台風が近づいている日の朝。窓の外は雨風が強く、スマホには警報のお知らせ。「今日、保育園は休みなのだろうか」「仕事はどうしよう」と迷ったまま、時間だけが過ぎていく——共働き家庭にとって、毎年のようにやってくる困りごとですよね。
この記事では、警報が出たときに保育園が休園になる基準、休園ではないけれど不安なときの考え方、そして急な休園に備えて平常時にできることを整理します。台風は地震と違い、数日前から予報が出る災害です。だからこそ、前日までにできることがあります。
この記事のポイント
⚫︎ 休園の基準は全国共通ではなく、園ごと・自治体ごと。警報の種類によっても扱いが違う
⚫︎ 2026年5月から警報の名称が変わった。休園基準に使われる暴風警報はそのままだが、洪水警報は廃止されている
⚫︎ 「子の看護等休暇」は感染症の休園には使えるが、台風による休園は対象外
⚫︎ 台風の当日に確実な預け先はない。当日どうにかするのではなく、前日までに仕事側の調整を決めておく
警報が出たら、保育園は休園になる?

まず結論からお伝えすると、全国共通の休園基準はありません。休園にするかどうかは、園ごと、あるいは自治体ごとに定められています。同じ市内でも、認可園と認可外園、公立と私立で判断が分かれることがあります。
なお、幼稚園は学校教育法上の学校にあたるため、臨時休業の判断は園長が行います。認定こども園は、通っている区分によって扱いが分かれることがあります。基準の考え方そのものは保育園と大きく変わりませんので、この記事は幼稚園にお子さんを通わせている方にも当てはまる内容です。
よくある基準の形

多くの園では、あらかじめ次のような形で基準を決めています。
・暴風警報(または暴風雪警報)が発表されている場合は休園
・午前◯時の時点で警報が解除されていなければ、その日は終日休園
・登園後に警報が発表された場合は、保護者にお迎えを依頼する
「午前7時」「午前6時」など、基準となる時刻は園によって異なります。解除された場合に途中から登園できるのか、それとも終日休園のままなのかも、園の規定次第です。
大雨警報では休園にならないことが多い
意外と知られていないのが、
警報の種類によって扱いが違うという点です。
休園の基準として使われることが多いのは、暴風警報や暴風雪警報です。一方で、大雨警報だけでは休園にしない園も少なくありません。「警報が出ているのだから休園だろう」と思い込んで登園させなかった、あるいは逆に、休園だと思って連絡をしなかった、という行き違いが起こりやすいところです。
なお、特別警報が発表されている場合や、お住まいの地域に避難指示が出ている場合は、通常の基準とは別の対応が取られます。まずは身の安全を最優先に行動してください。
2026年5月から、警報の名前が変わりました
2026年5月29日、気象庁の防災気象情報が大きく整理されました。河川氾濫・大雨・土砂災害・高潮に関する情報が、避難情報の5段階の警戒レベルに対応する名称に変わっています。
市町村ごとに発表される大雨関連の情報は、現在このようになっています。
・レベル5大雨特別警報
・レベル4大雨危険警報(新設)
・レベル3大雨警報
・レベル2大雨注意報
保育園に関わるところでは、変更点は次の3つです。
・
「洪水警報」「洪水注意報」は廃止されました。大きな川以外については、大雨警報に統合されています
・警戒レベル4にあたる
「大雨危険警報」が新設されました
・土砂災害の情報は大雨警報から独立し、
「土砂災害警戒情報」は「レベル4土砂災害危険警報」に変わりました
一方で、
休園基準としてよく使われる暴風警報・暴風雪警報は、今回の整理の対象外です。名称も基準も変わっていません。園の基準が暴風警報で決まっているなら、考え方はこれまでと同じです。
気をつけたいのは、園のしおりや重要事項説明書に「洪水警報が出た場合」「土砂災害警戒情報が出た場合」と書かれているケースです。その名称の情報は、もう発表されません。規定が新しい名称に更新されているかどうか、確認しておきたいところです。
また、「大雨警報のときは登園自粛」と定めている園では、新しく設けられたレベル4大雨危険警報が出たときの扱いが決まっていないこともあり得ます。気になる場合は、台風シーズンの前に園に聞いておくと安心です。
確認すべきは「自分の園の規定」
ここまで読んで「結局、うちの園はどうなのか」と思われたのではないでしょうか。
園の休園基準は、入園時に配布される「園のしおり」や重要事項説明書、災害時対応のお知らせなどに記載されているのが一般的です。
台風が近づいてから探すのは大変なので、落ち着いているときに一度確認し、写真を撮っておく、パートナーと共有しておくことをおすすめします。
休園ではないけれど、登園させるか迷うとき

園が開いていても、「この天候で連れて行って大丈夫だろうか」と迷う日があります。
結論として、
登園を見合わせる判断は、保護者がしてかまいません。園が開いていることと、登園しなければならないことは別です。
気になるのは欠席の扱いだと思いますが、認可保育園の保育料は月額で決まっているため、休んだ日数によって金額が変わるものではありません。記録上どう扱われるかは園や自治体によって異なるので、気になる場合は園に確認してみてください。
判断材料として、次のような点があります。
・通園路に、冠水しやすい道路、アンダーパス、川沿いの道が含まれていないか
・自転車や徒歩での送迎が難しくないか
・登園後に警報が発表された場合、すぐにお迎えに行ける状況か
特に最後の点は見落としがちです。開園していても、日中に警報が出れば早めのお迎えを求められることがあります。職場が遠い、すぐに抜けられない業務がある、という場合は、朝の時点で休ませるほうが結果的に安全なこともあります。
判断に迷ったら、園に電話をして地域の状況を聞いてみるのも一つの方法です。園は複数の家庭の状況を把握しているので、周辺の道路事情を教えてもらえる場合があります。
急な休園、仕事はどうする

休園が決まったとき、多くの家庭が直面するのが仕事の調整です。
選択肢を整理する
・在宅勤務への切り替え:可能な職場であれば、まずここを検討
・時間単位の有給休暇:数時間で乗り切れる場合。ただし労使協定が結ばれ、制度として導入されている職場に限られます
・有給休暇の取得
・夫婦での分担:午前と午後で交代する、片方が在宅に切り替える
「子の看護等休暇」は、台風の休園には使えない
2025年4月の育児・介護休業法改正により、子の看護休暇は「子の看護等休暇」に名称が変わり、取得できる理由が広がりました。追加されたのは、
感染症に伴う学級閉鎖等の場合の子の世話と、
入園式・卒園式・入学式への参加です。
つまり、インフルエンザなどの感染症による臨時休園には使えますが、
台風や警報による休園は、この制度の対象には含まれていません。制度が想定しているのは、学校保健安全法にもとづく感染症予防のための休業や出席停止(および保育所等での同様の措置)だからです。「休園なのだから看護等休暇が使えるはず」と考えていると、当日になって使えないことがわかり、慌てることになります。
制度の詳細については、
看護休暇は無給!? 2025年4月の法改正で対象年齢や取得条件はどう変わる?で解説しています。
なお、企業が独自に災害時の特別休暇を設けている場合もあります。就業規則を確認しておくと安心です。
どの手段も取れないことがある
ここまで挙げた選択肢は、誰にでも使えるわけではありません。在宅勤務ができない仕事はあります。有給が残っていないこともあります。ひとり親であれば、分担する相手がいません。
どの手段も取れない、という日は現実に起こります。
その場合、当日にできることはほとんどありません。だからこそ、
前日までに職場へ状況を伝えておくことが、実質的に唯一の備えになります。翌日休む可能性を先に共有しておけば、業務の引き継ぎや会議の調整を、余裕のあるうちに済ませられます。
もうひとつ知っておきたいのは、台風の日は職場の側も平常どおりではないことが多い、という点です。鉄道の計画運休が事前に発表されれば、出社できない人はほかにもいます。「自分の家庭の事情で迷惑をかけている」と一人で抱え込むような状況ではありません。
職場への連絡例
在宅勤務に切り替える場合。
おはようございます。◯◯地域に暴風警報が発表されており、保育園が休園となりました。本日は自宅で子どもを見ながらの勤務となるため、会議への参加は◯時以降でお願いできますでしょうか。対応が難しい業務がありましたら、ご相談させてください。
丸一日休まざるを得ない場合。
おはようございます。◯◯地域に暴風警報が発表され、保育園が休園となりました。子どもを預けられる先がないため、本日はお休みをいただきたくご連絡しました。◯◯の件は△△さんに引き継いでいます。急ぎのご用件があれば、メールで確認いたします。
事実(休園になったこと)と、こちらでできること・できないことをセットで伝えると、話が早く進みます。
当日、預け先はあるのか
台風当日に新しく預け先を確保するのは、かなり難しいのが実情です。それぞれの選択肢を見ていきます。
祖父母・親族
近くに実家があるなら、多くの家庭で最初の候補になると思います。ただ、
台風の日に限っては、順番を考え直したほうがよい選択肢です。
子どもを連れて行くにせよ、来てもらうにせよ、誰かが暴風雨のなかを移動することになります。しかも移動するのは、自分より高齢の家族です。転倒や飛来物のリスクは、こちらより高いと考えるのが自然でしょう。
前日のうちに預けてしまえるなら別ですが、当日になって頼むのは避けたほうが安全です。
一時保育
多くの園で前日までの予約が必要です。当日申し込みに対応している園もありますが、台風の日は園自体が休園している可能性が高く、現実的な選択肢になりにくいところがあります。
ファミリー・サポート・センター
自治体が運営する住民同士の支え合いの仕組みです。事前の会員登録と面談が必要なため、登録していなければ当日は使えません。
そして、
登録済みであっても、台風の当日は成立しない前提で考えておくほうがよいでしょう。子どもを預かる提供会員は地域の住民であり、業務として引き受けているわけではありません。同じ天候の中を移動することになるため、断られても不思議のない状況です。
病児保育
名前のとおり、子どもが病気であることが利用の前提です。元気な子どもを台風のために預けることはできません。
また、
病児保育室そのものが台風で閉室になることもあります。「子どもが病気で、しかも台風」という日は現実に起こりますが、その場合も預けられるとは限らない、と考えておいてください。
ベビーシッター
自宅に来てもらえるため、送迎の心配がないという点では、台風の日に合った形ではあります。ただし、
当日確実に来てもらえる預け先として当てにするのは避けてください。
依頼が成立していても、シッター自身の安全が確保できないと判断された場合はキャンセルになります。電車やバスが止まったときはもちろん、運行していても、風雨の状況によっては移動そのものが危険だからです。これはキッズラインに限らず、シッターサービス全般に共通します。
台風当日については、「頼めたら助かる」くらいの位置づけで考えておくのが現実的です。
「当日どうにかする」を前提にしない
ここまで見てきたとおり、
台風の当日に確実に使える預け先はありません。どの選択肢も、天候次第で成立しなくなります。
だからこそ、前日までに動くことに意味があります。「明日は休園になりそうだ」という段階で、まず仕事側の調整——在宅勤務への切り替え、休暇の申請、夫婦での分担——を決めてしまう。預け先はそのうえでの補助的な選択肢と考えておくほうが、当日に慌てずに済みます。
台風は「前日まで」に備えられる
台風は数日前から進路の予報が出ます。当日の朝に慌てて調べるのではなく、前日までに準備できる災害である、という点が地震とは大きく違います。
備えとして、次の5つをおすすめします。
1. 園の休園基準を確認しておく
園のしおりや重要事項説明書を確認し、基準となる警報の種類と時刻を把握しておきます。スマホで撮影して、パートナーとも共有を。前述のとおり、2026年5月に警報の名称が変わっているため、古い名称のまま書かれていないかもあわせて見ておくと安心です。
2. 警報を受け取る手段を用意する
気象庁のウェブサイト、お住まいの自治体の防災アプリ、園の連絡網(アプリやメール)。どこを見ればわかるのかを、平常時に確認しておきます。
2026年5月からは、河川氾濫・大雨・土砂災害・高潮の情報に警戒レベルの数字がつくようになりました。レベル4が、避難を判断するタイミングです。
3. 職場に事前に伝えておく
「台風が近づいているので、◯日は休園の可能性があります」と前日までに伝えておくだけで、当日の調整が格段に楽になります。急な連絡ほど調整が難しくなるのは、どの職場でも同じです。
4. 夫婦で分担を決めておく
当日の朝に話し合うと、お互いに余裕がないぶん揉めやすくなります。「休園になったら午前は自分、午後はパートナー」と、事前に決めておくほうが穏やかです。
5. 預け先の登録だけ済ませておく
ファミリーサポートもベビーシッターサービスも、利用するには事前の登録や面談が必要です。
使うかどうかは別として、登録だけ済ませておきましょう。
前述のとおり、台風の当日そのものは、シッターも含めて確実な預け先にはなりません。ただ、登録が効いてくる場面はそれだけではありません。台風が過ぎたあとに園の再開が遅れたとき、子どもが急に熱を出したとき、感染症で臨時休園になったとき。登録を済ませてあるかどうかで、動ける範囲が変わります。
キッズラインでも、初めて依頼する前にはオンラインでの顔合わせ、または対面での事前面談が必要です。落ち着いている時期に一度お試しで依頼しておくと、急なときにも頼みやすくなります。
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よくある質問
Q. 警報が解除されたら、途中から登園できますか?
園によって異なります。「午前◯時までに解除されれば通常保育」とする園もあれば、一度休園を決めたらその日は終日休園とする園もあります。解除後の受け入れ準備に時間がかかるため、給食の提供がない、時間を短縮するなどの対応になることもあります。園の規定を確認してください。
Q. 休園になっても、保育料はかかりますか?
認可保育園の保育料は月額で決まっているため、台風による1日程度の休園があっても、月額は変わらないのが一般的です。ただし、長期にわたる休園の場合に日割りで減額する自治体もあります。給食費など実費部分の扱いや、認可外保育施設の料金体系も施設によって異なります。詳しくは園または自治体にご確認ください。
Q. 幼稚園も、保育園と同じ考え方でよいですか?
基準の考え方は大きく変わりませんが、仕組みが違います。幼稚園は学校教育法上の学校にあたるため、臨時休業は園長の判断で決まります。
実務上とくに気をつけたいのが、
通園バスの運行は休園とは別に判断されることがあるという点です。「園は開いているがバスは運休」という日もあるため、その場合の送迎をどうするかを考えておく必要があります。預かり保育を実施するかどうかも、通常保育とは別に決まることがあります。園の規定をあわせて確認しておきましょう。
Q. 学童保育や小学校も、保育園と同じ基準ですか?
必ずしも同じではありません。台風などの災害による小学校の臨時休業は、法令上は
校長が判断することになっています(学校教育法施行規則第63条)。実際には教育委員会が基準やマニュアルを示している自治体が多いのですが、いずれにしても保育園とは別の仕組みで動いていると考えたほうがよいでしょう。
学童保育は、学校が休みでも開所する場合、休校に合わせて閉所する場合の両方があります。
きょうだいで通う先が違う場合は、それぞれの基準を確認しておく必要があります。
Q. 前日のうちに休園が決まることはありますか?
大型台風の接近が確実な場合、前日に休園を決定して連絡する園もあります。ただし、進路の予報が変わることもあるため、当日朝の判断となるケースが多いのが実情です。前日の夜に園からの連絡がないか、確認しておくとよいでしょう。
台風や警報による休園は、毎年どこかの家庭に必ず起こります。当日にできることは限られていますが、
前日までにできることは意外と多いというのが、この記事の結論です。安全がなにより優先です。そのうえで、前日までに仕事側の調整を決めておくことが、当日の負担を軽くします。
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