「子どもをほめて育てたい」と考えるママパパは少なくありません。子どもが自信をつけるためにも、小さい頃からほめて育てることは大切です。しかし間違ったほめ方をすると、逆に子どもの自信を奪ってしまいます。では、良いほめ方と悪いほめ方の違いは何なのでしょうか。そこで今回は、保育歴18年のベテラン保育士が、子どものほめ方について解説。正しくほめて、子どもの自己肯定感を上手に育てていきましょう。

「ほめる」ことは、子どもの成長に必要


親子
ほめることは、子どもの成長に良い影響を与えます。正しいほめ言葉は、心の栄養剤となり、子どもをまっすぐにたくましく育ててくれることでしょう。
では、ほめることで育つ力を3つご紹介します。

【1】自己肯定感が育つ


正しいほめ方をすれば、子どもの自己肯定感が育ちます。

※自己肯定感とは
「ありのままの自分を認めている」という感覚です。
他者と比較せず、自分の良いところも悪いところも丸ごと受け入れている状態です。

子どもは大人にほめられることで、自分の存在が大切に扱われていることを感じます。他者から大切にされた経験が、子どもの自己肯定感を育てていくのです。自分を認められる子どもは、他者の存在も認め、優しく接することができるようになります。

【2】意欲が育つ


ほめられることで、意欲が育ちます。

※意欲とは
「やってみよう」という気持ちです。
新たな挑戦は、子どもの世界を広げます。
成功は自信を育てますし、失敗は忍耐力や試行錯誤する力を育みます。

意欲は主体的な行動の根源となります。自分から湧き出る意欲さえあれば、子どもは自ら行動し、経験がどんどん増えていきます。逆に意欲を持てない時の行動は「やらされている」と感じてしまい、嫌悪感さえ覚えることもあります。

【3】コミュニケーション力が育つ


ほめられる経験を通して、他者とのコミュニケーション力が育ちます。

※コミュニケーション力とは
人と関わる力のことです。人はひとりでは生きていけません。
人との関係の中で生活する上では、他者と信頼関係を築けるようなコミュニケーションスキルが求められます。

ほめられれば、子どもはママパパの言葉に耳を傾け、素直に受けとれるようになります。また子どもも、自分の気持ちを隠さずに話せるようになります。
言葉でのコミュニケーションが上手になると、ママパパ以外の他者とも関われるようになり、子どもの世界が広がっていきます。

子どもにとって良い「ほめ方」と悪い「ほめ方」の違い


とはいえ何でもほめればよい、というものではありません。ほめ方には、良いほめ方と悪いほめ方があります。ほめ方を間違えると、子どもを望まない方向へ導いてしまう可能性もあります。
良いほめ方と悪いほめ方、それぞれどんなものかを説明していきます。

良いほめ方とは


【Good】頑張った過程(プロセス)をほめる
結果ではなく、過程(プロセス)に注目したほめ方です。何かができた時に限らず、できなかった時でも、子どもが挑戦した事実は存在します。「一生懸命がんばったよね」と子どもの心に寄り添ってほめることが、次の挑戦への勇気につながります。

【Good】「できた」を一緒に喜ぶ
子どもの「できた」に対して、客観的にほめるのではなく、一緒に喜ぶことも大切です。「できたね!すごいね!」という客観的なほめ方をすると、「できたからうれしい」ではなくて「ほめられたからうれしい」にすり替わってしまいます。子どもが「できた」という喜びを存分に味わうためには、大人も「やったね!できたね!うれしいね!」と、一緒に喜ぶことが良いほめ方につながります。

【Good】「ありがとう」と伝える
「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えることも、子どもにとってうれしいほめ言葉になります。自分が「人を喜ばせる力がある」と知ることは、子どもに有用感を与えます。お手伝いをしてくれたら「えらいね」よりも「ありがとう」と伝えましょう。「助かったよ」「うれしかったよ」などの言葉も有効です。


悪いほめ方とは


【Bad】「すごい」「上手」など漠然とした言葉でほめる
「すごい」「上手」などの言葉を使えば、簡単に子どもをほめることができます。ただし、簡単であるが故に多用してしまいがちです。すると子どもは「すごい?」「上手?」と大人に評価してもらいたがるようになります。自己肯定感を育てるには、自分で自分を認められるようになることが大切です。

【Bad】他の子と比較する
「〇〇ちゃんより上手にできたね」など、他の子と比較したほめ方は、不必要に競争心をあおります。競争すれば、できるようになることは増えるかもしれません。しかし、人生においては全てが1番になれることはないですし、何より人と比べてばかりでは心が疲れてしまいます。ほめるときには他者ではなく、過去の自分と比べて成長できる喜びを伝えていきましょう。

【Bad】「さらに」「もっと」を期待する
大人は子どもの成長がうれしいものです。縄跳びが10回跳べるようになったら「じゃあ次は20回を目指してみようか」と言いたくなってしまいます。しかしほめる時は、期待を隠して、今10回跳べたことを大いに喜びましょう。子どもは今の自分をほめてもらいたがっています。


上手な子どものほめ方 3つのポイント


子どもをほめる親
では、子どもをほめる時にどのような言葉をかけたらよいのでしょうか。ほめる時のポイントを3つご紹介します。

【ポイント1】子どもの行動を具体的にほめる


子どもが「できた」と思っていることに関して、具体的な言葉でほめましょう。具体的に表現すれば、結果への評価ではなく、子どもの姿を認める言葉かけになります。できることがひとつずつ積み上がっていけば、子どもの自信へとつながります。

【OK例】
今日は自分でお着替えできたんだね
折り紙、最後まで丁寧に折れたね

【ポイント2】「わたしメッセージ」で伝える


主語を「わたし」にして、ママパパの思いを伝えましょう。子どもへの評価ではなく、ママパパの幸せな感情を表現してください。大好きなママパパが喜んでくれることが、子どもの意欲へつながります。

【OK例】
〇〇ちゃんがお手伝いしてくれて、ママ、とってもうれしいな
〇〇くんが縄跳び跳べるようになってて、パパ、びっくりしたよ

【ポイント3】子どもの思いを引き出す


子どもの感情や考えていることを引き出すほめ方をしましょう。
大人にほめてもらわなくても、自分で自分を認められるようになることが、ほめて育てる最終目標です。

【OK例】
〇〇ちゃんはどう思う?
〇〇君は何が1番楽しかった?

【年齢別】保育士が実践する子どものほめ方 会話例


保育士は、子どもの発達ごとにほめるポイントを変えています。発達によってできることが異なるので、今ある課題を乗り越えていけるためのほめ方を意識しています。
では、実際に保育の現場でどのように子どもをほめているのか、年齢別にご紹介します。

0歳児のほめ方


0歳児は、毎日できることが増えていきます。できるようになったことを保育士が言葉で表現し、喜びを共有します。

【寝返りをした時】
「ごろん、できたね」

【にっこり笑った時】
「にこにこ笑顔、かわいいね」

【人見知りした時】
「ママと違う人ってわかるようになったのね」

1〜2歳児のほめ方


1〜2歳児は、ほめられることで望ましい生活習慣や対人関係を学んでいきます。後からほめても行動と結びつかないので、できた時にはその場ですぐほめるようにしています。

【スプーンで食べている時】
「スプーン使って食べるの、上手だね」

【お片付けをした時】
「おもちゃ、ないないできたね。お部屋きれいになってうれしいな」

【お友だちにおもちゃを貸した時】
「おもちゃ、どうぞってしたのね。お友だち、うれしそうだね」

3〜4歳児のほめ方


3〜4歳児は、成長に従って失敗を気にするようになります。頑張ろうとした気持ちやプロセスに注目してほめます。

【みそ汁を運ぼうとしてこぼした時】
 子 「こぼしちゃったよ」
保育士「拭けば大丈夫だよ。こぼさないように気をつけて歩いてたよね。次はきっとこぼさないで持っていけるよ」

【努力してできるようになった時】
 子 「今日はおみそ汁、こぼさないで運べた!」
保育士「〇〇ちゃん、毎日こぼさないように工夫してたよね。いっぱい練習したからできるようになったんだね」

5〜6歳児のほめ方


5〜6歳児は、自分の思いや感情を言葉で表現できるようになります。子どもの言葉を引き出し、自分で自分のよさに気づけるようにします。

【塗り絵をしている時】
 子 「先生、見て」
保育士「おっ、塗れたね」
 子 「上手?」
保育士「お洋服はいろんな色を使って塗ったんだね」
 子 「そうだよ。はみ出さないように、気をつけて塗ったんだ」
保育士「そっか。線からはみ出さないように、丁寧に塗ったんだね」
 子 「そう!」

実は子どもは“親以外”からほめられると伸びる


ママパパからたくさんほめられて育った子どもは、安心して外の世界へ目を向けはじめます。そしてママパパ以外の人からも「ほめられたい」「認められたい」と思うようになります。そのため、親以外からほめられる体験が、子どもの成長には不可欠です。具体的なメリットを見ていきましょう。

親以外からほめられるメリット


子どもが小さい頃は、親から認められれば十分に満足できます。しかし成長とともに親以外の人とも生活するようになるので、他者からの承認を求めるようになってきます。
親以外の人からほめられると、以下のようなメリットがあります。

●さまざまな人を信頼できるようになる
●社会の中で生きていく自信がつく
●自立する


子どもはいずれ親元を離れ、自分の力で生きていかなくてはなりません。幼いうちから親以外の他者と関わったり、ほめてもらったりする経験が大切です。

子どもをほめる親以外の存在とは


子どもの周りにはたくさんの大人が存在しています。子どもをほめてくれる身近な大人は、以下のような人々です。

・祖父母
・保育園・幼稚園の先生
・ベビーシッター
・公共施設で働く人
・近所の人


人によって、子どもの見方もほめ方も異なります。多様な視点からほめられる経験が、子どもの自己肯定感や意欲を引き出してくれます。そのため、子どもがさまざまな大人と触れ合う機会を、親は積極的に用意していくことが大切になってきます。

さまざまな大人にほめられる体験をさせよう


ほめるベビーシッター
さまざまな大人にほめられる体験が、子どもの成長を促してくれます。ママパパ以外の大人と関われる機会には、以下のようなものがあります。

☑祖父母の家へ遊びに行く
☑保育園やベビーシッターに預ける
☑子育て支援センターや児童館へ遊びに行く
☑買い物や散歩に出かける


さまざまなシーンでいろんな大人にほめられ、認められることで、子どもは自立していきます。子どもの成長のために、積極的に人と関わる場を用意していきたいですね。

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ベビーシッターは、家庭内の子どもの長所を見つける存在


ベビーシッターは、ほめてくれる大人の中でも特に有益な存在です。
子どもと言えども、保育園や幼稚園、小学校では外の顔を持って、一定の緊張感の中で集団生活をしています。その反面、自宅では素の自分で過ごしています。家庭内の自分をほめてくれるのは基本的に親だけで、他の大人にほめられる機会はなかなかありません。
その点、ベビーシッターなら自宅での食事や片付けなど、日常生活で子ども自身ができるようになったことを、親以外の視点でほめてあげることができます。
子どもは、家庭内で親以外からほめられる経験を得ることで、日常生活への意欲がわき「自分でやってみよう」という気持ちが育ってきます。

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キッズラインなら、家庭保育のプロを見つけられる


ベビーシッター・家事代行サービスのマッチングプラットフォームであるキッズラインでは、家庭保育のプロフェッショナルを探すことができます。シッターは、保育士や看護師など保育の専門資格や研修を完了した人が多く在籍。子どもの成長に合わせて、適切なほめ方を実践してくれます。
初めてのシッターに保育を依頼する際には、オンラインでの顔合わせまたは対面での事前面談が必要です。まずはよさそうな人に連絡を取ってみて、子どもに促してほしいことやほめてほしいポイントなどを伝えてお互いの相性を確かめてみましょう。
親のリフレッシュや仕事の都合だけでなく、子どもの成長のためにも有益なベビーシッター。大切なお子様の成長の機会としても、活用してみてはいかがでしょうか。

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■保育士ライター 佐野希子
18年目の現役保育士。独学で認定試験に合格し、幼稚園教諭の資格も取得。他に社会福祉士の資格も保有。現在は副主任として保育現場の指導とサポートに努めている。


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