育に対応できるようになったこと、受け入れ年齢の幅が広がったこと、お預かりできる人数が変わったことなどが、時給を上げるポイントになりました。
最初は高いなと感じる親御様もいらっしゃるかもしれませんが、健康なお子様を健康にお返しする、というところに価値を感じていただけているようです。
ー時給を上げるとき、不安はありませんでしたか。
最初はありました。ただ、ベビーシッターの価値をとても感じてくださっている親御様が多いことで、その不安は少しずつ消えていきました。また私は東京都で活動しているので、親御様はご利用いただける補助がある(1時間2,500円、22時~7時は1時間3,500円が上限)というのも大きいですね。
とはいえ時給をただ上げるだけでなく、長時間のサポート(6時間以上)や4回目以降のリピーター様には1時間3,500円に下げたりと、還元できる仕組みもつくることでご納得いただいています。
何かひとつ、自信のあることから始めればいい
ーこれから挑戦してみたいことはありますか。
大好きなキッズラインで、これからも活動を続けていきたいです。そのうえで、幅広くいろいろなお子様を受け入れられるようになった経験を財産にして、これからは知識としてお伝えすることもできたらいいなと思っています。
たとえば同室で過ごされている親御様に、これまでのサポートの中で「こういうときにこういう事例があった」「こう対応したらうまくいった」とお話することがあるんです。もちろんプライバシーには触れませんが、実際に経験してきたことのほうが、すっと届くようです。お子様の安全に気をつけながら、そうしてお話することも大切にしていきたいですね。
ー最後に、これからベビーシッターを始めたいと検討している方や、専門性を活かして安定して働きたいという方へメッセージをお願いします。
キッズラインは本当に働きやすいですし、時給や働く時間を自由に決められる点がとても魅力的です。
最初からあれもこれもと全てをできなくても大丈夫です。何かひとつ、自分が楽しくて、自信があって、親御様に喜ばれることを見つけて、それをご家庭に提供する。ご家族様が幸せになれるように努める。その気持ちを大事にしていければいいのかなと思っています。
病児対応に不安がある方もいるかもしれませんが、正しい知識をつけ、緊急時は医療機関を頼ることを頭に入れておけば問題ありません。親御様のニーズはたくさんありますから、ぜひ挑戦してみてほしいですね。
産前産後ケアも需要が高まっています。私も、もともと好きだったアロマが産後ドゥーラの資格につながりました。家事やご自身の得意なことから少しずつ広げていけるのも、この仕事の魅力だと思います。
「ベビーシッターに絶対なりたかった、というわけではない」という言葉から始まった取材でした。けれど話を伺うほどに、米倉さんが目の前のご要望に一つひとつ応えながら、受け入れ年齢を下げ、病児に対応し、産後ドゥーラの資格を取り、時給を上げてきた道筋がはっきりと見えてきました。
キャリアプランを先に描いたのではなく、「これができたら助かる方がいる」「少しでも親御様の力になりたい」という気持ちから積み重ねた努力が、1,200回を超えるサポートと星5のレビュー、そして時給3,800円という数字につながっています。米倉さんの歩みは、これからベビーシッターを目指す方にとって、そのままひとつの道しるべになるのではないでしょうか。
▼米倉千恵さんのプロフィールページはこちら


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