キッズラインで活躍するサポーターの皆さんに、やりがいや働き方の工夫について伺うインタビュー企画。今回は、保育士・幼稚園教諭として経験を積んだ後、ベビーシッターに転身した山岸佑季子さんにお話を聞きました。
現在、長野県を拠点にシッター業務を行う山岸さん。しかし以前は、「地方でシッターの仕事なんて成り立つのか」と不安を感じた時期もあったそうです。そんな戸惑いを乗り越え、自分らしい働き方を見つけた山岸さんに、ベビーシッターという仕事の魅力、そして地方で活動するからこそ感じられるやりがいについて語っていただきました。

療養中に感じた「また子どもと関わりたい」という気持ち




ー現在の働き方を教えてください。

キッズラインに登録し、ベビーシッターとして活動しています。また、キッズラインの業務委託のスタッフとしても週4日、1日5時間ほどですが、オンラインで面談や選考のサポートを行っています。シッターの仕事は定期予約が中心で、週5日サポートをしています。

ー以前は、どのようなお仕事をされていたのでしょうか?

小さい頃から子どもが大好きで、進路を決める際にも迷わず幼稚園の教諭や保育士を目指しました。私が3人きょうだいの長女で、小さい頃から弟や妹の面倒をみてきたり、習い事などで年下の子と接する機会が多かった、ということも影響していたと思います。

そして保育士、幼稚園教諭の資格を取得し、同じ福祉法人が運営する保育園・幼稚園で7年ほど勤務しました。法人内の4つの園を異動しながら担任として経験を積みましたが、ある時期に家族や私生活での悩みが重なり、精神的にバランスを崩してしまったんです。決して職場との関係が悪かったわけではないのですが、やむなく退職しました。退職後の1年間は療養に専念しましたが、少しずつ元気を取り戻す中で、「また子どもと関わる仕事がしたい」という気持ちが芽生えていきました。

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ベビーシッターを始めたきっかけは「占い」!?


サポーター

ー1年間の療養を経て、ベビーシッターとして働こうと思った理由を教えてください。

1対1で子どもと関われるベビーシッターという働き方なら、自分に合っているかもしれない」と思ったことが最も大きいです。保育園勤務のときも子どもと関わるのは好きでしたが、私は人に気を使いすぎてしまう性格で、「集団の中では自分らしい保育がなかなかできない」という悩みがありました。そのため周りに気を使いすぎる必要がなく、自分のペースで保育ができる環境を求めていました。

とはいえ、退職後すぐにベビーシッターを目指したわけではなく、ハローワークで放課後デイサービスや病院内保育の求人を見つけ、実際に施設を見学したこともあります。そこで仕事内容に興味を持ったものの、「人間関係に悩んでしまうかもしれない」という不安は拭えませんでした。他にも訪問介護や介護職の資格取得も考えましたが、「やはり子どもと関わる仕事がしたい」「保育士資格を活かして働きたい」という気持ちが強くなっていました。

ーキッズラインに登録をしようと思ったのは、なぜですか?

キッズラインとの出会いは、ご縁としか言いようがありません。あるとき、たまたま行った手相占いの場で、占い師さんから「知り合いにキッズラインでベビーシッターとして活動している人がいる」と言われ、紹介してもらったんです。

占い師さんが教えてくれた方のインスタグラムを見ると、日々の活動がとても楽しそうで、「こんなふうに子どもとじっくり関われる働き方があるんだ」と心を動かされました。後日、その方とお会いする機会があり「キッズラインで活動しませんか?」と声をかけてくださって、「私もやってみたい」と思えました。

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当初スケジュールは空きばかり。「自分を知ってもらおう」と決意



ー首都圏ではなく、地元・長野でベビーシッターをすることに何か不安はありましたか?

正直に言うと、「長野でベビーシッターって成り立つのかな?」という不安はありました。やはり首都圏と違って、ベビーシッターの認知度も利用者も少ないだろうと思っていたので……。「登録しても依頼がこなかったらどうしよう」という気持ちも大きかったです。

ー初めてのサポートを振り返ってみて、どうでしたか?

初めてサポートへ伺ったときはとても緊張しましたが、保育園や幼稚園で子どもたちと接してきた経験が活かされ、落ち着いて対応できたと思います。とはいえ、キッズラインのベビーシッターとして働き始めた頃は思うようにご依頼をいただけず、「本当にやっていけるのかな……」と不安を感じていました。特に最初の1〜2ヶ月は、空白だらけのスケジュールを見るたびに落ち込んだことを覚えています。

ー依頼が増えるようになるまでに、どのような工夫をしましたか?

あるとき、依頼がなかなか増えない原因は、私自身を知ってもらえていないことにあると気づきました。そこでまずは「どんな人がサポートに来るのか」をイメージしてもらえるよう、TikTokアカウントを開設したんです。手作りおもちゃの紹介や保育のちょっとした工夫などを発信することで、自分を知ってもらうきっかけをつくりました。

あわせてキッズラインのプロフィールを丁寧に書き直したり、サポート時の様子が伝わりやすい写真を載せたりと、少しずつ改善を積み重ねていった結果、徐々に依頼が増えていきました。努力した分だけ結果につながるというのは、この働き方の大きな魅力だと感じています。

※キッズラインのプロフィールページでは、外部サイト(SNSを含む)へのリンク掲載が禁止されています。サポーター登録をご検討中の方はご注意ください。

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「ゆきこ先生に出会えてよかった」の一言が大きな励みに


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ーお仕事で大切にされていることを教えてください。

サポート中は、お子様が飽きずに楽しめるよう工夫を凝らしています。そんな工夫の中でも大切にしているのが、手作りのおもちゃを持っていくことです。たとえばスポンジに切り込みを入れたボールなどは、お子様にとても好評です。「お子様に笑顔で楽しい時間を過ごしてもらうこと」を何よりも大切にしています。

ーベビーシッターとして仕事をする中で、嬉しかったエピソードがあれば教えてください。

忘れられない出来事があります。定期的に伺っているご家庭のお子様が、保育園でお友だちとトラブルになり、ずっと泣いていたそうなんです。でも、保育園の先生から「山岸さんがもうすぐ来るよ」と言われた瞬間、パッと泣き止んで笑顔になったと聞きました。私の存在がお子様に安心感を与えている、と感じられたことが嬉しかったです。

また、ご依頼くださっていた親御様から「ゆきこ先生に出会えてよかった」とアプリ経由でメッセージをいただいたときも、胸が熱くなりました。自分らしい保育が誰かの安心につながっていると思える今、「この働き方を選んでよかった」と心から感じています。

ー活動開始当初と比べて、収入の面ではどのような変化がありましたか?

当初の時給は単発予約は1800円、定期予約は1700円で設定していました。しかし、ベビーシッターを始めて1年ほど経った頃に、単発予約は1900円、定期予約は1800円へと見直しました。

病児保育に対応できるようになり、対応可能な月齢も「生後6ヶ月から」→「5ヶ月から」に広げたことが、時給を上げたきっかけです。時給を上げるときは「大丈夫かな……」と少し不安もありました。ですが、定期で依頼してくださっているご家庭に、事前にそのことをお伝えしたところ、「全然大丈夫ですよ」と快く受け入れていただけました。「時給が上がっても、ぜひお願いしたい」と言っていただけたことで、信頼されている実感が湧き、大きな励みになりました。

自分の強みを活かして地道に活動していった結果、少しずつご依頼が増えていき、今では保育園勤務時代と同程度の収入を得られています。努力を積み重ねてきた成果を感じています。

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迷っている人へ「一緒にやってみよう」と伝えたい


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ーベビーシッターとして、今後どのような存在でありたいですか?

初めての育児で不安を抱えている方や、頼れる人が少ない、またはいないご家庭の力になりたいです。

私自身、心身のバランスを崩して働けなくなった時期があり、そのときに「助けを求めることの大切さ」を実感しました。
育児って、もちろんかわいい瞬間もたくさんありますが、それ以上に大変なことも多いですよね。だからこそ、親御様に「ひとりじゃないよ」と伝えられるような存在でありたいと思っています。

ベビーシッターとして、お子様にも保護者の方にも寄り添い、「気持ちが軽くなった」と思ってもらえる時間を届けていきたいですね。保育は単にお子様を預かるだけではなく、日々の生活に安心や笑顔を届ける仕事だと思っています。

ー今後、どのような働き方を目指していますか?

今は、キッズラインでの業務委託の仕事と定期予約のシッター業務を、バランスよく両立できる働き方を目指しています。ありがたいことに、週5件ほど定期でご依頼をいただいており、単発のご相談も増えているのですが、すべてに対応しきれないこともあります。

長野のような地域では、ベビーシッターという働き方がまだ広くは知られていない一方で、このサービスを必要としているご家庭は確実に増えていると感じます。ただ、長野ではキッズラインに登録しているベビーシッターが少なく、ニーズに対して人手が足りていないのが現状です。

だからこそ、今後は発信にももっと力を入れたいと思っています。TikTokでは保育の工夫や手作りおもちゃの紹介を通じて、「こんな働き方があるんだ」と知ってもらえるよう心がけています。いつか、同じ地域で活動する仲間が増えたら嬉しいですね。

――インタビューを終えて――
「長野にベビーシッターの需要があるのか」という不安を抱きながらも、山岸さんはTikTokでの発信やプロフィールの工夫を重ね、自分を知ってもらう努力を続けてきました。心身のバランスを崩した経験があるからこそ、助けを必要とする人に寄り添いたいという強い思いが芽生えたのだと感じます。サポート時には手作りのおもちゃを用意し、お子様の笑顔を何よりも大切にする姿勢がとても印象的でした。



▼山岸佑季子さんのプロフィールページはこちら
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