忙しい共働き生活の中、気づけば子どもがおやつばかり食べている。そんな悩みを持つママパパは少なくありません。そんなときは保育園におけるおやつ提供の仕方が参考になります。現役保育士が保育園のおやつ事情を解説します。

記事のポイント

⚫︎おやつは子どもの栄養摂取に重要な役割を担っている
⚫︎おやつの時間を決めることが大切
⚫︎量に気をつけ、3食を妨げないようにしよう


保育園でおやつが出るのはなぜ?


保育園でおやつ
保育園でおやつを提供する理由は、大きく分けると3つあります。これらは、厚生労働省が公表している「保育所における食事の提供ガイドライン」にも示されています。ひとつずつ見ていきましょう。

理由1:エネルギー、栄養素、水分の補給

保育園でおやつを提供する目的は、「エネルギー、栄養素、水分の補給」です。

幼児の胃は小さいため、一回の食事でたくさんの量を食べることができません。そのため、食事と食事の間におやつを食べ、エネルギーや栄養を補います。

また、小さな子どもは自ら積極的に水分を摂取することが難しいため、周りの大人が意識して水分補給を促します。保育園ではおやつと一緒にお茶や牛乳、白湯などを出し、自然と水分を摂れるよう工夫をしています。

理由2:心理的な楽しみ

友だちや保育士と食卓を囲み、食べたり、おしゃべりしたりする時間は、子どもが精神的な安定を得られるひとときです。椅子に座って休息しながら、食べ物や飲み物を口にすることで、気持ちが満たされます。

子どもは自分の思い通りに物事が進まず、不機嫌になることが少なくありません。そのようなとき、おやつの時間をはさむことで、気持ちを切り替え、その後の時間を落ち着いた気持ちで過ごせるようになります。

理由3:食育

保育園では、おやつの時間を通じて食育を行っています。食材の産地や栄養素を紹介することで、子どもは食に関する知識を得られます。また、料理体験を通じて調理の楽しさや食に対する興味関心を高めるような工夫がされています。

ただ目の前の食べ物をお腹に入れるだけでなく、おやつの時間を通じて「食と向き合う姿勢」を育む大切な時間として、保育園ではおやつの時間が重視されています。

参考:厚生労働省「保育所における食事の提供ガイドライン」

保育園のおやつタイムはいつ?


おやつの時間
子どもの成長のためには、生活リズムを整えることが重要です。おやつの時間を決めておくことで食事のリズムが整いやすくなり、元気な一日を過ごせるようになります。保育園の食事スケジュールを見てみましょう。

保育園の食事スケジュール

保育園では子どもの生活リズムを整えるために、給食やおやつの時間を決めています。年齢や園によって多少の違いはありますが、一般的なスケジュールは以下の通りです。

9時30分 午前のおやつ(0〜2歳児のみ)
11時30分 給食
15時00分 午後のおやつ
18時00分 延長保育のおやつ

0〜2歳児クラスの子どもたちは、胃の容量が小さく、一回の食事量が少ないため、午前にもおやつの時間が設けられています。

午後のおやつは全園児に提供されます。昼食から夕食までは間隔が長いため、エネルギーや栄養の補給をする大切な機会となっています。

18時以降の延長保育を利用する場合は、その時間にもおやつで補給します。お腹が空いてくる時間帯ですが、内容や量を調整することで、夕食に影響しないようにしています。

おやつの適切な量と時間帯

おやつの量は1日の栄養摂取量の10〜20%程度が目安です。ただし、子どもの食欲や運動量によって、量を調整することが必要です。

保育園では離乳後からおやつを取り入れます。しかし、2歳児くらいまでは胃の容量が小さく、消化器官も未発達のため、午前と午後の2回、それぞれ100kcal程度のおやつが用意されています。3〜5歳児は午後のみで、150〜250kcal程度となります。おやつの他に、お茶や牛乳、乳酸飲料などの飲み物も提供されます。

おやつの時間帯は、午睡明けの15時くらいに設定されるのが一般的です。おやつの時間が遅くなると夕食に影響を与えてしまうため、三食を中心とした生活リズムが整うよう配慮されています。

成長に合わせて味付けを工夫する

乳幼児期は味覚が形成される時期なので、素材の味を活かした薄味が基本です。手作りおやつでは、季節の食材を取り入れながら、さまざまな味や食感、香りなどを経験できるよう工夫されています。また、砂糖の使用は控え目にし、素材が持つ自然な甘みを感じられるように作られています。市販のおやつでも同様に、味付けや添加物に配慮した幼児用のものを選んで提供している場合が多いです。

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保育園で人気のおやつは?


おにぎりを食べる子ども
おやつは、多くの子どもたちにとって楽しみな時間です。保育園では、栄養を補うだけでなく、子どもたちの気持ちも満たせるよう、おやつを提供しています。保育園で人気のおやつを見てみましょう。

保育園で定番のおやつ

保育園でよく出される、定番のおやつには以下のようなものがあります。

・おにぎり
・蒸しパン
・お煎餅

これらはシンプルですが、食べ慣れた味であり、子どもたちに人気です。また、甘みが感じられたり、素材のおいしさが味わえるおやつも子どもたちに人気があります。

・ゼリー
・プリン
・ヨーグルト
・ポップコーン
・さつまいもチップス


季節や行事に合わせたおやつ

保育園では、季節の移り変わりや行事にちなんだおやつも提供されています。

季節の食材を使ったおやつ例
・桜餅(春)
・スイカ(夏)
・焼き芋(秋)
・みかん(冬)


行事に合わせた特別なおやつ例
・柏餅(端午の節句)
・そうめん(七夕)
・カボチャプリン(ハロウィン)
・ケーキ(クリスマス)

旬の味や行事の楽しさを、おやつを通じて体験できる工夫がされています。

アレルギー対応のおやつ

保育園では、食物アレルギーがある子どもも他の子と一緒におやつを楽しめるような工夫がされています。
・米粉のクッキー(小麦粉の代替)
・豆乳プリン(牛乳の代替)

保育園では卵や乳製品、小麦などアレルゲンを除去したおやつや、米粉や豆乳など代替食材を使ったおやつを準備しています。なるべく他の子と見た目や味が似たおやつを提供している園が多いようです。

家庭でおやつはどうすればいい?おすすめの例と避けたい例を紹介


親子でおやつを食べる
休日や帰宅後など、子どもに「お腹空いた」「おやつ食べたい」と言われて困っているママパパも多いのではないでしょうか。家庭におけるおやつの与え方について、避けたい例とおすすめの例に分けてご紹介します。

おやつの量とタイミング

子どものおやつは、一日の総エネルギー量の10〜20%程度が適量とされています。1〜2歳児で100〜200kcal、3〜5歳児で150〜250kcal程度が目安です。

【避けたい例】
・食事の直前におやつを与えることは避けましょう。食事に対する意欲を減らし、栄養バランスを崩す原因になります。
・就寝前のおやつは翌日の朝食に影響が出るため控えましょう。虫歯のリスクも高まります。

【おすすめの例】
・「おやつの時間」を決めて習慣化しましょう。
昼のおやつであれば、昼食後2〜3時間経った午後3時頃が理想的です。いつも同じ時間に食べることにより、子どもは「おやつの時間に食べる」という見通しを持てるようになり、「いつでも食べられる」と思い込みをしづらくなります。

家庭でのおやつの選び方

家庭でおやつを選ぶときには、栄養価や子どもの成長段階を考えて選びましょう。

【避けたい例】
・糖分や塩分が多い市販のスナック菓子やジュースを毎日与えることは避けましょう。
・菓子パンやアイスクリームなど高カロリーなおやつは週に1〜2回程度に留めましょう。
・着色料や香料の多い加工食品は、子どもの味覚形成に影響する可能性があります。

【おすすめの例】
・栄養素を補給できるものや添加物の少ないおやつがおすすめです。
(例:果物や蒸し野菜、フルーツヨーグルト、チーズ、手作りの蒸しパンやおにぎりなど)
食事量が少ない場合でも、このようなおやつで栄養を補うことで、子どもの食生活を支えることができます。


ご褒美おやつは習慣化を避ける

「お片付けができたらお菓子をあげる」などのご褒美おやつは、一時的には効果があるように見えますが、習慣化すると、子どもの発達に影響を及ぼす危険性があります。

【避けたい例】
・泣き止ませるためや、大人が望む行動を引き出すために、おやつを利用することは避けましょう。
幼児期には、おやつの有無に関係なく、自分の感情や行動をコントロールできる力を身につけることが大切です。

【おすすめの例】
・おやつの時間は、家族のコミュニケーションの場として大切にしましょう。
「今日は何が楽しかった?」など、会話しながら一緒に食べることで、お腹だけでなく、気持ちも満たされていきます。おやつとご褒美は切り離して考えることが大切です。


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おやつを食べ過ぎる子への対応


母親と子ども
おやつを食べ過ぎてしまい、ごはんが食べられなくなってしまう子どもは少なくありません。おやつばかり食べたがる理由と、対応方法について見ていきましょう。

おやつばかり食べる子どもの心理

子どもがおやつを欲しがるのは、お腹が空いているからだけとは限りません。

甘いものや好きなおやつを食べることで、子どもは「嬉しい」や「楽しい」と感じやすくなります。そのため、不安やストレスを感じているときに、食べ物で気持ちを落ち着かせようとする場合があります。

おやつをこまめに食べる習慣がついていると、食べていない時間帯に口寂しさを感じるようになります。何か口に入れていないと落ち着かないという状況に陥ってしまうケースも少なくありません。

一日に何度もおやつを欲しがる場合、このような心理的要因が絡んでいる可能性も考えてみましょう。

おやつと食事のバランスを大切にする

おやつは時間と量を決め、食事のリズムを崩さないようにしましょう。食事の前の2〜3時間はおやつを控えることで、食事への影響を抑えることができます。

また、栄養バランスを考えておやつを選ぶことも大切です。お菓子だけでなく、果物や乳製品、おにぎりなど、捕食として適切な食品を取り入れるように意識してみましょう。

おやつの食べ過ぎを防ぐ環境作りと言葉かけ

おやつの食べ過ぎを防ぐためには、環境作りも欠かせません。おやつを必要以上に出さないように気をつけましょう。

おやつは子どもに見えない場所に保管しておきます。食べる時には一回分の量だけ出し、全体量が子どもに分かるようにします。

「もっと」と欲しがる時には、「今日はもうおしまい。また明日ね」と優しく伝え、別の遊びに誘いましょう。「もう終わりって言ってるでしょ!」と怒るより、「公園に行って遊ぼうか」と前向きな言葉を使い、子どもの気持ちを切り替える方が効果的です。

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おやつの悩みを解決!保育士やベビーシッターを頼る方法


ベビーシッター
子どものおやつに関する悩みは、一人で抱え込まず、専門家の力を借りて解決していきましょう。通っている保育園の保育士や栄養士など、子どもの食事に関わる専門家に相談することで、子どもに合ったおやつの選び方や量、タイミングなど、具体的なアドバイスが得られます。
また、ベビーシッターサービスの中には、保育士資格を持つスタッフが在籍しているところも多く、家庭での環境づくりについても相談できます。
何より、こうした悩みを誰かに相談することで、親自身の気持ちが軽くなり、リラックスして子どもと向き合えるようになることも大きなメリットです。専門家の知識と経験を上手に取り入れながら、家庭に合った「おやつとの付き合い方」を見つけていきましょう。

キッズラインならスマホからシッターを探せる


ベビーシッター・家事代行サービスを運営する「キッズライン」なら、パソコンやスマホからベビーシッターを探すことができます。中には、保育士資格を持つベビーシッターもおり、おやつについてアドバイスをくれるでしょう。たとえば、「おやつを食べすぎてしまう」「好きなものしか食べたがらない」といった悩みにも、保育の現場での経験をもとに、年齢や発達に応じた具体的な対応方法をアドバイスしてくれることがあります。

家庭でのおやつのタイミングや内容についても、「保育園ではどうしているか」や「どのような工夫ができるか」といった視点で提案を受けられるかもしれません。これは、保育士資格を持つシッターならではの魅力です。保護者がリラックスする時間を持てるだけでなく、子どもも慣れた環境で安心して過ごせます。このように、ベビーシッターは、おやつを含めた生活リズムを見直したい家庭にとっても、心強い存在です。時にはベビーシッターに依頼し、無理をしないように育児をしていきましょう。

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■保育士ライター 佐野希子
18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。


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