育休から復帰する時期は、大きく分けると、0歳児クラスへの入園に合わせて戻るか、1歳児クラスへの入園に合わせて戻るか、育休を延長するなどして2歳以降に戻るかの3つです。どの時期を選んでも、気がかりは残ります。0歳児クラスで戻れば子どもの幼さが、1歳児クラスで戻れば保活の結果が、2歳以降に戻れば仕事のブランクが、それぞれ気になりやすくなります。
復帰の時期を決めたあとも、実際に働き始めてからも、ふとした瞬間に「この選択は間違いだったのでは」という気持ちが顔を出すことがあります。SNSで別の時期に育休から復帰した人の話を読んだときや、子どもが熱を出して仕事を休んだとき、同期が昇進したと聞いたときなど、迷いは思いがけないタイミングでやってきます。
とはいえ、育休復帰に関してどの時期を選んでもしんどさはあり、後悔することもあるものです。ただどうしんどいのかは、育休から復帰した時期によって異なります。
この記事では、そんな「子どもが何歳のときに育休から復帰するか」について、時期ごとのしんどさの中身を分けて整理します。
※「どの年齢から保育園に入れるか」を比較したい方は、保育園は何歳からがベスト?園の選び方と年齢別のメリットもあわせてご覧ください。
この記事でいう3つの復帰時期

この記事でいう3つの時期は、次のとおりです。
・0歳児クラスで復帰:4月1日時点で0歳の子を、0歳児クラスに4月入園させて復帰するケース。入園時の月齢は、生まれ月によって生後数か月から11か月までと幅があります
・1歳児クラスで復帰:育休をおよそ1年取り、1歳児クラスに4月入園させるか、1歳の誕生日前後に途中入園させて復帰するケース
・2歳以降に復帰:保育園に入れず育休を1歳6か月や2歳まで延長したケースや、一度退職して子どもが2歳を過ぎてから再就職するケース
なお、4月入園は年度単位で決まるため、
同じ「育休1年」でも子どもの生まれ月によって選べる時期が変わります。たとえば夏から冬に生まれた子の場合、育休を1年取ると誕生日は年度の途中にやってきます。そのため、育休を短くして0歳児クラスの4月入園を狙うか、空きの少ない途中入園を探すか、育休を延長して翌年4月の1歳児クラスを狙うか、という選択を迫られることになります。
0歳児クラスで復帰:入りやすい代わりに、体と月齢の負担が重なる
しんどさの中身
0歳児クラスは、多くの自治体で4月入園の枠がもっとも多いクラスです。1歳以降と比べて入園しやすい傾向があり、保活の面では有利な時期と言えます。その代わり、
しんどさは親子の心身にかかってきます。
同じ0歳児クラスでも、入園時の月齢は生まれ月によって大きく違います。春に生まれた子は11か月前後で入園しますが、冬に生まれた子は生後数か月で入園することになります。受け入れ開始の月齢も園によって異なり、生後57日から預かる園もあれば、生後6か月からの園もあります。月齢が低いほど、ここから挙げる負担は大きくなります。
子どもが体調を崩す頻度が高い
生後半年を過ぎると、ママからもらった免疫が減っていくと言われています。そこに集団生活が始まるので、入園後しばらくは発熱、鼻水、胃腸炎を繰り返しがちです。保育園では37.5度前後を目安にお迎えの連絡が来ることが多く、朝は平熱だったのに昼前に呼び出される、ということも珍しくありません。「復帰したのに、最初の3か月はほとんど出社できなかった」という声もよく聞かれます。
親の睡眠と体力が戻りきっていない
夜間の授乳や夜泣きが続いている時期に、フルタイムの生活リズムが始まります。産後の体が回復しきらないまま働くことになり、慢性的な寝不足を抱えたまま仕事をする日が続きます。授乳をしている場合は、職場での搾乳や、日中に母乳が張ってしまうことへの対応も必要になります。
慣らし保育と復帰日の調整が難しい
4月入園の場合、入園してから1〜2週間ほどは、数時間だけ預ける慣らし保育の期間があります。この間はフルタイムで働けないため、復帰日を慣らし保育の後に設定できるかどうかを、職場と自治体の両方に確認しておく必要があります。自治体によっては「入園した月のうちに復職すること」などの決まりがあるため、思いどおりに日程を組めないこともあります。
「こんなに小さいのに」という気持ちが消えない
周囲から、また自分自身の心の中から「まだ赤ちゃんなのに預けて」という声が聞こえてくることがあります。毎朝、泣いている子どもを先生に渡して出勤するたびに、胸が締めつけられるような思いをする人も少なくありません。
よくある後悔
「もう少しそばにいればよかった」
「病気ばかりで、結局職場に迷惑をかけた」
「初めての寝返りやハイハイを、保育園の連絡帳で知った」
こうした後悔は、子どもの体調が落ち着かない入園後の数か月に、とくに強く感じやすいものです。集団生活を始めたばかりの子どもが体調を崩しやすいのは、入園する時期にかかわらず多くの子が通る道で、親の選択が間違っていたからではありません。そのうえで、この時期に戻るからこその利点もあります。
0歳児クラスで戻るからこそのこと
入園のハードルが低いぶん、保活のストレスは他の時期より小さくて済みます。希望の園に入れる可能性が高く、送迎の負担が少ない園を選びやすいのもこの時期です。
仕事のブランクが短いので、職場の変化についていきやすく、復帰後の立ち上がりが早いのも利点です。また、生後1年未満の子どもを育てている女性は、労働基準法で認められた
「育児時間」として、休憩時間とは別に1日2回、それぞれ30分以上の時間を請求できます。勤務の始めや終わりにあてることも認められているので、授乳のほか、少し早めのお迎えに使うこともできます。有給か無給かは会社によって異なるので、職場の就業規則を確認してみてください。
乗り切るために
0歳児クラスで復帰した場合のしんどさの大半は、
「子どもの急な発熱」と「親の寝不足」によるものです。
・発熱で登園できない日の預け先を、復帰前に決めておく(病児保育室、病児対応のシッター、祖父母)
・夫婦で「休む順番」を最初に決めておく。毎回どちらが休むかを話し合わずに済むだけで、朝の負担はかなり軽くなる
・夜間の授乳や寝かしつけを交代制にし、どちらかが必ず眠れる日をつくる
・最初の数か月は、家事を減らすことを前提にする(作り置き、ミールキット、家事代行など)
・職場には、復帰前の面談で「最初の数か月は急な休みが多くなる可能性がある」と伝えておく
とくに病児保育は、いざ必要になってから探しても間に合わないことが多いサービスです。病児保育室は事前登録が必要なところが多く、流行期には定員がすぐに埋まります。元気なうちに登録や事前面談を済ませ、複数の選択肢を持っておくと、復帰後の最初の数か月がずいぶん楽になります。
病児・病後児保育対応のシッターを探す
1歳児クラスで復帰:保活がもっとも厳しく、予定どおりに戻れないことがある
しんどさの中身
育休をおよそ1年取って、1歳児クラスの4月入園や、1歳の誕生日前後の途中入園で戻る。育児休業の基本の期間に合わせた戻り方です。ただ、このパターンでいちばん重くのしかかるのは、
保活そのものです。
1歳児クラスは空きが少ない
1歳児クラスは、0歳から入っている子がそのまま持ち上がるため、新たに受け入れられる枠が限られます。そこに育休明けの申込が集中するので、「1歳児クラスの4月入園は激戦」と言われます。年度の途中は、さらに空きが出にくくなります。地域によっては、0歳児クラスでは入れた点数でも、1歳児クラスでは入れないということも起こります。
入れなかった場合の給付金の延長手続きが厳しくなった
保育園に入れなかった場合、育休は1歳6か月まで、さらに最長2歳まで延長できます。ただし2025年4月から、延長した期間の育児休業給付金を受け取るための手続きが厳しくなりました。これまでは入所保留通知書などがあれば延長が認められていましたが、現在は、保育園の申し込みが「速やかな職場復帰のため」に行われたものだとハローワークに認められる必要があります。そのため、入所保留通知書に加えて、保育園の申込書の写しと、専用の申告書の提出が求められます。
自治体の申し込み期限に間に合わなかった場合や、申し込みを取り消した場合は、給付が延長されない可能性もあります。
結果が出るまで、予定が立たない
4月入園の場合、申し込みは前年の秋から冬にかけて行い、結果が分かるのは多くの自治体で1月から2月ごろです。それまで、職場に復帰日を伝えられない、生活の準備も進められないという宙ぶらりんの状態が続きます。一次募集で決まらなければ二次募集の結果を待つことになり、復帰日のわずか1か月前まで行き先が決まらない、ということもあります。
1歳前後の慣らし保育は、泣く期間が長くなることも
1歳前後は人見知りや後追いが強くなる時期でもあります。そのため、月齢の低いうちに入園する場合に比べて、慣らし保育で泣く期間が長くなることがあります。毎朝の別れがつらく、「もっと早く入れておけばよかったのか」と迷う人もいます。
よくある後悔
「0歳児クラスで申し込んでおけばよかった」
「第一希望じゃない園に決まって、送迎が大変」
「結果が出るまでの数か月、ずっと気が休まらなかった」
1歳児クラスの後悔は、保活の結果や入園先など、自分ではどうにもできなかったことから生まれやすいのが特徴です。入園先が希望どおりでなくても、転園を申し込んだり、送迎を外の手に頼ったりして、入園後に調整していくことはできます。一方で、1年間待ったからこそ得られたものもあります。
1歳児クラスで戻るからこそのこと
1年間、子どもと向き合う時間がとれたことは、この時期を選んだ人の多くが「よかった」と感じている点です。子どもは歩けるようになり、食事も幼児食に近づいて、生活のリズムが整ってきています。夜にまとまって眠るようになっている子も多く、0歳児クラスで戻る場合に比べれば、親の体力もかなり戻っています。
また、言葉の芽生えが見られる時期なので、「保育園で何をしたか」を少しずつ表情やしぐさで伝えてくれるようになります。0歳のころより、離れている間の様子を感じ取りやすくなるのも、この時期ならではです。
乗り切るために
1歳児クラスで復帰する場合のしんどさは、
「入れるかどうか分からない」ことと「入れなかったときの空白」によるものです。
・希望の園だけでなく、認可外や小規模保育、一時預かりも含めて選択肢を広げておく
・自治体の利用調整の点数(指数)の仕組みを確認しておく。認可外保育施設を利用していると加点される自治体もある
・入れなかった場合に、何か月なら会社を休めるか、どこまで延長できるかを職場に確認しておく
・認可保育園が決まるまでの「つなぎ」として、ベビーシッターの定期利用を検討しておく
・延長が必要になった場合に備えて、申込書や通知書の控えを必ず保管しておく
認可に入れなかった場合でも、復帰そのものをあきらめる必要はありません。認可外の保育施設やベビーシッターを組み合わせれば、予定どおり戻ることもできます。自治体によっては、認可外保育施設やベビーシッターの利用料に補助が出る場合もあります。
「入れなかったら延長」だけでなく、「入れなくても戻る」という選択肢を持っておくと、結果を待つ間の気持ちが少し楽になります。
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2歳以降に復帰:子どもは楽になるが、仕事側の空白が長くなる
しんどさの中身
保育園に入れず育休を1歳6か月や2歳まで延長した、あるいは一度退職して、子どもが2歳を過ぎてから仕事に戻る。このパターンでは、
しんどさの重心が子どもの側から仕事の側へと移ります。
仕事のブランクが長い
2年、3年と職場を離れると、使っていたツールが変わっていたり、チームのメンバーが入れ替わっていたりします。「浦島太郎になった気分」と表現する人もいます。以前は当たり前にできていた仕事に時間がかかり、自分だけが取り残されたような感覚は、思っている以上に心を消耗させます。
育休は原則2歳までしか延長できない
法律上の育休は、延長しても最長で子どもが2歳になるまでです。それ以上休む場合は、会社独自の制度を使うか、一度退職して再就職することになります。再就職の場合は、仕事探しと保活を同時に進める必要があります。求職中の利用調整の点数は、働いている場合より低く設定されていることが多いため、仕事が決まらないと保育園に入りにくく、保育園が決まらないと仕事を始めにくいという堂々巡りに陥りやすくなります。
2歳以降も保活は楽ではない
2歳児クラスも、持ち上がりの子で埋まっていることが多い学年です。また、0〜2歳児だけを預かる小規模保育に入った場合は、3歳でまた園を探す必要が出てきます。「やっと慣れたのに、1年でまた転園」ということになり、子どもにとっても親にとっても負担が続きます。
子どもの自己主張が強くなる時期と重なる
2歳前後は、いわゆるイヤイヤ期と重なりやすい時期です。朝の着替えを嫌がる、靴を履かない、保育園の前で座り込む。復帰したばかりで時間に追われているときに、子どもの「イヤ」に付き合う余裕がなく、朝から疲れ切ってしまうことがあります。
よくある後悔
「もっと早く戻っていれば、キャリアがここまで止まらなかった」
「職場に居場所がない気がする」
「後から入った後輩のほうが、仕事を任されている」
キャリアや職場での立ち位置についての後悔は、復帰して間もないころにもっとも強く感じやすいものです。ブランクで遅れたように感じる部分も、仕事の勘が戻るにつれて、少しずつ気にならなくなっていきます。そして、長く休んだからこそ見えるものもあります。
2歳以降だからこそのこと
子どもは言葉が出てきて、自分の気持ちをある程度伝えられるようになっています。保育園であったことを話してくれるようになると、離れている時間への不安はかなり小さくなります。体も丈夫になってきて、入園直後は体調を崩すこともあるものの、0歳や1歳で入園した場合に比べると、急な発熱の頻度は下がる傾向があります。
子どもと長く一緒に過ごせた時間は、取り戻せないものとして大切に感じる人が多い時期です。また、仕事から離れていた期間に、自分が本当にやりたい働き方を考え直せたという人もいます。
乗り切るために
2歳以降に復帰する場合のしんどさは、
「仕事の勘を取り戻すまでに時間がかかる」ことが大きいようです。
・復帰前に、職場の人と一度話しておく(変わったこと、最初に任される仕事の範囲、使っているツール)
・最初の数か月は、仕事に集中する時間を優先し、家のことは外に出すと割り切る
・残業や急な会議に対応できる預け先を、保育園とは別に確保しておく
・3歳未満の子がいる場合は、原則として1日6時間の短時間勤務を利用できる(勤続1年未満など、対象外になる場合もある)。職場の制度を確認しておく
・小規模保育に入る場合は、3歳以降の連携施設や転園先を早めに調べておく
なお、2025年10月からは、3歳から小学校入学前の子どもを育てている人に向けて、会社は始業時刻の変更やテレワーク、短時間勤務などの中から2つ以上の制度を用意することが義務づけられました。3歳以降も働き方を調整できる余地が広がっているので、長い目で見て職場の制度を確認しておくと安心です。
仕事の感覚を取り戻すまでの数か月は、いちばん踏ん張りが必要な時期です。夕方の家事や、保育園のお迎え後の時間を外の手に任せるだけでも、仕事に向けられる余力がかなり変わります。
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どの時期にも共通するしんどさ

時期ごとに違うしんどさがある一方で、どの時期に戻っても同じようにやってくるものもあります。
朝と夕方の時間が足りない
復帰すると、保育園の送りと出勤、お迎えと夕食、お風呂、寝かしつけと、朝と夕方の数時間に家のことが一気に集中します。とくに夕方は、親の体力がいちばん落ちている時間帯に、子どもの相手と家事が重なります。
休みの調整で気をつかう
子どもの体調不良や保育園の行事で、仕事を休んだり早退したりする場面は必ず出てきます。2025年4月からは、子の看護休暇(現在の名称は「子の看護等休暇」)が小学校3年生の修了まで使えるようになり、入園式や卒園式、学級閉鎖のときにも取れるようになりました。それでも、職場に申し訳ないという気持ちを抱える人は多くいます。
パートナーとの分担が見えにくい
育休中は一人で回せていた家のことも、二人とも働き始めると回らなくなります。誰が何をするかを決めないまま復帰すると、気づいたときには片方に負担が偏っている、ということが起こりがちです。
こうした共通のしんどさは、時期を変えても避けられません。だからこそ、
「この時期を選んだからつらい」のか、「復帰そのものがつらい」のかを分けて考えると、自分を責めすぎずに済みます。
「あの時期にしておけば」と思ったときに

ここまで読んで、自分が選んだ時期のしんどさだけでなく、他の時期のしんどさも見えてきたのではないでしょうか。
0歳児クラスで戻った人が手に入れたのは、入園のしやすさと短いブランクです。1歳児クラスで戻った人が手に入れたのは、子どもと過ごした1年と、回復した体力です。2歳以降まで休んだ人が手に入れたのは、子どもの成長を間近で見た時間と、比較的丈夫になった子どもとのスタートです。
どの時期にも、手に入れたものと、引き受けたしんどさがあります。
今つらいのは、選択を間違えたからではなく、その時期特有のしんどさの中にいるからです。別の時期を選んでいたら、別のしんどさの中で、やはり「あの時期にしておけば」と思っていたかもしれません。
そして、時期ごとのしんどさは、どこにかかってくるかが分かれば、先回りして手を打つことができます。0歳児クラスなら急な発熱、1歳児クラスなら入園までの空白、2歳以降なら仕事に慣れるまでの時間が、それぞれの「重いところ」です。自分が選んだ時期の重いところに外の手を集中的に入れることが、後悔を小さくするいちばんの近道です。
まとめ
復帰の時期によって、しんどさの量ではなく種類が変わります。
・0歳児クラスで復帰:入園しやすい代わりに、子どもの体調不良と親の寝不足が重なる
・1歳児クラスで復帰:保活がもっとも厳しく、入れなかった場合の給付金の延長手続きも厳しくなっている
・2歳以降に復帰:子どもは楽になるが、仕事のブランクと再スタートの負担が大きい
どの時期を選んでも、後悔する瞬間はあります。それは選択が間違っていたからではありません。自分の時期のしんどさがどこにかかるかを知って、そこに手を打つ。それだけで、復帰後の生活はずいぶん変わります。
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