わたしの母ものがたり第4回は、ベジ活アドバイザーとして企業のレシピ開発、講演、コラム連載など幅広く活動している生井理恵さんのストーリー。大人になってから「食」を通して受け取ったお母様の想い、育児をしながら取り組む食育へのこだわり、生井さんの人生観を築いた「食」にまつわるエピソードをお届けします。

食を通して貰った母からのラブレター

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食事は体の栄養だけでなく、心にも栄養を与えてくれるもの
それに気づかせてくれたのは、母のある言葉でした。

ある日、暗がりのリビングで夜泣きをする息子を抱っこしていると、泊まりに来ていた母が心配して起きてきて。

夜中まで私の心配をする母の姿に、母の人生は父と私のお世話で終わってしまうのではないか、まさに黒子のような人生ではないか、と急に不憫に思えてしまったんです。

私はいてもたってもいられず
「お母さん、人生幸せだった?」と聞いてみました。

すると母は
「幸せだったし、あなたのお世話ができたことも幸せだった」と即答したんです。

お弁当がつないだ親子の絆

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私は高校生の時、母の作る「中身が茶色いお弁当」が恥ずかしくて仕方ありませんでした。母が私の健康を気づかっていたことは今になればわかりますが、当時は思春期だったこともあって、茶色いお弁当を作り続ける母に反抗していました。

そんな思い出を母に話してみると
お弁当はあなたと繋がっていられるラブレターのようなものだったのよ、だから作れて幸せだった」と言われたんです。

予想外の返事に驚くとともに、私は申し訳なさと母の優しさに思わず泣いてしまいました。そんな時も母はそっと、私の背中を優しくさすっていました。

そこで初めて「母の食事でここまで生きてこれたんだ」と気づき、感謝の気持ちが溢れてきました。そして、我が子にも私が母から受け取った想いのように、「食」を通して繋がっていられることを伝えていきたいと思ったんです。

マニュアル通りにいかないのが育児

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食育の勉強や講演会、レシピ考案などの仕事をしていた私にとって、食育はまさに我が子に実践したいことでしたし、好き嫌いのない子供に育って欲しいと思っていました。

ところが、私が「こうしたい」というものはことごとくつまづき、育児とは思い通りにいかないものだと痛感しました。

息子はトマトが食べられず、私は細かくしたり、食べ合わせを研究したりしましたが、離乳食期は克服をすることができませんでした。

食べむらがあったり、遊んで食べなかったりするとイライラしたり、味付けが悪いのかもしれないと自分を責めてみたり...。

一生懸命やればやるほど、どんどん気持ちが不安定になる日々でした。

そんな時
食べさせようとするから苦しいんだ、であれば食事のシーン以外で食育に取り組んでみよう!
と考え直すようになったんです。

ごっこ遊びは食育に最適

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そこで、遊びに食育を取り入れてみることにしました。

例えば「お医者さんごっこ」をする時は、処方箋にトマトを描いた紙を渡し、息子に食べるマネをしてもらいます。また、頑張って食べられたときは、トマトさんから「食べてくれてありがとう!」という手紙が息子のもとに届くなど、遊びながら小さな成功体験を積んでいくことにしました。

また、息子がトマトを食べたら必ず「ネタばらし」をすることにも心がけました。

息子に気づかれないようにトマトを入れておき、食べられたら「実はさっき食べたものに嫌いなもの入ってたんだよ、食べられてすごいね!」とたくさん褒めました。「食べられた」という自信に繋がると考えたからです。

そうやって少しずつ生活の中に食育を取り入れた結果、息子は徐々にトマトを食べるようになりました。

息子は好き嫌いをなくすと同時に、食べることの楽しさも一緒に学べたのではないかと思います。

母から受け継いだ「食育」を息子へ

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私は、息子が夜泣きをしたあの夜、母から食事とは愛情表現の1つであることを教わりました。

その大切な想いを、今度は我が子に受け継いでいきたい。

子供たちが成人した時、食事を作る大変さを知った時に私を思い出してくれたり、1人で大きくなったのではなく私の食事を通して大きくなれたんだ、ということに気づいてくれたら、それだけで本当に嬉しいです。

母のお陰で今のわたしがあるように、子供たちもいつか私のように温かい気持ちになる日がやってくることを願って、今日も明日も子供たちと「食」に向き合っていきます!


生井理恵さんの活動はコチラ

「ママとキッズの楽しい“ベジ活”」(ワニブックス)

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