「3歳児クラスからの預け先は、共働きなら保育園一択」というのは、少し前までの考え方です。

今は、預かり保育を長く実施する幼稚園が増え、預かり保育の利用料も条件を満たせば無償化の対象になります。「教育方針に惹かれる園がある」「上の子が通っている」「保育園に落ちた」など、さまざまな理由で幼稚園を選ぶ共働き家庭は増えています。

ただし、幼稚園には保育園と違う「共働き家庭がつまずきやすい壁」があります。多くの家庭がそれに気づくのは、入園したあとです。

この記事では、保育園と幼稚園のどちらが良いかは比べません。共働きで幼稚園を選んだ場合に何が起きるのか、その壁をどう乗り越えればいいのかを、決める前に知っておけるようにまとめました。

保育園・幼稚園・こども園、共働き目線で違うのは主に3つ


ここからは、保育園・幼稚園・こども園のそれぞれの特徴を見てみましょう。

保育園幼稚園認定こども園
管轄こども家庭庁(福祉)文部科学省(教育)両方
対象年齢0歳〜就学前3歳〜就学前(満3歳から受け入れる園も)0歳〜就学前
基本の預かり時間標準時間で最長11時間4時間程度が標準+預かり保育認定区分による
長期休みなしあり(夏・冬・春)認定区分による
申込先自治体園に直接認定区分による
申込時期の目安10〜12月(4月入園)10〜11月(願書受付)区分に準じる


共働きにとってもっとも重要なのは、預かり時間・長期休みの有無・申込先の3つです。ここから先でお伝えする「壁」は、すべてこの3つから生じます。

こども園は「幼稚園寄り」と「保育園寄り」で中身が別物

認定こども園は幼稚園と保育園の機能を併せ持つ施設ですが、「両方のいいとこ取り」と考えると失敗します。

こども園を利用するには自治体の「認定」が必要で、区分によって預かり方がまったく変わります。

・1号認定:3〜5歳。教育標準時間(4時間程度)の利用で、幼稚園と同じ扱い(長期休みあり)。共働きでも選べる

・2号認定:3〜5歳で、保育の必要性がある場合。保育園と同じ扱い

・3号認定:0〜2歳で、保育の必要性がある場合。保育園と同じ扱い

共働きで2号認定を受ければ保育園と同じように使えます。ただし、2号の枠は0〜2歳から3号で入っている子の持ち上がりで埋まっていることが多く、3歳から外部枠で入るのは難しい園もあります。1号で入る場合も、幼稚園と同様に、条件を満たせば預かり保育の利用料が上限内で無償化されます(詳しくは次の章で解説します)。
ただし、預かり時間や長期休みの扱いは1号のルールに従うので、次の「壁」はそのまま当てはまります。「こども園だから安心」ではなく、2号で入るのか、1号で入って預かり保育を使うのか、そしてその区分の枠が園にどれだけあるかを見てください。

共働きでも幼稚園を選ぶ家庭が増えている理由


画像:幼稚園の園庭
「共働きで幼稚園なんて無理では」と思っている方に、まず状況の変化をお伝えします。

預かり保育が広がった

文部科学省の令和5年度幼児教育実態調査では、幼稚園の91.0%が預かり保育を実施しています。約8割の園が17時以降も預かっており、18時台まで預かる園や、夏休みなど長期休み中も開所する園も珍しくなくなりました。

預かり保育の利用料が無償化の対象になった

2019年10月の幼児教育・保育の無償化により、幼稚園の利用料は月額25,700円まで無償になりました。さらに共働きなどで「保育の必要性」があると認定されると(新2号認定)、預かり保育の利用料も日額450円、月額11,300円を上限に無償化の対象になります。

新2号認定の要件は、両親ともに月48〜64時間以上など、自治体が定める就労時間を満たしていることです。認定の申請は、幼稚園を通じて、あるいは自治体窓口で行います。園に「新2号を取りたい」と伝えれば、手続きを案内してくれるはずです。

なお、満3歳児クラス(3歳の誕生日を迎えてから最初の3月まで)は、利用料・預かり保育とも、無償化の対象が住民税非課税世帯に限られます。満3歳入園を考えている場合は、その期間の費用は別途かかると考えてください。

選ぶ理由はさまざま

実際に幼稚園を選んだ共働き家庭の理由を並べると、次のような声が多く聞かれます。
・教育方針やカリキュラムに惹かれた(英語、体操、モンテッソーリなど)

・上の子が通っていて、園の雰囲気を知っている

・3歳で保育園に落ちた、または希望の園に入れなかった

・3歳を過ぎて、幼稚園という選択肢が見えてきた

・小規模保育を卒園し、3歳で行き先を選び直す必要があった

・家から近い、通園バスがある

保育園を選ぶこともできたけれど、あえて幼稚園を選んだという家庭も少なくありません。ただし、そのうえで知っておいてほしい壁があります。

幼稚園を選んだ共働き家庭が直面する5つの壁


画像:保護者
ここからは、幼稚園を選んだ共働き家庭が直面する5つの壁について、それぞれ何が起きるか、そして乗り越え方の順に説明します。

壁1:長期休みがある

何が起きるか
幼稚園には夏休み(約40日)、冬休み、春休みがあります。預かり保育を実施していても、長期休み中は「日数が限られる」「時間が短くなる」「お弁当持参になる」園が多く、通常期とは条件が変わります。

見落とされがちなのが、長期休み中は利用する子が少なく、実質的に休園に近い状態になる園があることです。長期休み中の預かり保育は利用者が数人ということも多く、お盆前後は閉まる園も珍しくありません。

乗り越え方
・入園前に「長期休み中の預かり保育の実施日数」を、パンフレットではなく前年の実績で確認する

・夫婦それぞれの夏季休暇を「同じ週に取らない」形で分散させる

・祖父母、地域の一時預かり、ベビーシッターなど、長期休み用の預け先を入園前から決めておく

長期休みの空白は、幼稚園を選んだ共働き家庭にとってもっとも影響の大きい壁です。この空白を埋める算段がつかないなら、幼稚園を選ぶこと自体を再検討する必要があるかもしれません。

壁2:降園時間が早く、預かり保育の終了時刻が退社時間に届かない

何が起きるか
幼稚園の標準の降園時間は14時前後です。預かり保育があっても、終了が17時や17時30分という園は多く、定時が18時の職場だと、通勤時間を含めて間に合いません。

また、預かり保育は「事前予約制」「月単位の申込」「当日利用不可」など、園ごとにルールが違います。急な残業に対応できない園もあります。

乗り越え方
・「預かり保育の最終時刻」と「自分の退社時刻+通勤時間」を、入園前に具体的な数字で突き合わせる

・時短勤務や在宅勤務で退社時刻を調整できるか、職場に確認する

・週に何日かは祖父母やシッターに迎えを頼む前提で、曜日ごとの担当表を作る

毎日ギリギリで迎えに行く生活は、思っている以上に消耗します。間に合わない日の迎えの担当や預け先をあらかじめ決めておくほうが、結果的にラクです。

壁3:平日の行事と「親の出番」が多い

何が起きるか
幼稚園は保育園に比べて、保護者が園に来る機会が多い傾向にあります。参観日、面談、運動会や発表会の準備、PTAや係の仕事、集金、持ち物の製作。園によっては月に1回以上、平日の日中に園へ行く用事があります。

保育園に通っていた家庭が幼稚園に移ると、この「平日の呼び出し頻度」に驚くことが多いようです。

乗り越え方
・入園前に年間行事予定表を見せてもらい、平日の行事がいくつあるか数える

・役員や係の負担がどの程度か、実際に通わせている保護者に聞く

・夫婦で「どちらが行くか」を行事ごとに決め、年度初めに休みの申請まで済ませる

行事は子どもにとっては楽しみですし、親が来る日を心待ちにしています。「行けない」で終わらせず、どちらかが必ず行ける体制を先に作っておくことが、子どもにとっても親にとっても安心につながります。

壁4:休園・早帰りの日が保育園より多い

何が起きるか
幼稚園には、行事の翌日の振替休日、園の都合による午前保育の日、学期の始まりと終わりの短縮期間、教員の研修日などがあります。保育園ではほぼない「平日なのに休み」「平日なのに昼で終わり」が、年間で見るとかなりの日数になります。

さらに、暴風警報などの警報時は、保育園より早めに休園を判断する園もあります。

乗り越え方
・年間予定表で「休園日」と「午前保育の日」をすべて拾い出し、年度初めにカレンダーへ入れる

・午前保育の日に預かり保育が使えるか(使えない園もある)を確認する

・「急な休園」の日にだけ使える預け先を、平常時とは別に確保しておく

「わかっていたけれど、こんなに多いとは思わなかった」というのが、多くの家庭の実感です。年間で何日あるのかを、数字で把握しておくことが重要です。

壁5:預かり保育を使う子が少数派になる園がある

何が起きるか
意外と見落とされるのが、子ども側の気持ちです。

園によっては、預かり保育を利用する子がクラスに数人しかいないことがあります。14時にほとんどの友達が帰っていくなかで、自分だけ残る。慣れるまでは「なんで自分だけ」「ママは遅い」と感じる子もいます。

また、預かり保育の時間帯は担任ではない先生が見ることが多く、通常保育とは雰囲気が異なります。異年齢で過ごす、自由遊びが中心、といった違いに、子どもが戸惑うこともあります。

乗り越え方
・見学時に「預かり保育を利用している家庭の割合」を聞く。共働き家庭が多い園なら、子どもが「自分だけ」と感じにくい

・預かり保育の時間帯を実際に見学させてもらい、雰囲気や先生の人数を確認する

・子どもには「遅くまで園にいる日」を事前に伝え、迎えの時間を約束する

「預かり保育がある」ことと「預かり保育を使う子が多い」ことは別です。子どもが安心して残れる環境かどうかは、制度ではなく園の空気で決まります。

ベビーシッターを探してみる

入園前に園に確認しておきたいこと


画像:幼稚園で遊ぶ子どもたち
ここまでの5つの壁を、そのまま質問に変えたものです。見学や説明会で、パンフレットに載っていないことを中心に聞いてみてください。

✅ 見学・説明会で聞いておきたい10項目
1. 預かり保育の最終時刻は何時か。延長はあるか
2. 預かり保育は当日申込ができるか。月単位の申込か
3. 夏休み・冬休み・春休みの預かり保育の実施日数と時間(前年実績で)
4. 長期休み中の預かり保育で、お盆や年末年始など閉まる期間はいつか
5. 午前保育の日に預かり保育は利用できるか
6. 年間の休園日・振替休日・短縮期間はどのくらいあるか
7. 平日の行事はどのくらいあるか。役員や係の負担はどの程度か
8. 預かり保育を利用している家庭の割合はどのくらいか
9. 預かり保育の時間帯は、どの先生が何人で見ているか
10. 新2号認定の手続きは園を通じてできるか

10個すべてに明確な答えが返ってくる園は、共働き家庭の受け入れに慣れている園です。逆に、答えが曖昧な項目は、入園後にそのまま「壁」になる可能性が高いと考えてください。

結局、共働きの我が家はどう決めればいいか


画像:夫婦で話し合う様子
判断軸は以下の3つで十分です。

①預かり保育の実態が、自分の勤務時間と長期休みをカバーできるか

「実施している」ではなく、最終時刻・長期休みの実施日数・当日利用の可否で判断します。

②平日行事と急な休園に対応できる体制があるか

夫婦の分担、祖父母、外部サポート。誰かひとりに負担が集中する体制は、長続きしません。

③子どもの性格と、園の方針が合っているか

ここは保育園・幼稚園の違いではなく、園ごとの違いです。見学で子どもの様子を見て決めてください。

そのうえで、ひとつ線引きを提案します。
5つの壁のうち、乗り越える算段がつかない壁が2つ以上あるなら、保育園や2号認定でのこども園も含めて再検討する。

幼稚園という選択は、共働きでも十分に成り立ちます。ただ、壁を乗り越える手立てがないまま入園すると、しわ寄せは仕事と子どもの両方にくることになります。「どうしても幼稚園に行かせたい」という気持ちと、「毎日が回るか」という現実を、入園前に一度きちんと突き合わせてみることをおすすめします。

ベビーシッターを依頼してみる

家庭だけで埋めきれない空白は、外から補えばいい


画像:ベビーシッターと自宅で過ごす子ども
5つの壁のうち、家庭内だけでは乗り越えにくいのが、長期休み・預かり保育後の迎え・平日の行事対応の3つです。

この3つは、実はベビーシッターがもっとも活用されている場面でもあります。
・夏休み中、預かり保育がない日に自宅で見てもらう

・預かり保育の終了時刻に迎えに行き、親が帰るまで自宅で過ごす

・平日の行事で下の子を見てもらう、または行事に参加できない日の送迎を頼む

キッズラインでは、幼稚園の預かり保育後の送迎や長期休み中の定期利用など、「幼稚園に通わせながら共働きを続ける」家庭の依頼が多くあります。祖父母が遠方でも、夫婦ともにフルタイムでも、外部の手を組み合わせることで幼稚園という選択肢は現実的になります。

まずは、入園前の準備期間に一度シッターに会っておき、長期休みや急な休園のときに頼める関係を作っておく。それだけで、幼稚園を選ぶ不安はかなり小さくなるはずです。

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まとめ

幼稚園には、長期休み・降園時間・平日行事・休園日・預かり保育の環境という5つの壁があります。そのため共働きで幼稚園を選ぶなら、入園前に乗り越える算段をつけておく必要があります。園への確認、夫婦の分担、外部サポート。この3つを組み合わせて、「行かせたい園」と「毎日回る生活」を両立させてみてはいかがでしょうか。

今すぐベビーシッターを依頼してみる

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