「うちは一人だから、大変って言っちゃいけない気がする」「二人くらいで音を上げていたら、三人いる家はどうなるの」——子育てのしんどさを、つい他の家庭と比べていませんか。
でも、子どもの人数で変わるのは、大変さの「量」ではありません。変わるのは「中身」です。一人っ子には一人っ子の、3人には3人の、まったく別の種類のしんどさがあります。
この記事では、人数ごとに何が起きているのかを整理しました。自分の家庭に固有のしんどさが見えると、どこに手を打てばいいのかもはっきりします。
子どもの人数が増えると「量」ではなく「中身」が変わる
子どもが1人増えれば、大変さも単純に1人分増える。そう思われがちですが、実際に子育てをしている感覚は少し違うのではないでしょうか。
一人っ子の家庭は、手は足りているはずなのに消耗しています。2人の家庭は、親が2人そろっている日は回るのに、片方がいない日だけ極端にきつくなります。3人以上の家庭は、手が足りないことが前提になり、上の子が知らないうちに「親の側」に回っていることも。
大変さの総量は比べられませんが、中身は人数によってはっきり違います。
そして、他の家庭と比べて「うちはまだマシなほう」と考えても、目の前のしんどさは何も変わりません。
だからこそ、いったん他の家庭のことは横に置いて、自分の家庭に起きていることを具体的に見てみましょう。
何がしんどいのかがはっきりすれば、どこを軽くすればいいのかも見えてきます。
ここからは子どもの人数別に見ていきます。自分の家庭に当てはまるところから読んでもかまいませんが、
他の人数の項目も読んでみると、しんどさの中身が家庭によってまるで違うことが分かります。
【一人っ子育児】手は足りている。でも逃げ場がない
一人っ子の子育ては、物理的な手は足りています。抱っこするのも、ごはんを食べさせるのも、お風呂に入れるのも、相手は一人。同時に二人を見る場面はありません。
それなのに消耗するのは、
逃げ場がないからです。
子どもの意識が、全部親に向いている
きょうだいがいる家庭では、子ども同士で遊ぶ時間が自然に生まれます。その時間は、親にとっての小さな休憩でもあります。一人っ子の場合、その時間がそのまま親の担当になります。
・公園に行っても、基本的に遊び相手は親
・家にいれば「見て」「一緒にやって」が途切れない
・座った瞬間に、膝に乗ってくる
遊び相手も、話し相手も、感情の受け止め先も、すべて親1人に向かってきます。
分散する先がないのです。雨の日や、自分の体調が悪い日は、この子どもとの一対一がとくに重く感じられます。相手をしないと、子どもは他に向かう先がない。そう分かっているからこそしんどいのです。
「一人なんだから楽でしょ」と言われる
もうひとつの負担が、しんどさを口に出しにくいことです。
「一人だけなんだから」「きょうだいがいる家は大変よ」。悪気なく言われる言葉ですが、そのたびに、大変だと言ってはいけない気がしてきます。さらに、二人目はいつ考えているのか、と聞かれることもあります。事情は人それぞれなのに、答えにくい質問です。
しんどさを誰にも言えないこと自体が、じわじわと負荷になっていきます。
大変さに人数の条件はありません。一日中ふたりきりで過ごす時間の長さは、一人っ子の家庭のほうがむしろ長いこともあるのです。
一人っ子の子育てには「親以外の大人」との時間を
「ずっとふたりきりで、大人と話す時間がない」「自分が座って休む時間がない」。そんなときは、シッターに来てもらって、一対一から離れる時間を作ってみてください。
「手が足りているのに頼るなんて贅沢では」と感じる方もいますが、そんなことはありません。
手が足りていることと、心の余裕があることは別です。子どもにとっても、親以外の大人と過ごす時間はよい刺激になります。同じ遊びでも相手が変わると反応が変わり、家では見せない表情が出てくることもあります。
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【2人育児】「一人で全員を見る日」が山になる
子どもが2人いる家庭では、親も2人いれば、一人ずつ担当できます。お風呂も寝かしつけも、分担すれば何とか回る。問題は、
その前提が崩れる日です。
親が2人いる前提が崩れる日
出張、残業、休日出勤、子どものどちらかが体調を崩した日。理由はさまざまですが、一人で二人を見る日は定期的にやってきて、その日だけ一日の難易度が跳ね上がります。
ひとり親の家庭にとっては、これが「たまにある山」ではなく毎日です。この項で書いていることは、ひとり親の家庭では日常の描写だと思ってお読みください。
負荷は2倍ではなく、それ以上になる
一人で二人を見るとき、大変さは単純に2倍にはなりません。それ以上になります。理由は、
子どもたちに同時に別のことを要求されるからです。二人が同じタイミングで別々のことを求めてきたとき、親の体はひとつしかありません。必ずどちらかを待たせることになります。例えば2人育児をしている中で、以下のような経験はないでしょうか?
・夫が出張の週、二人をお風呂に入れるだけで一日が終わる
・片方を抱っこしながら、もう片方の手を引いて歩く
・下の子に授乳している最中に、上の子が話しかけてくる
そして、待たせた側に申し訳ない気持ちになることもあるかもしれません。1日に数え切れないほど「ちょっと待ってて」と言っている…この積み重ねで心が苦しくなることも。
大人が1人しかいない状態で、通院、行事、買い物、電車での移動などをこなす日は、終わったときに何もする気力が残りません。
「一人で二人を見る日」にだけ、外部のサポートに頼る
一人で二人を見ることになる日は、たいてい前もって分かっています。その日にだけシッターを頼む、という使い方ができます。
毎日でなくても、
月に数回、いちばんきつい日にだけ頼れる大人がいる。それだけで、気持ちが楽になるものです。2人以上を同時に見られるシッターもいるので、きょうだいまとめて依頼することもできます。
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【3人以上育児】上の子が「親の側」に回りはじめる
子どもが3人以上になると、親が2人そろっていても手は足りません。手が足りないことが、例外ではなく日常になります。ただ、3人以上の家庭のしんどさを「手が足りない」だけで語ると、大事な部分を見落とします。
手が足りない状態が続くと、家の中の役割が少しずつ変わりはじめます。上の子が、いつのまにか親の側に回っているのです。
これは、どの家庭でも自然に起きることです。親の接し方の問題ではなく、人数が増えたときに必然的に生まれる構造の話として読んでください。
誰かが常に待っている
2人までは「うまく分担すれば回る」場面がありますが、3人以上ではその計算が成り立ちません。親が2人いても子どもは3人。誰か一人は必ず待っている状態で、一日が進みます。
・玄関で全員分の靴を履かせるだけで、出発予定の時間が過ぎている
・買い物カートに全員は乗らない
・一日に何回「ちょっと待ってて」と言っているか、数えたくない
そしてこの状態が毎日続くと、待たせずに済ませたい場面が積み重なっていきます。
「ちょっと見ていて」が、一日に何度もある
3人以上の家庭でよくあるのが、上の子に少しだけ下の子を見ていてもらう場面です。
下の子の着替えをさせている数分。火から離れられない数分。玄関で荷物をまとめている数分。親が同時に2か所にいられないから、その間だけ「ちょっと見ていて」と頼む。
1回ずつはほんの数分で、頼むほうにも頼まれるほうにも、たいした負担ではありません。
ただ、その数分が一日に何度もあります。回数が積み重なっていくうちに、上の子にとっては「頼まれる役」が日常になっていく。上の子も慣れていくので、頼まれることを当たり前として受け入れます。親も上の子も、自然にそうなっていきます。だからこそ、
上の子に負荷がかかっていることに気づきにくいのです。
その数分のあいだ、上の子は自分がしたかったことを中断しています。手伝ってくれて助かる、と思う気持ちと、これでいいのだろうか、という気持ちが同時にあるのではないでしょうか。
外出が「作業」になる
大人1人で全員を連れて出るのは、人数が増えるほど難しくなります。上の子のペースに下の子が追いつかない、一人がトイレに行けば全員で移動する、誰かが疲れたら全体が止まる。買い物も通院も、行くこと自体に計画が必要な「作業」になっていきます。
そして外出先でも、親の手は2本しかありません。下の子の手を引くのも、荷物を持つのも、気づけば上の子が引き受けていることが多いはずです。
上の子が「お世話をする側」にならなくていい時間を
「上の子に『見ててね』と言うたびに、罪悪感がある」。そう感じているなら、その時間にだけ外部のサポートに頼るという方法があります。
シッターがもう一人の大人として入れば、
「ちょっと見ていて」と言わずに済む時間ができます。上の子は自分のことだけ考えていられますし、逆に下の子たちを任せて、上の子と二人で出かけてしまうのもおすすめです。何かを頼むためではなく、上の子とだけ向き合う時間は、お互いにとって意味のあるものになります。
もちろん、親自身が休むために頼ってもいいのです。
手が足りない状態が日常になっているなら、定期的に外部のサポートが入る仕組みを作っておくことをおすすめします。
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どの人数にもある「うちより大変な家がある」問題

ここまで人数別に見てきましたが、どの人数の家庭にも共通していることがあります。それは、
「うちよりもっと大変な家がある」と考えてしまうことです。
一人っ子の家庭は、きょうだいのいる家庭を見て「うちは楽なほう」と思う。2人の家庭は、3人いる家庭を見て同じことを思う。どの人数の家庭でも、自分より大変そうな家を思い浮かべてしまいます。
この比較が、助けを求めるタイミングをどんどん後ろにずらしていきます。「まだ限界じゃない」「もっと大変な人がいる」と考えているうちに、余裕がなくなっていくのです。
そもそも、しんどさを左右するのは子どもの人数そのものではありません。その場にいる大人1人あたりの子どもの数と、きょうだいの年齢差です。同じ「2人」でも、年子でワンオペの家と、5歳差で親が2人いる家では、まったく別の毎日を送っています。人数だけで他の家庭と比べることに、もともと意味はないのです。
人数が決めるのは負荷の「種類」であって「量」ではありません。他の家庭と比べても、自分の家庭で起きていることは何も変わらない。
頼ることに、人数の条件はありません。
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まとめ:比べるのをやめると、打つ手が見えてくる

子育てのしんどさは、人数で量が決まるものではありません。一人っ子なら逃げ場のなさ、2人なら一人で全員を見る日、3人以上なら上の子が親の側に回ってしまうこと。
それぞれに、その家庭にしかない形があります。
他の家庭と比べているうちは、自分の家で何が起きているのかが見えないままです。目を向ける先を自分の家に戻して、どこがいちばんきついのかを一つ見つけられれば、そこにだけ手を打つことができます。全部を変える必要はありません。
いちばんきつい場面がひとつ軽くなるだけで、一日の見え方は変わります。そして、どの人数であっても、頼っていいのです。あなたのご家庭に合った形を、少しずつ見つけていってくださいね。
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